インスト・ロック・バンド、johannが歩んだ15年間。そして新たに見つけた映像×音楽の可能性とは?
インスト・ロック・バンド、johann。2008年の結成以来、幾度となるメンバーチェンジを繰り返し、現在は、佐藤竜市(Gt)、深津良輔(Dr)のオリジナル・メンバーにサポート・メンバーを加え、活動している。結成15周年となる今年は、特設サイトや新曲「絶賛」MV制作のため、250万円以上の赤字を抱えるなど、紆余曲折あるバンド人生を歩んできた。またリーダーの佐藤は、2018年に映像制作会社mellowsoda.incを立ち上げ、バンドのMVも監督・編集など全て自身で手がけているという。「映像と音楽をコミットさせていく架け橋のような存在になりたい」と語る佐藤に、映像×音楽がもつ可能性、それからjohannの15年間とこれからについて、語ってもらった。
johannの新曲「絶賛」ハイレゾ版配信中!
INTERVIEW : johann (佐藤竜市)
今年で結成15周年を迎えた、インスト・ロック・バンド、johann(ヨハン)。「TOKYO JAPANESE WABI SABI TATAMI PRIDE」をスローガンに掲げ、哀愁を感じさせる心地好いメロディを佐藤竜市(Gt),深津良輔(Dr)のオリジナル・メンバーにサポート・メンバーを加えた編成で、日本人が元来持ちうる祭り魂を呼び起こすようなエネルギッシュなライヴで届けるバンドだ。今回は、メンバーの佐藤竜市(Gt)に、johannの15年間を振り返ってもらいつつ、この先、バンドが歩もうとしている未来について語ってもらった。
インタヴュー : 峯岸利恵
写真 : 斎藤大嗣
15周年を機にまた新しい活動をスタートする
──結成15周年とのことですが、振り返ってみていかがですか?
佐藤竜市(Gt)(以下、佐藤) : 売れもしねぇのによくここまでやってきたなぁと思います(笑)。売れたいという気持ちがモチベーションになっていたというよりは、可能な限り多くの人に見てもらいたいという気持ちがずっとありましたね。ライヴに来てくれるお客さんが増えてくれたら、いちばん良いというか。
──「TOKYO JAPANESE WABI SABI TATAMI PRIDE」というスローガンを掲げて活動を続けてきたjohannですが、このフレーズをバンドのテーマにした理由は?
佐藤 : 日本の文化や祭りもそうですし、日本特有の言語表現が昔から好きだったんですよね。ハレの日とかハレとケとか。それに、それまで和風のメロディを奏でるバンドがあまりいなかったので、そういったところでも特異性を出せるかな?と思ったんです。
──言葉を使わないインスト・バンドとして自己表現をしていくという部分についてはどうでしょう?
佐藤 : 最初はヴォーカルを探していたんですけど、メンバーがなかなか見つからなかったことと、インストでも評価してもらえたということが相まって、いまの形態になりました。結成当時は残響レコードが流行っていた時代でもあったので、そこの方々の音楽を参考にしつつ、僕のギターのメロディを口ずさめるくらいに超わかりやすくキャッチーにすることで、歌ものバンドのヴォーカル的立ち位置になるように、他のインストバンドとの差別化を図っていました。あとは、インスト・バンドだからこそ広げられるライヴのフィールドはあると思っています。例えば、お祭り会場がまさにそうなんですけど、言葉がないjohannの曲にあわせて、老若男女が盛り上がって踊ってくれていたんですよ。そういうシーンを見ると、言葉があったらまた違ったんだろうなとは思いますね。
──お祭りが好きだというところからはじまったjohannにとっては、この上なくいい経験ですね。メンバー募集に苦労したとのことですが、johannは自ら「メンバーチェンジ回数日本一の無名バンド」と謳っていますが、何度あったんですか?
佐藤 : 最初は3人で、2013年にセカンド・EP『Haiku Days』をリリースする頃には、6回は変わっていましたね。
──6回!? めげなかったんですか?
佐藤 : バンドをする為に上京してきたということもありますし、僕自身は、いままで1回も辞めようとは思わなかったですね。強い信念があったわけでもないんですけど、中学時代から、とにかく地元を離れて音楽活動をしていきたいと強く願っていたんですよ。なので、上京してバンドを組めた時点で僕の夢は叶ったも同然だし、信頼できる仲間も出来始めていたので、その状態で活動を止めようとは思わなかったですね。実は、今回の15周年というのも、特に意識していた訳ではないんですよ。
──というと?
佐藤 : ドラムの深っちゃん(深津良輔)と電話していた時に「そういえば15周年だよね」という話にたまたまなった、というのがきっかけで動き出したんです。そういう周年祝いって、売れていたらめちゃくちゃカッコいいと思うんですけど、そもそも僕らは知名度や集客力も無いので恥ずかしさや不安もありました。けど、自分たちを鼓舞するいい大義名分だな、と思って。なので、いままでを振り返る為のタイミングというよりは、これを機にまた新しい活動をスタートさせられる、という気持ちの方が強くあります。