D.A.N.がライヴ・ストリーミング企画〈Supernature〉を開催、そしてリミックス・シングルをリリース
国内外のダンス・カルチャーとの接点、その現場感をわりと自然体に体現できるバンドは、ここ日本では少ない気もするのだが、わりと彼らはクールに、自然体にそれをやりのけている。6月13日(土)に主催ライヴ・ストリーミング企画〈Supernature〉の開催を控えているD.A.N.。まさに〈Supernature〉はロンドンと東京の刺激的なDJたちと作り上げるなど、そんな彼らがどこへと向かおうとしているのか、なにを見ているのかそんな視点が垣間見える、そんなイベントになっている。もちろん、そんな視線はこれまでも、これからもそのサウンドの肝のひとつなのだろう。そして残念ながらワンマン・ツアーこそ延期となってしまったが、新曲の発表やリミックス・シングルをリリースするなど新たな動きも見せている。
D.A.N. presents live streaming Supernature
6月13日(土)開催!D.A.N.主催ライヴ・ストリーミング企画
配信日:2020年6月13日(土)
時間:19:00 START(24:00終了予定) ※アーカイブ視聴:6月16日 23:59まで
配信:ZAIKO https://bayon.zaiko.io/e/supernature
line up
LIVE : D.A.N.–support : Utena Kobayashi / Sohei Shinozaki、Black Boboi
DJ : CHANGSIE(London,UK)、Felix Hall(London,UK)、CYK+VJ kenchan
Bayon Ticket
5月16日18:00〜販売開始
https://bayon.zaiko.io/e/supernature
料金:チケット①:¥1,500 ストリーミング&アーカイヴ視聴可能
チケット②:¥5,500 チケット①+SupernatureオリジナルTシャツ(特典:新曲”Take your Time”DLコード付)
※投げ銭有り
主催:D.A.N.
企画・制作:SSWB / BAYON PRODUCTION
Tシャツ付きチケットの詳細やその他視聴方法などはバンドの公式WEBにて
http://d-a-n-music.com/
リミックスを3作品連続リリース!
世界も注目の唯一無二のサウンドを送り出すトラック・メイカー
グラスゴーが生んだ轟音ポストロックの雄
ジェイムズ・ブレイクのライヴ・メンバーなども務めるUKベース・カルチャーの異才
INTERVIEW : D.A.N.
D.A.N.がここに来て、2nd『Sonatine』以降で、ある種のリリース・ラッシュとなっている。「Bend」「Aechmea」のニュー・ミックスを皮切りに、さらにYouTubeにてタフなダウンテンポとピアノ・ループがメランコリックに展開する「Take Your Time」を発表している。そして先頃、ストリーミング・イベント〈Supernature〉の発表とともに、初となる国内外のアーティストによるリミックス(食品まつり a.k.a foodman、Mogwai、Airhead)3曲もリリース。また、先頃VIDEOTAPEMUSICに『The Secret Life Of VIDEOTAPEMUSIC』のシングル・カット第2弾として、アナログ・リリースにD.A.N.のリミックスが収録されるという。さらには実はもう1曲が新曲あって、一足先に聴かせてもらったのだがこの曲がまたすごい。ひさびさとなる小林うてなをフィーチャリングした、「Tempest」路線をさらに進化させたテック・ダンスホールとでも言うべき作品に仕上がっていて、さらなるバンドの進化を感じさせる楽曲と言えるだろう。残念ながらワンマン・ツアー〈Strand〉も新型コロナウィルスの影響で延期となってしまったが、前述の〈Supernature〉とともに、ポスト・コロナなバンドの今後の動きも楽しみになるような、そんな動きが垣間見れると言えるだろう。そんななかで彼らにリモートでインタヴューを行った。
ロックダウン中のバンド
──ライヴを最後にやったのは、都内某所のビルの屋上からやった〈ROOF TOP LIVE:TOKYO〉ですよね?
櫻木 : はい。
──3月の終わりぐらいで緊急事態宣言が出されるギリギリのタイミングでしたよね。そこから音楽を作ったりとかは。
川上 : 普通にドラムとか生音が録れないだけでデータで作ってますよ。やらないといけないじゃないですか。
──みんなでいつも通り3人でアイディアを出しながら、プリプロ段階まで何曲か作っている感じですか?
櫻木 : そうですね。2、3曲あります。
川上 : まだ種くらいしかできていないですけど。
──なるほど。例えば生演奏が入らなくても3人で作ればD.A.N.というか、打ち込みだけで完パケできるみたいなことも出てきそう? こうバンドとは違う表現もD.A.N.にありうるというか。
市川 :最近は、録り方がそういう風になってきたので、今後そういう曲もできるかもしれないですね。
川上 :でもやっぱり音の生感が恋しいですけどね。いまはいまで、こうやって打ち込みで作るというのも面白いという感じはしていますけど。
櫻木 :けど、生ドラムの音はほしいですね。生ドラム特有のダイナミクスとか、テクスチャーがあるから、どうやってもそれを再現するのは難しくて。サンプリングでそういう風なものを出すよさもあるけど。あとはリズムもシーケンスで組んで作るのもいいんですけど、サウンドにオーガニックなテクスチャーがないとD.A.N.らしさがでないのかなと思っています。バンドのサウンドがあって、はじめて僕の電子音とか他の諸々が生きてくるというか。仁也のベースもそうだけど、いろいろ繋がってくる。
市川 : まだ実際にバンドで合わせていないのでなんともいえない。いまはみんな、宅録とか、自分でやってみているんですけど、やっぱり身体的に音を鳴らす打楽器とかは生演奏の方が表現として自然体でできるんですよ。今までやってきたので、自分の中で考えている音とかをあんまり変えずに素直に出すことができるんですよね。やっぱりそういうところがないとバンドとしてはいけないなと思うので、それが恋しいですよね。
──次のストリーミングの前にゲネプロみたいな入ると思うけど、それが久々の演奏になるって感じですか?
川上 :そうですね。たぶん、2ヶ月間もみんな演奏しないということははじめてですね。普段だったらツアーがなくてもイベントがあったりとか、あとは制作とかでレコーディングとかはしたりしますしね。
──インスタに大悟くんはモジュラーシンセとかをあげてて、なんとなく伝わってくるんですけど。2人は最近どうですか?
川上 :僕はYouTube見てYouTuberに詳しくなっちゃいました(笑)。あとは、ゲームをやっています。
──仁也くんは?
市川 :宅録機材とかそういうものを前々から買ってはいたんですけど、ちゃんとセッティングして使ったことがなかったので、この機会に自分の部屋にセッティングして自分で音を録れるようにしようと。あとはギターを練習していたりします。
──へぇ、ギターなんだ!
川上 :僕と仁也は宅録のセッティングを自分の部屋にして。やろうと思っていたけど、やっていなかったことをやってみるみたいな期間になっていますね。
──大悟くんは何をしているんですか?
櫻木 : ひたすら録音していますね。でも、パソコンのデータが吹っ飛んで、せっかく作った音が全部なくなっちゃったんですよ。みんなで共有していたファイルとかD.A.N.のもともと作っていた曲のセッション以外の僕が趣味で作っていた音が全部なくなっちゃった……。
川上 :共有していた音はあるの?
櫻木 : 昨日、仁也が持ってる分は戻してくれたからなんとか。そんな感じで結構実験していますね。いろいろ機材いじって録ってみたりして。意外とまとまって機材に触れる時間がなかったというか、ライヴで使っている機材はスタジオに預けてあったりというのが多いので、ある程度の期間、ずっとライヴ用の機材が家にある、みたいな状況って意外とあんまりないのでいろいろ機材を触って勉強しています。
コロナ騒ぎ直前、ロンドンでの短期留学
──また普通に集まれるようになったときに少し変わってきそうですよね。大悟くんはコロナ騒ぎの直前に2月とか3月の頭にロンドンに短期留学でロンドンにいたんだよね?
櫻木 : ある意味で、非常に意欲的で野心的な挑戦ですよね。コロナとともに生きた2月、3月という感じでした。
──ロンドンの町は平常運転のときだったの?
櫻木 :そうですね。だから「アジアは大変だな、かわいそうだな」みたいな感じで言ってましたもん。それからイギリスも大変になって…… 帰ってきて、だからイギリスのコロナの騒ぎと入れ違いでしたね。
川上 :かなりのすべり込みタイミング。
櫻木 :アジアがコロナやばそうだぞというタイミングでロンドンに行って、帰ってきたタイミングでヨーロッパが大変なことになったみたいな。
──なるほど。ロンドンで今回のゲストでも出る、DJで、いまイギリスにいるCHANGSIEと偶然語学のクラスが一緒だったんでしょ?
櫻木 :そうですね。それもCHANGSIEさんのおかげで、短いながらも、よりディープなUKのダンス・カルチャーに触れられたのはいい体験でした。そこで、繋がった人たちもいて。今回ゲストに出てもらうフェリックス・ホール(Felix Hall)というDJ、たぶん彼はまだ日本ではそんなに知名度がないと思うんですけど。わりといまテクノやベース・ミュージックの界隈でダンスホールがはやっているじゃないですか。でも彼はずっと前からダンスホール・オタクというか。
──ロンドンでなにが1番面白かったですか?
櫻木 :今回リミックスやってもらったエアヘッド(Airhead)とかにも会ったり、他にもいろんなDJとかにも会う機会があったんですけど、思ったよりもみんな日々本気で音楽を作っている感じがして、とにかくずっと音楽のことを考えているし、ずっと曲を作っているというか。そのなかにいたら、全然自分はまだまだだなと思えたのはよかったですね。アンダーグラウンドなレベルの人たちでもこんなにやっているんだと。
初のリミックス・シングル、そして〈Supernature〉
──なるほど。D.A.N.の本体に話しを戻すと、今回3曲のリミックスが3曲でますね。Airhead、Mogwai、食品まつり a.k.a foodmanの3アーティストのリミックスがライヴ前に出るんですけど、この人選はみんなでやったんですか?
櫻木 :そうですね。僕からアイディアを出したのが大きいと思うんですけど、“Elephant”とかは作っているときから、食品さんにやってもらったら面白そうかなというのがあって。あの曲のヒプノティックなハウスみたいな部分は食品さんとか気に入ってくれそうだなと。あとはAirheadはまさかやってくれるとはという感じでしたね。本人も元の曲を気に入ってくれて、会ったときに「おもしろいね」って言ってくれたんですよ。だからいい機会だったなとは思いますね。Mogwaiは偶然で。
北澤(マネージャー) :UKのプロモーターがたまたまMogwaiのスチュアートにD.A.N.を聴かせてくれて、それで気に入ってくれてむこうから「やりたい」といってくれて。
──へぇ、すごい。
市川 :もとのAirheadにやってもらった“Aechmea”自体がバンド・サウンドしても変というか。いろんな要素が入っているから、その中でどういうリミックスを作るのかなというワクワクというのもある中で、上がってきたものは自分が想像していたものとは違ったので、驚きとかも含めて“Aechmea”のリミックスが1番好きですね。
櫻木 : それぞれ思うことはあるんですけど、リミックスをされるっていうのは、刺激をたくさん受けるんですよね。こういう使い方をするんだとか、インスピレーションを受けて、面白いなと思うんですけど。例えば食品さんは、僕らはバンド、食品さんはPCというある意味で完全に真逆なセットで作っていて、音響的な部分とか隙間の作りかたとかがオリジナルで、やっぱり食品さんの音が好きだなと。
──なるほど。リミックス3曲がリリースされて、例のストリーミング・ライヴ・イベント〈Supernature〉になるわけですけど、これはもともとFFKTの前に普通にライヴ・イベントとしてやるはずのものだったんですよね。今回、もともと発表していないので、そのままなしにしてもありだったと思うんですけど、あえてストリーミングのイベントにしようと思ったのは何かあるんですか?
川上 :流れ的にはワンマン・ツアーが5月中旬ぐらいから始まって、5月末に〈Supernature〉みたいな感じだったんですけど。どっちもできなくなって、でもストリーミングはやってみようという話になって。
──それでいて、DJ陣も入れているじゃないですか。これはクラブ・イベントっぽい感じの方向にしたいと思ったんですか? それとも、今回ライヴ・ストリーミングでもDJの人たちに出てもらうのと、もともと普通のライヴ・イベントのときから誘っていたんですか?
市川 :もともと、5月末に行おうとしていたイベントが、クラブ・イベント兼ライヴもあるっていうイベントを予定していたので、その色を出そうということになって、そのライヴ・ストリーミングの方でもDJ陣を誘うことになりましたね。
〈Supernature〉出演陣
──今回、小林うてなさんのBlack BoboiとCYKが出て、あとロンドン組2人という感じですけど。
櫻木 :僕らの他に、もう1組、ライヴ・アクトがほしいなって話になったときに、日本のグループでおもしろい人たちというところで考えたときにBlack Boboiに。共演も1回しているし、割と自然な流れだったように思います。
──わりと前から大悟くんはCHANGSIEをフェイバリットなDJに上げていて、フェリックスはさっきちらっと話に出てきたけど、CYKはなぜ彼らにお願いしたんでしょうか。
櫻木 :東京のクラブ・シーンにおいて、ユース・カルチャーを引っ張っていっている存在だと思うので、一緒に何かできたら僕らにもメリットがあるなと思ったり、刺激的だと思ったので推薦しましたね。あとは余談ですけど、CHANGSIEが言ってたんですが、彼らもフェリックス・ホールを呼ぼうとしていたみたいね。
〈Supernature〉出演アーティスト / DJたちの音源をチェック!
お金を払ってまで観ることへの音以外の付加価値みたいなのは付けようみたい
──D.A.N.ライヴ自体はストレートにライヴ映像をストリーミングにするという感じですか? それとも映像作家が入ってやるとかそういう感じですか?
櫻木 :それも考えているところですけど、有料配信はまだハードルが高い分野だと思うので、いろいろ工夫をしようということにはなっています。まだ具体的には言えないですけど。
川上 :みんなDJの人たちから動画を送ってもらって、それにVJ的な加工はしようかなという話はしていますね。Black Boboiとか僕らとかはどうするか確定していないですけど、普通のライヴではできないような演出をしてみたいなという話はしていますね。
市川 :単純に、ライヴをやってただ撮ってというよりかは、スタジオ・セッション的な要素だったり映像作品的な要素だったり、お金を払ってまで観ることへの音以外の付加価値みたいなのは付けようみたいにはなっていますね。
──まだ見えてはいないと思うんですけど、ワンマンは延期という形となってしまったけど、その他、2nd以降は楽曲を順次出してくようなモードだけど、新曲はどうでしょうか?
市川 :作ろうとは思っていますよ。
──それは、まとまった形? それとも最近みたいに単発で出していく感じ?
櫻木 :たぶんまとめてじゃないですかね。
──最低限、ミニ・アルバム、それか3rdアルバムになるという感じですかね。
櫻木 :まだわからないですけど、そんな可能性はありうるんじゃないかと。
──まだ先が見えてないですけど、ひとつコロナの影響は区切りにはなってそうですね。実験したりとか。
川上 :そう思いますね。コロナが明けた先の動きが大事になってくるなとは思っているので、まず次の動き、新曲のリリースですかね。正式に曲を出すタイミングは大事なのかなと思いますね。ミュージックビデオをだいぶ出していないので、それはいいものにしたいなと思いますね。
PROFILE
D.A.N.
2014年、櫻木大悟(Gt,Vo,Syn)、市川仁也(Ba)、川上輝(Dr)の3人で活動開始。様々なアーティストの音楽に対する姿勢や洗練されたサウンドを吸収しようと邁進し、いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドで追求したニュージェネレーション。2015年7月にデビューe.p『EP』をリリース。2016年4月に待望の1sアルバム『D.A.N.』をリリースし、CDショップ大賞2017の入賞作品に選出。7月には2年連続でFUJI ROCK FESTIVAL’16に出演。また同年のFUJI ROCKオフィシャルアフタームービーのBGMで「Zidane」が起用される。2017年2月にJames Blakeの来日公演でO.Aとして出演。4月にはミニアルバム『TEMPEST』をリリース。11月に初の海外公演をLONDONで行い、滞在中にはFloating Pointsのスタジオで制作活動を行う。現地のジャイルス・ピーターソンのラジオ番組〈Worldwide FM〉に出演しスタジオライブを敢行。2018年2月、UKのThe xx来日東京公演のO.Aを務める。5月にUK TOURを敢行し”THE GREAT ESCAPE’18″に出演。7月には2ndアルバム『Sonatine』をリリースし、FUJI ROCK FES’18へ出演。9月からのリリースツアーは、中国4都市、台湾2都市、バンコク、香港のASIA TOUR、日本国内は9都市、全17箇所を巡り、ファイナルは新木場スタジオコーストで開催する。不定期で行う自主企画〈Timeless〉ではこれまで、LAからMndsgn、UKからJamie Isaacなど海外アーティストを招聘して開催している。
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