yoeiはなぜ、聴く人の心を掴むのか──京都から放つファースト・アルバム『さかいめ』リリース記念コメント集
京都の4人組ロック・バンド、yoei。この記事では、活動初期から彼らを見守ってきた〈京都livehouse nano〉店長のモグラや、〈京都GROWLY〉元店長の安齋智輝をはじめ、yoeiにとってゆかりの深い人物を中心とした計9人が、それぞれに感じとるyoeiの魅力を語ったコメントをお届けする。そこから、yoeiというバンドが放つ音と佇まいが浮かび上がってくるだろう。
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サイケ、アンビエント要素も取り入れた、情緒あふれる10曲が並ぶファースト・アルバム
comments on yoei
- ニューウェイヴとオールドスクールの間を行き来する形を決め切らないスタイルに、曲中の各所に確実に感じられるオタクの香りまでする音楽への愛情に、「京都のバンドだなあ」と深く思う。
- 特に田舎でも都会でもない土地での暮らしに沿うような上がりきらずも下がりきらずもしない作風、でも、そんな日常だから1人で考える時間が多いのか、培われた想像力により散りばめられたアイデアたちの輝きには耳を奪われる。そして、そこには今の自分自身の感覚は信頼できてもこのままではきっといられないなという現実を見据えているような詩作もあり、思春期後の「第2の青春」賛歌となっているのがリアル。
- 変わらなくても許される環境と変わらなくてはならない自分との葛藤。どう考えても変わる=成長なんだけど、こんな葛藤が生まれるのも京都という街ならではかもなあ、と改めて自分も生きるこの街の在り方に苦笑いしてしまった。
モグラ
(京都livehouse nano店長 / ボロフェスタ主宰)
- 当初より只者では無さと圧倒的な普通さを併せ持った佇まいだった。
- 今や両者ともに拍車がかかり、唯一無二の自然体。
- 京都という歴史的ロックの震源地から次々と産まれてくる “ろっくみゅーじっく”。
- yoeiは一角に留まらず、そのゆっくりと大きな揺れで確実に届く存在となるだろうな。
- 曲がとてもいいので。
安齋智輝 (ex.GROWLY)
- 今年1月、THE BANDの「ウェイト」を出囃子にKYOTO SUBMARINEに初登場した彼らはまるでベテランバンドの様な佇まいで、魔法の様に音楽を操っていた。自分は彼らの事を「亜空間フォークロック」と例えた。
- それがyoeiというバンドである。
- それから半年1stアルバムをSUBMARINE RECORDSからリリースする事になった。
- ライブでは聴き取れなかった言葉や音像が音源ではよりリアルに表現されている。
- アルバムを聴き終えても、しっかり輝きが残っている。もう一度一曲目から聴きたくなる。
- この先どう転んでいくか楽しみなバンドである。必然的に変化していけるバンドなのだと思う。
- ひとつ言えることは、
- “自転車の空気を入れたから今のyoeiは無敵さ”
江添恵介
(SUBMARINE RECORDS / 渚のベートーベンズ)
- よえいって余映とか余栄からきているらしい。知的なバンドだなと思った。レコーディング中にキシダはオリサカはゴトウは、と彼らが話すとソングライターが明治昭和の文豪のように聞こえて少し笑ってしまった。
- たくさんのインテリジェンスが詰まった彼らの頭の中から引き出され組み立てられ体現されるサウンドに刮目せよ!
コイズミダイスケ
(スタジオSIMPO サウンドエンジニア)
- yoeiのライブは毎回良すぎて困る。
- ニュアンスに富んだフレーズを次々に繰り出す漕江さんはドラムで歌っているかのようだし、ライブが進むにつれて自らが音そのものになっていくベースの佐々木さんのプレイも圧巻。
- yoeiサウンドを彩色していく長岡さんのギターもエモーショナルなソロが大きな魅力だし、唯一無二の声を持つフロントマンの福田さんは、3人の作り出すサウンドを「歌」へと飛翔させていく。
- びっくりしながらぽかんと観ているうちに「バンドっていいな、音楽っていいな」という気持ちで自然と笑顔になってて、気がついたら終わってる。なんなんだ。
- yoeiのライブ、ぜひ一度体験してほしいです。一緒に困ろうよ。
Toshihiro Yoshioka (テルミン奏者)
- 「底なしの不安定な日々に家を建てる」はあまりにもいいフレーズだったから自分の歌詞でパクった。速い乗り物に急かされるより、自転車でちょっとそこまで行くくらいの余裕が僕の生活にも欲しいと思う。
- yoeiの音楽性は早熟さもありつつ、未来も感じられる、京都の音楽界で数少ない希望のひとつかもしれない。
- あと、メンバー全員人がいい。これはなかなか珍しい。悪い大人に騙されないことを願う (サブマリンレコードがブラック企業じゃありませんよーに)。
さとうじゅん (ミュージシャン)
- yoei (余映) の新作『さかいめ』は、静かで深い余韻を残す作品だ。
- 一曲ごとに異なるモチーフを持ちながら、全体を通して不思議な統一感がある。その理由は、言葉が丁寧に紡がれているからかもしれない。あるいは、京都という土地が持つ「奥ゆかしさ」や「いけず」といった気質が、音楽の中に滲み出ているのだろうか。
- 京都では、こうしたバンドが夜通しライブハウスやスタジオで音を鳴らし続けている。その事実自体が恐ろしく、そして羨ましい。彼らの音に触れると、京都で音楽を鳴らすことの美しさに、京都から上京した人間としては、思わず嫉妬してしまうのだ。
飯田仁一郎
(Limited Express (has gone?) / OTOTOY / ボロフェスタ)
- 福田宗一郎 (Vo.Gt.) の、普通に話しているような歌い方がいいなあ、と思ってアルバムを聴き始めたら、「祈るみたいに」「19歳」等、演奏は曲ごとに迫力があってアレンジも凝っていて聴き応えがあった。まるで甲子園の高校球児がいつまで経っても年上に思えてしまうように、「こんな曲あるんだ」と、マニアックで知識もたくさんある先輩から音楽を教えてもらったようなこの感じ。親しみやすいメロディと裏腹の突き放すようなサウンドで圧倒するバンドと聴き手の距離感が、自分にとっての「さかいめ」だと思った。一番そう感じさせられた「決断」は、ライブで聴いてみたい。SUBMARINE RECORDSからの1stアルバムの1曲目が「深海魚」 っていうのも、なんだか粋な気がする。
岡本貴之 (ライター)
- 底抜けに晴れた空ではない、かといって荒れ狂ってもいない、陽の光がぼんやり透けたうすぐもりの空。yoeiのファースト・アルバム『さかいめ』を聴いて思い浮かんだのは、そんな情景だ。
- その空の下で、そこそこの暮らしを、ときに憂い、ときに笑い合いながら過ごすちっぽけな私たち。yoeiは、とりわけ作詞作曲を手がける福田宗一郎は、その「普通の生活」にしか持ち得ないリアリティのある温度感を確かに捉えている。
- 派手なドラマではなく、誰の毎日にも潜んでいる感情を、飾らずにすくい取る。そこに流れるメロディは、ありふれた私たちの人生をそっと肯定するように響く。
- これは、ささやかな日常を送るすべての人のための人生讃歌。
石川幸穂 (OTOTOY編集部)
編集 : 石川幸穂
▼ ライター・岡村詩野が徹底解析!yoei、メンバー全員参加インタビュー
サイケ、アンビエント要素も取り入れた、情緒あふれる10曲が並ぶファースト・アルバム
ライブ情報

yoei『さかいめ』リリース・ツアー
【京都】
2025年10月26日(日) SUBMARINE
open : 17:00 / start : 17:30
adv 2,500円 / door 3,000円
w / The Fax
【名古屋】
2025年11月14日(金) K.Dハポン
open : 18:00 / start : 18:45
adv 2,500円 / door 3,000円
w / 浮気なヴァカ, sakimori, Midaboa Banwa
【横浜】
2025年12月6日(土) 横浜RUSH!!
open : 17:30 / start : 18:00
adv 3,000円 / door 3,500円
w / ベランダ
【東京】
2026年2月21日(土) 下北沢THREE
open / start TBA
adv / door TBA
w / GeGeGe
※名古屋・横浜公演は別途1drink
PROFILE : yoei
福田宗一郎 (Vo. Gt.)、長岡航太郎 (Gt.)、佐々木望 (Ba.)、漕江仁衣菜 (Dr.) の四人で構成される、サイケデリック・フォーク・ロックバンド。
その音楽性は、歌物でありながら実験的である。メロディーの面ではポップス的キャッチーさを目指しつつ、アレンジ面ではアンビエント・インディー・フォーク・ブルースといった様々なジャンルのエッセンスを取り入れている。
yoeiのライブは静と動のコントラストに彩られている。足音すらステージまで届いてしまうような静かで神経質なサウンドから、叫び声も隣の人に届かないような激しくラフなサウンドまで、曲のなかで、またライブ全体を通して、目まぐるしく立ち現れる。
■X : @yoei_band
■Instagram : @yoei_band
■YouTube : @yoei_band
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