映像と音楽をコミットさせていく架け橋のような存在に
──時代も大きく変わってきていますが、そのなかで、johannの音楽をもっと広げる為に佐藤さんが考えているアクションがあれば教えてください。
佐藤 : 例えば一例としてCMなどに起用してもらうとか。その上で活動の参考にさせていただいているのが、高木正勝さんです。CM音楽をはじめ、『おおかみこどもの雨と雪』や『バケモノの子』などの映画音楽も担当されていて、昔から追いかけている方なんですけど、彼の活動を見ていると、自分のやっていることを信じて進んでいけば、いつか結果になるんだなと励まされますね。高木正勝さんご自身がどういうスタンスやマインドでやられているのかはわかりませんが...。
──CM起用を目指していくというと、先ほど佐藤さんが仰っていた「映像×音楽」のお話に直結しますね。
佐藤 : そうですね。音楽によって映像の印象はビックリする位変わります。映像と音楽がバチッとハマることでより大きな相乗効果を生み出せると思うんです。なので、自分は音楽家として映像と音楽をコミットさせていく架け橋のような存在になりつつ、友達のバンドの音楽やjohannの音楽の良さも同時に浸透させていければいいなと思っています。自分が監督を務めさせていただく広告案件で、johannや友達のバンドの曲をお客様に提案させていただくとか...。そこで仕事が回っていけば、インディー・バンドの活動費も生まれていくだろうし、理想的だなと思いますね。
──業界の垣根を越えた関係性を構築できたら素晴らしいですね。
佐藤 : 上手くいけばいいんですけどねぇ。でも、お金の話というのは、事務所やレーベルに所属していないバンドの活動に大きく関わることですし、実際お金の問題で悩んでいたjohannのメンバーもいました。でも、お金の話というのは僕らは2013年に、広告費を集める目的で、当時はまだ世の中に浸透していなかった、クラウドファンディングを行ったんです。それも、バンドの運営費を作り出すための策ではあったので、バンドを続けていくためには、色々な取り組みをしていかなきゃいけないなと思っています。
──お金のお話で言えば、15周年の特設サイトや新曲「絶賛」のMVなどで、250万円を超える赤字だとお聞きしましたが……大丈夫ですか?(笑)
佐藤 : 大丈夫ではないですね!(笑)ただ僕自身は投資とか株とか全く興味がないので、単純に「みんなが楽しんでもらえるものを作りたい」という考えで、こういう使い方をしました。それに、こっちの方が絶対おもしろじゃないですか? こんな額を懸けているインディー・バンドなんてほぼいないと思いますし、みんなでこの話をきっかけに盛り上がってくれたら嬉しいんですよね。そこから「こんなことをしているjohannってどんなバンド?」というところまでいってもらえたら最高ですし、スベってもおもしろいと思います。
──金額を聞いてしまうと、おもしろい! と思うと同時にヒヤヒヤもしますけどね(笑)。 8月1日に公開された新曲「絶賛」の映像は、ホールを貸し切って行われたとのことですが、曲作りを含めてどのような構想の上で行われたんですか?
佐藤 : この曲は、15年間頑張ってきた自分たちで自分たちを褒めたいという理由から「絶賛」というタイトルをつけました。あとは、売れてないからこそ、お客さんの入っていないホールを使ってMVを撮ったらおもしろいんじゃないか?ということで会場を決めました。なので、いつかあのホールを埋めることができたら最高ですよね。まぁこれも、売れているバンドがやったらカッコいいんでしょうけどね……。売れてないし、歌もないし(笑)。
──自虐が凄い(笑)。色々と動いてみた結果、新たな目標は生まれました?
佐藤 : いまはないですね。とりあえずいまは、できることや、やりたいことをやり切ってみる、ということが大事なんだと思っています。それが終わった時に、やりたいことが自然と見えてくるんだと思いますしね。やる気というのは波のように変動していくものなので、いまはその波のてっぺんにいるし、それなら思いつくことを全部やってみよう! という気持ちでいます。あとは、友達を増やしたいですね。バンドもお客さんも全員「友達」だと思っていますし、友達が増えればもっと大きなライヴハウスも埋められると思うので。今回の15周年企画としてのコンテンツはまだまだ続くので、様々な企画の中で友達の輪が広がっていけばいいなと思っています。
編集 : 梶野有希
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PROFILE : johann
インストロックバンド。TOKYO JAPANESE WABI SABI TATAMI PRIDEというスローガンを掲げ、日本の情緒、文化を独自の解釈でロックミュージックに乗せて表現している。2008年3人編成にて結成。5人編成のツインドラムの時期を経て、現在は佐藤竜市(Gt),深津良輔(Ds)のオリジナルメンバーにサポートメンバーを加えた編成で活動中。全国のライブハウスに出演する他、earth garden、TONE RIVERJAM、Campassお台場で開催されたCHIMERA GAMES、Campassなどの野外フェスにも多く出演。2015-2018にかけては、夏祭り会場にて路上ライブ、ディスクユニオンの売り場、 画廊、バーなど、普段ロックバンドが出演しない場に積極的に飛び込んでいった。また、スウェーデンのLAST DAYS OF APRIL、テキサスのHIKESのツアーサポートなど、来日した様々なアーティストとも共演を重ね、着実に経験を積んできている。johannのMVはリーダーの佐藤竜市(Gt)自らが監督、制作、編集を手掛けている。
■15周年特設サイト:https://johann.jp/15th/
■公式Twitter:https://twitter.com/johann_yojohan
■■公式HP:https://johannblog.tumblr.com/