OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.311 43歳の生活習慣病と付き合う40分
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
43歳の生活習慣病と付き合う40分
齢、40代も半ばが近づくと、というよりも20代、30代の、いや30代の頃には壊れていたので20代の放蕩生活がたたっているので、年齢は関係ないか……ともかく、医者に行っては定期的に検査が必要な、いわゆる生活習慣病というのに私の身体もしっかりとなっている。適度な運動と暴飲暴食を避ける生活、特に節酒が効果的というのは周知の通り。が、節酒がなかなか難しい性分で、20代の頃、一時期のナイトクラブでやっていた、毎週末の無茶苦茶な飲み方こそしていないものの、あまりそれは減りそうにない (いや、しかしよくもあんな缶詰生活であんなに飲んでいた)。まぁ、そうも言ってられないので、酒は控えながら、大盛りランチを厳禁にし、さらに運動で帳尻を合わせることになるわけだが、生来の運動嫌いの癖は飲酒癖よりもさらにひどい。さて、どうするか。このままでは生活習慣病から各種の病気を発症してしまう。
ここでウォーキングである。散歩といえば自分でもできる。そして思いついたのが、散歩というか徒歩で帰宅である。幸い、会社のある松濤~神泉地区から我が町、幡ヶ谷まではほぼ一本道で45分ほどで帰れる (しかも交通機関を使うより早い)。その昔は小田急線の開かずの締め切りが東北沢にあり、再開発中は道も悪かったのだがここ数年でずいぶんと落ち着いてきた。それもあって歩きやすい。なのでここ3年ほどは、ほぼそのルートを毎日歩いて帰っている。
この道を歩いていて思い出すのは20代の頃。勤めていた会社が駒場東大前にあって深夜帰りも多かったのでママチャリで通っていた。家からは東大裏の手前を駒場東大前駅にそれるかどうかだけで、ほぼ同じ道を通っている。そうえいばあっけなくその会社がなくなった後、実は一時期務めていた恵比寿の会社に行くのも当時は自転車というかロードレーサーに格好をつけて乗っていたので、これもまた同じ道を通って通っていた (まだ踏切はあったな)。OTOTOYに入社したころは参宮橋に社屋があったが数年で引越となり、なんの因果かまたまたもや同じ道路上に通勤路が重なった。
20年、3度会社が変わっても同じ道を通っている。以前は自転車だったが、いまは歩きだ。はじめはおもしろがって未踏の路地などに入って探検気分を味わっていたが、意外と富ヶ谷にしろ、駒場にしろ、お屋敷街であまりおもしろくはないことがわかってからは、同じ道をずっと歩いている。それよりも同じ道で、新譜を仕込んだプレイリストを聴いたり、いま書いてる原稿を構成を考えて歩いた方がずっと時間も短く感じて時間の経過が早いことがわかった。
最近、早足の歩調も安定してきて、だいたいドア2ドアで片道40分、フィッシュマンズの『Long Season』だと、少し最後に時間があまるぐらいで帰る。ここ数年のアルバムはアナログ・プレスを頭に入れての、40分ほどの新譜アルバムも多く、それを1枚聴くということもありうる。とはいえ、歌詞があると思考の邪魔なのでどうしてもインストを聴く機会が多く、ミニマルなものも多い。いや逆に、ジャズやライヴ盤も途中からテンションがあがっていく感じがちょうどよかったりもする。ここで何を聴くのかを考えるのも結構おもしろい。なんとなく今年の冬はディスコもよく聴いてた。ということで、ここ数ヶ月の徒歩帰宅のプレイリストを一部コチラに公開しときます。
そういえば最近は東北沢駅にさしかかるといつも考えることがある。道路拡張で商店街が丸ごと消えたのだが、どうもお店のラインナップが断片的にしか思い出せない。駅前にあった激狭い角の寿司屋やレンタルビデオ屋などなど、ひとつひとつ、20年かけて消えていった感じではあるが、全体象はもはや思い出せない。全く違った景色だが毎日上書きされる記憶の方が人間は強いようだ。
ここまで書いてアレだが、特段なにかオチはない。
![](https://imgs.ototoy.jp/feature/image.php/OEC_20250207/OEC_20250207.jpg)