KORG「DS-DAC-10R」と「AudioGate 4」でつなぐ、DSDとアナログ・レコードの新たな、楽しい関係
ここ数年、ここ日本はもちろん、世界的にみてもアナログ・レコードはそれを知る人々からは再発見され、はじめて見るような若い層からも新たに見出され、ある種の“ブーム”ともいうべき状況を生んでいる。その魅力は、あのジャケットを含めた“モノ”としての存在感はもちろんこと、すばり、その独自の音質であろう。
そんななかで、昨年末にKORGからリリースされたDAC「DS-DAC-10R」、そしてアプリケーション「AudioGate 4」は、そんなレコードの独自の音質をDSDで手軽にレコーディング、デジタル・アーカイヴィングしてしまえるというもの。「DSDでレコーディングってプロでも難しいんでしょ?」と思いがちだが、これがものすごく簡単なのだ。PCとレコード・プレイヤー、そして「DS-DAC-10R」「AudioGate 4」さえあれば、お気に入りのレコードが、DSDファイル、もしくはPCMのハイレゾ音源になってしまうのだ。
今回はOTOTOYプロデューサーでもあり、レコーディング・エンジニアとしてもDSDの第一人者、高橋健太郎を迎えて、そんなKORG「DS-DAC-10R」「AudioGate 4」によるアナログ・レコードのDSDレコーディングを通して、アナログ・レコードとDSDやハイレゾ・データの、「楽しく」「便利な」、新たな関係をここで紹介しよう。
KORG「DS-DAC-10R」、「AudioGate 4」とは?
DAC「DS-DAC-10R」とアプリケーション「AudioGate 4」(「DS-DAC-10R」ユーザーは無料でフルの機能が使用可能)、そしてPC(Win / Mac)だけで、DSDレコーディングを実現。録音 / 再生ともに、DSDなら5.6MHz、2.8MHz、PCMなら最大192kHz/24bitのフォーマットに対応している。ライン入力だけでなく、フォノ入力端子とグランド端子を装備し、アナログ・レコード・ターンテーブルを直接入力しレコーディングできる。詳しい「DS-DAC-10R」のスペックは、本ページ下方、または下記メーカー公式サイトにて。
>>DS-DAC-10R公式サイト
>>AudioGate 4公式サイト
まずはセッティング、とにかくシンプルで簡単
セッティングも、とにかく「簡単」というのが、その印象だ。各種ドライバなどインストール、「DS-DAC-10R」をPCにUSB接続、「AudioGate 4」を立ち上げアクティヴェート。あとは「DS-DAC-10R」の背面入力に、ライン・ケーブルでソースを入力すればこれだけで基本的にはDSD録音可能だ。例えばレコードとともに最近人気の出ているカセットなども、カセット・プレイヤーのライン出力をこちらに繋げばDSDレコーディングできる。
今回はアナログ・レコードのレコーディングということでアナログ・ターンテーブルから入力となる。「DS-DAC-10R」のひとつの特色でもある背面の入力端子は、通常のライン入力との兼用でフォノ入力端子が搭載、アースをつなぐGND端子も搭載されているので、ターンテーブルからの直接の入力が可能となる。ということで、ここにターンテーブルからの出力とアースを接続、最小のセットで言えばこれで録音可能。モニターにはパワード・モニター・スピーカーを用意しライン出力につないだ。
解説 : アナログ・ターンテーブルの出力信号は、ほとんどの場合、見た目(RCA端子)はライン出力と同じだがその音声出力が小さいため、通常のライン入力に入力すると、音声信号が小さく、また後述するRIAA補正というイコライザー処理を行わないと、その音を正しく再生できない。そのため、例えばアンプなどに入力する場合、アンプなどにある専用のフォノ端子につなぐか、ライン入力にフォノ・イコライザー経由でつながなくてはいけない。
今回使用した機材
前述のように、フォノ端子付きのアンプやフォノイコライザーなど、まどろっこしい接続なしでアナログ・レコードのDSDレコーディングができることが魅力の「DS-DAC-10R」。ということで、今回はアンプ+スピーカーなどのセットを組まずに、シンプルにパワード・モニター・スピーカーとPC、ターンテーブルのみというシンプルなセットで実験をしてみました。
DAC/インターフェース : KORG DS-DAC-10R
レコーディング/再生ソフトウェア : KORG AudioGate 4
PC : MacBookAir(13-inch, Mid 2013)
パワード・モニター・スピーカー : PIONEER RM-05 x 2
アナログ・ターンテーブル : PIONEER DJ PLX-1000
カートリッジ : PIONEER DJ PC-X10、ORTOFON concorde Elektro
ライン・ケーブル(ターンテーブル=DAC、DAC=パワード・モニター・スピーカーともに) : PIONEER DJ DAS-RCA020R
機材協力 : PIONEER DJ
ということで、アナログ・レコードのDSDレコーディング開始
「AudioGate 4」で、若干の音量レベルのピークを確認し、あとはレコードを再生、画面上の赤い「REC」ボタンを押すだけ。曲が終わったら、録音停止ボタンを押すと、「AudioGate 4」のプレイリストにいまでき立てほやほやのDSDが並ぶ。そしてすぐに再生ボタンを押せば、レコーディングしたばかりの目の前のレコードをDSD化した音源が再生される……か、簡単すぎてチュートリアル的な解説記事すらかけません。ということで、ここからは高橋健太郎をナヴィゲイターにしつつ、アナログ・レコードのDSDレコーディングの楽しみ方、魅力、そしてKORG「DS-DAC-10R」、「AudioGate 4」に関して、紹介していきましょう。
──まず、とにかく簡単。自分の世代的な感覚だとPCとアプリを起動する以外は、インプット・レベルをちょこっといじって録音ボタンを押すだけって感じで、それこそMDとかカセットのレコーダーぐらいの感覚でアナログをDSD化できるというか。
たしかに、手軽。感覚的にはPCオーディオっぽいんだけど、でもDSDとして出てくる音はやっぱりアナログ・レコードとカートリッジを組み合わせた感じが素直に出てくる。不思議な感じだよね。オーディオ機器の中でもいちばん対照的なふたつ、超アナログなフォノ・イコライザーと超デジタルなUSB DACが一緒になっている感覚というか。
──「AudioGate 4」と合わせるとさらにレコーダーにもなると。レコーディングして、すぐに「AudioGate 4」のプレイ・リストに並ぶ感じとかもいいですよね。
管理はしやすそうですね。「AudioGate 4」で波形をみて、聴いて、曲の頭を見つけて、うまく切って。あとは必要に応じて、それぞれの楽曲の後ろにフェード・アウトをかけたりして、並べてあげればいい感じにLPがそのままDSDとかデジタルのアルバムとして管理ができる。
──アナログだと、それぞれの楽曲を切り分けるのが大変だったりするんですが、これだと片面流しっぱなしでレコーディングして、「AudioGate 4」でエデットしてで、簡単にDSDのアルバムができてしまうという。
そうですね。
──アナログ・レコードをDSDにする意義とか魅力ってどこにあると思いますか?
僕自身はDSD以前に、10年くらい前からアナログのデジタル起こしをやっています。まずは針飛びするレコードがあったりして困ってたんですよね。針圧を重くしてうまくかけても、プチっと音が入るとか。それをレコーディングしてDAWで修正したり。まだそのときはDSDではなくPCMで。あとはすごく大事なレコードとか、アナログでしかもってないけどデジタルで聴きたいものをおこしてね。そうやってPCMに起こすというのは結構前からやっていて。ただ、DSDで録るには、いままでだと「MR-2000S」でやるしかなかった。基本的にその入力まではアナログの回路にするので、イコライザー、プリアンプからテープ・モニターで出してっていうことになるので、取り回しが面倒で。
──昔からのアナログのオーディオ・セットのレック・アウトを「MR-2000S」まで持ってきて入力するってことですよね。
そう。それでDSDで録った方がいいだろうなと思いつつも、今までやったことがなくて。でも、これは手軽にボタンを押せばDSD5.6MHzで録れるからいいなと。それにDSDで録ってアーカイヴしておけばあとから、どうにでもできますよね。DSDのままだと編集やノイズを取ったりすることができないので、ノイズを取りたいときはそれを1回、24bit/96kHzとかのPCMにして、DAWでノイズを取ったりすればいいんです。
──マスター・アーカイヴのような形にするのにDSDが1番いいということですよね。大は小をかねるというか。
はい。それが安心ですよね。
──本当にインプットを少し触ってポンッと録音ボタンをクリックするだけで録れてしまう。
カートリッジによって出力が違うから、ちょっとだけインプットに気をつけて、クリップしないようにすればそれだけでいいと思います。
──今日もモニター・システム的には最小限。オーディオは回路が短いほどいいといますが、そういう意味ではターンテーブルから「DS-DAC-10R」にダイレクトで接続できますからね。
「AudioGate」でこうやって録音できるようになったというのはすごいことですよね。いままでは「MR-2000S」という単体のレコーダーで録っていた訳ですから。それがダイレクトにPCに入るようになった。単純にアナログ・レコードを録るということ以上に、これは大きいと思います。
──確かにDSDネイティヴの録音って、PCとインターフェースだけではできなかったですからね。やはり「MR-2000S」のようなマスター・レコーダーはプロ用というか。これだとDACとしても使えて、あとはDSDのライヴ録音とかもアナログ・ミキサーからのライン・アウトを「DS-DAC-10R」に接続して、あとはノートPCがあればできないことはない。
イコライザーもレコーディングした後からかけられるし、レコーディング時にかけることもできて、まぁ、両方できるから、基本的には無しの状態でやればいいんですよね。
フォノ・イコライザー機能の切り替え機能とは?
──あとは、この機種に関して、レコーディング時にフォノ・イコライザーのカーブの規格が変えられるようなんですが、これについて簡単に説明していただければ。
RIAAというアメリカのレコード協会が定めたカーブがいまの世界の標準なんです。でも、昔のレコードには違うカーブのものもある。
──現行のレコードとかは、RIAA規格でレコードが作られていて、再生するフォノ・イコライザーもこの規格なんですね。
でも、このイコライザーの方式にまとまってきたのは1954年(RIAAは1952年に設立)頃で、それまではこの機種にも入っている“NAB”とか“COLUMBIA”とか、レコード会社の系列によって少しずつカーブが違ってたんです。すると、かけるとカーブが違うから少しこもって聴こえたり、逆に低音がなかったりしちゃうんですよね。だからそういう古いレコードをこの機材でレコーディングするときは、そのレコードに収録されているカーブの規格に適合させることができる。
解説 : フォノ・イコライザー・カーブ : アナログ・レコードのカッティング・マシンは、音の周波数が低くなるにつれ溝の幅を広く刻むため、そのままだと針が正確にトレースできない、収録時間が減るなどの問題点があります。そのため、カッティングされたレコードは低域を減衰、高域を強調して記録されており、再生時に逆特性のカーブで補正する。この補正を行なうものが「フォノ・イコライザー」。また、レコード・プレーヤーは出力レベルが一般的なオーディオ機器に比べて低いため、入力信号を増幅する必要があり、フォノ・イコライザーでその役割を兼ねている機器も多く、「DS-DAC-10R」では増幅はアナログ回路、イコライジングは(「AudioGate 4」による)デジタル信号処理へと振りわけている。(DS-DAC-10R公式サイトより)
──感覚的には、デジタルでいう、可逆圧縮のデコードに近いというか、共通のコードで圧縮されていた音源を、そのコードで解読して、もともとの再生されるべく音質に戻して再生する感覚ですかね。アナログの音源なんで圧縮という言葉は適切ではないですけど。
このくらいの価格でここまでやるというのはKORGさんはすごいですね。
──50年代以前の古いものを集めているレコード・マニアにももってこいというわけですね。ものによってはSP盤とか。
SP盤もそうですね。まあ、SP盤は、回転数自体が78回転じゃなくて、本当は80回転とかかなり怪しいのもあるんですが。
──DSDの音質というか、DACとしての特性はどうなんでしょうか?
DACはいままでもKORGのものを聴いてきましたが、同じ傾向のように感じます。すっきりとして少し明るい音に聞こえる。
まずはクリーニングを!
──アナログ・レコードのアーカイヴィングに関して、なにかおすすめするポイントとか注意するポイントとかありますか?
最近またアナログを聴くことが多くなったんですが、アナログの問題はやっぱり汚れや針によるちょっとしたノイズですよね。だからやっぱり録音するとなると掃除からはじまるんですね。「1枚1枚掃除しては聴く」ということを好きな人たちは繰り返すわけですけど、掃除した状態で録音してしまえばいいんですよね。
──ああ、なるほど。さっき言ったみたいにピークだけ気をつけて片面をだっと録り続けて、あとで楽曲に切り分ければ、掃除の邪魔にならないですね(笑)。
僕もいま掃除をしながら1枚ずつ聴き直すという形でアーカイヴィングしてます。アナログを聴くにあたって掃除がすごく大事だということに多くの人が気づいていて、だからいま、バキュームの何十万もするクリーニング機械とか結構売れてるみたいなんですよ。ディスクユニオンではプロが使う、クリーニング液とかクリーニング用の布とかも売られてるし。
──アナログのクリーニング・サービスもありますよね。で、今回は健太郎さんのレギュラーのクリーニング・セットということで。クリーニング液は、なんとこれがホームセンターとか、その辺の薬局、スーパーで買えるものっていう。
僕はガーゼと「水の激落ちくん」あとは普通のカーボン・ブラシのレコード・クリーナーとかで安く済ませてますね。それで十分だしガーゼだと絶対に傷はつきません。やっぱり化繊のものなんかは少し怖いんですよ。本当はそのあと精製水で完全に洗い流すのがいいんですけどね。大事なものはそこまでやります。
──なるほど、いまさっきやってましたが「水の激落ちくん」をまんべんなく吹き付けて、カーボン・ブラシで一度拭いて、ガーゼで拭くという感じでしたね。
アナログ・レコードの音質をDSDで真空パック
──ちなみにDSDとかデジタル化したいアナログってどのあたりなんですかね。
レコードの場合、いま録っておかないと今後聴けなくなるだろうなというような傷モノや針飛びするものを先に。CD化されていない名盤、あとは音質的なところでアナログで聴いた方が絶対いいアルバムを録ります。例えば1990年代とかは、CD盤のグレードがアナログの音質にまで追いついていないものもやっぱりあるんですよね。低音を聴きたいレコードに多い気がします。厚みや気持ちよさはアナログで聴く方が体感できる。例えば今回もってきたア・トライブ・コールド・クエストの『Love Movement』(1998年)。
──なるほど、たしかにさっきDSDに録音されたATCQの音源、ドラムとかベースまわりはCDの感覚じゃないですよね。質量感があるというか。本当アナログの12インチそのままというか。いわゆるアナログの音源が中心だった1970年代とか古い音源ばかりじゃなくて、1990年代以降とか、クラブ・ミュージック以降の音源もいいってことですね。低音ってことになると古いものでも、レゲエとかもよさそう。
そうですね。そういうのはアナログの方がいいです。しかも、これを使ってDSDで録ると、そういうアナログのときの良いフィーリングがかなり正確に再現されるような気がします。DSDのなかに真空パックしてくれる。PCMで録っちゃうと質感はCDとあまり変わらなくなってしまうので。
──たしかに伸びやかな響きもそのままで。それこそ、さっきレコーディングのあとのプレイバックもそうでしたけど、目の前でレコードが回ってて、DSDを鳴らされたら騙されそうですね。DSDで録っといて、必要あれば例えばPCMにコンバートするとか。それこそ最近CDJなんかは24bit対応だったりするから、DSDでアーカイヴィングしといて、必要があるときにDJ用に自分で24bit版のマスタリングしたりとか。
DJの人にもそう考えると向いているような気がしますね。
アナログのあやふやな世界をあえてそのままデジタル化するおもしろさ
──録る時はコツがあったりしますか?
アナログ好きな人にはいろいろな種類の人たちがいて、僕はそれほでもないけどカートリッジ・マニアの方もいますよね。同じレコードを何通りものカードリッジで聴くという。そういう人もDSDでそれぞれひとつひとつカートリッジごとにレコーディングするのもおもしろいかも。
──DSDの特性的なところで、やはりフラットなカードリッジの方がDSDでアーカイヴする場合は良かったりしますか?
むしろカードリッジを含めた音をそのままとってくれるから、その違いも楽しむべきじゃないでしょうか。アナログ・レコードってデジタルに比べると原音への忠実さは高くない。でも忠実さは低いんだけど、そこに面白さがあって、ターンテーブルやカードリッジによって、さらには同じ盤でもUK盤、US盤、日本盤によって音が違う。それをそのまま録ってその違いを楽しむことができるのがいいですよね。「正確に録りましょう」という考え方は必要ないような気がします。それを求めるならデジタルの方が向いてますよね。あと、MCカートリッジで、出力の小さいもので録るのは難しいと思うので、カートリッジはMMの方が無難でしょう。
解説 : ターンテーブル用のカートリッジにはふたつの方式があり、カートリッジ内部の発電方式によって、MM (Moving Magnet)型とMC (Moving Coil)型が2種がある。一般用のそのほとんどの製品は、MC式よりも内部構造が簡素なMM式が用いられている。MC式は一般的に繊細で高音質とされる(こちらも好き好きという部分は否めない)が、出力が低く、対応しているアンプ、もしくはヘッドアンプや昇圧トランスなどが必要、針先だけの交換が行えないなど、MM型よりも扱いが難しい。
──手軽さというところは大事ですよね。MCカートリッジまで入れて……という方たちは多分、アナログのしっかりしたシステムからマスターレコーダーでレコーディングみたいな苦労は厭わなそうですけどね。この手軽さを考えると、普段使ってる感覚でレコーディングする方をとってしまうかな。
でもDJユースの定番、SHUREのカートリッジ「M44G」とか音いいですからね。僕はいまだにあれをいくつも持ってるし、ターンテーブルもまず「M44G」でテストをしてそれを基本の音としますね。7000~8000円くらいだし。どっちかというといままではアナログとCDを比べていたけど、「AudioGate」のなかだとハイレゾ、DSDと、「DSDで真空パックしたアナログの音源」を並べるような感じになるのでそれはそれでおもしろいですよね。
──今回DSDでいろいろレコーディングしてみて思ったのは、原音を追い求めるようなオーディオ・マニアの方の「いい音」と、例えば僕のようなDJカルチャーで育った人間の「いい音」とは別のものだったりもすると思うので、ある意味でDSDでのレコーディングは、その両方を行ったり来たりできる大きな器という感じがしました。それこそジャマイカ盤のレゲエを起こしてノイズを取るとかおもしろいかもしれない。
ジャマイカ盤には顕著だけど、音は悪いんだけど、低音の太さやコクはすごいですよね。アナログ盤じゃないと味わえない気持ちよさですね。それがPCで楽しめるというのはいいですよね。
──さて、今回持ってきていただき、いろいろレコーディングしてみましたが。今回それぞれの意図みたいなものはありますか?
CD化されてないものを起こすというので持ってきたのは、タジ・マハール『Music Keeps Me Together』(1975年)のLP。これ超絶名盤なんですけれど、CDはないんです。あとはCDになってないカリプソの盤とかもおもしろいと思って持ってきました(The Duke Of Iron『More Calypsos By The Duke Of Iron』リリース年不明)。あとLPの方が圧倒的に音がいいと思うような、ジョニー・ミッチェル『Don Juan's Reckless Daughter』(1977年)、〈スタックス〉のザ・ステイプル・シンガーズ『Be Altitude: Respect Yourself』(1972年)。さっき出た、ATCQも。
──なるほど。
1990年代末の12インチとかも、最近聴いてないの多いけれど、起こしてPCに入れたいなと思って。モノレイクとか抜いてきました。
──モノレイクなんてデジタルの権化みたいな人ですけど、たしかにアナログは鳴りみたいな部分はCDの音源と違いますよね。それこそ最近、モノレイクとかベーシック・チャンネルとか12インチの音源がそのままリマスタリングされたロスレス形式で海外のサイトでデータ配信してますが「こんな音あったのか」ってびっくりすることもある反面、「こんなスッキリしてたっけ」とあのエグいアナログの音の感じなかったりってのありますね。
そうですよね。レコードででているものをデジタルで聴くと「こんなにスッキリしてたっけ」というのはよくある話ですね。
──さっきATCQをレコーディングしたDSD聴いた感じだと、そのアナログのエグみみたいなものがそのまま入ってましたね……いや、それにしてもアナログのDSDアーカイヴィングは、これはまたおもしろすぎて泥沼にはまりそうな予感が……。
取材 : 河村祐介
写真 : 雨宮透貴
編集補助 : 稲田真央子
仕様
KORG「DS-DAC-10R」
オーディオ・インターフェイス
チャンネル数 : 2 チャンネル 入力フォーマット(USB)
DSD : 2.8224MHz / 5.6448MHz、1bit
PCM : 44.1kHz / 48kHz / 88.2kHz / 96kHz / 176.4kHz / 192kHz、16bit / 24bit
ホスト・インターフェイス : USB2.0(ハイ・スピード)
オーディオ・ドライバー : ASIO2.1、WDM、Core Audio
一般
インジケーター : リング LED インジケーター(サンプリング周波数と REC 状態を色で表示)
電源 / 消費電力 : USB バス・パワー(5V 500mA)/ 最大 2.5W
外形寸法 : 155(W)x 184(D)x 49(H)mm(突起部含む)
質量 : 1.1kg
主要規格
周波数特性 :
10Hz ̃ 20kHz ±1dB(fs=44.1kHz / 48kHz)
10Hz ̃ 40kHz ±1dB
S/N:105dB(TYP.)20Hz ̃ 20kHz
THD+N:0.005%(TYP.)20Hz ̃ 20kHz
コネクタ
LINE OUT L/R
形状:RCA ピンジャック(不平衡) 負荷インピーダンス:10kΩ以上
規定/最大レベル:-6dBV / +6dBV
PHONES
形状:φ6.3mm ステレオ・フォーン・ジャック
負荷インピーダンス:16Ω以上 最大出力:70mW+70mW@32Ω
LINE IN / PHONO L/R
形状:RCA ピンジャック
入力インピーダンス: 47KΩ(LINE)/ 50KΩ(PHONO)
規定レベル:-6dBV(LINE)/ 5mVrms(PHONO) 最大レベル:+6dBV(LINE)/ 100mVrms(PHONO)
USB(デバイス)
形状:タイプ B
フォーマット: USB 2.0 準拠 ハイ・スピード
対応 OS:Microsoft Windows 7 (32Bit、64bit)、Microsoft Windows 8.1 (32Bit、64bit) Microsoft Windows 10 (32Bit、64bit)、
Mac OS X 10.8 ~ 10.10
>>DS-DAC-10R公式サイト
KORG「AudioGate 4
利用可能なファイルフォーマット
Windows
インポート可能なファイル形式 : WAV(*1)、BWF、AIFF、DSDIFF、DSF、WSD、FLAC、WMA、WMA Professional、WMA Lossless、ACC(*2)、Apple Lossless(*2)、MP3(*2)
エクスポート可能なファイル形式 : WAV(*1)、BWF、AIFF、DSDIFF、DSF、WSD、FLAC、WMA、WMA Professional、WMA Lossless、MP3(*4)
MAC OS
インポート可能なファイル形式 : WAV(*1)、BWF、AIFF、DSDIFF、DSF、WSD、FLAC、WMA(*3)、WMA Professional(*3)、WMA Lossless(*4)、ACC、Apple Lossless、MP3
エクスポート可能なファイル形式 : WAV(*1)、BWF、AIFF、DSDIFF、DSF、WSD、FLAC、ACC、Apple Lossless
(*1) 32bit 整数 WAVフォーマットには非対応。
(*2) QuickTime 7以降がインストールされている場合に対応(QuickTime の最新バージョン 7.7.7 は Windows 10 に対応していないためインストール不可能。Apple QuickTime for Windows 7.7.6推奨)。
(*3) Flip4Mac WMVがインストールされている場合に対応 >(*4) Windows Media Player 10以降がインストールされている場合に対応。
AudioGate4.0の動作環境
Windows
対応OS : Microsoft Windows 7(32bit、64bit)、Microsoft Windows 8.1(32bit、64bit)、Microsoft Windows 10(32bit、64bit)
CPU : インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー 2.6GHz以上 (最大動作周波数)
※Core i3 以上推奨
※2.8MHz, 5.6MHz間のDSDリアルタイム変換再生には、3.1GHz以上が必要となります
RAM : 4GB以上
Mac OS
対応OS : Mac OS X 10.8〜10.11
CPU : インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー 2.6GHz以上 (最大動作周波数)
※Core i3 以上推奨
※2.8MHz, 5.6MHz間のDSDリアルタイム変換再生には、3.1GHz以上が必要となります
RAM : 4GB以上
>>AudioGate 4公式サイト