「平凡」ってなんだろう──ドレスコーズ、通算5枚目となるアルバムをリリース

ドレスコーズが通算5枚目となるアルバム『平凡』リリースした。今作は、リリースにあたって設立された特設サイトにて全楽曲タイトルと全歌詞を公開、志磨がトレードマークの長髪をばっさりカットしたアーティスト写真が公開されるなど、リリース前から大きな話題を呼んでいた。そんな話題の作品にレビューをつけてお届けします。
待望の、通算5枚目のフル・アルバム
ドレスコーズ / 平凡【Digital ALBUM】
【配信形態】
AAC / mp3
【配信価格】
単曲 257円(税込) / アルバム 1,500円(税込)
【収録曲】
1. common式
2. 平凡アンチ
3. マイノリティーの神様
4. 人民ダンス
5. towaie
6. ストレンジャー
7. エゴサーチ&デストロイ
8. 規律/訓練
9. 静物
10. 20世紀(さよならフリーダム)
11. アートvsデザイン
12. 無音
13. 人間ビデオ
ドレスコーズ/エゴサーチ・アンド・デストロイドレスコーズ/エゴサーチ・アンド・デストロイ
この『平凡』というアルバム・タイトルを聞いた時に、「平凡とはなんだろう」と考えてみた。〈へいぼん【平凡】名・形動]これといったすぐれた特色もなく、ごくあたりまえなこと。また、そのさま。〉 現代にはこういうとりわけ好きなこともなく、なんとなく周りに流されているいわゆる’’普通’’の人 が多くいるのではないか。自分を含めて。何かにおいてすぐれるということは、並大抵の努力ではできることではないと思う。ただ現代においては、あまりその努力をしている若者も多くはないと感じる。
なぜ志磨遼平はいま、『平凡』というタイトルのアルバムをリリースしたのだろうか。 アルバムを聴いてみると、1曲目「common式」では在日ファンクホーンズ(tb・ジェントル久保田、Tp・村上 基、Sax・後関好宏)が奏でる軽快なリズムに乗せて〈平々凡々こそ我らの理想〉〈恋をしたのなら もう立派な common〉といった平凡を肯定するような歌詞が並ぶ。ただ、志磨遼平の平凡でない独特な歌声に乗せて聴くと、それらに対する皮肉を感じる。「マイノリティーの神様」では〈ありふれた人になるよ ぼくらは それは自然で とても悲しい人〉という歌詞に耳が引き寄せられる。「エゴサーチ&デストロイ」でも彼の平凡に対する姿勢は変わらず、〈そこに咲くぼくは おなじみの花〉と歌う彼の歌声からは、どこからか悲しみの感情を汲み取ることができた。
アルバム全体を通して、直接的ではないが、「平凡」であることに対して否定的な言葉をとても多く感じた。平凡なノーマル人間がたくさんいる現代において、異色で非凡なものが必要なのだ。だからこそ、志磨遼平はいま、この作品をリリースし、その必要性を説いたのだと思う。今回のアルバムを聴いて、僕は、平凡にはなりたくないなと思ったし、普通の人から抜け出すための努力もしていこうという気になった。『平凡』と名付けられたそのアルバムにはそのような力があった。(text by 鈴木雄希)
OTOTOYでは本作参加アーティストの音源も配信中!
作詞作曲、録音、ミックス、ジャケット、PV撮影編集など、マスタリングを除く全ての制作作業を向井秀徳がマツリスタジオにて行い、 70年代より数々の名作を手がけたUKの巨匠エンジニア、Kevin Metcalfe(The soundmasters)が、マスタリングおよびアナログ・カッティングを担当したZAZEN BOYSのフル・アルバム。
skillkills / DOPE THIS WAY(24bit/96kHz)
黒い突然変異体、skillkills初となるE.P。 アニメ「ニンジャスレイヤーフィロムアニメイション」のED楽曲として 話題となった「Neo Cyber Madness」を含む全4曲を収録。
在日ファンク / レインボー
在日ファンク、メジャー2ndアルバム。とにかく明るい、ポジティブ全開の快作!
LIVE SCHEDULE
〈the dresscodes 2017“meme”TOUR〉
2017年3月17日(金)@新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
2017年3月18日(土)@宮城SENDAI CLUB JUNK BOX
2017年3月20日(月祝)@札幌PENNY LANE24
2017年3月25日(土)@広島Cave Be
2017年3月26日(日)@福岡BEAT STATION
2017年4月1日(土)@名古屋CLUB QUATTRO
2017年4月2日(日)@大阪BIG CAT
2017年4月9日(日)@新木場studio COAST
PROFILE
毛皮のマリーズのヴォーカルとして2011年まで活動、翌2012年1月1日にドレスコーズ結成。シングル『Trash』(映画「苦役列車」主題歌)でデビュー。12月に1stアルバム『the dresscodes』、2013年、2ndシングル『トートロジー』(フジテレビ系アニメ「トリコ」エンディング主題歌)、2ndアルバム『バンド・デシネ』を発表。2014年、キングレコード(EVIL LINE RECORDS)へ移籍。1st E.P.『Hippies E.P.』をもって志磨遼平のソロ・プロジェクトとなる。現体制になって初のアルバム『1』を発表。その後、LIVE・作品毎にメンバーが変わるという稀有な存在となり、多数のゲスト・プレイヤーを迎えて4thアルバム『オーディション』を発表。2016年に俳優業開始。WOWOW 連続ドラマW「グーグーだって猫である2 -good good the fortune cat-」、映画「溺れるナイフ」に出演。フル3DCGアニメ映画「GANTZ:O」主題歌シングル「人間ビデオ」を発表。シングルには自身も俳優として参加した映画「溺れるナイフ」の主題歌である新録バージョンの「コミック・ジェネレイション」も収録。2017年3月1日、5th アルバム「平凡」を発表する。