メロウ・ヒップホップ・シーンを牽引するRobert de Boronによる“風景作品”をハイレゾで!

2011年発表の2ndアルバム『Mellow Candle』や人気コンピレーション“IN YA MELLOW TONE”シリーズの大ヒットによりメロウ・ヒップホップ・シーンのみならず、R&Bのなかでも熱い支持を受けているトラック・メイカー、Robert de Boron。壮大なストリングス・アレンジの上を力強く進むメロディーと、うわものとリズムの美しいレイヤードなど、彼独自のサウンドで聴く人々を魅了してきた。このたびOTOTOYでは最新作『Shine A Light feat. AWA』を24bit/44.1kHzのハイレゾで配信! iTunesヒップホップ / ラップ・チャートにおいてシングル・アルバム共に1位を獲得した期待の“風景作品”を、彼へのインタヴューとともに高音質で堪能していただきたい。
Robert de Boron / Shine A Light feat. AWA(24bit/44.1kHz)
【配信フォーマット / 価格】
alac / flac / wav : 2,000円(単曲は各300円)
【Track List】
01. It's Never Too Late
02. Let Go feat. Imani
03. Shine A Light feat. Oldwun
04. Proud To Be feat. Maitreya
05. Blazin'
06. Hapani Girl
07. Interlude
08. Don't Cry
09. Let's Love feat. Junz
10. One Mistake feat. PNC
11. Take Me Back feat. Oldwun
12. Outro (However Far)
INTERVIEW : Robert de Boron
もはやひとつのジャンルとして、ある意味でそのルーツたるヒップホップから枝分かれし、独自の進化を遂げている、この国のメロウなダウンテンポの流れ。Robert de Boronはそんな流れを象徴するアーティストと言えるだろう。コンピ『IN YA MELLOW TONE』、そしてソロ諸作はまさに代名詞と言って良いサウンドを奏でている。ループ・ビートは、爽快で美しいサウンドスケープを軽やかに際立たせる。そのサウンドはよりスケールを増してきている。アルバム・タイトルはそんな彼のキャリアのなかでも、代表作と言っていいシリーズだが、本作はそんな「Shine A Light」にフィーチャリングされてきたニュージーランド人シンガー、AWAをフィーチャリングして作られたある種のコラボレート・アルバム的な作りになっている。
さて、さっそく本作について本人にきいてみよう。
インタビュー & 文 : 河村祐介
彼の声聴いた瞬間に「これはとったな!」と
ーーひさびさのアルバムですが、作り終えての感想はどうですか?
Robert de Boron(以下、RDB) : ひさびさに作ったというのもあって、すごくやりきった感はありますね。
ーーどのあたりが?
RDB : 大好きな“Shine A Light”シリーズが、1枚のアルバムとして素晴らしい形で残せた点です。あのAWAがニュージーランドからわざわざ来てくれて、直接対面でレコーディングもしましたし、お互い最高のマインドで望めたのはいい経験になりました。
ーーAWAさんとアルバムを作ろうと思ったきっかけは?
RDB : ファーストを出すときに誰をフィーチャリングするかで結構悩んで、myspaceとかYouTubeとかで一緒にやりたいアーティストを探してたんですけど。Nesain Mystikは前から知ってて、そこのシンガーのAWAとやりたいなってとこからはじまったんです。ファーストに「Shine A Ligtht」の1作目が入ってて、セカンドに2、3、サードには4が入ってて。どうせなら、その名前でAWAとアルバム作っちゃおうよって感じで。
ーー相性が良いって感じですか?
RDB : 相性はもう抜群で! でも相手は海外にいるから今まで、顔を合わせないでの曲作り、データのやりとりをずっとしてたんですが、今回は日本に来てもらって目の前で声を聴いた瞬間に「これはとったな!」、と単純に思えたんです。うまかったし、テイクもホント早かった。
ーーでは結構さくさくと行ったんですか。
RDB : でも実はこれがね(笑)。まずはじめにデモを20曲ぐらい作って、その中から10曲ぐらいをAWAに送ったんです。「じゃあ日本に来るまでに聴きながらリリック書くわ」って言ってたんだけど、いざ日本に来てみたら、2曲しか書いてなかった。でも、6、7曲録る予定だったので、その後の制作が結構大変で、レコーディング中に即興で2曲作ったりね。6曲目の「Hapani Girl」と2曲目の「Let Go feat. Imani」はその場でジャムって。
ーーじゃあ結構ご本人のほうでAWAさんに会うまで具体的なデモは一応渡してあった?
RDB : 相当数渡してますね。でも、仮歌なんてひとつも無かったから、もう逆に信じてたよね。「きっと大丈夫だろ?!」みたいな(笑)。
ーーははは(笑)。
RDB : でもいざ歌ってみたら間違いないみたいな。
ーーこれまではデータのやりとりで、会ったのは今回が初めて?
RDB : そうですね。レコーディングは4日連続でやりました。来日した次の日からもう録りはじめて。だからかなりタイトでした。6曲録りましたからね。さっき言ったみたいに、空の状態から作った曲が2曲あるんですけど、それは結構大変で、何時間か同じコードを弾き続けたりとか(笑)。

ーーだったら考えてこいよぐらいの(笑)。
RDB : でもそれも3、4時間ぐらいでできました。
ーーやっぱりもともと相性が良いんですね。
RDB : そうですね。人間的にも相性良かったと思いますよ。
ーーどんな人なんですか?
RDB : 結構フランクで前向きで明るい奴ですね。本当に。
ーーわりと音楽性にもまんま出てますね。
RDB : 本当まんま。でもリリック濃いよね。重い。
ーーあーなるほど。そのへんとかってイメージを伝えることってあるんですか?
RDB : ある程度はイメージを伝えて、お互いにすりあわせていくような感じでやりました。
ーーわりと作品全体が映像的な作品で、その辺りはやっぱりしっかり伝えてディレクションしたんですね。
RDB : セッションは完全にノリだったけど。なにについて歌おうかって感じだったから「これは失恋ソングにする?」みたいな(笑)。
ーーそういう感じで作れるのはアーティスト同士としては良い関係ですよね?
RDB : やりだしたら一瞬でできたしね。バーって。
こうだからこうしなきゃいけないっていうのが俺のなかには無い
ーーこれまでもアーティストの方も含めてわりとコラボレーションって形でやってますが、やはり作り方として楽しいのですか?
RDB : そうですね。基本的には好きです。でも、目の前に現れてくれるのが一番いいかなあと思いますね。一緒にディスカッションして「こういうしよう。ああしよう」って。直接やることによって、相手も自分も我を通してくるしみたいな(笑)。デモの段階で、送ったときにボツだったけど、結局作品として録り直した曲もありますし。
ーーそれはどの曲ですか?
RDB : 5曲目の「Blazin'」、11曲目の「Take Me Back feat. Oldwun」ですね。これがまたいいんですよ(笑)。「できんじゃん!」って思いました(笑)。1番最初に録ったのは1曲目の「It's Never Yoo Late」なんですけど。
ーーちなみに今作のなかでキー曲はどれですか?
RDB : 俺的には6曲目の「Hapani Girl」だと思うんですよね。ギターだけの曲で。
ーーこれはさっき言ってた即興で作った曲ですよね? コラボレーションの空気感を1番伝えてるというか。
RDB : そうです。ライヴ感があるというか。レコーディングの仕方もそうだったし。
ーーなるほど。曲作りについて聴きたいんですけど、今回は彼に歌ってほしいデモを選んで、渡して、それから作ってだとは思うのですが、ご自身の曲作りのスタートって、どんな感覚で作ってますか?
RDB : いままではパソコンの前でやってたけど最近は壁があるのが苦手になってきちゃって、外でギター弾いて曲を作ることが多いですね。
ーーまさにアー写のような。
RDB : これはちょっとやり過ぎですけどね(笑)。でも、夜公園に行って曲作ったりとか。
ーーそういう開放感のなかで曲を作ったほうがいまはいいんですね。
RDB : そう、楽しい。また変わるんだろうけど。
ーー曲のアイディアって。先にメロディーとビートどちらががきますか?
RDB : 1st、2ndのときは作り方として思いっきりビートなんですけど。
ーーまずループを組んで、
RDB : そうですね。そのなかにどういうコード進行にするとか手数入れるか考えてたけど、今はコードですね。
ーーでは初期とは変わってきてる部分があるんですね。
RDB : 思いっきり変わったって実感はないんですけど、聴いてる人も変わったと思ってるでしょうね。
ーー思ったのは、さっき壁が無いとこで作ったと仰っていましたが、スケールが大きくなってるなあと感じたんですけど。
RDB : そうかもしれないですね。ストリングスとかもそのイメージがハマりやすかったりとか。
ーー箱庭を作るんじゃなくてそのものを、
RDB : そう、どかーんと作りたい。
ーーなるほど。逆にそういう作り方をしてて、リズムのアプローチを強めにしたくなるときはありますか?
RDB : リズムに関しては7割ぐらい先に作っちゃうんですよ。でもメロディによって、がらっと変えちゃうときもあるから。基本的にこうだからこうしなきゃいけないっていうのが俺のなかには無いんですよね。
ーー曲によると。
RDB : そうですね。
誰かの想い出になればいい
ーー今作の具体的なテーマはありますか?
RDB : 「Shine A Light」って光をあてるとか希望とかそういう意味なんですけど、そういうイメージですね。
ーーでは最初の時点でこのコラボレーション曲ありきでこのタイトルでやろう、で、そのタイトルをテーマにしようっていうのがあったんですか?
RDB : うんうん。
ーーなるほど。もっと具体的にアルバム全体でどのようなテーマ、風景があるのですか?
RDB : 全曲“男と女”のことについて歌ってるラヴ・ソングが多いですね。すごい重いのもあるけど(笑)。でも全体的にただネガティヴに終わってるんじゃなくてどこかに対極のポジティヴが感じられるかな。もちろんそれにあわせてリリックも変えてきたので、しあがりはポジティヴなのかなあと。ジャケも含めて。
ーージャケットも含めてそういうストーリーがあったわけではない?
RDB : ジャケはジャケのストーリーがあります。ファーストは混沌としてて、セカンドは「祈り」なんですよ。サードは「人類が初めて太陽を見たときの喜び」、今作は「決意」ですね。相手が太陽でも闘ってこうよっていう。
ーーなるほど。その「決意」に関してのディレクションはあったんですか?
RDB : それはもう! これまでは毎回デザイナーの肌が荒れちゃうぐらいに(笑)。でも今回はすんなりいきました。
ーー大変な難産だった曲だったり、制作過程のエピソードが他にありましたら、お願いします。
RDB : ないなあ(笑)。でもセッションの時はやっぱ大変だったなあ。スケジュールがタイトだったから。曲が決まって翌日に録るみたいな。大変ってよりかは楽しかったですね。
ーー先ほど重たい歌詞の曲もあると仰ってましたが、サウンド面や作品の“色”は統一されてると思うんですけど、逆にエグい者を作りたいとは思わないのですか?ダークなものとか。
RDB : ファーストはその方向性で、かなりやりきったんですよ。コシの重いビートだったりとか、ローファイな作品だったんです。セカンドは半々な感じでサードからあか抜けたというか。今作も自分的には3.5作目って認識です。
ーーそうなったのも、ファンが背中を押してくれたっていうのがあるんですかね。
RDB : いい感じにすり合ってる感じはありますね。でもやりたくないことやってる感覚もないし。やりたいことやってる+世の中の求めてるものがぴったりはまってると思います。自然に流れてます。
ーーでもビートのループだったりはご自身の基礎になってると思うんですけど、そこは捨てたくないのですか?
RDB : そうですね。ソウルのネタとかをサンプリングしてチョップしたり。それはずっと変わらないと思います。今の音楽聴いてるとノスタルジックとされてるものに全然ノスタルジーを感じないんですよね。デジタル制御されてるというか。俺のはレコードからサンプリングして、それをサンプラーいれたりっていうオタッキーなことをやってるんですよ。ポップなものではありますけど。だからもっと土臭いものを作りつつそれが世の中に広まったらいいなあと思いますね。
ーーいまのお話を聞いて思ったのは、逆に自分とウマの合うバンドと作ってしまうのもいいのかなあと思いました。
RDB : 確かにいいですね。
ーー好きなビートメイカーはいますか?
RDB : DJプレミアにはめちゃくちゃハマりましたね! ヌジャベスも大好きです。同じ機材とか買ったし、とにかく研究してた。
ーーそういえば、先日TwitterでMVの撮影のことをつぶやいてましたが、ディレクションも自身で行ったのですか?
RDB : イメージはちゃんと伝えました。今回の作品はアルバムにもちゃんとリンクするようなクオリティと内容です。
ーー今作を作り終えて、次回作の着想、やってみたいことなどありますか?
RDB : バンドやりたいんですよ。あとはメンバーかなぁ。それと自分で歌詞も書けて、歌えたらなあと思いますね。過去にやってきたものと今の接点を繋げてくと未来ではそういうことがやりたいのかなあって思いますね。
ーーなるほど。今作で通して聴いてもらいたい部分はありますか?
RDB : 初めて聴く人はだらっと聴いてほしいですね。緊張感がほどけないように作ってあるので。ギターのチューニングも440hzじゃなくて450hz、432hzにしてみたりとか、あまり聴いてて疲れないようにもしてるんだけど、集中して聴いてほしいような曲を並べてあるんです。でも最後のアウトロでどーんと落としてあるので、やはり通して聴いてほしいです。
ーーなるほど。まさにジャケットも含めて1枚の世界なんですね。

RDB : 誰かの想い出になればいいなぁと思います。そういえば、5曲目の「Interlude」はもともとはボツになっちゃった曲なんです。でもすごく気に入ってたのでサム・オックに投げたんです。でも送った時にファイル名を「Shine A Light pt5」って送っちゃったから曲内でShine A Lightって歌って返してきちゃった(笑)。でも次回作の予告編みたいな感じで次回はちゃんとサム・オックに歌ってもらおうかな、と。
Robert de Boron過去作、関連作はこちら
PROFILE
Robert de Boron
2008年9月に初作をリリースして以降、ほぼ全ての作品がヒットを記録し、シーンの中心的存在として君臨している東京を拠点に活動するサウンド・プロデューサー / トラックメーカー。
国内配信主要チャートでの1位獲得は勿論のこと、韓国の配信チャートでも軒並み1位を獲得するなど、国内のみならず世界的な評価を獲得し世界を魅了しつづけている。中でも、2011年1月にリリースされた2nd album『Mellow Candle』は空前のロングランヒットを記録、メロウ・ヒップホップ・シーンの代表格としての地位を確立。2013年4月にリリースされた3rd album「On The Rainbow」では、iTunesヒップホップ・チャートにおいて「ソング」、「アルバム」共にぶっちぎりの1位を獲得するなど、前作を遥かに凌ぐ高い評価とセールスを記録した。
そんなシーンを代表する鬼才が、2014年7月、自身の代表曲にして、メロウ・ヒップホップ史に残るアンセムとして名をはせる「Shine A Light」シリーズの盟友"AWA"と共に、シリーズの完成系言える待望のコラボ・フル・アルバムをリリースする。