ZETA DIVISION所属ストリーマー・ファン太が語る、音楽への愛──「ゲーム実況」から「メジャーデビュー」までの軌跡
ストリーマーとしてゲーム配信などを中心に活動するアーティスト、ファン太。ZETA DIVISION所属に所属し、声真似やストグラでの活躍、ラジオ番組でのトーク力から、今後もゲーム配信やエンタメ業界での活躍が期待される人物である。そんな彼が、今度はavex内のレーベル「J STAR RECORD」の主宰として、本格的に音楽活動を始動する。今回OTOTOYでは、ファン太にインタビューを実施。そのユニークすぎる活動の軌跡や、そして歌への情熱を語ってもらった。
ファン太も参加したコンピレーション・アルバム『vol.ZERO』
鈴木雅之の楽曲「憧れのスレンダーガール」をカバー
https://JSR.lnk.to/slendergirl
INTERVIEW : ファン太
ニコニコ生放送時代から配信活動を続け、現在はTwitchを中心に多数のファンから支持を集めるストリーマー、ファン太が、音楽レーベルを立ち上げ、avexからメジャーデビューを果たす。SNSを駆使し、ニッチな笑いと歌心でファンを獲得してきた彼は、いかにして夢を叶えていったのか?枠に収まらないその活動の裏側にあったのは、地道な挑戦と、何より“人を笑顔にしたい”という思いだった。
インタビュー・文:ニシダケン
撮影 : 宇佐美亮
実はもともとは歌をやりたくて配信を始めたんです
──まずは簡単に、ファン太さんのこれまでの活動歴について伺えればと思います。
ファン太: 最初に配信を始めたのは2011年くらいで、ニコニコ動画で生放送をしていました。Twitchに来たのは……7~8年前くらいですかね。配信の最初の頃は全然違う内容で、「人にSkypeで電話をかける」っていうスタイルの配信をしていました。声真似したり、ネタを披露したり。そういうのをやってましたね。
──そこからゲーム実況の配信にシフトしていったのはどういう流れなんですか。
ファン太: そうですね。就職を機にそういう電話系の配信はしなくなっていったんです。それでゲームばっかりやるようになって。でも配信自体はニコニコ動画で続けていて、友達と一緒にやってました。そこから「PUBG」っていうゲームのビッグタイトルが出てきた頃、今の配信界の重鎮のひとり、SHAKAさんという方と野良でマッチングするのを狙ってゲームをしてたんです。その中で声真似を披露していたら、少しウケて。そのときにYouTubeのアカウントを作ってたんですけど、1ヶ月くらいで登録者が7000~8000人くらい増えましたね。
──そこから本格的に配信活動を?
ファン太: はい。YouTubeと並行してTwitchでもたまに配信するようになって。ただ、最初はなかなか人も増えなくて。そんな時に、「vaultroom」っていうゲーミングコミュニティが主催する『Rust(ラスト)』(サバイバルクラフトゲーム)のイベントがあったんです。
──そのイベントが転機に?
ファン太: そうです。そこは大手配信者が集まるサーバーだったんですけど、「自分、おもしろいことやるんで入れてください」って直談判して参加させてもらって。ネタをやったり、鈴木雅之さんの声真似しながら歌ったりしていました。そのとき、いまのavexの担当の方に見つけていただいたりもしましたね。まだ全然有名ではなかったですけど、拾ってもらえてありがたかったです。
──それが音楽活動への接点に?
ファン太: そうですね。avexの方から「一緒にやりませんか?」と声をかけてもらって。当時所属していた事務所を辞めるタイミングだったので、そのままの流れでZETA DIVISIONに所属しました。
──ちなみに配信活動が一気に伸びたタイミングっていつ頃ですか?
ファン太: 『RUST』のイベントのあと、『GTA(グランド・セフト・オート)』で同じようなイベントがあって。1〜2週間の短期イベントだったんですけど、そこがすごい転機でしたね。下ネタを含んだ面白いやり取りがSNSでもウケて、イベントが終わった後に別のサーバーにも入ったんですが、ちょうどGTAロスで「もっと見たい」って人が多くて。それがきっかけで、一気に視聴者が増えました。
──具体的にどれくらい増えたんですか?
ファン太: 当時、リアルタイム視聴が2000~3000人だったのが、1万~2万人に増えて。コメントの量も全然違いました。桁がひとつ違うってこういうことなんだなって。
──ちなみに声真似はいつから取り入れたんですか?
ファン太: 実はもともとは歌をやりたくて配信を始めたんです。でも、「これ、売れるの難しいな」と思って、特技で勝負しようと考えました。当時やっていたのがタラちゃんの声真似で、これは初期の頃やっていたSkype配信の中で使ってたんですよ。タラちゃんから始まって、マスオさん、ベジータ、セルとかドラゴンボール系もやって。だんだん増えていきました。
──練習もされるんですか?
ファン太:練習はあんまりしないですね。「出せそうだな」と思ったら自然と出せるタイプなので。
──すごい! 昔から声真似は得意だったんですか?
ファン太: 学生の頃からタラちゃんだけはずっとやってましたね。部活が柔道部だったんですが、やると先輩が笑ってくれて。他の部活まで連れて行かれて披露してました(笑)。
──最初は歌をやりたかったという話が冒頭にありましたが、どういう経緯でやっていたんですか?
ファン太: 単純に「歌ってみた」をやりたかったんです。SNSで歌ってる人にDMを送って、実際に会いに行って、歌のコツを聞いたりしてました。「自分もやってみよう」と思って始めたんですけど、思ったより難しくて。
──それで声真似にシフトしたと。
ファン太: はい。まずは人に見てもらわないと聴いてもらえないなと思って。注目されてから歌を聴いてもらう方が、可能性があるなって考え方に変わりました。
──「歌ってみた」をやりはじめたときはどんな曲を歌ってたんですか?
ファン太: 2011年頃で、ボーカロイド曲が多かったですね。流行りの歌より、自分が好きな曲を選んで練習していました。
──いまはこうやってアーティスト活動もされていますが、振り返ると、夢が叶ったと感じることはありますか?
ファン太: そうですね。当時は「人間性で売れて、歌が伸びる」っていう流れがあって、僕の周りには歌がうまい人がたくさんいたけど、なかなか報われない現実もありました。だから「そういう人を売れるようにする仕事がしたい」と思ってたんです。それで音楽業界を目指して就活もしていたんです。
──音楽業界に就職しようとしていたんですか?
ファン太: そうですね。就活でビデオ面接もやりました。でも、機材や編集ソフトが必要で、それを揃えるのが難しかったんですよね。結局諦めちゃいました。