遊び方を思い出せよbaby!!──The Grateful a MogAAAzがマスクの奥に秘めた情熱

めろん畑a go goを擁するレーベルGollipop Recordから新たなマスクド・アイドル・グループが現れた! その名はThe Grateful a MogAAAz。今回リリースされたシングルに収録されているのは1980年初期に活動していたバンド「SAMURAI」の楽曲"ジャンキー”のカバー、姉妹ユニットめろん畑a go goから受け継いだ楽曲”IDOL FROM ANOTHER PLANET" 、そしてハードボイルドな世界観を表現した”もっと燃えて生きたいもんだぜ”の3曲。とびきりロックなハートを持った彼女たちは、この3曲にどんな想いを込めたのか、インタヴューで迫りました。
とびきりロックな最新シングル『ジャンキー〜僕は依存症〜』
INTERVIEW : The Grateful a MogAAAz

めろん畑a go goの姉妹グループとして誕生したThe Grateful a MogAAAz。ユーモラスでファンキーなルックスと佇まいを持ちながらも、楽曲のなかでは直球なロック・ナンバーを歌っている彼女たち。取材中はとにかく賑やかなメンバー全員だったが、彼女たちの言葉からは実に真っ直ぐな情熱を感じとることができた。まだまだ底が知れないパワーが隠されていそうだ。このチーム、次はどんな世界を僕たちに観せてくれるのだろうか。
インタヴュー&文 : 西田 健
写真 : 宇佐美 亮
名波がいたから、いまの衣装に袖を通している
──The Grateful a MogAAAz(以下、モガーズ)は昨年めろん畑a go go(以下、めろん)の姉妹ユニットとして、デビューしたんですよね。
知世千世 : 活動していくうちに、モガーズとしての色がだんだん出てきましたね。めろんよりストレートなロック感が強く出ているグループかなと思います。
──たしかににめろんの曲とテイストが違いますよね。
やわらぎめんま : めろんのニューウェーヴな部分を抜き取った感じですね。シンセサイザーの音も強いです。
──知世さんとあみのさんは、めろんのメンバーとしても活動されていますが、活動するときの違いはありますか?
あみのころみ : 最初は意識していなかったんですけど、観られ方が違いますね。
知世千世 : 私は、めろんではポジションが違うんですけど、モガーズだとリーダーなんです。リーダーとして引っ張っていくというより、むしろみんな自由にしてくれっていう気持ちの方が強いんですけど(笑)。
やわらぎめんま : 母だよね。放任主義のお母さんみたいな感じです。
前回のめろん畑a go goのインタヴュー記事はこちら

知世千世 : 個人的にはそんなつもりはまったくないんですけど、周りが結構言ってきますね(笑)。
──一緒のイベントにめろんとモガーズで両方出るとき、スイッチの切り替えはありますか?
知世千世 : モガーズは訴えかける曲とかメッセージ性の強い曲が多い気がするから、それに合わせて、自分もそっちの方向にグッと持っていくっていうのが差かもしれないですね。基本的にどうあがいても自分だから、地続きとしてはあるんだけど、実際にお客さん的に見せるときの表現の違いはあるかもしれない。
あみのころみ : 楽曲のテイストがまず違うので、この曲はこう見せようみたいなことを意識しなくても変わりますね。私、めろんでは結構はっちゃけるというか、なんでも開放する感じなんですけど、モガーズはかっこよく見せたくて。めろんでの自分の方が素の自分と近いんですけど、モガーズではモガーズとしての自分を演じてるかもしれません。「アーティストとしての自分になる」というか。そういうこと言ったらかっこつけすぎだけど(笑)。

──なるほど。次は他のメンバーに加入の経緯を訊いていきます。名波さんは、もともとめろんの運営スタッフだったんですよね。
名波みやび : そうです。Twitterでめろんのスタッフ募集を見つけて応募しました。それまでは、普通にいろんなアイドルが好きなオタクで、もちろんめろんのライヴもなんども観ていました。それから「めろんのサポート・メンバーをやりたいです」と言ってステージに立たせていただいて。そのあとぐらいにモガーズが始動することになったんです。めろんの“NIGHTMARE BEFORE VAMPIRE”っていう曲が出た当日にお披露目ライヴがあったんですけど、5人目っぽい感じで衣装も作っていただいて。その衣装はいまのメンバーに受け継がれていますね。
──お披露目のときのお客さんの反応はどうでしたか?
名波みやび : スタッフとしての名波の印象が強いから「あ、スタッフの名波じゃん」みたいな感じでしたね(笑)。
やわらぎめんま : 「スタッフでいちばんアイドルが好きだった子が、アイドルとしてステージに立ちましたよ」っていうシンデレラ・ストーリーなんですよ。名波がいたから、私たちはこうやっていまの衣装に袖を通しているんです。名波が「スタッフでいいです」って言っていたら、モガーズは生まれてもなかったと思います。
──名波さんは結構キー・パーソンなんですね。
やわらぎめんま : そうです。“Our Generation~僕らの時代~”っていう曲のPVでも、名波が立っているシーンからはじまっています。結構小ネタ満載なので、そういうところもモガーズの歴史がわかるようになっています。

踊ってない分、歌にパワーを込めた
──そんな、やわらぎめんまさんはどのような経緯でモガーズに入られたんでしょう?
やわらぎめんま : モガーズの前に、2つアイドル・グループをやってきました。方向性の違いがあって卒業したあとで、すでに募集が終わっていたんですけどわざわざPR文を書いて〈Gollipop Record〉にメールを送って拾ってもらいました。モガーズは、生きているのに必死な人たちが集まっている感じがしますね。レーベル全員がメラメラしているから自分も燃えなきゃなと思います。
──るなてん! さんはどうでしたか?
るなてん!: 私は16歳から役者をやっていて、それを経てアイドルも始め二足の草鞋でこれまでやってきました。モガーズに入ってからはいろいろやっていくうちにできることが増えていって、1人じゃ無理なこともメンバーがいるからこそであれば出来る事ってたくさんあるんだなと思いました。
──玖月さんは今年2020年の8月に加入した新メンバーですね。
玖月琴美 : もともと新潟で5年くらいずっとアイドルやっていました。あみころ(あみのころみ)の生誕の日に配信ライヴでお披露目させていただいて。生誕イベントでまさかの新メンバー加入という珍しい発表だったので自分でもびっくりしました。
あみのころみ : 私の生誕ライヴでお披露目だったので、琴美ちゃんに対してめちゃめちゃ思入れがあります。本人が結構いろんな人にくっついたりしてるので、くっつきことみって呼んでます(笑)。
玖月琴美 : わたし、自分のパーソナル・スペースが狭いんですけど、加入して2、3ヶ月経つ中でもみんなと馴染んでいくペースが速くて。
──たしかにすごく馴染んでいて新メンバー感がないというか、しっくり来ていますよね。
名波みやび : しっくりことみ(笑)。
やわらぎめんま : うわー! 同じこと言おうとした! 危なかった(笑)。

──すごくいい話ですね。今回のシングルには3曲が収録されています。1曲目が“ジャンキー 〜僕は依存症〜”。この曲はSAMURAIのカバー曲です。
知世千世 : シングルを作る前から、ライヴでやっていました。お客さんがすごい好きだよね。
やわらぎめんま : ファースト・シングルが出た後の新曲として披露していた曲です。2019年12月にはライヴでやってたから、「いつ音源になるの?」って言われすぎた曲ですね。
あみのころみ : 原曲を聴いたときに、女の子のアイドルとしてどうやって表現するのかなって思ったんですけど、見事にいい感じになってくれました。
やわらぎめんま : 歌詞も「精神分裂気味な毎日が堪らない」からはじまるし、かなり過激な表現も多いけど楽曲で聴くとそこまで感じさせないというか。
玖月琴美 : 私は落ちサビが好きで。生きているなかで苦しいことやつらいことがあっても、全部ぶちかましていくぜみたいな感じが好きです。
知世千世 : 振り付けでいえば、“ジャンキー”はあえて振り付けを少なくしました。踊ってない分、歌にパワーを込めています。シンプルだけど、モガーズの熱さはすごい伝わりやすくて。個々で感情を爆発させて、パッションというか内なる炎みたいなものがいい感じに出ていると思います。
モガーズ自体がなくなっちゃうんじゃないかという危機感があった
──2曲目“もっと燃えて生きたいもんだぜ”は、“ジャンキー”とは違ってかなりシンセの音が重なっていますね。
知世千世 : 2週間ぐらいファミリーマートの店内放送で流れていたんですけど、ファンの方に「かっこいい曲だなと思って聴いていたらモガーズの曲だった!」って言われました。耳馴染みがいい曲だと思います。

──この曲はどれくらいの時期にレコーディングされたんですか?
るなてん! : この曲は大変な時期に録った記憶があります。
やわらぎめんま : コロナ禍で規制が強まっていく時期にモガーズはどうなるのかみたいな、ちょうどその時期だったんです。その間に千世ちゃんが振りを考えたり、レコーディングをしたりしていて。そのぶん思入れがある曲です。
──この曲はPVもかなり凝っていますよね。
るなてん! : いままでのPV撮影でいちばん大変だったかもしれない。
知世千世 : みんなで戦いをするのが新鮮だったし、アイドルの曲でこんなMVでどうなるんだろうと思いながら、みんなと殴り合いました。私がボコボコにされるところが結構あって。
玖月琴美 : みんなで「わー」っと千世ちゃんに殴りかかって行くんだけど、一番最後に残っているのは千世ちゃんなんですよね。
やわらぎめんま : 鉄の女なので(笑)。
玖月琴美 : 本当に演技指導をしていただいて、みんな各々武器を持ったりアクション・シーンをしたりして撮ったPVですね。
やわらぎめんま : 私は日輪刀を振りました。普通に生きていたら、人に向かって「オラー」って刀を振りかざすシーンはなかなかないのでおもしろかったですね。MVを撮っているときは、「これがどういう風に曲と合わさるんだろう」ってみんな首を傾げていたんですけど、出来上がったMVを見たらマッチしていたのでよかったです。千世ちゃんが、「自分で炎になるように」って言ってつけた独特な振り付けがあるんですよ。
知世千世 : この曲は自分たちのダンスの幅をもっと広げたいと思って、難しい振りを入れてみたり、サビでガニ股したり、挑戦的な振り付けになっています。この曲は「このまま火を絶やしてはダメだ」というイメージだと思っていたから、メラメラした内なる炎みたいなものを表現したくて作りました。

──大変な時期での振り入れで、めろんの活動との両立はどうでしたか?
知世千世 : 正直、結構忙しかったです。でも、モガーズはそのままではいけないと思っていたし、この時期だからこそ、1ランクも2ランクも上のところに行かないとモガーズ自体がなくなっちゃうんじゃないか、という危機感みたいなところもあったんです。この時期にいろんな曲の振りを作ったんですけど、気合を入れて「これだ!」みたいな感じで作りました。毎回曲をもらうたびにプレッシャーなんですけど、そこは曲を作っている方との戦いだと思っているから、そこも圧倒してやりたいと思っています。もっとライヴを重ねていくたびに成長していくような曲になればいいなと思っています。
やわらぎめんま : 練習中に千世ちゃんに「私たちはこれで売れるからよろしく」って言われて「はい、わかりました」って(笑)。
──最後は、“旅立ちの唄(IDOL FROM ANOTHER PLANET)”です。この曲はもともとめろんの曲“IDOL FROM ANOTHER PLANET(旅立ちの唄〜めろん畑 a gogo 2) ”ですが、アレンジが違います。
あみのころみ:最近はリリース・イベントとかでも定番で歌っているし、最近モガーズを知ってくれた人にとってはモガーズの曲っていう印象が強いかもしれないですね。バージョンが違うのでまったく同じ曲としては考えてないんですけど、モガーズとしてアレンジが変わったときに、より壮大な世界観になっていたなと思います。実はイヤフォンで聴かないとわからない位いろんな音も仕込んでいます。
──ライヴでのお客さんの反応はどうですか?
あみのころみ : この前、めろんでこの曲をライヴの最後の曲としてやったんですね。そしたら、ファンの人が「めろんのときはエンディング感がすごいけど、モガーズで聴くとオープニング曲だね」っていう意見を言っていたんです。たしかにそれぞれの良さがあるし、どう聴くかによって、聴き方が変わるみたいな感じはあるかもしれないです。
知世千世 : 実はモガーズと言えばこの曲なのかなと思っています。もちろんお客さんと育ててきたっていうのもあるし、バージョン違いとか、ライヴでの映像を入れ方とか変えていく中で、この曲を聴くと、私はモガーズがはじまるなって気もするから、とても重要な曲ですね。
るなてん! : 大人になればなるほど聴くと沁みることが多くなりそうですね。
──ありがとうございます。では最後に締めのコメントをお願いします。
知世千世 : モガーズが新体制になって、新しくすばらしい曲をいただいていろんなところで観る機会があるかと思いますので、ぜひライヴやリリース・イベントに遊びに来てくれたらうれしいです。よろしくお願いします。

編集補助 : 東原 春菜
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