ドレスコーズからすべての“頭の悪い”若者のために、愛を込めて──理想の夏を幻想的に映した『戀愛大全』
志磨遼平は自らの新作をこう語る──「すべての頭の悪い若者のためのラヴ・ソング集」。ドレスコーズ、8枚目のアルバムとなる本作は、夏を舞台にした架空の恋愛短編オムニバスと、その個々のストーリーを彩るサウンドトラックを作る、という構成から生まれた。理想の夏というものは手が届きそうで、届かない。そういった夏特有の不自由さとキラキラした幻想を深いリヴァーブやシンセサイザーの響きでドリーミーに描いている。こういった80年代以降のUKロック・サウンドを取り入れた音像は志磨史上初のこと。さまざまな角度から現実を写実的に描いた前作『バイエル』に対し、今作は“みんなが想像した夏”を抽象画のように彩った作品といえるだろう。どんな状況であれ、ドレスコーズはユニークに変わり続けている。やっぱり、志磨遼平はおもしろいのだ。そんなことを再認識する取材であった。
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