OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.92
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
チルでアンビエントなオウテカ
今年2枚のアルバムを続けざまにリリースしたエレクトロニック・ミュージック、孤高の前衛、オウテカ。オウテカと言えば四方八方に跳ね回る奇っ怪なエレクトロ・ファンク・ビートがまずは浮かびますが、アンビエント・テクノなすばらしい作品も多く発表しています。そもそも出身は〈ワープ〉のリスニング・テクノ専科〈アーティフィシャル・インテリジェンス〉シリーズですから、それはもうというか。最新作『SIGN』『PLUS』でもそうしたエモーショナルなアンビエント・テクノな一面をひさびさに見せているとも言えるでしょう。またアンビエントと言えば、ライヴ・シリーズ『NTS Sessions』の第四集はわりとそうした傾向のものですな。ということで今回はそんなアンビエントなオウテカから10曲を。こうしたサウンドにピンときたら、初期の2作品『Incunabula』『Amber』もオススメです。デトロイト・テクノ、さらにはエイフェックス・ツインなど同世代のブリティッシュ・テクノの影響を受けつつ、さらに当時盛り上がりを見せていたアンビエント・テクノの波からそっと離れるように独自のグリッジなビートを作り出していく過程といった作品。そこでは、その後のエレクトロニカのさまざまな可能性の種をそこかしこに聴くことができます。昨今、アンビエントと言えばニューエイジ・リヴァイヴァル的なユーフォリックな雰囲気のモノも多いですが、そうした感覚から距離を取った、先鋭的なサウンドのエッジを保ちながらもどこかチルな雰囲気もある、そんなサウンドも聴きどころではないでしょうか。