OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.295 街でみかけたモンシロチョウはどこに居場所を見つけたんだろう
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
街でみかけたモンシロチョウはどこに居場所を見つけたんだろう
先週のオトトイの方でも書いたんですが、月曜日にラッパーのDEKISHIさんのライヴを観ました。ジャパニーズ・グライムのシーンにいながら他のMCやプロデューサーとも一線を画した趣がある印象で、具体的にいうと、グライム特有の暴力性や荒っぽさを宿していたり、社会に対する怒りを吐露するだけではなく、その怒りを自分の内面や弱さにときに変換させて歌い上げているような、そんな稀有なラッパーであると感じています。
今までは、セッションとして、つまり、インストのグライムにその場で言葉を乗せていく (歌詞を引用しながら言葉を紡いでいく) DEKISHIさんしか観たことがなかったので、あくまでも半即興的にラップしていくことへの凄さが先行していたのですが、ライヴを初めて観ると、セッションでは入ってこなかったリリックがストレートに耳に飛び込んできます。生活から漏れ出た、でもユーモアのあるリリックがさらに熱を帯び、私たちのもとに重量をもって迫ってくる感覚というか。本人が感情を昂らせるにつれて、オーディエンスにも伝播する。〈Spread〉という小さなスペースだからか、そのエネルギーをそのままキャッチできたのは個人的にすごく貴重な経験でした。
ということで、今回はDEKISHIさんが言葉を乗せている楽曲をチョイスしてみた次第です。最初はいかにもなグライムから、次第に自分の内面を曝け出すような楽曲へ。荒井優作氏のリミックス作も本当に最高です。もちろんここに挙げた楽曲はどれも最高なのですが、気になった方がいたら是非ともライヴも観てほしいですね。