清々しくも熱狂的なバンド、フリージアン──関西から轟く、最強ジャパニーズソングの生まれ方

 メンバー全員がバンド解散の経験を持つ、フリージアン。紆余曲折を経たのちに神戸で結成され、今年で活動3年目となる。ファーストアルバム『FREESIAN』には、メンバーそれぞれが親友のような距離感で試行錯誤を重ねた末に生まれた全12曲を収録。一聴してみると、彼らが一寸の狂いもなく同じ方向を見つめていることがビシビシと伝わってくる。またレーベルから渡された紙資料の情報力が凄まじく、きいてみたところ、スタッフが資料作成のためだけに1時間も取材して書き上げたとのこと。メンバー4人だけでなく、スタッフも足並みを揃えて、全員が全力でフリージアンの音を届けようとしている。そういった揺るぎない一体感と信頼感が満ちたインタビューをここにお届けする。
 
待望のファースト・アルバム、リリース!
INTERVIEW : フリージアン
 2021年1月に「最強のジャパニーズソング」を追い求め結成された、神戸発の4ピースバンド・フリージアン。ロックバンドとしての爆発力だけでなく、マエダカズシ(Vo)の密度の高いヴォーカルと楽器隊のきめ細やかなサウンドデザインが織り成すポップネスを兼ね備える彼らの音楽は、ライヴハウスからお茶の間までも席巻する可能性を秘めている。
 
 そんな彼らがファースト・フル・アルバム『FREESIAN』をリリースする。この2年半でリリースされたシングル曲や、前身バンドのリアレンジ曲、マエダが人生ではじめて組んだバンドから歌い続けている楽曲など、彼らの歴史が凝縮した1枚となった。このインタヴューでは、じっくりとこのバンドが始動するまでの軌跡を追いながら、なぜいまのフリージアンのスタイルへとパワーアップしたのか、その理由に迫った。
 
 取材・文 : 沖さやこ
 
フリージアンが自分の人生において最後のバンド
 ──フリージアンというバンド名は、どうやら前身バンド・COSMOSの曲名だそうですね。まずCOSMOSの成り立ちをおさらいしてもいいですか?
 
 マエダカズシ(Vo):COSMOSを結成する前、僕が組んでいたバンドがメンバーの就職とかで年に4回ぐらいしかライヴをしていなかったんです。だから僕はだらだらとひとりで弾き語りでライヴをしていて、見るに見かねたドラムのたなりょーが「ちゃんとバンドやろうよ」と声を掛けてくれて。それで2017年の夏、このふたりでCOSMOSがはじまったんです。りょーさん(たなりょー)は僕がバンドではじめてライヴをしたときからの知り合いで、僕以外の3人は当時THE BOSSSというバンドをやっていたんですよ。
 
 たなりょー(Dr):僕はカズシくんに声を掛けた時点で、この4人でバンドをやるイメージがわりとあったんですよね。でもTHE BOSSSもあるし、バンドを掛け持ちしているメンバーもいるし、ほかの人の意見とかもあって、あちらを立てればこちらが立たず状態になって。それでその時はほかのギタリスト、ベーシストをサポートに入れることになったんです。
 
 マエダ:そのサポートのメンバーが離れるタイミングで「もう一度ちゃんと仕切り直したいな」と、MASASHIと隆さん(隆之介)に声を掛けたんですよね。
 
 たなりょー:その時は既にTHE BOSSSが解散してたんですよ。MASASHIが「カズシの歌のバックで弾いたら楽しそうやなあ」と話しているのも聞いていたし、隆ちゃんがバンドをやっていないのもわかっていたので、この4人で一緒にやるのがいちばん早いと思ったんですよね。だから集まってしまえば、そこから動き出すまでは早かったです。
 
 ──声を掛けられたとき、MASASHIさんと隆之介さんは新しくバンドをはじめたいと思っていたのでしょうか。
 
 隆之介(Ba):僕はやっていたバンドが全部解散してしまって、プレイヤーとしては隠居生活みたいな感じやったんですけど、また音楽をやりたいなという気持ちはずっと持っていましたね。
 
 MASASHI(Gt):僕はそうでもなかったかな。このままバンド人生も終わりやなと思っている時に声を掛けられたんです。それを受けたのも、ヴォーカルがカズシやったからで。ほかのバンドから声を掛けられてたとしても、誘いを受けてるかどうかは微妙ですね。
 
 マエダ:だから僕はりょーさんにものすごく感謝してるんです。あの時誘ってくれなかったらずっとだらだら「もっと大っきいとこで歌いたいのにな」とか言いながらなにしていいかもわからず、そのまま年に2回くらい趣味でバンドやるようになってたんやろなと思います。
 
 ──4人が満を持して集まったタイミングは、お話を聞いているとコロナ禍に入る直前ですよね。世間的にはバンドの活動休止や解散、脱退が多い時期だったと思いますが、皆さんのモードとしてはいかがでしたか?
 
 たなりょー:僕らは逆に、やっとすべてが整ったという状況だったので「ここから再スタートやな」と前向きな気持ちだけでしたね。コロナ禍やったからライヴをやらへんぶん何回も話し合いができたので、その時間がすごくありがたかったんです。
 
 マエダ:どういうバンドにしていくか、どんなふうになりたいか、こういう曲をやってみよう、こういう曲はやめておこう……みたいにほんまただただミーティングしてるみたいな時間も多くて。
 
 隆之介:僕が加入を正式に決まる前に4人で集まったとき、その話し合いの雰囲気がすごく良かったんですよ。「みんなバンドをより良くしていきたいんやな」というのが、すごく伝わってきて。
 
 マエダ:隆さんは「加入するならそれなりにちゃんと覚悟を持ってやりたい」と言っていて。りょーさんと僕も「お願いだから入ってください」というのではなく、集まる機会を作って、そのたびに話し合いをして、自分たちの思っていることを伝えていって。そうしているうちに自然な流れで加入を決めてくれたんですよね。
 
 隆之介:これまでの経験上、バンドはメンバーのバランスが大事なのを痛感していて。話し合いをするなかで「この4人ならうまいことバランス取っていけそうやな。めっちゃ自由に音楽作れるかもしれん」と直感的に思ったんです。メンバー間の意思疎通がちゃんと取れたバンドができることに、胸を撫で下ろしましたね。フリージアンが自分の人生において最後のバンドやと思っていて、最後にいいバンドを組めたと思っています。
 
 たなりょー:この4人以外ではもう自分はバンドやれへんやろなあ……と思うくらい一枚岩になれてるなという実感がありますね。
 
 マエダ:僕らほんま、気持ち悪いぐらい仲良くて(笑)。
 
 ──確かに。Twitterをちょっと見ただけでも仲の良さが伝わってきます。
 
 たなりょー:あははは。仲良くないバンド見ると「仲良くしたらいいのに」って思います(笑)。
 
 MASASHI:仲がいいと面倒事は全部解決するのになあ(笑)。
 
 マエダ:ライヴで長距離移動して4人1部屋で泊まるのも、修学旅行みたいで夜めちゃめちゃ楽しくて。あと、僕の書く歌詞に客観的な意見をくれるのもありがたいんですよね。僕がわかりにくい歌詞を書きたいタイプでもあり、わかりにくすぎると伝わらんしなあ……という気持ちもあるので、メンバーと話し合えることにすごく助かってるんです。仲がいいと言いたいことも言いやすいし、ストレスなく活動できてます。
 













































































































































































