モノクロテレビジョンが映し出す新しい世界──ワンマン・ライヴ〈森羅万象〉ライヴレポート
Dramatic×Rockmusicをコンセプトに掲げ、活動するアイドル・グループ、モノクロテレビジョン。今回、彼女たちが開催したワンマン・ライヴ〈森羅万象〉は、デビュー1周年の集大成とも言える感動的なものとなりました。OTOTOYでは、1月28日に新宿BLAZEで行われたライヴの様子をレポートでお届けします。記事の後半には、メンバーから今回のライヴに関しての感想をもらっています! こちらも併せてチェックを。
モノクロテレビジョンの新曲『FIND YOUR WAY』
LIVE REPORT : モノクロテレビジョン〈森羅万象〉
文 : 西田健
写真 : Takuma Funaba
@f.takuma0803
パピプペポは難しい、Petyなどを擁するレーベルPcycleから産まれたアイドル・グループ、モノクロテレビジョン(通称、モノテレ)が新宿BLAZEでワンマンライヴ〈森羅万象〉を開催した。デビューから1周年。多くのライヴが中止に追い込まれるコロナ禍において、開催に踏み切るには、すごく勇気のいる決断だったことだろう。彼女たちはこの日を心待ちにしているファンのために、立ち上がったのだ。
会場内に入ると、ステージ上のスクリーンには、ブラウン管のテレビを模したモニターが映し出されていた。モノテレのロゴやアー写、グリッチノイズ、それらがチャンネルを切り替えるように次々に映し出されていた。どのようなライヴが行われるのか、会場中の期待が高まる。

定刻。お馴染みのエレクトリックなSEが流れ出し、新衣装に身を包んだメンバー6人が現れる。グループ名の通り、白と黒を基調としたこれまでの衣装から変わり、青紫衣装だ。次の時代へと進む彼女たちに、新たな色が加わったということだろう。
メンバーはそのまま、プラネタリウムのような星の映像をバックに、セリフをひとりずつ語りはじめた。「今日ここで」「私たちは1つのライヴをする」「こんなこと、宇宙の出来事からしたら」「本当にちいさな出来事からもしれない」「だけど、私と君にとって、本当に大事な一瞬のできごと」。メンバーそれぞれが大事そうに言葉を紡ぎあげ、「ほら、いまここではじまるよ」という合図とともに、1曲目“はじまりのうた”で、幕が上がった。
デビューから1年。メンバーそれぞれがたくさんの経験をしながら、この歌を大事に育ててきたのだろう。歌声に気持ちが重なり、序盤から自分たちの世界を作り上げていた。勢いそのままにそのまま2曲目“ペペロンチーノ”へと繋ぐ。さらに、“クレセントバード”、 “少年C”というモノクロテレビジョンの持ち味であるドラマティックなロック・サウンドでフロアを盛り上げていく。この日を最高の1日にしたい! という想いに応えるように多くのファンが拳を掲げていた。最初のブロックを終えると、そのままMCヘ。自由な雰囲気はそのままに、それぞれが自分の言葉を発信する力が上がっているのが印象的だった。



ライヴは「いままで甘え続けていたけど、臆病な僕は今日でラストの日にしたいんだ」というMCの後、“ラストデー”、“明け星のリベレイト”へ。モノクロテレビジョンというグループの大きな武器は、その「うた」の魅力にある。彼女たちの曲は、音源で聴くより遥かにライヴの方が良い。この日の藍﨑結芽、逢坂マイリ、咲音璃子の歌唱力は本当に驚かされた。ライヴアイドルシーンにおいても、ここまでのヴォーカリストを擁するグループは稀有である。しかし、モノテレは、それだけではなく、茉白乃ノ香、羽月愛子、メイソンの歌声にもしっかり個性があり、独自の“色”を持っている。それらが重なったときにモノクロテレビジョンというグループの色になるのだ。“クロ”という色は、様々な色が混じりあったときに生まれるのである。
ライヴは進み、この日のハイライトである新曲“FIND YOUR WAY”が披露された。この曲は、メンバーが次々にデスヴォイスによるシャウトを響かせることから始まるのである。普段はキュートな歌声を響かせる茉白乃ノ香や羽月愛子も、この曲では渾身のシャウトを込める。何が起きたのかわからず、正直かなり驚いた。しかし、そういう飛び道具的なスタートをしながらも、この曲は非常にエモーショナルで聴く人の心を打つのである。モノクロテレビジョンが新たな表現に挑戦する場に立ち会えたことにすごく嬉しくなった。MCのなかでメイソンが「声出しOKになったら皆で一緒にデスヴォイスしよう」と語っていたのだが、もしそんなことが起きたらかなりカオスな現場になることだろう。絶対にフェスや対バンライヴでやってほしいし、この曲が披露されたときの空気をぜひ感じてみたい。
後半戦は、“My Baby”、“流星群バレット”へと繋いでいく。この日のライヴはスクリーンに映し出される映像の演出も素晴らしかった。楽曲の素晴らしさをより際立てて、感情に語りかけていた。そして、本編ラストは、1曲目に披露した“はじまりのうた”を再び歌い上げる。1回目より、力のこもった歌声に心が熱くなった。モノクロテレビジョンは、何度でもはじまるのだ。



本編終了後、アンコールで物販のTシャツを着て再び現れた彼女たちは、今回のライヴへの想いをひとりずつスピーチを行った。藍﨑結芽が涙ながらに語った「周囲からは笑われたが、私はアイドルになるのが夢だった。私は今アイドルやってるぞって、あの時笑った人たちに言いたいです! 」という言葉に、もらい泣きしそうになる。モノクロテレビジョンは、お披露目ライヴから誰一人として辞めることなく、活動をしてきたグループである。ライヴシーンで活動するアイドル・グループは1年間の中で、メンバーの変遷が生まれることも少なくない。ここまで1年、同じメンバーでやってこれたということは、全員がしっかりと同じ方向を向いて活動してきたことの証明であり、自分のことやメンバーのこと、そして、いまの活動のことを信じてやってこれたからである。このことに対して、メンバーは大いに胸を張っていいと思う。
アンコール1曲目は、新曲の“FIND YOUR WAY”を再び歌い上げる。聴くのはまだ2回目のはずなのに、フロアでしっかりツーステップを踏んでいるオーディエンスがいたのが印象的だった。これは楽曲の力だけではなく、彼女たちにフロアを巻き込む力があるからこそ成せる技だ。全員によるデスヴォイスの咆哮が会場中に響き、 “流星群バレット”を再び披露する。彼女たちが今回同じ曲を2回やったのは、きっと2回やっても盛り上げるという自信があってのことだろう。きっと尺の問題ではない。そう信じたい。
最後の曲は、“As one”。この日いちばんのエモーショナルな歌声が会場全体を包み込む。冒頭のセリフのなかでメンバーたちが語っていたように、この日のライヴは宇宙の出来事からしたら本当に小さな出来事からもしれない。しかし、このライヴはメンバーにとってもファンにとっても、本当に大事な大事なできごとだったのである。モノクロテレビジョンはこれからも、活動を続けていく。新たな色を加えながら、観るものの心に様々な世界を映し出していくのだろう。

【モノクロテレビジョンワンマンライヴ "森羅万象"】
@新宿BLAZE
■セットリスト
1.はじまりのうた
2.ペペロンチーノ
3.クレセントバード
4.少年C
5.ラストデー
6.明け星のリベレイト
7.FAKE WORLD
8.FIND YOUR WAY
9.My Baby
10.流星群バレット
11.はじまりのうた
(アンコール)
EN1.FIND YOUR WAY
EN2.流星群バレット
EN3.As one