2022/12/28 18:00

「この10年間でいま、いちばん音楽を楽しめている」──『モンスト』コラボレーションを経て実感したKANA-BOONの変化

KANA-BOON

デビュー10周年を来年に控えるKANA-BOON。2023年の幕開け、またバンドの周年を飾る、記念すべき最初のリリースは、スマホゲーム『モンスターストライク』とのコラボレーション曲“フカ“。(配信は2023年1月2日(月)スタート。)変化に対して敏感になったというKANA-BOONのいまのモードと、今後の覚悟が反映された、力強い1曲だ。リリース前に本曲の制作過程へ迫りつつ、これまでのバンドの歩みと未来の展望についても語ってもらった。

INTERVIEW : KANA-BOON

KANA-BOONがスマホゲーム『モンスターストライク』とのコラボレーション楽曲“フカ“を完成させた。デビュー10周年を迎える2023年の第1弾楽曲となる同曲は、新キャラクター ヤクモの世界観をもとに制作された書き下ろし楽曲であり、KANA-BOONがこれまでに得てきた経験を生かしたうえで新しい挑戦を多数盛り込んだ、好奇心に富んだパワフルかつドラマチックなロックナンバー。歌詞に綴られた「当たり前を変えてみたい」という願望を体現する演奏やサウンドメイクは、バンドが未来に向かって飛び立つ姿そのものだ。『モンスト』の世界とKANA-BOONの生き様が融合した“フカ“はいかにして生まれたのか。メンバー全員に問う。

インタヴュー・文 : 沖さやこ
写真 : 大橋祐希

これからは自分たちの意志でもって、新しいKANA-BOONを作っていきたい

──新曲“フカ“はスマホゲーム『モンスターストライク』(以下、『モンスト』)とのコラボレーションソングです。お話が来たときの率直なご感想を教えていただけますか?

谷口 鮪(Vo/Gt)(以下、谷口):純粋にうれしかったですね。ゲームとバンドの音楽が結びつく機会はそこまで多くはないですし、スマホゲームという生活に身近なものとつながれたのはうれしかったし、普段バンドを聴かない人が耳にすることもあるのかなと想像したり、制作も楽しかったです。

小泉貴裕(Dr)(以下、小泉):『モンスト』は僕自身よく友達とプレイしていたので、そういうゲームと音楽で関わることができて、本当にうれしかったです。テンションを上げて制作に臨めましたし、いい楽曲ができたと思っていますね。

遠藤昌巳(Ba)(以下、遠藤):ゲームで楽曲が流れるときはプレイしている側のテンションが上がっているときというイメージがあるので、“フカ“がそういう曲になると考えるとすごくうれしいです。今回のお話がきっかけで『モンスト』をプレイしてみたんですけどすごく楽しくて、「ここだ!」という場面で勝手に脳内で“フカ“を再生しています(笑)。

古賀隼斗(Gt)(以下、古賀):僕はもともとゲームがすごく好きで、ゲーム好きなら誰もが知っている『モンスト』の楽曲制作に携われるのはすごく光栄ですね。“フカ“も『モンスト』とコラボレーションしたからこそ生まれたなにかがあると思っているので、そういう制作ができたこともうれしく思っています。

──“フカ“は2023年1月1日から登場する新キャラクター ヤクモにフォーカスした楽曲とのことで、谷口さんは公式コメントで「得体の知れない『当たり前』というものと向き合って制作をした」と綴っています。なぜそのような制作に至ったのでしょう?

谷口:最近のモードでもあるんですよね。ベースのマーシー(遠藤)が2022年の春から加入したこともあって、僕ら自身が「変化」にすごく敏感になって、僕個人としてもいろんな経験を経て、ものの見え方が変わってきたんです。すると日常生活で見落としていること、束縛されていることが意外とたくさん潜んでいることに気付いて。当たり前を当たり前として受け止めていた、受け入れていたものには、自分にとってプラスのものとマイナスのものがあると思うようになったんです。

谷口 鮪(Vo/Gt)

──プラスとマイナス、ですか。

谷口:たとえばバンドが存在することは自分にとって当たり前で、これからもずっと当たり前であってほしい。でも自分を痛めつけるような負荷が掛かることならば打破して変えていきたいし、新しい当たり前を構築していきたいんですよね。新しい世界を自分たちで作っていきたい、ポジティブな意味で自分を変えていきたいなという思いから作った曲です。やっぱり生きていると楽しいことだけじゃないし、つらいこともある。そのなかでなるべくうれしいことを多くしていきたいというマインドですね。

──そのためにも変化が必要だということでしょうか?

谷口:そうですね。あとシンプルに、自分から変わっていきたいという気持ちも強いのかな。 誰かに変えてもらうタームは過ぎた。デビューしてからのこの約10年間で、本当にたくさんの方々に変化のきっかけを与えてもらったし、変えてもらった。でもそういう環境に甘えていてはいけないなと思うんです。これからは自分たちの意志でもって、新しいKANA-BOONを作っていきたい。そういう前のめりな気持ちがすごく強いんです。

古賀:鮪がすごく変わったことは、近くで見ていて感じますね。昔から素直ではあったけど、特にここ1年はその素直さをまっすぐ表現するようになった。

谷口:そうだね……気取らなくなりましたね(笑)。23歳でデビューしているので、「音楽の世界」に育てられた感覚があるんです。そのなかでミュージシャンとしてこうあらねばいけない、フロントマンとしてこうでなければいけない、というしがらみのようなものを知らずのうちに自分で作り上げてしまっていた。

遠藤昌巳(Ba)

──それが「当たり前」だとも思っていた、と。

谷口:でも休養中(※谷口は2020年10月から2021年4月まで体調不良により休養をしていた)に視野も広がって、「こういう思いをしている人が世の中にはきっといるだろうな」みたいに想像することも増えて、ひとつ殻を破れたというか。自分の限界を自分で作らなくなったんです。だからこそいま、「気取らずに、いろんな人のリーダーでありたい」という気持ちが強くなっていて。気取っていたら説得力もない、自分の人間力をちゃんとあげようという変化が出てきました。古賀もこの数年で変わったよね。

古賀:そうだね。どんなことでも1回飲み込んでみて、じっくり考えて自分の中から答えを出して話すようになった。

谷口:古賀は昔ほんま我が道を行くやんちゃくれで、俺も折れるわけにはいかなくて譲れないってことが結構あった(笑)。

古賀:「周りに流されるのってあんまり良くないんかな」と思っていたので、とにかく我を通してました。あんまり自分から変わろうとしなかったし、なんなら「周りが変われよ」ぐらいに思ってたなあ……(笑)。でもここ何年かはすごく人の話を聞くようになりましたね。変わらないのは外見くらいです。

谷口:そこはぶれへんな(笑)。そういう人間的な変化もあって、いまは古賀がKANA-BOONの頭脳で、僕がブレーンって感じなんです。

古賀:頭脳とブレーンって一緒ちゃう?(笑)

谷口:(笑)。古賀は自分の意見をしっかり持っていて、バンドを動かしていく行動派というか。だから俺は自分が抱えているものを、メンバーに託せる、任せるようになったし、自分のできることをやろうと思えるようになったんです。いまはちゃんと4人がそれぞれKANA-BOONを背負ってバンドをやれている気がしていますね。ようやく「バンド」になりはじめた。

──小泉さんと遠藤さんはいかがですか?

遠藤:僕自身、鮪にいろんなものを変えられているなと思います。まずサポートとして誘ってもらって、ずっと住んでいた大阪を離れて東京に行って、そこで人生が明確に変わって。それで2022年4月に正式にメンバーとして加入して、また新たに孵化をして──だからいま変化している途中だなと感じているんです。鮪に変えてもらったから、僕も自分自身で変えていきたい、成長していきたい。“フカ“にもそういう気持ちを入れられたという手ごたえがありますね。勢いのある音を作れました。

小泉:マーシーが正式加入して、本当にいろいろ変わったと思います。音の変化ももちろんですし、ライヴで音を鳴らす感覚も変わって。そこに触発されるように僕も変わっていきたいと思いました。そういう変化が新しい「音楽を鳴らす楽しさ」を気付かせてくれたところもあるんです。

遠藤:(小泉とは)リズム隊同士なので、ふたりで一緒にスタジオに入って「ここをこうしたらこの曲はもっといいんじゃないかな」と話し合う機会も多くて。“フカ“のレコーディングをする前にも、ふたりで話し合いながらリズムを作っていきました。

古賀隼斗(Gt)

この記事の編集者
梶野 有希

1998年生まれ。誕生日は徳川家康と一緒です。カルチャーメディア『DIGLE MAGAZINE』でライター・編集を担当し、2021年1月よりOTOTOYに入社しました。インディーからメジャーまで邦ロックばかり聴いています。

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詩に多種多様なキャラクターを宿して──“まなざし”を意識した、Predawnの新作

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SundayカミデによるWonderful Orchestra Band始動!──脳内トリップする新たなヒーリングミュージック

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デビュー25周年を迎えた岡本真夜──ベールに包まれたアーティスト像と人間性を探る

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「これがあるじゃん」の先は、それぞれで考えましょう──折坂悠太がたどり着いた『心理』

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前向きに解散をしたSUNNY CAR WASH ── 愛と敬意、軌跡を記録した最後のベスト作

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自分が聴きたい音楽を追求し続けていく──ロック・バンド、続きはらいせの美学を表現したファースト・EP

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ただ、承認されて自立していたい──励ましもせず、突き放しもしないステレオガールのアティテュード

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イズミカワソラ×ニラジ・カジャンチ ── 新作『Continue』の意外な制作過程を語る

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出発点である自分と向き合うきっかけに──ミクロを意識したJYOCHOの新作

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1万通りの1対1を大切にするpolly──つぶれかけていたロマンを再構築した新作

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理想郷は自分たちで作っていく──ひとつの“カルチャー”を目指すバンド、the McFaddinの新作EP

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これも、あれも、全部YAJICO GIRL──新作EPから聞こえる数々の好奇心

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音楽ライターがオススメする〈FRIENDSHIP.〉の注目作品(2021年10月〜12月)

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バンドサウンドの必然性を深く問う新作──étéが鳴らす、流行へのカウンター

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原動力は「なにかを壊したい」という気持ち── 光と影が交差する、イズミカワソラの歩み

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PEOPLE 1 『PEOPLE』クロスレビュー  ── 集団として闘い、大衆を救う決意

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余白を楽しみつつ、ストレートな表現へ──Helsinki Lambda Clubのリアルなモードに迫る

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The fin. 『Outer Ego』クロスレビュー  ── 主観と客観を行き来する、普遍的なポップ・ミュージック

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“あなた”がいるからこそ綴られた、足立佳奈の言葉

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初ミニ・アルバムのテーマは“脱出ゲーム”!? ── ポップで攻撃的な5人組、あるくとーーふの全貌

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ポップなPARIS on the City!が、泥臭いロック・サウンドに振り切るまでの歩み

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ギタリストではなく、ひとりのアーティストとしての表現──25曲で語るDURANの人間性と感受性

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BALLOND'ORの止まらぬ鼓動! ── 国内外から注目を集めるサウンドの生まれ方

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キュートだけじゃない! さとうもかの新作『WOOLLY』が描く、リアルでちょっとビターな共感

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京都から現れた、あえて言おう“すごいバンド“! WANG GUNG BAND!!!

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谷口貴洋はどのように育ったのか?ー自由で冷静な人間性の生まれ方

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ネクストモードなEmeraldが伝える制作の秘訣──10年間で培ったバンドサウンドの楽しみ方

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日米韓を跨ぐR&BシンガーソングライターVivaOla──シェイクスピアを参考にした初のフル・アルバムが描くストーリー

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謎多きアーティスト・マハラージャン──2つの新作から浮かび上がる人物像とは?

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Laura day romanceがたどり着いた新局面──対照的なふたつの新作から鳴る輝きと情緒

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ドレスコーズ志磨遼平がピアノで描く孤高と反抗──コンセプチュアルな新作『バイエル』に迫る

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自分のドキュメンタリーを音楽で表現する──新作『はためき』に込めたodolの祈り

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パワー・ポップを愛する者へ───Superfriendsのルーツと現在地が反映された新作ミニ・アルバム

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[インタヴュー] KANA-BOON

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