2012/09/18 00:00

folk enoughの新作は、アナログ&ダウンロードでのリリース!

福岡が生んだオルタナティヴ・バンドfolk enoughから2012年の初秋に届いたのは、なんとアナログ盤! OTOTOYでは、配信版音源としてお届けします。アナログ以外でこの音源を手に入れられるのは、OTOTOYのみ! 繊細かつ大胆にスタイルを追求した本作は、6th albumの制作をスタートさせたバンドの状況が如何に良いかを伝えてくれるもの。アルバムに期待を寄せつつ、まずは彼らの最新作を聴いてみましょう。そして、9月28日に六本木SUPER DELUXEにて行われるライブに向かおう!

アナログ以外でこの音源を手に入れられるのは、OTOTOYのみ!
folk enough / Exit

【Track List】
1. wayfarerman / 2. in the woods / 3. mario / 4. jolly / 5. rock'n roll is dead / 6. nerv

【販売価格】 mp3 1,000円 / WAV 1,200円
12inch VINYL『Exit(LP)』(※ダウンロード・コード付き)
【販売価格】 1,680円
【販売店舗】 DISK UNION、JET SET、SUNRAIN RECORDSほか

収録曲の中から「wayfarerman」のMVを!!

鮮やかな“夜明け”がここにある

前作『DISCO TAPE』(2011年2月)のリリース以降、folk enoughにとって最も大きな出来事と言えば、今年6月に彼らの地元、福岡市に『e.g.RECORD』というオンラインCDショップをオープンしたことだろう。もともとこの“e.g.RECORD”というのは、99年からfolk enoughが主催しているイベント“electronics guitar”の略称であり、06年に彼らが立ち上げたレーベル名でもある。つまり、folk enoughというバンドがキャリアを重ねるごとに拡張していった、言わば活動の起点のようなものだ。結成来、地元に密着した活動をしてきたそんな彼らが、ここにきてとうとうオンラインとはいえCDショップまでスタートさせたことは彼らの活動の中でも相当大きなトピックと言っていい。

そうした広がりのある活動の流れを受けて届けられたのがこの12インチ・アナログ盤のみでリリースされる(ダウンロード・コードはついている)『Exit』というわけだが、なるほど、ここには情報発信源でありキュレーターでもあるfolk enoughの開かれた意識がかなり強く落とされている。サウンド的には今までの路線から極端に大きくは外れていない、スッカスカのジャンク・フォークだ。だが、柴田剛(ベース)を新たに迎えた現在のトリオ編成がそうさせているからなのか、スコーンと抜けのいい軽やかなアンサンブルになっているのがわかる。言ってみれば、ブラック・ミュージックのブルーズにフォーカスしてきた彼らが、ここにきてしなやかなファンクの要素にシフトしたようなそんな仕上がり。ズバリ言ってしまうと、ダンス・ミュージックとしての側面を持ち得るようになっているということだ。無論、スッカスカな音であるという前提での話だが。つまり、自分たち以外の誰かを引っぱりこんで踊らせるということ。新曲2曲に旧作の再録音やリミックスなどを含めたこの『Exit』という作品には、まだまだ覚束ないがそのように他者とコミットしていこうとする目線が初めて備わった1枚と言っていい。

音楽の才能はあるが世捨て人のようでもあったリーダーの井上周一には、昔から“他が見えていない”面白さがあったが、それはディープなブルーズにズブズブと埋没している自分(たち)に酔っているような、言ってみればマスターベーション的な面白さでもあった。勿論、それが彼らの魅力であり、そのヘロヘロな自己陶酔がバンドとしての推進力になってきたことは間違いないだろう。だが、今の井上は限りなくフィジカルで軽やかな音作りによって人とつながろうとしているところがある。つながるという言葉が甘いなら、対峙するという言葉でもいい。そういう意味でも、この作品はfolk enoughが大きくステップアップしたことを伝える重要作だろう。クラブでスピンさせるための12インチ・ヴァイナルでリリースされるというのも象徴的だし、七尾旅人が「Rollin' Rollin'」をリリースした時にも負けないほどの鮮やかな“夜明け”がここにある。(text by 岡村詩野)

folk enough ARCHIVES

『DISCO TAPE』

ナンバー・ガール、MO'SOME TONEBENDER、スパルタローカルズ、パニックスマイル… めんたいロック以降、対向するように現れた福岡のオルタナティヴ・ロック・バンド達。 そんな中一際輝き、現在も福岡シーンを先導する主役が彼らである。ベースに新メンバーの柴田剛を迎えて初のリリースとなる本作は、彼との2年間の巡業の末に辿り着いた、誰も聞いた事のない極上のポップ・ミュージック。本作を1000万人のミュージック・ファンに贈る!

『Rain dance』

アルバムとしては前作より4年ぶり。JUNK、変拍子、POP ROCK、BLUESを通過し結成10年。行き着いた先は4BEATへのアプローチとGUITAR SOUNDへの回帰。AMERICANAからBIG BEAT、彼ら特有の、WRIGHT WEIGHTなIN BEAT POP ROCKも健在。名曲「AMERICA」は、2008年渾身の1曲。

『LIVE HOLE 2005』

folk enoughの2005年のLIVEを収録したベスト盤的内容。 ホームであり、今や福岡インディーズ・シーンの聖地decadentDELUXEでのライブはもちろん、東京ツアー秋葉原での名演、伝説になりつつある福岡ベイサイド総決起集会でのA.Y.までも収録。ライブ・バンドとして見えてくる彼らの側面は、とてもタイトなのに猛々しいものとなってます。臨場感満点の25曲、総分数100分超の大作です。

LIVE INFORMATION

folk enough、『Exit』発売記念。彼らのライヴを体感しにいこう!

G/R/L/Z #2
2012年9月28日(金)@六本木SUPER DELUX
OPEN / START 19:30
LIVE : Limited Express (has gone?) / MIILA AND THE GEEKS / folk enough / THE CREAMS / SHE TALKS SILENCE
DJ : TWEE GRRRLS CLUB

2012年9月22日(土) @佐賀RAG-G
2012年10月20日(土) @渋谷7th FLOOR
2012年10月21日(日) @梅田HARD RAIN
2012年11月25日(日) @新代田FEVER

PROFILE

福岡が生んだジャンク・ブルース・ロックンロール・バンド。そのD.I.Y.精神に富んだバンド活動は多くのバンドからの注目、リスペクトを受ける。ビクター傘下のCOLLA DISCから2枚のアルバムと2枚のミニ・アルバムをリリース。くるりやズボンズ等を虜にし、3rdアルバム『BLUES』は、ミュージック・マガジンで満点の評価を得た。その後、自主レーベルe.g.recordを立ち上げ、LIVEアルバムと4thアルバムをリリース。JUNK Lab Recordsに移籍し、5thアルバム『DISCO TAPE』をリリース。

この記事の筆者
岡村 詩野

音楽評論家/ 音楽メディア『TURN』(turntokyo.com)エグゼクティヴ・プロデューサー/ 京都精華大学非常勤講師/ オトトイの学校 内 音楽ライター講座(https://ototoy.jp/school/ )講師/ α-STATION(FM京都)『Imaginary Line』(日曜21時〜)パーソナリティ/ 『Helga Press』主宰/ Twitterアカウント ▶︎ @shino_okamura / Instagram ▶︎ shino_okamura

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[レヴュー] folk enough

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