OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.261
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
長ければ長いほどいいですからね
この間ふとした会話のなかで「イントロとかアウトロが長い曲好きです」って言ったら驚かれて、結構悲しかった。びっくりさせるつもりなんて全くなくて、「長いイントロで気持ちがじわじわ高まっていく感覚って楽しいですよね」「うんうん」「そうなんだね」みたいな会話をするつもりが、「珍しいね」で簡単に終わってしまった。
最近の国内のギター・ロックはサビからはじまったり、すぐにヴォーカルが入っていたり、イントロは長くても15秒くらいが主流で、そういう曲が求められているのだろうし、現にちゃんと流行っていますよね。トレンドを意識することって簡単そうに見えてすごく難しいし、“バズる” って本当にすごいことだと思います。言うまでもなく、やっぱりヒット曲を出すって世の中にとって必要なことなんですよね。
でも、でも。ライヴで長いイントロ中にわっと盛り上がっているフロアもいっぱい観てきたし、ギター・ソロ中に手をギュッてしてる若者だっていた。アウトロがいちばん気持ちのいい瞬間だったこともたくさんあった。「わかりやすい曲だけが正義ではない」と考えている人は、私たちが想像しているよりもたくさんいるんじゃないかなとライヴハウスに行くと思うんです。アルバムに入っている、バンドが好き勝手やったんだろうなって伝わってくる曲は決まって好きになったりするじゃないですか。
こんな長い前置きをしておいてなにが言いたいかって、イントロやアウトロが長い新曲も聴きたいよってことだけです。プレイリスト冒頭のKANA-BOONの “さくらのうた” (2013年) は、イントロとアウトロがそれぞれ40秒くらいあって、イントロに関してはここでヴォーカルくるでしょってもどかしいタイミングが2箇所くらいあるんですね。なのにこの曲でいちばん好きなところはイントロとアウトロだって何回聴いても思うんです。色々な理由があると思いますが、イントロ長い!気持ちいい!みたいな曲も惜しみなくリリースできる世の中になってほしいという、稚拙な呟きでした。