2013/9/11~9/17の注目の2作品をレビュー!!
今週もたくさんの新譜が入荷しました! 全部は聴いていられない! そんなあなたのために、このコーナーでは、OTOTOY編集部がオススメする今週の推薦盤を2~3枚ピックアップし、ライターによるレビューとともにご紹介いたします。 音源を試聴しながらレビューを読んで、ゆったりとした時間をおたのしみください。あなたとすてきな音楽の出会いがありますよう。
FACTORY FLOOR『Factory Floor』
FACTORY FLOOR / Factory Floor
【配信形式】
mp3、WAV
【価格】
mp3、WAVともに 単曲 250円 / まとめ購入 1,500円
満を持してのアルバム・リリース。イギリスの3人組、ファクトリー・フロアのファース ト・アルバムは、NYにてカッティング・エッジなダンス~ ロックを結びつけ続ける 〈DFA〉から(もう10年以上、あのスタンスってのはやっぱりすごい)。アルバム・リ リース以前から、すでにフジロック をはじめさまざまなフェスに出演し、シングルやミ ニ・アルバム的な作品をリリースしてきたので、すでに人気は着実なものと言えるだろ う。その全体 像は、すっきりとミニマル、エレクトロニックでダンサブル、そして ニューウェイヴ。ここ数年の、この手のインディ・ロックの流れでもあるインダス トリ アルな冷たい響きと、ロウ・ハウス――80年代末期あたりの、オールドスクールなドラムマ シンがキラリと光る、初期ハウスを体現したようなク ラシカルで脱ディープ・ミニマル /クリック的な音質なハウス――に真っ正面から取り組み、余裕綽々で、クールなスタイル で展開した作品と言えるだ ろう。きっちりとアルバムのカラーは統一されていて、これ までの作品にちらほら顔を出していた、フリーキーでロック的な爆発は後退したように も。 といっても、モロにDJプロパーなダンス・ミュージックでもない。そのドタドタと したリズム感は、どこかガレージ・パンクをドラムマシンで再現し てしまったかのよう で、なんとなくロウ・ハウスや初期シカゴ・ハウスですっきりと強化させてしまったスー サイドとかちろりちろりと浮かんでしまう ところでニヤリとさせる作品。リミックスに リチャード・H・カークなんて粋な人選もええですね。(text by 河村祐介)
sub-tle.『leam』
sub-tle. / leam
【配信形式】
mp3
【価格】
mp3 単曲 150円 / まとめ購入 1,500円
2008年に他界した、ハンマービートの生みの親であり、偉大なるクラウト・ロックのオリジネイターのひとり、クラウス・ディンガー(ノイ!、ラ・デュッセルドルフなど)の、生前最後のメイン・プロジェクトとなったjapandorf。そのプロジェクト名からして、この作品において重要な役割を果たしたベルリン在住のオカモトサトシのソロ・プロジェクト、サヴトレ(sub- tle.)の最新アルバム。5年ぶりのセカンドだ。本作のプロデュースは、ジャーマン・エレクトロニカ・シーンの重鎮、マウス・オン・マーズのアンディ・トーマが担当。また、オカモトの日独の交友から、ご存知、二階堂和美、そしてエレクトロニカの名門、Raster-Notonなどからもリリースする日本人女性アーティスト、Kyokaも参加している。ライヒじみたミニマル・ミュージックから、無邪気なドラムの戯れ、ポストロック的なダウンテンポ、フォークトロニカ、ディープなアンビエント・テクノなどなど、その表現方法は多彩だがアルバムは1作のストーリーのように、しっかりとした世界観で統一されている。その世界観とは、メルヘンチックでいて、どこかに怪異が潜んでいそうな幽玄なもの。耳から脳に直接作用する、サイケデリックな絵本、まさにそういった感覚の作品だ。(text by 河村祐介)