11月3日(土)、4日(日)に恵比寿リキッドルームで開催される〈EMAF TOKYO 2013〉。国内外のトップ・アーティストたちを集め行われる、まさに電子音楽の祭典だ。OTOTOYではこのイヴェントの出演アーティストたちの楽曲を収録したコンピレーション・アルバムを独占配信中。本コンピには、未発表曲や未発表ヴァージョンなど、このコンピでしか聴けない曲も多数収録されている。その豪華なメンツの楽曲を聴けば、現在のエレクトロニカ・シーンの“いま"を知ることができると言っても過言ではないだろう。
その開催を目前に控え、その魅力を伝えるべく、イヴェント出演、ならびにコンピ参加の3アーティストにここでご登場願おう。インナー・サイエンスこと西村尚美、No.9こと城隆之、mergrimこと光森貴久の3人だ。さまざまな名義やユニットでの活動、自身のレーベルをそれぞれ運営するなど、個人アーティストとしての活躍のみならず、まさにこの国のアンダーグラウンドに広がるシーンに深く関わっているアーティストと言えるだろう。そんな彼らに〈EMAF TOKYO 2013〉のこと、そしてコンピのこと、そして日本のエレクトロニカ・シーンの状況などを語ってもらった。
EMAF TOKYO 2013 -Electronic Music of Art Festival Tokyo-
90年代中期より様々なスタイルを内包しながら多様な変遷を辿り、今も変わらずその表現の魅力を増しているエレクトロニック・アコースティック・ミュージック。LIQUIDROOMを舞台に2日間で開催される"EMAF TOKYO"は、そうした新鮮なサウンドを独自の個性をもって創り続ける国内外のアーティストたちにフォーカスを当てた新しい都市型音楽の祭典。
2013年11月3日(日) / 11月4日(月・祝)@東京 LIQUIDROOM(恵比寿)
料金 : ADV 4,500円 / DOOR 5,500円(フライヤー持参 5,000円)、2日間通し券 8,000円
11月3日 : 出演
[LIQUIDROOM 1F]
Diamond Version (Byetone & Alva Noto) + 伊東篤宏 / μ-Ziq (Planet μ) / world's end girlfriend & Another Alchemy / AOKI takamasa / no.9 orchestra / THE MERGRIM GROUP / DJ Yogurt
[KATA & LIQUID LOFT 2F]
Programmed by moph records
Fragment / Vegpher / miaou / moshimoss / Yosi Horikawa / 34423 / mu h / qurea / Akisai / DJ 蟻 [SoniCouture Live DJ Set] (moph records) / lycoriscoris (moph records) / SARA AM (moph records) / Shotaro Hirata (moph records) / SUNNOVA (LOW HIGH WHO?) / Yuki Matsumura (Galle) / VJ Naoto Fushimi / VJ 石塚俊 / Cuushe
11月4日 : 出演
[LIQUIDROOM 1F]
ヤン富田 / Y.Sunahara / Fennesz / Lusine / 環ROY×蓮沼執太×U-zhaan / Inner Science / Fugenn & The White Elephants x Yousuke Fuyama
[KATA & LIQUID LOFT 2F]
Programmed by Bunkai-Kei Records
Go-qualia / Nyolfen / Sokif / Yaporigami / ふんわりちゃん / Sane Masayuki / trorez / Junichi Akagawa / nanonum / Redcompass / sawako / Smany / Katsuhiro Chiba / shotahirama / Naohiro Yako / okamotonoriaki + Masashi Yokota / Hypo77
>>詳細情報
11月3日(日) / 11月4日(月祝)
EMAF TOKYO 2013 / Vaious Artists
【配信形態/価格】
WAVアルバム ¥1,200、mp3アルバム ¥1,000
【Track List】
01. μ-Ziq / Smeester (アンリリース曲)
02. Diamond Version (Byetone & Alva Noto) / Get Yours
03. mergrim / Unending Chain feat. yuanyuan
04. AOKI takamasa / RV2/2 (未発表曲/RVアナザーテイク)
05. world's end girlfriend / Helter Skelter Cha-Cha-Cha
06. Fragment / Grean Peach
07. Yuki Matsumura / Without A Break
08. Vegpher / Silk (未発表曲)
09. no.9 / Chrysanthemum (アンリリース)
10. Fugenn & The White Elephants / Arrow (未発表曲)
11. miaou / River Zephyr
12. Sokif / Un Secret
13. Nyolfen / Req_I
14. SUNNOVA / Money (未発表曲)
15. sawako feat. kazuya matasumoto / yulag (未発表曲)
16. Inner Science / Melt Inclusion (アンリリース曲)
INTERVIEW : 光森貴久、城隆之、西村尚美
インタヴュー&文 : 河村祐介
谷というよりはもっと潜ってったなかに密集してる感じ
ーー今回のEMAFの参加アーティストを中心に、国内外のエレクトロニカとか電子音楽シーンとか、例えば身のまわりのシーン感みたいなものとか、おもしろい動きをしているアーティスト、連なりってありますか?
城 : 僕的には、例えば絡むとか絡まないとかは別として、SNSなんかでシーンが活性化されてるのは感じるかな。ある意味ですごい情報過多だなと思うくらい。それを結構フラットに見て、興味があれば見るし興味がなければ見ないし、だれかを追うってことがあんまりないかな。最近は特に。
光森 : なんかむさぼるように情報が入ってくるから、追いかけているストレスになりがちっすね。
城 : そうそう。ストレスにならないように気を付けてる。
西村 : まあツイッターとかの反応は、それこそ震災後ぐらいをピークにして、すごくなだらかに本来の形に戻ってきてるような気はしてて。僕自身ももうはっきり言って告知的にしか使ってない。フェイスブックもしかり。
城 : 見てる人も見てるようで見てなかったりとか。
西村 : そこは罠ですよね。逆にレーベルやったりすると、書けば告知なりプロモーションしたってことになっちゃう…。まあ意図的にそれだけにしとくというのもそれはまたひとつなんですけど。
光森 : オーガナイザーさんとかと連絡と取りやすくなったのはいいなと思ったりするけど。ツイッターとかで、直接メールアドレス知らなくてもブッキングとかしてもらったりとか。
ーー前だったらこの人たちとやることなかっただろうなみたいなのはあったりします? 例えばロック系の人たちに誘われたり。
城 : それは増えましたね、完全に。まぁ、僕だったらバンドもやってたりするんで、そちら系のイベントに出たり。バンドって結構“界隈"繋がりが強いんですよ。そのまわりの界隈でシーンを作って、界隈以外の人は知らないみたいな感じがあったんですけど、まぁ、それが少し手を伸ばしつつあるのかなって。だからエレクトロニカって言葉は古くなったというか置き去りになったような感覚があるんだけど。
光森 : エレクトロニカっておもしろい言葉ですよね。本当に一時期最悪の死語みたいな状態になったり、でもなんか最近はまたエレクトロニカって言葉が…。でも最近はまたあれか、その2~3年前はまだもうちょっと盛り上がってて。とくにリキッドでやったPROGRESSIVE FOrMの10周年あたりとかって、まだエレクトロニカって言葉が恥ずかしくない時期もあったんだけど、また最近どうなのってるのかなっていう。
ーー例えば2000年代前半にエレクトロニカって言葉自体が一気に盛り上がって、その後、バブルがはじけたみたいに死語になって…… その後の盛り上がりみたいな体感ってあるんですか?
西村 : でも個人個人感覚が違うんじゃないかな。山があって1回落ち着いたって考え方だけをすれば、そのあとはずっと色んな人が潜伏してるから、それぞれがポイント、ポイントで繋がったり仲間が増えたりする感覚がピークと思う人もいるし。むずかしいけど、どうだろうな。個人的にエレクトロニカっていう括りで考えたら… 特に山は無いかな、ずーっと。ただ好きな人がいるんだなって気付くときもある。
ーーわりとフラットになってきたのかな。
西村 : そうだね。谷って、俺が思ったのは、極端に言ったらエレクトロニカって出てきた人たちが全員歌ものになってったとき。
(一同笑)
西村 : みんなどうしたのみたいな(笑)。そういうときは若干思ったけど結局やってる人たちはやってて。谷というよりはもっと潜ってったなかに密集してる感じっていうか。「いるんだけど見えない!」みたいな。
音楽っていう世界でみたら日本はすごい時代だし、すごい恵まれてるかなと
ーーそのあたりはやっぱ世代的なとこもあるのかなと。おそらくはじめのブームが2000年ジャストぐらいだとすると、そこから活動はじめたアーティストが2000年代後半から2010年ぐらいに、しっかりと表に出てくるというか。次の世代がずらっと実はいる、っていうのがやっと見えてきた感覚なのかなって。
光森 : そうですね。
西村 : 最近また多い気もするしね。
光森 : ネットレーベルの影響とかで、若手が一気に台頭してきたというか。先日行われたOut of Dots at WOMBでも改めて新しい世代の勢いを感じた!
西村 : それはいい影響ですよね。結局そういう流れが出てくれば淘汰はされるけど。ひとつの流れにはなるでしょう? なるって聞いたよ!
城 : 昔ほど淘汰がなだらかというか、たとえばCDの売れ行きとかそういうので昔は淘汰されてたろうけど、いまはそういう淘汰が無いから。自由にアウトプットできて、淘汰も時間がかかるようになってる気がする。10年ぐらいかかって淘汰されるっていうか。
ーー単純に本人がやらなくなったときがそのときだと。
城 : そうそうそう! 本人も趣味が変わったりとか。
ーー生活が苦しくなったり、そっちをやってられなくなったぐらいの理由がないと。
城 : だけど、逆に果てしなくレベルが高いのにやめてしまったり。そういうのも副作用として起こってると思うけど。サウンドクラウドで聴いててもすごいと思うのもある。すばらしいものもいっぱい出てくるけど、なんとなくやって、なんとなくやめてく。
西村 : まあそこはね、いろんな要素が絡んできますからね。言い方としては難しいですよね。
城 : だから、あんまり貪欲じゃなかったりするのかなあと思って。
西村 : 試せる人が増えてフレッシュなアイデアが"わっ"って出てきていろんな人が増えてきたって反面、突出しづらかったりていうのもあるし、その淘汰に時間がかかるかもしれない。だからやっぱりどう考えても時代が変化してってるから。全然ネガティブな要素がそんなにないような。
城 : 逆に音楽っていう世界でみたら日本はすごい時代だし、すごい恵まれてるかなと。まあ作り手にしても聴き手にしても。でも時代って結局波があるから、そのあとどうなるのかなっていう。
西村 : まあどうなっても楽しいんじゃないですかw
ーー軽っ!
西村 : でもそう思わないととさ、変化はしてくしさ、否定も肯定もできるでしょ、簡単でしょ、どっちも。だから楽観的なほうがいいんじゃない。
城 : まあ個人的には楽しい、楽しくないとかよりも、シーンに関してはどうなっても構わないっていう。シーンで音楽を作るわけじゃないからね。
西村 : まず第一、エレクトロニカっていう名前のなかにいると思ってないですからねどうしても。いるんじゃなくて、そこにいれたことがない(笑)。入れてもらえてたことがなかったような気がする。
ーーインナー・サイエンスの場合はわりとヒップホップていう、もう1個のフィールドもあるしさ。
西村 : まあクラブ・カルチャーかもね、大きく捉えると。クラブ・カルチャーからある部分みたいなのを引いてったら、エレクトロニカって枠にすごく親密性があったていうのが。
ーー逆に例えばバンドをやられたりもしますが、いわゆるクラブ・カルチャーじゃないフィールドのエレクトロニック・ミュージックみたいなものはどうですか? エレクトロニカ以降のポストロックもDJカルチャー的なものが一切ない人も、そっちに参入したりがあるじゃないですか。
城 : でも基本的にいまの多くのエレクトロニカと呼ばれてる人たちはクラブ・シーンとは別のところから派生してるじゃない。
西村 : それは情報からじゃないですかやっぱり。シーンの環境とかそういう流れよりは。
城 : どっちかっていうと、クラブ・カルチャーって相手がいるってことが前提だからすごいフィジカルな部分もあるし、いまの人たちというのは、コンピューターからとか機材からとか聴いた音楽とか、ロジカルにくるかなと思って。僕が良く聴いて「うわっ、ここあげないんだ!」とかって感覚すらないみたいな。別にあげようとしてないから結果的にあがったとか。そのあがる、あがんないとかってクラブシーンの考え方だし。そこで結構溝はあるのかなあとは思います。
光森 : ゴリゴリのクラブシーンから、今日の議題にあがってるタイプのエレクトロニカの方に行った人っていうほうが逆に誰がいるだろうと思うかもしれない。
(一同納得)
光森 : 僕はバンドで音楽をやってた流れで来たので。
城 : このEMAFのアーティストでいうと、それこそアルヴァ・ノトとかルシーンはそれぞれ全然畑が違うような気がするし、ヤン(富田)さんとかはそう意味ではすごい哲学的だったりする。まあ砂原さんも元電グルですし。それがこうして同じフィールドに出てくる時代っていうか。
ダイヤモンドの何カラット出すのかっていう……
ーーいまちょっと出たんで話しますが、EMAFの出演メンツで「いまこの人のライヴ観たい」みたいなのあったりします?
西村 : えっとまじめなこと言うと、ヤン富田さんは拝見したことがない上に、いろんな方からいろんな評判、とくにリキッドのワンマン観た友だちとかからすごくいい話を聞いてるので。でも、まぁ、ワンマンとは違うだろうけど、それゆえにこの並びでなにやるのか観たいと。
城 : 20年くらい前かな、昔、「実験音楽なのにメジャーでCDだしてる」みたいな人がいるって聞いて、ヤンさんが白衣着たジャケットの2枚組のCD(『ミュージック・フォー・アストロ・エイジ』)を買ったんだけど、「これメジャーで出てたのか」って驚きましたね。
西村 : トラウマ級の(笑)。
城 : すげえことになってんなみたいな。それを聴いて、じゃあ実験音楽のままで大丈夫なんだって。それで10年傷つくみたいな、そういう意味ではいまのヤンさんを今の自分で聴いてみたいっていうのはすごくある。
西村 : それはいい話ですね。
城 : あとはAOKI Takamasaさんやworld's end girlfriend、KASHIWA Daisukeさんとは、僕も含めいわゆる90年代の音響時代からやられていて、UPLINKとかでやってた人たちなんでそれもまたいまの時代で聞けるのは嬉しい。
西村 : μ-ZIqとworld's end girlfriendが同じステージで一緒にやる感じも、なんていうか、おもしろいね
城 : そこがちょうどヤンさんとルシーンの関係に似てるような気がする。
西村 : 多分、砂原さんもそうですよね。あと環ROY君と蓮沼君とユザーンさんの組み合わせとかはまったくの未知数でしょうね。それぞれは知ってるんですけど。
nik(PROGRESSIVE FOrMオーナー) : そう、2000~2005と毎年sonarバルセロナ行ってたんだけど、興味深かったのは特に昼の部のsonar by dayで、Múmの後にリチャード・ディヴァインがノイジーで破壊的なビートを鳴らしていたり、と思ったら横のスペースではクリスチャン・ヴォーゲルがアゲアゲでDJしたあとにティム・ヘッカーがドローンしてたり、当時はまだ無名の青木君(AOKI takamasa)がノリノリでライヴしてたり、クリスチャン・マークレーがパフォーマンスしてたり、全然ありというか、だからおもしろいし。
――ダンス・カルチャー的な人と、実験音楽とかが入り交じってると。
光森 : ダイアモンド・ヴァージョンはアゲアゲですもんね、結構。
西村 : あとは伊東さんがそこでどれだけ光るかっていうところですかね。ダイヤモンドの何カラット出すのかっていう……。
――それ、ずっと言おうと思った話でしょ?
(一同笑)
西村 : 即興だよ!
――紙面になったら恥ずかしいからってこれ消せとか言うでしょ(笑)。
光森 : それ絶対言う(笑)。
――光森さんが気になるのは?
光森 : んー、world's end girlfriend & Another Alchemyすごく気になる。どういうスタイルでやるのか。
ーーどちらかというと、知ってるアーティストの方がこの流れでどんな感じでやるとか気になる?
西村 : そういう楽しみもあるかもね。(EMAFのフライヤーを見ながら)でも、いまはたぶん大きい文字を読んでるだけだと思う(笑)。
城 : でも、直接、知ってる人たちとのほうが、まぁどうやってやるんだろうかそういうことそういう視点で見るけど、ヤンさんとかダイヤモンド・ヴァージョンとかは、ただ普通に観たい。
光森 : そういえば…… メインのラインナップなら、フゲン君の話がまだ出来てない!
西村 : フゲン君は… ドラムが太い! アオキさんは映像とか入れないんですか?
nik : 入れるよ。
城 : アオキさんの『RV8』は1日1回は聴いてる。すげー好き。スピーカーの鳴りチェックするのに1番良い。
西村 : あとは、やっぱ我らがユウキマツムラが出ますからね(笑)。まあ俺が唱えるにカレーにおける大きなじゃがいもみたいなキックを出す。
光森 : 大きなじゃがいもの話って有名な話っすよね。
西村 : マスタリングにおいてなにを重要視するかの話で、俺は「大きいジャガイモがごろっとあるようなマスタリングをしたい」っていう(笑)。
今回が成功して来年再来年と続けばみんなで遊べるからいいなあ
――3日は2階で光森さんの〈Moph〉仕切りですよね?
城 : 2階は結構ミツ君が決めてるの?
光森 : いや、武藤くんこと、うちのDJ muhに基本任せてます。
――4日の2階は〈Bunkai-Kei〉仕切りですね。
西村 : 2日目は直接知らない人多いな。
――わりと分解系は世代が違う感じですか?
西村 : まぁ、それは接点ですかね。タイミングじゃない? 名前はもちろん知ってるけど。
光森 : Katsuhiro Chibaさんとかはうちのセカンドのコンピとかに入ってたり。
――コンピに関してはどうですか?
西村 : マスタリングは誰がされたんですか?
nik : 実はね、町田良夫さん
西村 : 意外な。
城 : おそろしく良くなってる。
西村 : コンピのマスタリングはみんな世界観があるんで、結構バランスを取るのが難しいと思っていて。まあ当然なんですけどね。それでマスターの納品も含めたみんなの色がすごく出てたなあと思っていて。
城 : こんなに変わるマスタリングがあるんだなってくらい変わってた。音が。良い意味で。
ーーまったく全員スタイルからなにまで違いますからね。
城 : 本当、帯域広がったような気がした。ミツくんはアンリリースの曲なかったの?
光森 : なかったんですよね。タイミング的にタワレコのコンピに出したりで。
西村 : やっぱり、アンリリースドのままで止めとくことがないよね。アップデートさせてなにかしら自分のリリース曲にしてくから。
光森 : まあ完成したまま置いとくことはないね。
西村 : あんまないね。
城 : なんかしら出したいよね。
西村 : でも、このメンツを見てても思うわけよ。こんなにいろんな人が集まるのも珍しいしさ、外国からもアーティストを呼んで。たいていは、海外アーティストのサポートで出演させてもらうことが多いじゃん? だけど今回は迎える感じがするわけよ! そういう空気感が今回すごく印象深い感じがしてる。なんか急にちゃんとまとめようとしてるけど(笑)。みんなが来日勢を迎えてみんなでパーティーするって感じすごくあるから。エレクトロミュージックは括りがでかいからたまたまこの年はこのメンツだけど、ちゃんと今回が成功して来年再来年と続けばみんなで遊べるからいいなあと。
光森 : 今後くる海外のアーティストもそういうの楽しみにしてくれそうだよね。
西村 : もちろん招聘してそこを軸にしてやるパーティーも大事だし、それをサポートすることで得るものもすごくいっぱいあるし、どっちが良い悪いじゃなくて。なんかバランス的にいろんなやりかたがあるからすごく楽しみだなあと思ってるんですよ。まあ聖地リキッドなんでね!
光森 : いやー、うれしいなリキッド。
城 : これだけシーンが分散してるのに出れるのがうれしいなと思います。
ーーそんなにシーンとして流れがあるわけではないのにぎゅっとつまってて。
城 : 多分スタートはみんな本当に全然違うとこからスタートしているし、いまいるところも全然違うんだけど音楽っていう大きな枠で見たらひとつのステージにたてるところにたまたま行き着いたっていう感じが。それでもそのなかでも出れる可能性のある人は山ほどいるんだけど。そこで出れるのが嬉しいなあ。
光森 : そのぶん気合いは入るね。
西村 : 練習しないと(笑)。
城 : 僕もミツ君も同じステージでバンド・スタイルでやるとかも含めて、一緒に出る人を意識せざるおえないじゃん。まぁ、ステージに立っちゃえば自分はやれることをやるしかないけど、ステージに立つまでは他になにが出来るかとか考えちゃうから。普通だったら3つぐらいの対バンでこの人の次だからこういう感じにしようかなとか考えるけど、もはや考えられない。このラインナップの中だと。曲順とかやる曲も凄い悩んでる。
光森 : アレンジから悩んでますよ。今回も楽器編成ががらっと変わりますからね。
――ちなみに最後は、今後のリリース予定なんかを。
光森 : 直近だと12月ににうちが全押ししているアーティストのニュー・アルバムが出ます。
西村 : 3日に出るね。
光森 : 現状、基本的にこれ(EMAF)に照準を合わせてうちのレーベルは動いてるので。プログラムを組ませてもらってのもあるし、ある程度のショーケース的な感じになればなあと。
――インナーサイエンスはアルバム出すんですか?
西村 : アナログが出ますね。11月になっちゃうかな、10月末ってアナウンスしてたけど。んでアルバムは将来的に出るんじゃないですかね。
城 : 僕は出したばっかりなので、これが年内最後のライヴなので、これをやったらno.9オーケストラでのレコーディングに入ります。
西村 : ついに。
城 : 今年はがんばりましたよ。でもやっただけレベルアップした。
西村 : アルバム出してライヴやるってすごいな。
ーーやんなよ。
西村 : やってるよ(笑)。俺の場合ライヴは1人だからさ。
OTOTOYで配信中のEMAF TOKYO 2013の出演者の音源をチェック!
PROFILE
mergrim
兵庫県宝塚市出身。東京を中心に活動する音楽家、光森貴久によるソロ・プロジェクト。1998年よりバンドなどを経て2004年より現在のスタイルでのキャリアをスタート。2006年に有志と電子音楽のレーベル、moph recordsを設立。2008年、レーベル・メイトとのユニット、mophONEのファースト・アルバム『plug』を発売。mergrim名義では2011年1月にファースト・ソロ・アルバム『Invisible Landscape…』をリリース。YMOのカバー集『YMO REWAKE』に楽曲提供。同年11月にはmasato tsutsui, kazuyamatsumotoと共に3都市に及ぶ単独中国ツアーも成功させる。2012年4月、電子音楽最高峰のフェスの一つ、SónarSound Tokyo 2012に出演。6月には大阪、神戸、千葉の初国内ツアー、9月よりベルリン、ミュンヘン、ロッテルダムなどヨーロッパ・ツアーも成功に収めた。11月、Ametsub、agraph、miaou、cokiyu、DJ Sodeyamaなどによるリミックス盤と打楽器奏者Kazuya Matsumotoと行った様々な公演をマルチ・コンパイルしたLIVE盤との2枚組のアルバム『Intersect Landscape…』を発売。2013年1月、ベルリンのLebensFreude RecordsとのコラボレーションEPを1月にリリース。そして4月14日、電子音楽レーベルの名門PROGRESSIVE FOrMとmoph recordsの共同によりセカンド・フル・アルバム『Hyper Fleeting Vision』をリリース。いずれの活動も聴覚より五感へと紡ぎ、記憶に繋がる様に実験、実践を繰り返している。
no.9
「音と共に暮らす」をテーマに、日々の暮らしに寄り添う豊かでメロディアスな楽曲を生み出す作曲家・城隆之のソロ・プロジェクト。90年代初頭から音楽活動を開始し、97年にno.9名義でPCとアコースティックの融合による作品制作を開始。現在まで、絶大な反響を得た『Good morning』や『usual revolution and nine』など6枚のフル・アルバム作品をリリースするほか、様々なコンピレーションやリミックス作品に参加。また、数々の広告音楽や主要交通機関のマシン・サウンド・デザインを手がけ、一聴してno.9とわかる新鮮なサウンド・デザインと幅広い音楽性を併せ持つ作曲家でもある。2007年より始動したバンドセット[no.9 orchestra]では、no.9の音楽にギターやドラム、ヴァイオリンやピアノといったフィジカルな音楽性が加味され、フル・オーケストラを想起させる壮大なライヴ・パフォーマンスを披露。ライヴ会場を包む圧倒的な存在感で、多くのファンを魅了し続けている。
Inner Science
西村尚美によるソロ・ユニット。浸透するように透明できらびやかな音色とメロディー、そこに拮抗する振り幅の広いリズム隊を操り、エレクトロニック・ミュージックの範疇ではありつつも、その中のどのジャンルにも収まる意思を見せないカラフルでエモーショナルな世界観の楽曲を産み出す。それらの素材をリアルタイムにエディット&ダブ・ミックスするスタイルでのライヴと、自身の音楽観を派生 / 拡大解釈した様々なソースを大胆に紡ぐDJプレイには定評があり、いわゆるクラブ・ライヴハウスの現場だけに留まらず、メディア・アート系イベントから野外パーティーまで、昼夜を問わず様々な場面で様々なタイプのクラウドを唸らせている。2011年1月にアルバム『Elegant Confections』をOriginal ver.とAmbient ver.の二枚組仕様でリリース。最新リリースは12inch Analog『Silent Awaking e.p.』。