アイドル・グループ構成員増殖計画ーアイドル・グループの作り方ー

2013/05/17 00:00

INTERVIEW : ミチバヤシリオ

両国国技館ワンマンをもって卒業したワキサカユリカに続き、5月26日にclub asiaで開催されるワンマン・ライヴ「BiS4」をもって、BiSからテラシマユフが脱退する。それにともない新メンバーのオーディションも行われており、一気にBiSの体制が変わっていきそうだ。これまでも波乱万丈な仕掛けをしてきたBiSではあるが、今回ばかりはどのような変化を見せていくか、運営側も含め見えないところだろう。

そんな変動直前のタイミングで、OTOTOYはミッチェルことミチバヤシリオにインタビューを行った。ちょうど1年前にBiSに加入し、avexからのメジャー・デビュー、赤坂BLITZワンマン、国技館ワンマンを経験してきたミッチェル。プー・ルイ、ヒラノノゾミといった初期メンバーと、これから加入する新メンバーをつなぐキーパーソンになることは間違いない。同期のワキサカユリカが脱退したことについて、後輩が入ってくることによって自覚がでてきたのか、当初から話していた就職活動はどうするかなど、そして新メンバーについて、率直な質問をぶつけた。

インタビュー&文 : 西澤裕郎

ずっとアイドルではいたくないんですよ

——OTOTOYでは約1年ぶりの単独インタビューになりますね。最初に聞きたいんですけど、BiSに入ってからの1年は長かったですか、短かったですか?

ミチバヤシ : もう1年かって気持ちと、まだ1年かっていう気持ちと、どっちもありますね。

——最初は、BiSに会えるからといった理由でオーディションに行って、合格、加入することになったんですよね。実際、入ってみてすぐに溶け込めました?

ミチバヤシ : 最初はずっとドッキリだと思っていて(笑)。でも、どうやら本当らしいってことがわかって、BiSっていうか「アイドルかあ」みたいに思っていました。

——じゃあ、最初は自分がBiSっていう感覚が持ちづらかった?

ミチバヤシ : そうですね。体験入学じゃないけど、そう感じがありました。

——体験入学から本入学に思えたのはいつぐらいのことなんですか?

ミチバヤシ : いつですかね…。ユケ(ナカヤマユキコ)さんのパートを自分の声で録音したものを聴いてから、「やってるんだな、BiS」って思うようになった気がします。

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——じゃあアルバム『IDOL is DEAD』のときくらいですね。そのときには、就活があるからBiSは続けないみたいなことも言ってましたよね。

ミチバヤシ : それは、オーディションのときから言っていて。「ああ、はい。いいですよ」みたいな感じで渡辺(淳之介)さんに言われたからBiSに入ったんです。

——なんで、そこまでかたくなにアイドルを続けようとしないんですか。

ミチバヤシ : 理想のアイドル像が自分の中にあって、ずっとアイドルではいたくないんですよ。「アイドルは20代前半までだろう」ってイメージがあるから。

——アイドル像がちゃんと自分の中にあるんですね。

ミチバヤシ : もちろん、いまは年齢が高めのアイドルさんもいっぱいいるじゃないですか。それが悪いって言ってるんじゃなくて、そういう人はそういう人でちゃんと確立していて、かわいくて、きらきらしているって思うんです。でも自分はどうしても若い間だけってイメージがあるから、それは破れないというか。

——じゃあ、ミッチェルはアイドルをやめたら、どういう仕事をしていきたいんですか?

ミチバヤシ : アイスが好きだからアイス屋さんで働くとか、本が好きだから本屋さんで働くとか、好きなものに囲まれていたいんですよね。バイトで接客が楽しかったから、接客できるお仕事がいいなと思って。いまも人前に出るのは苦手なので。

——ずっと人前にいるじゃないですか(笑)。

ミチバヤシ : でも表に出るのは慣れないです。

——そうなんですね。でも、いまから毎日事務作業とかできますか?

ミチバヤシ : 一生懸命働きます!! 元々本屋さんのレジを毎日打ち続けたりしていたし、アイス屋さんも6時間1人ぼっちでただ立ってるだけでも大丈夫だったから、多分大丈夫だと思います。

——体力勝負みたいなところもあるから、肉体的にも大変じゃないですか。

ミチバヤシ : そうですよね。レジで、クレジットの明細と一緒に指を止めちゃったことがあって。でも接客中だから無言で針を抜いて「お待たせしましたー」とか言って。

——そういうところはプロフェッショナルなんですね。普通だったらそこまで落ち着いてできないと思いますよ。BiSで活動しているときも、緊張してる感じとかはみせないから、ミッチェルなりのプロ意識を持っているんだなと思いますし。

ミチバヤシ : BiSは裏側を見せるアイドルだけど、アイドルはやっぱり夢とか希望とかを与えるものだと思うので、あまり落ち込んでいる姿とかを見せたくないって考えています。

——でも、その理想像は若いうちしかできないんですよね。

ミチバヤシ : そうなんです。やっぱり嫌でも崩れてくるじゃないですか(笑)。

——(笑)。例えば山口百恵みたいな引退の仕方もあると思うんですけど、ミッチェルの中の理想の引き際はどういうものなんでしょう?

ミチバヤシ : こっそり辞めたいです。「じゃ、この辺で失礼しまーす!」って。「普通の女の子に戻りまーす」って去っていきたいです。理由とかもあんまり明かさずに、ポンッて。

——最近ブログをちゃんと更新するようになって、自分が引っ張っていく意識がでてきたのかなって思ったんですけど。

ミチバヤシ : 思ってない～(笑)。

——思ってないんだ(笑)。

ミチバヤシ : よく言われるんですよ、最近。「ミッチェルが頑張ってる」じゃないけど、そういうこと。

——2012年10月以降のメンバー内抗争では、ミッチェルが潤滑油になっていたって思っていたんですけど、それはどうですか。

ミチバヤシ : それもよく言われるんですけど、そんなに大変だった感じもなくて。大変だったのかもしれないけど、あまり気付いてなかったのかな。

——抱え込んでた感じではなかったんですか?

ミチバヤシ : 私はプーちゃんのことも好きだし、のんちゃんもユフちゃんもワッキーも好きだから、みんなが喧嘩しているからどうとか、そんなになかったです。でも現場の空気はすごいピリピリしてて、それが怖かった記憶はあります。意識して気を使うみたいのはなかったかな。

——あのときはミッチェルがいてよかったねって、僕の周りの関係者はみんな言っていました。それと同時に、ミッチェルまで体調崩したらどうしようって。

ミチバヤシ : 心の荒れがあんまり体調に出ないんで大丈夫です(笑)。

最後は笑顔で送りたかったから、泣かなかったです

——同じタイミングでBiSに入ったワッキーが脱退したのは気持ち的にどうでした?

ミチバヤシ : さみしかったです。けど、ワッキーが体調悪かったのもずっと見ていたので、BiSを辞めることでワッキーが元気になるならそれでいいかなって。

——100kmマラソンの後とか、結構しんどそうでしたもんね。

ミチバヤシ : そうですね。ワッキーはずっと辞めたくないって言ってて。でも辞めることを決めたから、辞めないでとも言えなくて。本当は絶対辞めて欲しくないんですけど、そうは言えないから複雑でした。

——国技館がワッキーの最後のステージでしたけど、思い切ってできましたか?

ミチバヤシ : その前の日に渋谷Gladで発売イベントがあって、そのときに私すっごい泣いちゃって。そこで泣きつくしたし、最後は笑顔で送りたかったから、泣かなかったです。

——前日のGladでは、翌日ワッキーが抜けちゃうことの実感が湧いてきたんですか?

ミチバヤシ : そうです。「hide out cut」や「Yell!!」っていう、ワッキーが真ん中の曲をやったんですけど、急に最後なんだって思ってさみしくなっちゃって。握手のときからもうずっと泣いてて。それだけ泣いたし、国技館は大丈夫かなって。

——前日にそういうことがあったのは、かえってよかったんですね。

ミチバヤシ : でもステージ袖に戻った瞬間にすごい泣いちゃって。メイクさんに化粧が直せないって言われました。

——「hide out cut」の振り付けもストーリーっぽくなってて、ミッチェルがワッキーに一番近いポジションの役をしていましたもんね。

ミチバヤシ : そうです。二丁ハロさんが考えてくれたんですけど、さすがだなって。

——切ないというか、すごいドラマがありましたよね。その後に「レリビ」をやって、開場内を走っていったけど、あのときはどうでした?

ミチバヤシ : めっちゃ楽しかったです。柵を壊して中に入ろうとしたんですけど、めっちゃ固く押さえられてて。仲のいい研究員さんはダイヴをすると思ったらしくて、「そんなことしちゃだめ! 」みたいにめっちゃ止められて。だから、「どいて! 」って言ってめっちゃ走っていって、椅子に飛び移ろうと思ったら意外と広くて飛び移れなくて。行ったり来たりしかできなくてしょんぼりしました。

——(笑)。あのときは、みんな思い思いの場所に走っていったから、開放感みたいな感じがありましたよね。でも、終わったあとは、楽屋で放心状態になってましたね。

ミチバヤシ : そうですね。とりあえず泣いてました。

——もちろん国技館をやり終えた達成感があったと思うんですけど、終わったときはどういう気持ちでしたか?

ミチバヤシ : ワッキーがいなくなるっていうのが一番悲しくて。ずっと泣いてました。

——そこからBiSが4人でやっていく気持ちにはすぐ切り替えられたんですか?

ミチバヤシ : 正直、ワッキーがお休みだった時期が長かったから、ずっとではないけど今日から4人かってことは覚悟していて。でも振り付けを直してるときに本当に4人なんだって思ってさみしくなりました。

——5人の時期が長かったですもんね。5月末にはユフちゃんが脱退することになりました。そのことについてはどう感じていますか。

ミチバヤシ : でかいなーと思います。

——BiSの歌とダンスを引っ張っていく中心的存在でしたからね。

ミチバヤシ : だから不安もあります。でも、ユフちゃんはしっかりしてるので、それが正しいんだろうって思いますね。

新メンバーにとって居心地のいいBiSにしたい

——新メンバーが入ることに対してはどういう気持ちですか?

ミチバヤシ : 不安です。「何でミチバヤシさん1年経ってるのにそんなにできないんですか」って言われたらどうしようって。

——いきなりそんなこと言う後輩いますか(笑)?

ミチバヤシ : 「ミチバヤシさん下手なんで私が歌います」って言われて、歌割りも変更になったらどうしようって(笑)。

——あははは。1年やってきたのに、自分の歌とかダンスに自信はないんですか?

ミチバヤシ : 最初の頃よりはよくなったってみんな言ってくださるので、きっとそうなんだろうなとは思うんですけど。でもやっぱり歌は下手なので、あんまり歌いたくないなって思います。

——最初の頃はやる気ないとかって言われてたりもしたけど、最初と比べてステージに立つ気持ちは変わりましたか?

ミチバヤシ : あんまり変わってない（笑)。

——そういえばお父さんにBiSで活動しているのは内緒って話でしたよね? さすがにもうばれたんじゃないですか?

ミチバヤシ : ばれちゃいました。お母さんには、「オーディションに行ったら受かっちゃって次が面接だよ」とか相談してたんですけど、お父さんは反対するだろうと思ってずっと言わなかったんです。でも、TSUTAYAに置いてあるBiSのCDを見ちゃったらしくて。

——それで見つかったんですね（笑)。何て言われたんですか?

ミチバヤシ : 直接言ってこなくて、ママに「リオのCD置いてあったけど」みたいな感じで言ってて（笑)! でもそれで終わりで、頑張ってるな、みたいな。

——じゃあちゃんと認めてくれたんですね。

ミチバヤシ : 認めてくれたのか、やめろと言えないのか分かんないんですけど。

——そのこと言って直接話したりは?

ミチバヤシ : してない（笑)。

——これだけ研究員の人がついてきてBiSも大きくなって、BiSの活動もあって就活もしなきゃっていうのは難しくないですか?

ミチバヤシ : そうなんです。なんか忙しいぞ!? と思って。単位がやばいから学校も行かなきゃいけないし、就活は絞ってやるしかないなと思ってます。最悪、研究員さんに手伝ってもらって就職するしかない(笑)。

——研究員さん色んな人いますもんね(笑)。でも例えば、今年就職が決まって2014年の4月から働くとするじゃないですか。2014年の8月に武道館決まりました、ってなったらどうするんですか?

ミチバヤシ : え、それは困りましたね。どうしよう…。できますかね。「今日はライヴがあるので定時で上がらせてください」って感じですかね(笑)。

——ブレないですね(笑)。

ミチバヤシ : そうですね。それだけは。

——じゃあ、これから新メンバーが入って、BiSはどうなってくと思いますか?

ミチバヤシ : 審査員をさせてもらったんですけど、みんなかわいいんですよ。歌が上手い子もいっぱい来てて。でも、やっぱりBiSだから変な子ばっかりで。いい感じだなーと思います。

——今度はミッチェル先輩として、色々教えてあげたりしないとですね。

ミチバヤシ : はい。どうしよう、何もできないかも…。

——今日の話を聞いてたら、ミッチェルは言葉とかよりも自分の行動で見せるタイプなのかなって思いました。

ミチバヤシ : いやいやいや、全然ですよ。意識が低いから。今日もお菓子いっぱい食べてから来ちゃったし(笑)。

——あははは。これからBiSは生まれ変わって進んでいくわけだけど、ミッチェルの個人的な目標を教えてください。

ミチバヤシ : そうですね。最近ちょっと太ったので痩せたいなっていうのと、変わらず楽しくやっていきたいなっていうのと、新メンバーが入るので歌割りを取られないようにがんばりたいです!! あとは新メンバーさんにとって居心地のいいBiSにしたいですね。研究員さんも色々立て続けで大変だと思うので、研究員さんたちにとっても居心地のいいBiSにしたいです。楽しいのが1番好きなので。

（取材 : 2013年4月25日つばさレコーズにて）

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BiSプロフィール

プー・ルイ
BiSのリーダー兼ヨゴレ担当。現在女子大学3年生。中学時代からバンド活動を開始。2009年11月4日に第4回レコチョク新人杯に「限られた時間の中で☆」が最終ノミネートされソロでデビュー。2010年6月23日に自身のファースト・ミニ・アルバム「みんなのプー・ルイ」をリリース。

ヒラノノゾミ
秋田出身。きりたんぽうめえよ。秋田のことなめたらのんのんのん。BiSのマイペース担当。現在のアンダー・グラウンドな音楽情報を貪欲に集めるサブカル・ガール。好きな音楽は神聖かまってちゃん、黒猫チェルシー、FALL OUT BOYとロック、オルタナティブに造詣が深い。また、K−popとMadonnaも好き。

テラシマユフ
BiSの優等生担当。トップ私立大学在籍の才女。スタッフ間ではなぜBiSに入ったのか疑問の声も多い。歌唱力は抜群。ダンス歴も長く、今後の活躍に期待が持たれる。

ミッチェル
キモイ担当。座右の銘は「可愛い女の子が～大好き! きもミッチェル♪! BiSのキモい担当ミッチェルことミチバヤシリオです」。

ジュンジュン
BiSのマネージャー担当。座右の銘は「だめなこと、きてれつなことにパンチするんだ! BiSのマネージャー担当じゅんじゅんこと、わたなべじゅんのすけです」。

BiS Official Web