時代を表現するためのパラレル・ワールドーーControversial Spark、メンバー5人全員の作曲によるミニ・アルバムを先行ハイレゾ配信
20代から60代まで世代を越えたメンバーで構成されたロック・バンド、Controversial Sparkがミニ・アルバムを完成させた。ムーンライダーズの鈴木慶一、元カーネーションで"MUSEMENT"や数多くのセッションもこなすドラムの矢部浩志、図書館のメンバーとしても活動するギタリストの近藤研二、The Uranusや様々なサポートでも活動するベースの岩崎なおみ、超大陸パンゲアでの活躍もめざましいヴォーカルkonore。そんな5人のメンバーがそれぞれ1曲ずつ作曲したという本作は、バンドの「今」を反映し、早くもバンドの新境地に達した内容となっている。本作をCDに先駆け1週間先行ハイレゾ配信。また、The Uranus、超大陸パンゲアの音源も一斉配信スタート!! 鈴木慶一、konore、岩崎なおみへのインタヴューとともにじっくりご堪能ください。
9月2日リリースのミニ・アルバムを1週間先行ハイレゾ配信スタート
Controversial Spark / Angels of a Feather
【配信価格】
ALAC / FLAC / WAV(24bit/48kHz)、AAC : 1,000円(税込)(単曲は各199円)
※ファイル形式について
※ハイレゾとは?
【Track List】
1. 眠る人 (作詞 : 鈴木慶一 / 作曲 : 近藤研二)
2. ランプ (作詞 konore / 作曲: 矢部浩志)
3. Dear my friend (作詞・作曲 : 岩崎なおみ)
4. キャスケット (作詞・作曲 : konore)
5. フリーウェイ (作詞・作曲 : 鈴木慶一)
INTERVIEW : 鈴木慶一、konore、岩崎なおみ(Controversial Spark)
表現物には、作り手の意識に関係せずとも時代が反映されるものである。そのなかにおいて鈴木慶一がフロントマンを務めてきたムーンライダーズは、いち早くシンセサイザーやニュー・ウェイヴを取り入れるなど積極的に時代を反映し、むしろその一歩先を予見してきたバンドであった。現在2015年、ムーンライダーズは無期限活動休止中であり、時代と音楽が寝るような関係はもはや成立しないのではないかと、筆者は思ってしまったものだ。だからこそ、鈴木慶一が世代を越えたメンバーとともに活動しているバンド、Controversial Sparkが、どう時代と付き合っているのかには大きな興味を持っていた。なんと本作では、メンバー全員が1曲ずつ楽曲を書いている。その姿勢は「メンバー全員がプレイヤーでもあり、作曲もできるバンドでありたい」というムーンライダーズのあり方とも重なるではないか。果たして、Controversial Sparkは2015年という時代をバンドにどう取り入れているのか。その関係性に、5曲が生まれた背景とともに迫った。
インタヴュー & 文 : 西澤裕郎
写真 : 大橋祐希
みんなで「エンジェル」をイメージして曲を作ってみようって
ーー今作『Angels of a Feather』は、メンバー全員が1曲ずつ作曲していますよね。これって慶一さんがムーンライダーズで目指していた「メンバー全員がプレイヤーでもあり、作曲もできるバンドでありたい」って感覚に近いんじゃないですか?
鈴木慶一(以下、慶一) : 結果的にそうかもしれない。誰か1人が作った曲をkonoreが歌うってことではなくて、みんな曲を作れるんだったら作った方がいいじゃんってことだよね。ちょうどアルバムが出てから間があったし、ミニ・アルバムだったら、わりとさっと作れるかなと思って1人1曲ずつ作って5曲入りになった。
ーーたしかに5曲って、ちょうどいいヴォリューム感ですよね。5人別々で楽曲を作るにあたって、決めたテーマはありましたか。
慶一 : 今回、なんで『Angels of a Feather』っていうタイトルになったのかというと、近藤(研二)くんが学生の頃初めて作った曲が「エンジェル」っていう曲で、それを聞いて、みんなで「エンジェル」をイメージして曲を作ってみようってことで始まったの。他愛もないって言っちゃ失礼だけど、ちょっとしたきっかけですよね。
ーーそうだったんですね(笑)。1曲ずつ話を訊いていきたいのですが、konoreさんの楽曲「キャスケット」は、どういうことを意識して書かれた曲なんですか?
konore : 曲調としてはノリのよさを意識して書いたんですけど、タイトルで他の曲とバランスをとろうとした曲ですね。英語でキャスケットは棺っていう意味があるんです。このアルバムは、なんとなく生死にまつわる歌詞が多いので、この曲の場合は最終的に楽しく人生終わりたいっていう感じでつけました(笑)。
慶一 : タイトルが棺桶になることによって、その真意が分かるよね(笑)。
ーー「キャスケット」は、僕の持っていたControversial Sparkの本質を感じる曲というか、いわゆるスリー・ギターの面白味を感じた曲だなと思ったんですよ。
konore : 確かにこの曲はなるべく制約を作らずメンバー全員で作り上げたので、フレーズや音作りなど、セッション的な部分が多く含まれていますね。そういうのはたしかに「っぽい」かもしれないですけど、私は慶一さんの曲がやっぱりコンスパの核にきているような気がしますね。
慶一 : でも、この曲のギター3本の絡みはすごい考えぬいたよ。最初に2本の絡みがあって、3本目をどうやって加えるかってところをね。私の曲(「軒先エンジェル」)も一応ギターは3本なんだけど、2本が基本にあって途中で12弦ギターが入ってくる感じ。岩崎さんの曲(「Dear my friend」)もそうだね。近藤くんの曲は1本プラスワンで、konoreがハンドマイクで歌うイメージだから、ギターは持っていないイメージで作っているしね。
ーートリプル・ギターとなると、3本のギターが主張を持ってガツガツ絡みあうようなイメージがあるんですけど、コンスパの絡み合いは空間を上手く練っていくというか。
慶一 : この間のフジロックで観て思ったんだけど、3本のギターでガツガツいくと、FOO FIGHTERSみたいになるんだよ(笑)。Controversial Sparkの場合は、例えて言えば、Moby Grapeとかがやっていたことを違うパターンでやっている感じ。
ーー岩崎さんの楽曲「Dear my friend」は、どのように作られたんでしょう。
岩崎なおみ(以下、岩崎) : 2曲作ったんですけど、慶一さんが選んでくれた楽曲に歌詞を書いたんです。その頃、私の友人が事故で亡くなってしまって、追悼の意を込めた歌詞を書こうと思って。友人がウクライナ人なので、日本語で書いても彼に通じないから英語で書こうと思い、初めて英語の歌詞に挑戦したんです。
ーーこれはコーラス・ワークが特徴的な楽曲ですね。
岩崎 : 前からコーラス・ワークを複雑にしたいっていうことは頭の中では思っていて。慶一さんに「ソロとコンスパでどういう曲の振り分けをしてるんですか?」って訊いたとき、ヴォーカルを3人いれるかどうかで決めているってことを聞いたんです。今回は3人がメインじゃないけど、ママス&パパスとか、ああいうふうにがっつりコーラスが入っている曲を作ってみたくて挑戦しました。
ーー(笑)。先ほどギターの絡み合いの話をしましたけど、声が3種類絡み合わさる上では、どういうふうに構成していくんですか?
慶一 : 声の絡み方としては、岩崎さんの曲みたいに複雑な断片でできているもの、私の曲みたいに女性と男性が掛け合うみたいなもの、それとkonoreが歌っているパートのどこかを強調したい時に私が歌うみたいな感じで組み合わせていきます。この2人(konoreと岩崎)の声は、本当に奇跡的だと前から思っていて、重ねるとすごく、いいんだよ。声の質感も似ている。ギター3本 + リズム・セクションも面白いけど、コーラスでの歌の歌い分けも、実に面白いと思います。
ーーたしかに「Dear My Friend」は、岩崎さんとkonoreさんのどちらがメインで歌ってるのか判断がつかなかった部分もありました。
岩崎 : これ、本当はメインをkonoreに歌って欲しかったんですよ。だけど、歌詞も英詞だし、ちょっと申し訳ないなって(笑)。本当は慶一さんとどっちにしようかなって悩んでたところもあったんだけど。
鈴木慶一率いるっていうイメージがなくなるところまでいかないといけない
ーーそういえば、今作では慶一さんはメイン・ヴォーカルをほとんど務めてないですよね。
慶一 : いろいろ試行錯誤するなかで、ステージではkonoreが真ん中にいて、私と研ちゃんは端にいるっていうフォーメーションに落ち着きつつあるんだよね。konoreがハンドマイクで歌うとか、そういうこともしていて(笑)。前も言ったかもしれないけど、鈴木慶一率いるっていうイメージがなくなるところまでいかないといけないなって思います。konore率いる(Controversial Spark)に見えてもいいよね(笑)。
konore : ええ~(笑)。
ーーkonoreさんは、コンスパの中心で歌っているんだって自覚はありますか?
konore : 最初はもちろん全然なかった… って言っていいのかな(笑)? 正直、状況についていくのが精一杯なところが最初はあったんですけど、立ち位置が真ん中になってから半年以上経つので。そんなに気負ってやるバンドでもないっていうのもおかしいんですけど、20代から60代のメンバーっていう変わった構成の楽しさ自体を、私が表現するのががいいんだろうなと思ってやっています。
慶一 : konoreがフロント・ウーマンとして牽引していくってことは、別に強烈に考えなくてもいいんだけど、konoreが真ん中にいるぞっていうことが重要なんだよね。ライヴでも最後はkonoreだけで終わるとか、「Controversial Spark」って言うとか、フロント・ウーマンがいるぞって言うのを示していきたい。最初からそう思ってたんですけど、それを他の4人が明確にするというか。私が真ん中にいて、konoreがいてっていうよりも、私が端にいてっていうそういう形だね。
ーー前作のアルバム・ジャケットも慶一さんは後ろのほうにいましたよね(笑)。
慶一 : あのフル・アルバムは、男性は後ろ、女性は前でしょ? ムーンライダーズではフロントにいたので、フロント疲れしているんだよ(笑)。本来は横で弾いてるのが好きなんです。裏で支える番長みたいな感じ(笑)。
ーー(笑)。3人ともControversial Sparkがありつつ、他のプロジェクトもある訳じゃないですか? 例えば、岩崎さんはThe Uranus(以下、ユレイナス)の楽曲制作と、コンスパの楽曲制作は別なものって意識はありますか?
岩崎 : まったく違いますね。ユレイナスは完全に家内制手工業なので、リーダーの八橋(義幸)さんがエンジニア業もこなしているんです。自分たちでドラムのマイキングもして、ベースのライン機材とかをリハスタに持ち込んで、ベースとドラムを同時に録っています。八橋さんはエンジニア業をやらないといけないので、後からギターを足すって感じで。そうなるとスケジュール的には時間をかけて、ある程度曲が溜まったら出そっかみたいな感じ。コンスパはタイトにがっつりレコーディングします。
The Uranusの音源を一斉配信スタート!!
【配信価格】
ALAC / FLAC / WAV、AAC、mp3 : 各1,080円(税込)(単曲は各216円)
The Uranus(ジ・ユレイナス)
ギタリスト八橋義幸が2008年アイルランド留学を機に、ベーシスト岩崎なおみ(Controversial Spark)、ドラマー西野真純とともにThe Uranus(ジ・ユレイナス)を結成。美しい英詞とメロディックかつノイジーな楽曲。その世界観が「カナダやイギリスのサッドコア・バンドのよう」と多くのミュージシャンも絶賛。これまで『Iron Age』(08年)、『Nord』(12年)、『Till It Becomes Ruins』(12年)、『Twist, Shout a Chant』(13年)と4作のミニ・アルバムを発表。2014年、アンビエント・ノイズをコンセプトとした『Fall Down』、ソリッドなロック・バンド・サウンドを コンセプトとした『Carve It In The Stone』と2作の作品ををほぼ同時にリリース。トリオによるバンド・ライヴに加え、ゲストを迎えてのコラボ・ライヴや、特別編成のUranus Unitedによるライヴも展開している。
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慶一 : そもそも人数が違うからね。5人いれば、アルバム・ジャケットにしろ、5種類の考え方がある。そこを上手く活用するというか、5者5様の音楽性っていうのがあると思うんだよね。それを1つのバンドのサウンドとして取り込んでいく。そこが大きく違うんだと思う。エンジニアの原口さんが後でいろんな細工をするので、それを期待して待ってるっていうのもあるし。顔を合わせているなかで、意見も違ってくるし。2人のユニットだと、「これ違うんじゃない?」「そうかな」「じゃあ違うのかもしれないな」って、わりと簡単なんだよね。5人いると時間はかかる。
ーーkonoreさんのやっている超大陸パンゲアも作曲方法は違いますか?
konore : 全然違いますね。パンゲアだと、私は基本的に歌詞だけを書いていて。今回新しく出す音源では1部の曲は書いているんですけど、基本的には福永(健人)が曲も全部書いて、歌詞を私が後からつけるみたいな感じでやっていますね。
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超大陸パンゲア
konore (Controversial Spark / the rooms)、福永健人 (airezias) による音楽ユニット。エレキ・ギター、12弦アコースティック・ギター、マンドリン、ラップハープ、アナログ・トイ・シンセ、ルーパー、パーカッションなどを使用しつつ、男女混声のポップスを歌う。2012年末、互いのバンドのカバー曲を主とした初ライヴを敢行。半年を経て、作詞をkonore、作曲を福永が担当する形でオリジナル曲の制作をはじめる。近代文学~インターネット、ケルト~ジュークまで、あらゆる表現に興味を行き渡らせる2人によって、多様で奔放な作品が生み出され続ける。現在、ライヴ会場または通販にて4曲入りEP『01』を発売中。
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ーー慶一さんは、それぞれの活動がコンスパにも反映されたり相互作用が起こることを狙って、ユニットとコンスパを同時並行で走らせるって部分もあるんですか?
慶一 : そうだね。バンドは5人なので、着地する場所を見つけないといけない。それを相当考えているってことでしょうね。こっちの曲がいいんじゃないかとか、いろいろ言ったりしながら、あとはみなさんに任せている。
ーーそれは、鈴木慶一プロデュースとはまた違うんですよね?
慶一 : 私がプロデュースだったらもっと言うだろうし、もっと録音が早く終わってるかもしれない(笑)。だから、それは違うよね。私はバンドのメンバーなんで。
何も込めないよ。でも、部分には込める
ーー慶一さんの楽曲「軒先エンジェル」は、konoreさん曰く、1番コンスパっぽい楽曲ということでしたが。
慶一 : デモを作るにあたって、コンスパ用のセットがあるの。ギターが3本、つまりソフト・シンセのギターが3本、ドラムン・ベース、これだけしかない。トラック数がめちゃくちゃ少ないの(笑)。通常は20、30とかいくんだけど、ドラム、ベース、ギターで5つしかトラックがないんだよね。これで組み合わせていくから新鮮。ギターのフレーズは、ギターを弾かずに考えないでキーボードで考えている。だから変なフレーズになるんだよね(笑)。弾く人は、やりにくくてしょうがないっていうんだけど、それを噛み砕いて自分のやりやすいフレーズにしてくださいって。そういうふうに作っているんで、まったく作り方が違うの。
ーーある程度、手癖を消すためにギターを弾かないってところもあるんですか。
慶一 : 私の手癖が出ると嫌なんですよ。だって、私が弾かないパートもあるわけじゃない? 近藤くんとkonoreが弾くパートもあるから、敢えて手癖は出さないようにしている。みんなの作ってくるデモにギターが入ってるじゃない? それがデモなのにすごくいいんだよ(笑)。それを超えるのはちょっと大変。私もサンプリングされたギターの音である程度イメージを作って、それをメンバーにお聴かせするんだけど、最近のギターのソフトはよくできてるからさ。もちろん、曲を作る時にいろんな元はあるよ。今回の曲は、あえて言うならばリンディスファーンの「レディ・エレノア」だね。
岩崎 : バラしちゃっていいんですか(笑)?
慶一 : 全然似てないからいいよ。僕が若い時に渋谷でよくかかってたんだよね。リンディスファーンはイギリスのバンドだけど、あんまりイギリスっぽくもなくて、アメリカっぽくもなくて、そういうサウンドになったんですよね。
konore : その国籍不明感はコンスパに対していつも思いますね。
慶一 : まあそういうもんだよね。UKインディーズとかも、アメリカだかイギリスだか分からないもんね。モーターヘッドもイギリスのバンドだもんな。
ーー(笑)。近藤さんと矢部さんの楽曲に関してもお訊きしたいのですが、1曲目「眠る人」は、近藤さんが作曲、慶一さんが作詞です。
慶一 : 研ちゃんの曲はいい曲だよね。最初っから、ブラジルのなまったリズムが入っていたんだけど、それを聴いた時に、これはkonoreの反応待ちだぞと思って。
konore : 私がいない内に方向性は決まってましたね(笑)。
ーーこの曲は、新しいControversial Sparkを提示する楽曲だなと思いました。
慶一 : そう。だから1曲目なんだよ。で、過去を踏襲している曲が最後なの。普通にどんどん新しいことするんだけど、私はあえて狭いところで何か新しいことはないかなって探してる感じもあるね。他の人が新しいことしてくれるから。根幹というか、これってControversial Spark的だよね? って何かを作っとければいいんじゃないかと思うんだよね。そこから飛び散ってもControversial Spak的になるから。
ーーアレンジは最初の段階から大きく変わりましたか?
慶一 : 研ちゃんの曲はあまり変わらないね。私のスペーシーなギターが入ったのと、逆回転を使ったりはしたけど。
konore : リズムループで、ハットのッタッタッタカッっていうところが、かっこいいんですよね。
ーー「ランプ」は矢部さんが作曲で、konoreさんが作詞をしていますね。
慶一 : これ、実はすごく古いデモで、最初からあったんですよ。メロディはついてなかったんですけど、いいコード進行だなと思っていて。あの曲、コード進行がすごくいいからメロディーつけてみませんか、ってところで始めたんだよね。今回のために書き下ろした訳ではないんだけど、そんな曲がまだ数々あるんだよね。
ーー今作の歌詞に関していうと「軒先エンジェル」は、すごく示唆的なワードが散りばめられています。全体として主張やメッセージが込めたりしているんですか?
慶一 : 何も込めないよ。でも、部分には込める。例えば「機体」って出てくるけど、これなんだろって思うと思うのね。とっ散らかっている点在するイメージを各々でまとめてくれればいいやって(笑)。そのへん、konoreの歌詞のぶっ飛び方を聴いて、私も「よし、やるぞ!」と思って。konoreの歌詞も、ひょっとしたら私と同じように、時間軸を飛び越えるものを1曲に詰め込んでるのではないかと思います。
こんだけ世代が分散してるって、パラレル以外なにものでもないでしょ?
ーームーンライダーズの時もそうでしたけど、慶一さんは時代に寄り添いながら音楽を作ってこられたと思うんですね。ただ、現在って、新しいものを更新してくっていうよりも、どんどん細分化してるようなところがあるので、時代に寄り添っていくのって難しいような気もするんですよ。Controversial Sparkをやる上でも時代と付き合いながら曲を作ろうとされている部分はありますか。
慶一 : それはあるね。時代と一緒に流れてきたんだけど、それがわかりやすく出る場合と出ない場合はあると思うんだよ。No Lie-Senseだと企画性が強いので、今作ってるのも1964年をテーマにしていたり、コンセプチュアルなものはあると思う。今ソロでやってるのもある程度そういうテーマはあるよ。それじゃあこのバンドで何をするか? って時に、この2人が作る歌詞は私にとって非常に新鮮なんだよ。私がすごくデタラメに書いていっても、「前に使った言葉きちゃったよ」みたいなものがない。そこが非常にいいなと思って。それこそ、彼女らの時代なんじゃないかと思うわけだ。それと同時に、私の時代はパラレルにある訳だよ。こんだけ世代が分散してるって、パラレル以外なにものでもないでしょ? konoreの23歳の見てる景色と、63歳の見てる景色と、岩崎さんの…(笑)。見てる景色は違うの。
岩崎 : なんでボカしたんですか(笑)!!
一同 : (笑)。
慶一 : あのテレビ番組面白かったよねが通じないんだよね。ムーンライダーズだったら、ちびっ子ギャングみたいな感じでいこうみたいに言えるんだけど、そういうのがない。この新鮮さこそ、パラレルな5人5様の今を生きる感じなんじゃないかな。
ーーたしかにそれはおもしろい視点ですね。
慶一 : 今回のアルバムはミディアムな曲が多くて、1曲目にいきなりあれ!? って思うような作りにはなってるわけだよね。これが時代性っていうものなのかなって。どんどんサウンドも変わっていくし、5人聴いてる音楽違うと思うし、なんでこの5人がバンドやってるのかっていう意味。各々ユニットがあったりして、別のところで濃密な時間を過ごしていると思うんだよ。それを前提にコンスパでは、人数が多くて密集してるんだけど、風通しがいい、そんなパラレル・ワールドができればと思っています。
ーーすごく腑に落ちる話でした。慶一さんがコンスパをやっている本質の部分が垣間見えたというか。
慶一 : それが今のところ上手くいってるからね。あんまり作戦を細かく考えないこと。唯一の作戦はkonoreをセンターにするっていうことだけかな(笑)。
ーー今作を出して次の予定というか展開みたいなのは考えていますか?
慶一 : 年内はライヴが中心だね。今回の曲をライヴでやる時に、また形が変わると思う。音源通りに演奏しなければならないっていう気持ちが私にはないんで。むしろ、リハーサルで思いついたフレーズの方がよかったりするんだよね。だから今のライヴを見てくれよって思うよ。曲のアレンジメントが変わってるぞって。それでこそバンドな感じだよなって思いますけどね。
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PROFILE
Controversial Spark
メンバーはムーンライダーズの鈴木慶一、元カーネーションで、自身のソロ・プロジェクト"MUSEMENT"でも作品を発表しつつ数多くのセッションもこなすドラムの矢部浩志、ギタリスト近藤研二、幅広いミュージシャンのサポート・ベーシストとして信頼を寄せられている岩崎なおみ。活動休止中のthe roomsでヴォーカルとギターを担当していたkonoreの5名。
2013年夏、7インチのe.p.リリースと、イベントWORLD HAPPINESSでのライヴでデヴューを果たした。その後、ミニ・アルバム、そして1st.フル・アルバムのリリースを経て、今回、5曲入りのミニ・アルバム『Angels of a Feather』を発表する。
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