初作にして傑作か?──5年のキャリアの集大成、ファースト・アルバムをリリースしたNewdums

初作にして傑作の登場か。Newdumsのファースト・フル・アルバム『N.N.N.』は、彼らのこれからの音楽人生のなかで、今後も矜持となり続ける作品ではないだろうか。結成から5年の歳月を経て作り出された今作は、丹埜由一郎(Dr)がはじめてメイン・ヴォーカルを務めた"Mist"や、そのギター・ソロに秘密がある"Behind the door"など、さまざまなフックが垣間見れる刺激的な作品に。彼らと言えば、無料配布したデモ音源2000枚がたった2週間で配布終了となり、さらには過去作品が店舗欠品するなどなど、すでに多くの早耳リスナーの心を掴んで、新作のリリースが待望されていたそんなバンドでもある。初の全国流通版となる今作で、さらに多くの人へ彼らの音と信念が届くことを切に願う。
INTERVIEW : Newdums
軽快なサウンドにのる英語詞はスルっと耳になじんで、その頭のなかにさまざまなイメージを広げていく。彼らの音源を聴いたとき、強くそれが魅力的な響きを携えて印象として残っている。そんな彼らの良さが示された、生き生きとした新作を聴いていると、自然とNewdumsのことをもっと知りたいと思った。が、調べてみるとまだあまりプロフィールが明かされていない。そこで今回、待望の新作にくわえ、謎多き彼ら自身にも迫ったインタヴューを実施。ルーツをきいてみると、ビートルズ、ザ・ストロークス、T・レックス...数々のアーティストの名が語られた。
インタヴュー・文: 梶野有希
写真:Haruka Teramoto、Hiroaki Saito
吸収したものを自然に出すスタイル
──出身は神戸とのことですが、いまのお住まいも?
丹埜 由一郎(Dr/Vo) : 神戸です。メンバーによって出身や住んでいるエリアは変わるんですけど、集まって練習する場所も神戸ですね。
林 幸次郎(Gt) : ただ、ライヴは神戸を中心というわけではなく、割合的には、大阪4、東京4、他2ぐらいな感じです。
──バンド結成の経緯を教えてください。
伊井 祥悟(Vo/Gt) : 平間と伊井と丹埜は、大学の部活が同じだったんですよ。
丹埜 : まんじろう(平間のニックネーム)と伊井が先にバンドをしていて、僕は途中から入ったんです。当時ふたりが加入していたバンドをスタジオへ観に行ったら、ルー・リードの曲をカヴァーしていて、「渋いな」と思って。楽しそうだなと思ったのと、僕はそのときから自分の作った曲をやれる場所がほしかったので、加入を申し出ました。それからメンバーの変動はありながら、いまに至ります。
──林さんはどのタイミングで加入されたんですか?
林 : 僕は、w.o.d.をやってるサイトウタクヤと一緒に、Hoursというバンドを組んでた時期があって。そしたらw.o.d.が東京に行くことになって、同時期にNewdumsのギターが抜けるという話を聞いて、それならNewdumsで弾きたいなと。元々かっこいいバンドやなと思ってたんで。タイミングがちょうどよかったんですよね。
丹埜 : よく対バンしていたんですよ。音とか弾いている姿もかっこいいし、いいギター弾いていたので前から気になっていて。当時の林は、全身で弾いている感じでした。
林 : その時は、白目むいて演奏したりしてました。ギターリストっぽいパフォーマンスを意識していたわけではないんですけど、そういうのが楽しかったというか、 激しめでやっていました。

──先ほど、丹埜さんからルー・リードの名前が出ましたけど、ルーツはどんな音楽ですか?
丹埜 : 時代やジャンルを問わず、気に入ったものならなんでも取り入れたいと思っているのですが、バンドサウンドの方がNewdumsで表現するうえでポイントになることが多い気がしますね。吸収したものを自然に出すスタイルが自分たちのポテンシャルに合っているんだと思います。
林 : あとは、ザ・ストロークス、ディアハンター、T・レックスとか。他にもたくさんいます。
丹埜 : まんじろうは、よくヒップホップ聴いてるよな。
平間 誠太 (Ba) : うん。ヤング・サグとかいまのトラップも好き。
林 : 聴き方的に、年代で聴くとか、昔の洋楽だから聴くというより、いろんな音楽を聴いてアウトプットとして出てくるのがいまの形なんだと思います。
──サウンドの面で、ロールモデル的なアーティストはいますか?
林 : 僕が憧れているギタリストは、ジュリアン・レイジです。僕がやっていることとは全然違うんですけど、表現の部分では、世界最高峰だと思います。
丹埜 : 僕は坂本慎太郎みたいになりたいなと思うときはあります。すごい好きで。世界観というか、坂本慎太郎みたいになったらどんな風に世界が見えるんだろうって思いますね。