まだまだ前進する、ムーンライダーズ!──鈴木慶一と白井良明がインプロの奥深さを語る
45年以上のキャリアを誇るムーンライダーズが初挑戦したのは、全曲インプロビゼーションによるアルバム。しかし、今作は即興をただまとめた作品というわけでは決してない。というのも、10時間以上の膨大な録音データをまとめるミックスこそが今作の肝だという。本来ミックスは音量バランスや音色などを“調整する作業”のことだが、今作におけるミックスとは、“新しい曲を制作”すること。1曲あたり約30分 × 10曲分、しかも(即興だから)演奏した内容もさっぱり覚えていないという、途方もない状況下で1曲ずつ丁寧に仕上げていく。そうしてついに完成した今作を深堀っていくと、おもしろいエピソードが次々と飛び出した。
10時間超に及んだインプロビゼーションを詰め込んだ新作