2022/12/24 20:00

戦慄かなの、クリスマス・イヴの渋谷で舞い踊る!──〈戦慄かなのゲリラライヴ〉st SHIBUYA109

戦慄かなのが、2022年12月24日にSHIBUYA109前のイベントスペースにて、ゲリラライヴを開催。クリスマス・イヴの渋谷にて、完全シークレットで行われたこちらのイベント。OTOTOYでは、その模様を独自のレポートでお届けします。

戦慄かなの、「Distance」配信中!

REPORT :〈戦慄かなのゲリラライヴ〉st SHIBUYA109

取材&文 : 西田健
撮影 : 宇佐美亮

2022年12月24日、クリスマス・イヴ。大寒波が日本中を覆ったのこの日。戦慄かなのが、SHIBUYA109前のイベントスペースにて、ゲリラライヴを開催した。

今回のイベントはシークレットでの開催ではあるのだが、会場となるSHIBUYA109のステージ前には、8Fで開催中の戦慄かなののPOPUP SHOPのグッズを持った女性ファンの姿も見える。真昼間の渋谷のど真ん中で「いったい何が行われるのだろうか?」と期待を寄せる人々がその様子を伺っていた。

正午12時を少し過ぎ、ステージには妖艶な2人のダンサーを引き連れた戦慄かなのが現れた。白い衣装の上に羽織った淡い水色の上着、そして美しいピンク色の髪が、通りすぎる人々の目を引く。ライヴは、水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミがサウンドを手がけたナンバー“Baby UFO”でスタート。ファンシーなサウンドに「あなたを迎えに遠くの星から来ました」とキュートなヴォーカルを乗せ、目の前のファンだけではなく、道行く人々へも歌声を運ぶ。ブレイクのパートでのダンサーたちとの息のあったダンス・パフォーマンスも見事で、渋谷の街が熱くなっていく。小さなステージの周りには、彼女の世界観に浸ろうとする人々がじわじわと集まっていた。

1曲目を歌い終えると、すぐさまMCへ。かなりの寒さのなか緊張していた様子はあったものの、「メリークリスマース！」と来てくれた観客への、とびきりの笑顔でのファンサービスも欠かさない。そのチャーミングな表情が、彼女が多くのファンを惹きつける魅力のひとつなのだと思う。

しかし、2曲目、“distance”に入ると、その表情はガラリと変わり、一気にクールなスイッチを入れて、観客を巻き込む。これまでとは全く違う、そのギャップにとにかく驚かされた。丁寧かつ上品な雰囲気を醸し出し、時折大人の余裕を見せつけるように、彼女のファビュラスな世界観を展開していく。

戦慄かなのは、パーソナルな部分に注目が集まることが多いが、そのアーティストとしての活動は、かなり先鋭的かつユニークなことをしている人物である。セルフプロデュースで生み出される楽曲には、欧米やK-POPなどの海外のポップスや、耳馴染みの良いJ-POPのメロディーなど様々な影響を感じられるが、そのどれもが単なる模倣に留まらない絶妙なセンスで混ざり合っている。それこそが唯一無二の“戦慄かなのワールド”であり、彼女のアーティストとしての魅力である。それは今回披露された2曲だけでも十分に伝わってくる。

来年2023年1月13日に配信で先行リリースされるファースト・フル・アルバム「Solitary」ではどのようなクリエイティヴの引き出しを開けてくるのか。そして、1月14日にZepp DiverCity で行われるソロ・ライブではどのような姿を見せてくれるのか。彼女のパフォーマンスを見ていると、そんな期待をしてしまうのだ。

見るものにしっかりとしたインパクトを与えた戦慄かなのはステージを後にする。今回のライヴは、ファンにとっても大きなクリスマスプレゼントとなったに違いない。来年2023年は、間違いなく戦慄かなのの時代がやってくる。短い間ではあったが、それを予感させるようなライヴであった。