“最恐“難易度の曲を収録した問題作、完成──だいじろー(JYOCHO)が語る、細かな音作りへのこだわり
このバンドが描き出す“最恐”とはどんなサウンドだろうか?海外リスナーを多く抱え、アメリカやブラジルなど各国でのインタビュー掲載や海外公演の実績を持つバンド、JYOCHO。リリースされた、サード・EP『云う透り e.p』には、ホラー漫画家、伊藤潤二の全20作品を映像化した、Netflixオリジナル・アニメ「伊藤潤二『マニアック』」へ書き下ろした“最恐“難易度の表題曲が収録されている。そんな本作について、バンドのフロントマンである、だいじろー(Gt / Cho)にJYOCHO始動当初からインタビューを担当し続けているライター、西澤裕郎が迫る。
“最恐“難易度な新曲を含む、JYOCHOの最新EP
INTERVIEW : JYOCHO(だいじろー)
JYOCHOが、最新EP『云う透り e.p』を2023年1月20日(金)に配信リリースする。同作に収録されている“云う透り“は、Netflixシリーズ「伊藤潤二『マニアック』」のエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲で、JYOCHOの楽曲群のなかでも“最恐“難易度と形容されるほどの問題作。また、もとより海外で多く聴かれているJYOCHOだが、2023年にはアメリカのTopshelf Recordsから『しあわせになるから、なろうよ(英題:Let’s Promise to be Happy)』のLP発売も決定。2月4日(土)には東京・渋谷WWWXでLITEを、2月18日(土)には大阪・梅田シャングリラ公演でjizueを迎え、対バンライヴを行うことも決定している。まさに2023年はさらなる飛躍の年になるであろうJYOCHOのフロントマン・だいじろーに、EPのことからアートワークのこと、ライヴのことまで、Zoomで話を聞いた。
インタヴュー・文 : 西澤裕郎
写真 : 藤井拓(ライヴ写真)
JYOCHO、またやってますわ!って感じで聴いてもらえると
──伊藤潤二先生描き下ろしのJYOCHOのイラスト、かなりインパクトがありますよね。最初ご覧になったときの印象を教えてください。
だいじろー(Gt / Cho):イラストを受け取った時、僕含めメンバーのテンションが超上がって、一言目が「超いい!」みたいな感じでした(笑)。よく見るとJYOCHOが意識している円だったり、構図もすごく配慮されていて。真摯に細かいところまで感じ取ってくださっていて、すごく繊細な方なんだろうなと思いました。
──音を絵で表現するのは難しいと思うんですけど、ものすごく繊細に表現されていますよね。
だいじろー:イラストのなかで鳥が飛んでいるんですけど、4羽じゃなく3羽なのがすごくいいなと思って。バランス的に4羽にしたくなると思うんですけど、3羽かつトータルで見てもめちゃくちゃバランスがとれている。あと、よく見ると蝶がいるんですよね。
──ここまでJYOCHOの世界観をイラストに落とし込めるってすごいですよね。
だいじろー:ここまでイメージにぴったり合ったのはびっくりしました。伊藤潤二先生のタッチで我々を描いていただけることはめちゃめちゃワクワクするし、新しいものが生まれそうなイメージがありました。メンバーに「描いてほしいからお願いしてみてもいい?」ってことを伝えて。
──その結果、ものすごくいい作品が生まれましたね。
だいじろー:本当によかったです。ブラッシュアップしてよくしていく作業はこれまでもあるんですけど、こちらの想像の何倍も上を行くことってなかなか巡り会えないことで。ワンテイクで完成しました。
──これまであまりきく機会がなかったんですけど、だいじろーさんはアートワークに関してはどういう考え方で制作をされているんでしょう。
だいじろー:JYOCHOをはじめた時から円をコンセプトにしていきたい考えは持っていて。循環するという点でもすごく大切にしている形なんです。それを作品ごとに視覚的に落とし込むためにアートディレクターのISAMYUさんとコミュニケーションをとって作っていて。前回、伊藤潤二『コレクション』のエンディングを担当させてもらった時、ホラーのアニメにそのままホラーっぽい曲を当てるのは個人的にあまりおもしろくないなと感じて、楽曲自体ちょっと違う感じの方向性で化学反応できる感じにしたんです。ただ、今回は全く暗くなくて。逆にハツラツとしているというか、そのギャップが怖いみたいなイメージで作っているんです。それをISAMYUさんに説明して、おどろおどろしい感じに仕上げてほしくないけど、ちょっと狂気があるみたいなイメージにしたいとお願いして制作していきました。
──JYOCHOのアートワークは修正とか簡単にできるタイプの作品じゃないと思うんですけど、そのあたりはどのようにされているんでしょう。
だいじろー:ジャケットに関しては、毎回ここをこうしてほしいとか、文字の並びや色味とかもイメージが違ったらそれも全然伝えています。今回は曼荼羅みたいなイメージがあって、プラスおどろおどろしくない感じにしたかった。ハツラツとしているけど、若干新鮮味もあるようなイメージでお願いしました。今回はあまり修正していないですね。
──いまおっしゃっていたみたいに、本作は「伊藤潤二『マニアック』」に対する楽曲からのアプローチだったと思うんですけど、どういう着想をして楽曲を構成していったんでしょう。
だいじろー:前回作ったエンディングの“互いの宇宙“は個人的にしっくりきていたんですけど、今回もう少し狂気を出してみたいと思ったんです。めちゃめちゃ怖いことをしているのに笑いながらやっているようなギャップを出したくて。どういう感情で聴いたらいいの? みたいな。そういうイメージで作った曲ではあります。デモは3パターン出していて、めちゃめちゃ暗い曲も一応選んでもらえるように送ったんです(笑)。
──そしたらアニメサイドもこの楽曲を選んだと。
だいじろー:いちばん変態やなっていう感じのものを選んできはりました(笑)。
──こんなイントロではじまるアニメのエンディング曲ないです(笑)。
だいじろー:カオスですよね(笑)。聴き手もそういう気持ちで聴いてもらえたらうれしいなと思っていて。JYOCHO、またやってますわ!って感じで聴いてもらえるとうれしいですね。