熱量だけでやっちゃってもいいんじゃないか
──1曲目の“云う透り“はいろいろな展開がある曲ですが、だいじろーさんの頭の中でどういうイメージを具現化したんでしょう。
だいじろー:Aメロのギターリフは、実はファーストに入れる予定だった曲のリフを少し使ったりしていて。今回のエンディングにイメージをちょっとずつ合わせてアレンジしていく形で作りました。伊藤潤二さんの作家性と自分の作家性、JYOCHOの作家性を踏まえ、表現したいことを明確にして、ホラーにホラーを当てるわけではなく、ハツラツとしたイメージのものであったり、どういった気持ちで聴いたらいいんだろう? と思うような直球じゃない感じをイメージして。アニメと曲を合わせた時にいい違和感があって、もっと怖いみたいな。神秘感があるみたいな部分を表現しました。
──「云う透り」の漢字の当て方はどのように思いついたものなんでしょう。
だいじろー:これはあまり意味がなくて。「云う」に関しては昔話みたいなイメージの文字だったのと、「透り」は見た目的にめっちゃいいなと。感覚で決めちゃった感じですね。
──だいじろーさんはおもしろいですよね。論理的なところと感覚的なところが同居しているというか。
だいじろー:わりと適当なんです(笑)。
──2月4日、18日にはLITEとjizueと、東京と大阪でそれぞれ対バンを行います。2組に関してはどんな繋がりがあるんでしょう。
だいじろー:メンバー全員すごく好きかつ、関係性もあるバンドかなと思っていて。LITEとは台湾に一緒にライヴで行ってすごい仲良くなったんです。国内でも一緒にライヴを予定していたんですけど、コロナでなくなっちゃって、そのリベンジみたいなイメージですね。今回一緒にできてすごくうれしいです。jizueに関しては、JYOCHOとは直接的な繋がりはあまりないんですけど、各々メンバーですごく仲良い人もいるし、自分も宇宙コンビニ(だいじろーが以前所属していたバンド)の時に一緒にカナダツアーを回ったりして、めちゃめちゃ好きだし仲良しって感じです。
──本作を経て、この先のライヴはまた変化がありそうですね。
だいじろー:結構変化はあると思います。現状でもグロッケンやビブラフォンみたいな音も鍵盤を弾きながらパッドを押して出したりしているんですけど、これからのライヴはサポートドラマーが鍵だと思っていて。サポートドラムのフミキモくんが、いい意味でいままでのJYOCHOとは全く違うドラムを叩くんです。それを踏まえて、メンバーそれぞれの良さを忌憚なく表現していこうって話をしていて。熱量だけでやっちゃってもいいんじゃないかって。まだちょっと方向性は定まっていないんですけど、バンドとしての良さを先に持ってきて、あとは個人個人で修正していく方向性もおもしろいんじゃないかなと思っていますね。この前、京都でライヴをしたんですけど、いつもと違う爆発力みたいなものがあって。ドラムが変わるだけで、こんなに変わるんだなと。それもおもしろいなと思いはじめていて。最終的によかったらなんでもいいやと思って(笑)。次のライヴに向けてかなり変わりそうな気はしていますね。
──だいじろーさんが熱量を先に持っていく考え方になったのはおもしろいですね。
だいじろー:これまで繊細さと綺麗さを表現してきたんですけど、もっとピュアでいいんじゃないかと思えたんです。それぞれが持っている良さを最大限テーブルの上に出してバンドとして修正していく。もちろんそのためには上手くないとあかんし、最低限は仕上がってないとあかんっていうのがあるんですけど、そのへんは後からついてきたらいいかなって。そういう部分じゃない良さにもフォーカスして、それを哲学していくことができたらと思っています。
──話を伺う度に、だいじろーさんの考え方に変化がありますね。
だいじろー:少しずつ大人になっていっています(笑)。
──アメリカのインディーレーベル〈Topshelf Records〉と契約をしたことも大きなトピックですね。
だいじろー:もともと大好きなレーベルで、ベースのシンディさんとも〈Topshelf Records〉に入りたいねって話をしていたんですよ。それを所属しているコロムビアのチームに相談して英語でやり取りしていただいたら、向こうも気にしてくれたみたいで。お互い話が噛み合ってリリースすることができたんです。海外の格好いいレーベルに入れたのはかなりうれしいことですね。
──2023年がはじまりましたが、いま考えている展望があれば教えてください。
だいじろー:しばらくライヴが制限されていたので、たくさんライヴをしたいし、海外も行けたらいいなと思っています。JYOCHOは国内に向けてもそうですけど、海外にもアプローチしていきたいと考えているバンドなので。実際、Spotifyとか見ても世界中で聴いてもらっているので、その人たちに会いに行きたいですね。
編集:梶野有希
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PROFILE : JYOCHO
2016年、超絶テクニックを誇るギタリスト・だいじろー(ex.宇宙コンビニ)によって京都にて始動。
マスロック〜プログレッシブ~ポップスなど様々なジャンルを通過した音楽性に、テクニカルなトラック、温かみ、激情をふんだんに盛り込んだ、まさに情緒感たっぷりな、JYOCHOにしかできない独自の世界観を構築する。
■公式ホームページ:https://jyocho.com/
■公式Twitter:https://twitter.com/jyocho_jp