四方颯人(YAJICO GIRL)× 岩渕想太(Panorama Panama Town)対談──〈MASH A&R presents「Treasure Tour」〉で提示する現代のバンド像とは?
〈MASH A&R presents「Treasure Tour」〉フロントマン対談①
THE ORAL CIGARETTES、フレデリック、Saucy Dogらが所属する音楽事務所〈MASH A&R〉主催のイベント〈MASH A&R presents「Treasure Tour」〉が10月14日より開幕!これまで事務所主催のイベントは、恵比寿LIQUIDROOMや新木場STUDIO COASTなどのライヴハウスで単独開催されていたが、今回はスプリット・ツアーというスタイルでの開催となる。初ツアーを記念して、オトトイでは出演バンドのフロントマン対談を前後編の2回に分けて掲載する。まず1本目は、四方颯人(YAJICO GIRL)と 岩渕想太(Panorama Panama Town)に、今回のツアーへの意気込みや互いのバンドの印象について語ってもらった。またMercy Woodpeckerの直江晋太郎とユレニワのシロ ナカムラが登場する、フロントマン対談の2本目は近日公開予定。こちらもお楽しみに。
〈MASH A&R presents「Treasure Tour」〉について
〈MASH A&R〉所属の若手バンド Panorama Panama Town、YAJICO GIRL、ユレニワの3組を中心に全国6ヶ所にて、各地ゲストを迎え行うスプリット・ツアー。メイン・ヴィジュアルは、前述した3組のメンバーを含む出演者12名が集結している。
10月14日の名古屋UPSETを皮切りに、11月11日の渋谷 Spotify O-Crestまで、およそ1ヶ月かけて6箇所を回る。
【公演概要】
2022年10月14日(金)愛知・名古屋UPSET
ACT:Panorama Panama Town / YAJICO GIRL / ユレニワ / Ezoshika Gourmet Club
2022年10月15日(土)新潟・club RIVERST
ACT:Panorama Panama Town / YAJICO GIRL / ユレニワ / マチカドラマ
2022年10月29日(土)大阪・LIVE SQUARE 2nd LINE
ACT:Panorama Panama Town / YAJICO GIRL / ユレニワ / Mercy Woodpecker / Bye-Bye-Handの方程式
2022年10月30日(日)岡山・CRAZYMAMA 2nd Room
ACT:Panorama Panama Town / YAJICO GIRL / ユレニワ / Mercy Woodpecker / the paddles
2022年11月01日(火)福岡・LIVE HOUSE OP’s
ACT:Panorama Panama Town / YAJICO GIRL / ユレニワ / Mercy Woodpecker
2022年11月11日(金)東京・渋谷 Spotify O-Crest
ACT:Panorama Panama Town / YAJICO GIRL / ユレニワ / Mercy Woodpecker
〈MASH A&R presents「Treasure Tour」〉フロントマン対談①
岩渕想太(Panorama Panama Town) × 四方颯人(YAJICO GIRL)
マネージメント事務所MASH A&Rが主催するスプリットツアー〈MASH A&R presents「Treasure Tour」〉が、10月14日の名古屋UPSET公演よりスタートする。同事務所属のPanorama Panama Town、YAJICO GIRL、ユレニワの3組に加え、各地にゲストを招いて行われるこのツアーは、ファイナルの11月11日 Spotify O-Crest公演まで全国6ヶ所を回る予定だ。この記事では、Panorama Panama Townから岩渕想太、YAJICO GIRLから四方颯人に来てもらい、今回のツアーにかける想いやお互いの表現について語り合ってもらった。岩渕と四方は古くからの友人でもある。そんなふたりだからこその、リアルな言葉が交わされる対談となった。
インタヴュー・文:天野史彬
写真:山川哲矢
生きてきたなかで、いまがいちばんバンドが好きかも
──今日は〈MASH A&R presents「Treasure Tour」〉をともに回るバンドのフロントマン対談ということで、Panorama Panama Townから岩渕さん、YAJICO GIRLから四方さんに来ていただきましたが、おふたりの関係性はもうかなり長いんですよね?
岩渕:そうですね。YAJICO GIRL(以下、ヤジコ)がMASHに入る前から知ってます。
四方:僕の高校の先輩とPanorama Panama Town(以下、パノパナ)が大学時代の同級生なんですよ。
岩渕:いま、ムノーノ=モーゼスっていうバンドをやっている若月(雄佑)ってやつなんですけど、そいつが僕らの同期で。
四方:僕は若月さんと同じ高校の同じ軽音楽部に所属していて、若月さんからパノパナを教えてもらったんです。それで好きになって、ライヴを観に行ったりしてました。
──会うとふたりはどんな話をするんですか。
岩渕:コロナ禍以降ふたりで話すことも減りましたけど、前は普通に好きなものの話とか、観た映画や聴いている音楽の話をすることが多かったです。「次どういうの出すの?」っていう話もするし。
四方:さっき(このツアーのビジュアル)撮影中に映画『NOPE』の話しましたね。今日、岩渕さんに会ったら「『NOPE』どうでした?」って話をしようと思ってたんですけど、岩渕さんから先に訊かれました(笑)。俺は、『NOPE』完全に最高でした。
岩渕:俺は、そこまで……(笑)。
四方:岩渕さん、「コンテキスト多すぎやろ」ってツッコんでましたね(笑)。音楽は最近なに聴いてます?
岩渕:なに聴いてるかな……。(自身のスマホを見ながら)めっちゃバンド聴いてるかも。Viagra Boysっていうバンドとか。すごい名前やけど、めっちゃよくて(と言って、曲を流す)。ムードというか、「人」がめっちゃ強い。「強い人たちがバンドやってる」っていう感じがすごくある。
四方:聴いている音楽と、自分がやっている音楽の合致具合ってどうですか?
岩渕:いまは結構一緒かもな。聴いているものと、自分たちがやっていることが一緒。
四方:いまのもパッと聴いた感じがそうですもんね。最近のパノパナの曲って、好きなことをちゃんと突き詰めてやってるんやろうなっていうのが聴けばわかるんですよね。
岩渕:いま、バンドめっちゃ好きかも。生きてきたなかで、いちばんバンドが好きかもしれない。ドラム好きだし。なんかね、イギリスに結構こういうバンドが多くて。ポストパンクっぽいバンドがいっぱい出ていて、もちろん音楽的に流行ってるのもあるけど、それ以前に「イギリスも鬱屈としてるんやろな」みたいな感じがするんだよね。最近、イギリスのバンド好きの人のインスタをめっちゃフォローしてるんだけど、向こうはもう全然モッシュしてて。そういうなかでバンドを聴いて楽しんでる人のストーリーを見たりすると、向こうのバンドシーンに心で共感するというか。イギリスと日本って社会状況は似ていると思うし、「こういう感情の発露の仕方があるんだ」、「こういう救われ方があるんだ」って気づかされる感じがあって。バンド音楽で、イギリスのシーンにもないものを自分がどうやって作れるか、みたいなことは最近考えるかな。四方はどんなの聴いてるの?
四方:俺はダンス・ミュージックが多いですかね。バンド系はあんまり聴いてなくて、わりと自分達の音楽に直接は合致しないようなやつばっかり聴くようになりました。(自身のスマホを出して)最近だと……例えばこれ、こないだ出たGeorge Rileyって人のアルバム(『Running In Waves』)なんですけど、VegynっていうFrank Oceanの曲もやってた人がプロデュースに入ってる電子音系のR&Bです。あとこれは、Earth, Wind & Fireのプロデュースをやっていた人の伝説のデビュー・アルバムで、ミックス・テープみたいな感じなんですけど(Charles Stepney『Step on Step』)、聴いてみたらよかったです。
岩渕:ジャケ、いいな。