直枝政広が光を当てる退屈な「郊外」のおもしろさ──カーネーション17thアルバムをハイレゾ配信

来年結成35年目を迎えるカーネーションが、アニバーサリーを目前に快作を完成させた。今作『Suburban Baroque』の魅力は…… いみじくも下記の文章で岡村詩野が書き表しているのでそちらを読んでいただきたい。ただ、今回注目すべきところは何と言ってもハイレゾ24bit/96kHz用にマスタリングをした"High Resolution Unlimited Version”で配信をするということだろう。制作段階からハイレゾを意識してレコーディングをしていることで、彼らの奏でるグルーヴをより感じることができる。OTOTOYでももちろんハイレゾ配信を実施中。そんな今作には、2009年にカーネーションを脱退した矢部浩志をはじめ、張替智広(HALIFANIE、キンモクセイ)や、岡本啓佑(黒猫チェルシー)、浦朋恵、佐藤優介(カメラ=万年筆)、田村玄一(KIRINJI)、 徳澤青弦、張替智広、藤井学(TheMiceteeth)、松江潤、矢部浩志、吉澤嘉代子などアルバムを彩る多くのゲストが参加。多彩なゲスト・ミュージシャンを迎え、前作からわずか1年2ヶ月後にリリースされた今作『Suburban Baroque』の制作について訊いた、岡村詩野による直枝政広へのロング・インタヴューを掲載。ぜひアルバムとともにおたのしみください。

生々しいグルーヴをぜひハイレゾで!


カーネーション / Suburban Baroque

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC
>>>ハイレゾとは?

【配信価格】
単曲 540円(税込) / アルバム 3,300円(税込)

【収録曲】
1. Shooting Star
2. Peanut Butter & Jelly
3. ハンマーロック
4. Little Jetty
5. 夜の森
6. Younger Than Today
7. 金魚と浮雲
8. Girl
9. Suspicious Mind
10. Please Please Please
11. VIVRE


カーネーション/Peanut Butter & Jelly


INTERVIEW : 直枝政広(カーネーション)

ニュー・アルバム『Suburban Baroque』のジャケットは、夜の郊外のゲームセンターか何かを模した写真があしらわれている。ブックレットの中には、巨大な看板が虚しいくらいに派手なネオンを輝かせているパチスロの前で撮影された直枝政広と大田譲、つまりカーネーションのふたりがいるわけで…… なるほど、このアルバムは、かつて『EDO RIVER』(1994年)のタイトル曲で歌われていた“東京から少し離れたところ”で、『ガール・フレンド・アーミー』の「Garden City Life」で歌われていたような生活そのものを描き、昨年届けられた前作『Multimodal Sentiment』の「いつかここで会いましょう」と願ったまさに“ここ”に改めてフォーカスさせた作品なのだろう、と気がついた。

という伏線に気づいても気づかなくても、わずか1年2ヶ月でリリースとなった新作『Suburban Baroque』は現在の直枝の創作欲求が再びピークにあることを伝えてくれる大傑作として楽しむことができるだろう。コロムビア時代の作品を思わせる軽やかでウィットに富んだ演奏は、曲によって全く異なる表情をみせるが、総じてコンパクトなポップスとしてのカジュアルさをまとっているのがいい。佐藤優介(カメラ=万年筆、スカート他)、浦朋恵、徳澤青弦、岡本啓佑(黒猫チェルシー)らが参加するゲストの中には、かつての仲間だった矢部浩志の名前もある。矢部が7曲で叩いていることでよりいっそうコロムビア時代を思い出す人も少なくないだろうが、彼のしなやかでバウンシーなドラミングひとつとっても、それは20年前とは明らかに違う、一定の苦味を従えた邪気のなさがそこにあるのが感じられるだろう。そう、20年の月日はあらゆるものを変える。変わらないものもあるが、変わっていくことの残酷さ、安堵さをただただ受け入れて、そこから発信していくことを選ぶ直枝政広… カーネーションの音楽は、だからこそ人間味豊かだ。それこそノーベル賞を受賞しても飄々とライヴを行う現在のボブ・ディランがそうであるように。

ハイレゾで聴くことを意識しながら徹底的に音作りの現場と格闘した末に、こうした作品に、それも前作から僅かなスパンで到達してしまったという直枝に制作背景を徹底して訊ねてみた。

インタヴュー&文 : 岡村詩野
写真 : 大橋祐希

夜中のコンビニの駐車場でずっとコーヒー飲みながら討論したりしてた(笑)

──今回のアルバムはハイレゾで聴かれることを最初からかなり意識的になって制作したと伺いました。

直枝政広(以下、直枝) : いわゆるCDクオリティのものをそのままグレードを上げて出すということじゃなくて、はじめから96kHz/24bitでやってるので、それはもうエンジニアと話しして最初から「ハイレゾで出すよ」というところからはじまってます。それでハイレゾのマスタリングのときにいわゆるトータルコンプみたいなものはかけてない。レベルも無理やり上げてなくて、揃えているくらいで。音の伸びを楽しめるようにはなってます。いままでは、こういうことに僕もスタッフも意識がいってなかった。せっかくアナログでレコーディングしてるのに、その良さを損なったままでCDになってるということが続いてたんですよ。アナログで録音したあとにデジタルに入れるときに、それなりの大きなサイズで入れていこうと。

──ベーシック録音はおなじみのGOK SOUND。アナログ機材で録音することで知られるスタジオです。

直枝 : うん、細かいダビングからデジタルに移植するわけですけど、前作に関してはあまり大きなレートでできなかった。それがちょっともったいなかったなと思って。

──普段から実際にハイレゾで音楽を聴くようになっているのですか?

直枝 : ハイレゾのファイルはPro Toolsに取り込んでDTM作業用のモニターで聴いてるだけです。僕はアナログ好きなので、昔のターンテーブルを買ったり、アンプのことをずっと考えてたり、真空管のこと考えてたり、そっちのほうが本来好きなんです(笑)。でもハイレゾが出てきた以上は、認めざるをえないというか。だからアナログの音に対抗するのなら、出来る限り最高の数値でいければと思うようになったんです。サウンドの音詰まり感が1番嫌なので、意識的に限界まで音量をぶっこんで、ぶっ潰すというやり方をハイレゾではやりたくない。

──具体的に参考にした作品はありましたか?

直枝 : マスタリングの方に「音量を揃えるだけでいいです。あとは聴き手が自分の好きなように音量上げてくれれば音に自然な伸びが出るから」って説明したんですけど、その際に参考にしたのがポール・マッカートニー&ウィングスの『バンド・オン・ザ・ラン』のスーパー・デラックス版。その付録としてリミッターありとなしのハイレゾ・ファイルが付いていたんですけど、リミッターなしの方が圧倒的に良かったんです。もし音が小さいと感じたら手元で上げればいいわけで。しかも、アナログ・レコーディングが1番良い時期の作品ですからね。あとはSACDのスティーリー・ダン『ガウチョ』のリバーブの綺麗さっていうのはすごく影響を受けてる。あの作品のリバーブの伸びは本当に綺麗! もちろん、楽曲に対する愛情はどんな音楽家もスタッフもエンジニアも同じだと思うんですよ。

ただ、ハイレゾっていう基準が出てきた以上は責任を持った処理をしないと。そのためにはアナログの音の良さをエンジニアもわかってなきゃいけない。とくに今回エンジニアの原(真人)くんがすごい頑張ってくれて、とくに1曲目からそうなんですけど、レンジをすごく広く録ってるんですよ。それがすごく上手くいった。原くんとは前作からずっと一緒にやってて、スタジオの帰り、夜中のコンビニの駐車場でずっとコーヒーを飲みながら討論したりしてた(笑)。リミッターとコンプのあり方っていうのはそもそもロック・バンドにとって必要なのかどうなのかってところで結構ぶつかったりしましたね。たとえば、ノンサッチ(レーベル)のレコードを聴くと限りなく原音に近いように聴こえるんだけど、それなりにコンプは通しているわけですよ。大人数の音を持つロック・バンドの生音をリアルに伝えるときに果たしてコンプが本当に必要なのかどうなのかってことは、しつこく繰り返し話し合いました。

──ただ、そういう意味ではリファレンスにされた『バンド・オン・ザ・ラン』も『ガウチョ』も70〜80年代の作品ですよね。現行の録音技術で作られた2010年代以降の作品でバンド・サウンドにおいて参考になった作品はありましたか?

直枝 : やはりウィルコ。ウィルコはだいたいおもしろい。ただ最近、曲がヨレヨレなんで。そこらへんは違ってきてるんだけど。あとは、ブレイク・ミルズ。ああいう革新的な空間性とかは可能性あるよねって。

──アラバマ・シェイクスですか。

直枝 : でもアラバマ・シェイクス本体のアルバムは音を潰し過ぎなところがあるでしょ。コンプかけすぎ。原くんには「あれでは僕は困るからね」ってしつこく言った(笑)。あとは、METAFIVEの新作の音はいいよねと原くんといつも盛り上がっていました。


METAFIVE/Musical Chairs

──そうした音の良さへの気づきが楽曲や作品の方向性を決定づけることもあるのでしょうか?

直枝 : いやもう、そこは同じで最初は何も設定してないの。曲ができたらそれをレコーディングするだけ。今回もそうです。とにかく最高のものにしたいという意識だけで頑張るわけです。たとえば、65年のアメリカのコロムビア・スタジオの音にしたいとか、ぼくはそういうことを平気で言うんですよ。するとそれはこっちにしたほうが良いという合理的な意見が絶対エンジニア側から出てくる。でもぼくは「違うんだ。ドラムスはモノラルのままでいい」とか粘るわけ。そんなこんなでエンジニアとは最後の最後まで闘う。

その代わりミュージシャンに対してはフラットで、出てくる音に対してすごく素直に向き合うんです。そこの責任感のあり方が最近変わってきたかもしれないですね。あらかじめ、アレンジのイメージを高めたぼくのホーム・デモも聴いてもらってるし。出てくる音に対して素直にジャッジしていく。どれだけ気持ち良く弾いてもらうか。あとは責任をもってまとめるのはこっちですという役割に徹してる感じですかね。

──1歩引いたところで、プロデューサー的な目線で接してるからこそ、そうなると。

直枝 : 完全にそれですね。

〈カーネーション〉というプロデューサーでいいじゃないかと

──でも、もともと直枝さんはプレイヤビリティが高くて作家性の強い作り手ですよね。それが今のように自分に対しても客観的に接するような目線にシフトしていったのはいつ頃からなのでしょうか?

直枝 : ずっとバンドってものに対してやっぱりこだわってたんですよね。2人になったときもすごい考えてたんだけど。もうメンバーというよりも、プロデューサーでいいじゃないかと。そういう意識でやってます。〈カーネーション〉というプロデューサーであるということですよね。例えば、4曲目で大田(譲)くんに歌ってもらおうと思って、どんな歌を歌いたいか聞いたんです。「この前(のアルバム)は、つくれなくてごめんね。今回は大田くんが歌える曲を僕がつくるから。だから大田くんどんな曲歌いたい?」って。「スティーリー・ダンの「ブルックリン」みたいな曲がいいなぁ」とか言われて、よっしゃとピアノに向かうわけです。だって、大田くんが歌うとライヴが楽じゃないですか(笑)。大田くんのコーナーがあったら休めるじゃないですか(笑)。でも、そうやってつくる曲が自分にとって作家的なピークを示すものだったりするわけ。ああ、良いのできたなと。でもあくまでもぼくがそれを歌わずに大田くんに歌わせるわけです。

ただ得体の知れない生き物としてのカーネーションとして、ある意味、怪物のような存在であれば良いわけですよ、1つの。バンドのダイナミズムは欲しいし、生っぽさは失っちゃいけないと思ってますし、でも放っておけばなんとかなるんです。やはり、最後までこれはどういうアルバムになるかわからなかった。6月の後半に10日間だけ曲づくり期間もらったんですよ。あと何曲か足らなかったので。そこで全体の流れがようやく見えてきたのかな。

──それまではどういう作品になるかは…。

直枝 : 何もわからなかった。

──目指しているところも?

直枝 : 何もなかった。こういうのにしたい、ていう気持ちはまるでなかったですね。

──最後に加わったのはどの曲ですか?

直枝 : 「Little Jetty」「Younger Than Today」「Please Please Pease」ですかね。あと、ぼくにとっては今回11曲目の「VIVRE」って曲がすごく重要で、つまりその時に「VIVRE」までの道筋、地図のようなものがようやく見えたって感じがしたんです。どういう風に寄り道をしていくのかっていうのが楽しみでもあったんですけど。「VIVRE」はさっきいったような65年のコロムビア・スタジオの音で普遍的なポップスの鳴りというものを録ってみたかった。なんでかわからないけど、普遍的なポップスに対しての憧れが僕には昔からすごいあるんですよ。

──直枝さんは特に80年代〜90年代においては普遍的なポップスというのを回避してきたような部分があると思うんです。照れ隠しだったのだろうとは思いますけど、ストレートにいかない、婉曲してたどり着くようなことがありましたよね。

直枝 : ポップに開きすぎちゃうと照れちゃって立ち止まっちゃうんで、ある程度、ひねったサウンド・デザインから入っていかないと最後までもたないんですよ。でもそれを今回はあえて「VIVRE」でやり通したかった。衝動ですね。降ってきたんですよ。これは重要な曲だなと思ったんで。で、原くんと深夜のコンビニの駐車場で闘うわけです(笑)。

まあ、強いて言えば…… ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」とアレサ・フランクリンの米コロムビア期。そういうことをずっと考えながらぼくはレコード聴いてるんです。ようやくたどり着いた「VIVRE」という曲は自分にとっての「ライク・ア・ローリング・ストーン」。ある意味、フランク・シナトラみたいに歌えたらいいよね、みたいな歌手としてけじめをつけたい気持ちはわずかにあった。


Bob Dylan/Like a Rolling Stone (Audio)

意地張るものも、自慢できるものも何もないからこそその世界はおもしろい

──今作は『EDO RIVER』(94年)に対する23年後の自分に向けてのセルフ・アンサー・アルバムというような位置付けもできると思います。それは、“東京から少し離れたところ"=“Suburban"=“郊外"という作り手の意識が明確に提示されているタイトルにも表れていますけど、『EDO RIVER』はオーセンティックなソウルやファンクへのアプローチが含まれていました。それに対して今作は…… 少なくとも「VIVRE」という曲は普遍的なポップスへの真摯な目線が見える。23年経って、周囲の風景、自分自身…… あれからどうなっただろうか? と自問自答しているような作品かなと感じたんです。

直枝 : タイトルは1発で決まったんです。ポッと降ってきて、即OKになっちゃって(笑)。確かに、前作(『Multimodal Sentiment』)の「いつかここで会いましょう」とかで、僕が見ている歌のなかの原風景があるとしたら…… 何もないだろうなって思わせる近郊の虚しさとかぜんぜん曇りっぱなしの空だったり、そんな退屈な世界なんです。ただそこにも物語があるはずで。それで前作の「いつかここで会いましょう」をつくったときに、やっぱりここに帰ってきちゃったなと。やっぱり続けなきゃと、そこを見てこうと思ったんですよ。それで今回はそれをもう言葉にしちゃった。“Suburban”て。そうした方が、潔いかなと。“Baroque”に関しては、これはもう完全に音楽的な、サージェント・ペパーズ的な発想なのね。

──郊外移住者が増えているいま、郊外の空虚なものを歌にする、伝えていくのこと意味は私は小さくないと思っています。

直枝 : 別に東京って場所が憧れでもなんでもないという開き直りはありますよ。都市に根付いた何かを僕がやる必要がなくて、1番見てて退屈な何もないところを僕が描かないでどうする、というある意味、純文学的なプアな発想なんだけど。何もないところで見つけてやろうじゃないか、という作家性。意地張るものも、自慢できるものも何もないんですよ。でもだからこそその世界はおもしろいんじゃないかなって。何もなさっていうのがね。

過去にぼくがいろんな映画とか文学を振り返っても、好きだなと思ったものはいつも空虚を見つめていて、たとえば、80年代の『遠雷』(ATGの映画)とか、舞台が栃木県のビニールハウスですよ。そのなかのグチャグチャな人間模様とかって歌になりますか? ってことなんですよね。でもそこを見つめていたい。それが人間じゃないですか。あとは、岩井俊二監督の『花とアリス殺人事件』や深沢七郎の後期の『みちのくの人形たち』なども同じような感覚で好きなんです。

──それはでもある種のゴシック感覚ですよね。田舎の風景に潜むなんとも形容しがたいダークネス。

直枝 : まえに岡村さんには『MARQUEE』という雑誌の取材でゴシックの話をしたと思うんです。「次のアルバムでは、そこを狙っていきたい」と。いつか遠回りしてきてまたここに戻ってきてるんだよね。よりその気持ちが強くなってきてる。新しく始まった『ツイン・ピークス』の新シリーズ見てます? あれ、とてつもないんですよ。あれこそアメリカン・ゴシックの果ての果てじゃないですか。ただ、そこをポップスでどうやってくのかっていうと、それはまた違った話になるんだよね。実際、郊外の風景って言っても20年前とではもう全く変わってきてる。明るさが違うんだよね。同じ場所にたったときにそれが残っているかと言われたら残ってないんですよ。


Twin Peaks | It Is Happening Again | SHOWTIME Series (2017)

そこで僕は〈時間〉というものをすごくこだわって歌詞に使うんですけど、「戻れないんだよ」ってことを歌うようになった。そしてそれをてらいなく出すようになった。自分の中の心象に帰っていくところはあるんですけど。実際はもう戻れないよね? やり直しは効かないよね? ってことを考えるようになった。そこが23年前とは違うところなんです。「It's a Beautiful Day」の頃にはまるで考えてなかったですね。

──それでも直枝さんはその郊外に住み続けている。

直枝 : 運命ですよね。そこが自分で選んだ場所じゃないこともあるし。

──運命がそうさせてると。

直枝 : そう決めちゃうと自分の移動距離は変わらないので、ある意味、楽は楽なので。行き来するつまらなさが、都市生活だったりするので。本当にそこにはなにもないのです、その繰り返しのなかには。だからこそ僕は歌をつくるんだと思うんです。

今回は矢部(浩志)くんが今作に7曲も参加している。何と言ってもこれが大きい。矢部くんはここ何年かライヴにたまに参加してくれてたんだけど、無理に「こっちにおいでよ」とは言わないできた。タイミングがあえばやってくれるし、会えるし。今回7曲も一緒にできたんだけど最高でした。彼は音感が鋭いから、チューニングがすごく上手なんです。彼とやればベースの一番いい部分を響かせることができるし、歌のノリもよくなる。つまりリズムで曲全体をチューニングしてくれるんです。その彼の偉大さは今作で改めて感じましたね。

同じように、これまでサポートしてきてくれているドラムの張替智広にも「VIVRE」で1番得意な分野を与えてるんです。彼が60年代のセッション・ミュージシャンのことすごい研究してるから、「当時のチューニングで1つ頼むわ!」っていうと、「こんな感じ」ってやってくれる。音楽をチューニングすることがどれだけ重要かと。呪術じゃないかと思うくらいチューニングが音楽を変えるんだよね。ドラマーってすごいなと。

直枝政広がハイレゾで聴きたいプレイリスト

──ところで、直枝さんは今回の取材のためにOTOTOYで配信されている楽曲の中からプレイリストをつくってくれたのですが、これには何かテーマがあるのでしょうか?

直枝 : いや、ただハイレゾで聴きたかっただけ(笑)。不思議なんだけど、クラシックとかジャズとかには確実にハイレゾが合うだろうなと思ってて。生音の強さですよ。ロックに関しては…… たとえば今回選んだローザ・ルクセンブルグに関しては記録的に楽しみという意味もありますけど古いものは難しいんですよ。音圧が。しかもライヴ音源だし。だからこそ聴きたいなと思ってね。

ベックなんかは音圧とどう闘ってるのか、うるさすぎやしないかとかすごく気になりますね。坂本龍一さんのはそのドライな音響と奥行きに関して興味ある。あとはぼくがご当地アイドルの3776の曲を手がけたので、実際にどんな感じになっているか聴きたかったし、みんなにも聴いてもらえればなと思って。でも、この中にカーネーションの新作ももちろん入ってます(笑)。ぜひいい音で聴いてみてほしいですね。コンビニの駐車場で夜中に格闘した成果が表れていますから(笑)。

直枝政広が選んだ作品はこちら

配信中のカーネーション過去作&関連作もチェック!

過去の特集ページはこちらから

>>『Multimodal Sentiment』ハイレゾ配信記念インタヴュー
>>直枝政広&曽我部恵一『流星』インタビュー
>>カーネーション『Velvet Velvet』 レビュー
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LIVE SCHEDULE

〈Live Tour 2017 “Suburban Baroque”〉
※ツアー・メンバー : 直枝政広、大田譲、矢部浩志、松江潤、藤井学(The Miceteeth)

2017年11月18日(土)@名古屋 CLUB UPSET
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00

2017年11月19日(日)@大阪 Shangri-La
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
ゲスト : 浦朋恵
DJ : キングジョー

2017年11月24日(金)@東京キネマ倶楽部
時間 : OPEN 18:30 / START:19:30
ゲスト : 田村玄一(KIRINJI)、吉澤嘉代子

2017年12月1日(金)@札幌BESSIE HALL
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00

2017年12月9日(土)@福岡LIVEHOUSE CB
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00

PROFILE

カーネーション

1983年12月 カーネーション結成。1984年〈ナゴムレコード〉よりシングル「夜の煙突」でレコード・デビュー。以降、数度のメンバー・チェンジを経ながら、 時流に消費されることなく、数多くの傑作アルバムをリリース。練りに練られた楽曲、 人生の哀楽を鋭く綴った歌詞、演奏力抜群のアンサンブル、圧倒的な歌唱、レコード・ジャンキーとしての博覧強記ぶりなど、その存在意義はあまりに大きい。現メンバーは直枝政広(Vo.G)と大田譲(B)の2人。他アーティストからの支持も厚く、2013年には結成30周年を祝うべく14組が参加したトリビュート・アルバム『なんできみはぼくよりぼくのことくわしいの?』が発売された。2017年9月13日に17枚目のオリジナル・アルバム『Suburban Baroque』をリリース。

公式HP : http://www.carnation-web.com/

 
 

インタヴュー

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