2022/05/06 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.167

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


音楽からあのキャラクターを

「笑顔の裏も笑顔でいてくれよ」(秋山黄色「うつつ」) 。この歌詞からなにを想像しますか?

私が真っ先に思い浮かべたのは、『鬼滅の刃』の登場キャラクター、「胡蝶しのぶ」ちゃんでした。複雑な思いを抱えながらも、人前では亡き姉の想いを継ごうと笑顔を絶対に絶やさない、しのぶちゃん。彼女の笑顔をみるたびに、その裏側の姿を想像しながら読んでいた自分にとって、これ以上ない言葉だと思いました。

このように日々音楽を聴いているなかで、「この曲、あのアニメ・漫画の〇〇(登場人物)のことみたいだな」と勝手ながら思うことがあります。もちろん、あくまで個人的な解釈にすぎません。ですが、自分主体で聴く場合と、自分以外の立場から曲を聴くのでは、聴こえ方がだいぶ変わります。そのキャラクターの心情を想像しながら、今回のプレイリスト収録曲を聴いてもらうと、またひとつ新鮮な感覚になれるかと思います。

さて、今回のプレイリストの曲から連想したアニメ・漫画作品のキャラクターはこんな感じ。

スキマスイッチ「ボクノート」→ 『四月は君の嘘』有馬公正
majiko「エミリーと15の約束」→『おおかみこどもの雨と雪』花
PENGUIN RESEARCH「敗北の少年」 → 『鬼滅の刃』我妻善逸
キタニタツヤ「聖者の行進」 → 『チェンソーマン』早川アキ
SUPER BEAVER「予感」 → 『SHIROBAKO』宮森あおい
RADWIMPS 「リユニオン」 → 『宇宙よりも遠い場所』
HoneyWorks「可愛くなりたい」 → 『五等分の花嫁』中野二乃
AliA 「かくれんぼ」 → 『ブルーピリオド』矢口八虎
majiko「世界一幸せなひとりぼっち」 → 『進撃の巨人』ミカサ

共感してもらえるでしょうか。すでに別の作品の主題歌になっている曲もいくつかありますが、上記の作品にもマッチしていると個人的に感じたので、リストインさせてもらいました。なかでも、PENGUIN RESEARCH「敗北の少年」(セルフカバー版) と、キタニタツヤ「聖者の行進」 は、それぞれのキャラクターの心情や生い立ちにリンクする箇所が特に多いかと。

『宇宙(そら)よりも遠い場所』(以下、『よりもい』)は、親子の関係、夢、羨望など、色々なテーマが描かれているアニメ作品。なかでも最も印象的だった部分は、不器用ながらにゆっくりと紡がれていく友情でした。『よりもい』の中心となるのは4人の女子高生ですが、その彼女たちは「友達」がどういう存在か最初はわかっていません。ですが、共通の目標を持つことで、眩しい関係を自分たちのペースで築いていくようになるんです。そんな凸凹な4人の心情にすごく近い歌詞だと思ったのが、「友達の意味なんか 俺は知らないけど もしもこれがそうじゃないなら いらないや もう知らないや」(RADWIMPS「リユニオン」)。 あえてどんな存在かは明言しないけど、話が進むにつれ、お互いを大切に思っていることは伝わってくるんです。その関係性がまるでこの歌詞みたいだったので、上記の一覧に人物名はあえて記載していません。

(ここから『進撃の巨人』のネタバレを若干含みます。)

先月『進撃の巨人』を最後までみたのですが、すっかり魅了されてしまいまして。何かにハマるとそのことで頭がいっぱいになるタイプの私は、高層ビルをみては「何m級かな」とか、湯気をみては「傷口が回復している」とかそんなことばっかり考えてしまうわけです。その進撃脳モードのときに、majiko「世界一幸せなひとりぼっち」を何気なく聴いてみたんですよね。そうしたらもう、本当にミカサとエレンの関係性を歌っているようで。「ただ、そばにいたくて 僕ら、世界一孤独なふたりぼっちだったね」なんて、もう...。本当に素晴らしい作品です。

このままの勢いで1曲ずつ解説したいのですが、とっっっても長くなってしまいそうなので...。好きなものの話って、ついつい喋りすぎちゃいますよね。それでは、ここらへんで!

この記事の筆者
梶野 有希

1998年生まれ。誕生日は徳川家康と一緒です。カルチャーメディア『DIGLE MAGAZINE』でライター・編集を担当し、2021年1月よりOTOTOYに入社しました。インディーからメジャーまで邦ロックばかり聴いています。

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