あの頃、思ってた未来がもう1回帰ってくる。
──ハルハさんはどんな音楽遍歴を辿ってきたんですか?
ハルハ:僕が音楽をやりだしたのは、中学校2年生の時ですね。最初はラップの歌詞書くところからはじまって、クラブでライヴしたり、MCバトルに出たりとかしていました。〈高校生ラップ選手権〉の予選に出るために、広島から大阪まで深夜バスで行ったりもしました。でも1回戦で負けて帰ってくるみたいな感じでしたね(笑)。
──いまのハルハさんは、ラップバトル的な文化からは遠いように見えます。
ハルハ:本当によく言われます(笑)。でも実際、ラップバトルは向いてなかったんですよ。ディスる根性も言うこともないし。僕はただラップという表現方法が好きだったので、バトルは途中でやめてDTMを始めました。自分でトラックを作り出したのが高校を卒業した頃です。最初はフリー・トラックに歌詞を乗っけていたんですけど、途中から「これは自分で作った方がいいな」と思って。そこからはDTMに傾倒していきました。
──そもそもなぜラップが好きになったんですか?
ハルハ:小4くらいの頃聴いた、インターネット・ラップが好きだったんです。当時、ボカロのラップアレンジが流行っていて「千本桜」のラップアレンジとかそういうものを聴いていました。そのときから好きだったRADWIMPSさんにもラップっぽい曲もあったので、ラップ自体はそういうのから入ったんだと思います。やっていく中でブーン・バップなどのHIP HOPとかも一通り好きになった感じです。
──なるほど。そこからさらに高校に入ってからガッツリのめり込んだんですね。
ハルハ:そうですね。高校入った時にはラップをやりつつ、ボカロも好きで聴いてました。同時にJ-POPもすごく好きで米津玄師さんとかヨルシカさんとか。バンドだとRADWIMPSさん、BUMP OF CHICKENさん、アジカンさんとか。ポエトリー・ラップだとMOROHAさんも好きでした。結構雑多にいっぱい聴いていた感じです。
──harhaの曲はジャンルの幅が広いなと思いました。元から色々なジャンルを作っていたんでしょうか?
ハルハ:幅広く作るようになったのはharhaとして活動をはじめてからですね。harhaをはじめる時に、とにかくいろんなアーティストを参考にして曲を作ったんです。デモで言うと150曲ぐらい。
──すごい曲数ですね。様々な曲を作るなかで変化はありましたか?
ハルハ:作り始めてからダンス・ミュージックやエレクトロにハマって、そこで根はDTMerなんだと思いました。J-POPを作ろうと思っても僕は楽器ができないし、見よう見真似でやっても形になっていかないなっていうように思ったんです。そこで、打ち込みの要素をうまいこと自分のスタイルと混ぜれたらなと思うようになりました。

──harhaの曲は、どのようにふたりで作っていくんですか?
ハルハ:僕が広島在住なので、リモートでデータのやり取りをして月1か2ヶ月に1回ぐらいで本番のレコーディングするっていう感じです。それで2年くらいずっとやってきましたね。
──対面で会うことはあんまりないですか?
ヨナべ:頻繁ではないかな。
ハルハ:ないね。だから久々に会うと髪色変わってたり、髪伸びてんなみたいなぐらいですね。
ヨナべ:たまに電話もするよね。
ハルハ:そうだね。本当にただの雑談をずっとしています。
──なるほど。歌詞はどうやって書くんですか?
ハルハ:僕はラップしていた頃の作詞の方法で、先にトラックを作ってから歌詞乗せることの方が多いですね。
──歌詞だけを見ると、繰り返す部分があんまりないですよね。
ハルハ:確かにないですね。これもラップをやってたからだと思うんです。繰り返すぐらいだったら新しく考えた方がいいなみたいな考えはありますね。
──2024年10月はファースト・EP『未来再来』がリリースされました。まずこのタイトルはどういうイメージで決めたんですか?
ハルハ:これは2曲目に収録されている、リード曲“草縁”がきっかけなんですけど、タイトルのイメージは「はじまり」なんです。そこから始まって「いつまでも夢を見て踊る心と生きてほしい」という想いをリスナーに伝えようとして作りました。大人になるにつれて日常の小さい楽しみが減っていく実感があったので、子供の頃のワクワクしてた気持ちを何度でも感じて欲しくて。未来がもう一度やってくるっていうところから「未来再来」っていうタイトルに行き着きました。
ヨナべ:最初に『未来再来』って聞いた時はすごくハルハ君らしいなって思ったし、harhaのはじめてのEPのタイトルとしても、すごくしっくりきました。
──このEPは、まずインスト楽曲の“おかえり、未来”からはじまりますね。
ハルハ:「おかえり、未来」は『未来再来』と意味としてはほぼ一緒なんですけど、あの当初思ってた未来がもう1回、思うことによって帰ってくるという意味で、タイトルをつけました。未来感と冒険がはじまる感じを込めて作りました。
──そこからリード曲の“草縁”へ繋がります。“草縁”は疾走感のあるロック・サウンドになっていますが、これまで作ってきた曲でも珍しいサウンドですよね。
ハルハ:そうですね。これはharhaがデビューする前に作っていたんです。これからヨナベさんとharhaをやっていくぞって時に「どんな未来が待ってるんだろうね、楽しみだね」という思いでスピード感のある曲を作りました。
──編曲はロック・バンド、PENGUIN RESEARCHのベーシストや、ボカロPのkemuとして活躍されている堀江晶太さんが担当されています。
ハルハ:堀江さんの曲はボカロPの頃から聴いていたんです。だから今回編曲をやってもらえるって決まったときは本当に嬉しかったです。
──実際一緒に制作をしてみてどうでしたか?
ハルハ:打ち合わせでは、楽曲のイメージや世界観の擦り合わせをしてから作り始めたんですけど、頂いた最初のアレンジからめちゃくちゃ良かったんです。後半に向かうにつれて物語が進んでいくアレンジになっていて、本当にお願いして良かったと思いました。
ヨナべ:“草縁”は、勝手に心拍数が上がる感じの曲なので、感情の込め方がわかりやすいですね。歌が声を連れてってくれる感じがして、すごく良いなって思いました。
