
2nd album『_』より約2年4ヶ月ぶりの3rd album『DAY』が完成した。今作には縦横無尽のポップ・ソング「STORY」、ライヴの定番曲「KNUCKLE」など、今まで以上に多種多様な曲が収録され、全曲がシングル・カット可能なほどのクオリティーとなっている。今のgroup_inouの勢いを表現する一枚『DAY』を、最新PVと合わせて一緒に聞いてほしい! 今よりすこし気分を上げてくれるポップ・ソング群であることは、間違い無い。
group_inou / DAY
【TRACK LIST】
1. KNOCK / 2. CRISIS / 3. JUDGE / 4. ORIENTATION / 5. STORY / 6. KNUCKLE / 7. MONKEY / 8. KNIFE / 9. 9 / 10. CURTAIN
【販売価格】mp3、wav共に200円 / 2,000円
INTERVIEW
1年半前、group_inouに取材をしたとき、「今後やっていくことに関して不安はない」と、2人は自信を持って語ってくれた。急速に変わらないことに対しても、自分たちのやっていることに自信があるからこそ新しい要素を付け加えない、とも。つまり、彼らはすでにgroup_inouという文法を持っていたわけだ。その様は、小説家や漫画家のように感じられた。自分の文体や絵のタッチが定まっており、作品ごとにストーリーを作り上げていく。同じくgroup_inouというユニットも、自分たちの文法を使って、どれだけ作品を緻密に、そしてイマジナリーにしていくかが課題となっているように見受けられた。実際のところ、今作に関しても、大きな実験が行われているわけではない。その分、細微にわたり、2人のユーモアや想像力が行き渡っている。それは、今までにも増してキャッチーで、ジワジワと聴き手の熱をあげていく、group_inou節が強烈に効いた作品だった。この新しい作品を前に、group_inouの2人に再び話を聞いた。
インタビュー & 文 : 西澤裕郎
本当にまだまだ足りないなって(imai)
——前回、取材させていただいたとき、次やることに関しては全く悩んでないっておっしゃっていましたよね。それから一年半振りの取材になりますが、ペースにお変わりはないですか?
imai : そうですね、あんまり変わってないです(笑)。
——インタビューアーとしては、大きな変化があったって方が質問しやすいんですけどね(笑)。リキッドルームでのワンマンも拝見させていただいたんですけど、お客さんがパンパンで、お二人が思っている形でgroup_inouという活動をできている感じがしていて。
imai : そうですね、思ってる形でできていますね。
——前回も聞いたんですけど、group_inouって、自分たちの文法があった上で、新しいイマジネーションによって曲を生み出すグループだと思っているんですね。小説家とか漫画家さんに近い、いわゆる作家的なミュージシャンだと思っていて。今回の作品をつくるにあたって、テーマのようなものはあったんですか?
cp : テーマはなかったですね。だけど、一曲目「KNOCK」から最後の「CURTAIN」まで、自然とこの曲順になっていました。変えられないくらいバッチリだなと。
——僕の感じた印象として、最初っからアクセル全開で踏むっていうよりも、低血圧の人が朝からアッパーに盛り上がってく感じがしたんですけれど、そういう意識みたいなものってありましたか?
imai : いやー、けっこう一曲目からアクセル踏んでるつもりではあるんですけどね。一曲目「KNOCK」のあと、いきなり「CRISIS」ですから(笑)。
——cpさんはどうですか? 歌詞の面とか、歌をうたうことに対しての変化みたいなものはありますか。
cp : 微妙に変わってんのかな? ちょっと演歌調の曲があったりとか。

——僕の印象なんですけど、「CRISIS」はちょっと野猿っぽい感じのメロディーだなって感じました。
cp : 野猿?
imai : とんねるずの(笑)。
cp : あぁ! 懐かしいですね。そういうの入ってるんですかね? こぶしをきかせようってのは思ってたんですけど… 考えたことなかったなあ。
——メロディの感じとこぶしっぽいところが、そう聴こえたんです(笑)。ちなみに、今作『DAY』を作るにあたって、アルバムという意識は強くありましたか? さっき「曲順ももう変えられない」って仰ってたじゃないですか。
imai : 作りながら強く意識してたわけじゃないですけど、自分たちが好きで聴いてきたもののイメージとして、これくらいのサイズとパッケージでやるっていうのが染み付いてるので。
——僕もお二人と同世代なので、CDのパッケージというのは染み付いている感じはよくわかります。
imai : 自分がgroup_inouの3rdアルバムを聴くなら10曲で37分くらいがいいですから。
——さっきも話したんですけど、imaiさんは作家的なミュージシャンだと思ってるんですけど、例えばアイドルに楽曲提供したいというような気持ちはないですか?
imai : 話が来ておもしろそうだったら、やりたいですけど来ないですから(笑)。
——なんでアイドルの話をしたかっていうと、アイドルって、秋葉っぽいとか、可愛らしいとか、イメージがあるじゃないですか。だから、そのイメージにそった曲が作れると思うんですね。そういう意味で、imaiさんがgroup_inouで曲をつくるにあたって、軸にしているような指針ってどこにあるんだろうなって。
imai : ああ、それは考えてなくて、考えてたら出来ないですね。曲やアルバムを作るときにコンセプトがなくても、そうやって作った方がよりまとまってるし、多くの人に面白いと思ってもらえるものになると思ってるんです。結果として、好きに作った曲じゃないとウケないんで。そうじゃない曲は作ったことないです。
——あと、ライヴの時は映像を使ってらっしゃいますよね。五円玉が左右に動いた動画とか、すごく印象が残っているんですけど、ああいう映像はご自分達の音楽を補完する要素として捉えてるんですか?
cp : あれはもうVJチームの人たちに投げっぱなしにしてるんで、特にこうしてほしいとかは言ってないですね。
imai : 大きな会場の時はVJ映えするんで、お願いしてる感じですね。それはジャケットにしても、VJにしても、PVにしても同じだと思うんですけど、うちは投げっぱなしなことが多いんです。元々自分たちが本気で好きだとかおもしろいと思った人にしか頼んでないんで、あまりこっちで考えてやってるっていう感じではないですね。
——ある意味、完全に役割分担っていうか、二人は音楽をするっていう。
imai : そうですね。
——前回お話聞いたときに、今やっている規模から小さくなることなくやっていきたいっておっしゃっていましたよね。
imai : 会場の規模というより、自分達の音楽がもっと沢山の人に知られなきゃおかしいだろって思ってますね。
——お客さんの数が増えたところでやると、気持ちにも違いはでてくるものですか?
imai : いや、ないです、ないです。小さいからって満足度が低いってこともなくて、良いライヴのときは小さくても大きくても全然関係ないんで。でかくても良くないときは良くないですし。環境が整ってたら、人自体が多いことはそんなに関係ないですね。

——音楽を始める理由としてビッグになりたいとか女の子にモテたいとかあると思うんですけど、お二人のいまのモチベーションとしてどこが一番強いですか?
imai : いや、ビッグになりたいですよ(笑)。ただ、いま言ったビッグになりたいとかモテたいとかいう感覚より、さっき言ったように、もっと知られなきゃおかしいって思いがあるんですよ。まだ聴いてさえもらえてない人がめちゃくちゃいるなってことを、色んなところに出れば出るほど感じるんで、その隙間を埋めたいですね。それが動機としては大きいかもしれないです。
——今度ツアーでワンマンで回るんですよね。新潟とか広島、岡山とか行かれますけど聞いてもらったときの反応が楽しみですね。
imai : そうですね。今回のジャケットは紙質もすごく良くて、デザインとか、PVもめちゃくちゃ力入れてるんで。アルバム・ジャケットにしても「これいーの? 」みたいなやつがたまにあるじゃないですか。
cp : あれでしょ、スーパーのチラシみたいな感じのやつ(笑)。
imai : そうそう。それはそれでネタになるんでいいんですけど。
——確かにありますけど(笑)。ただ、誰にでも作れるっていう敷居の低さみたいなのが良いって言う人もいるじゃないですか。そうじゃないぞっていうのは自負しているわけですよね。
imai : もちろん。ジャケットもめちゃくちゃ追い込んで作ってくれて、それが連鎖して、VJさんとか照明さんとかPAさんとかも、みんな楽しそうなんですよ。いたずらを仕掛ける感じっていうか。かつレベルが高いものが出来てるんで、もの凄くいい環境でできてると思います。ジャケットができたときってまだ音が完成してなかったんですけど、ジャケットが出来たことによって、背中を押されたところもあって、そういう化学反応みたいなものもある。うちらの場合は歌詞がそこで完結しちゃう歌詞ではないんで、聴く人ごとに思い入れもあるだろうし、音も「これだ! 」みたいにバキバキにきめ込まないようにしてるんで、多分お客さんともそういう化学反応があるんだと思います。全部がそういう風に回っていくのはいいなっていうのは昔から何となく描いてはいたんですけど、このアルバムで、けっこう結実してきたっていうか。本当にいい感じで、みんなの最高傑作が出揃ったって感じなんですよ。サウンド的にも、アート・ワーク的にも。
自然と曲を作っちゃいます(cp)
——group_inouって表にアーティスト写真とかで出てくるのは2人だけど、チームとして、かなり強固な結びつきがあるというか。それぞれがを納得させるようなライバル関係でもあるんですね。
imai : そうですね。
cp : 普段飲みに行ったりとかもしないですけど、どれだけ現場の能力があるかが軸にあるんで、そうなってますね。
——30歳くらいになると、結婚したり将来のことを考えて、辞める人と続ける人ってけっこうわかれてくると思うんですけど、お二人はそういうこと考えたりしたことありますか? 生活ともうちょっとバランスを取った形でやっていこうとか?
imai : 今もバランスは取れてますよ(笑)。
cp : いや、俺自然と曲を作っちゃいますよね。スーパー行って、帰ってきて。やることないんで作っちゃいますよね。
——なるほど(笑)。この前、これから先のことは全然心配していないって仰ってたんですけど、今の段階でこれからやってくことも見えてますか? やっていきたいことというか。
imai : とにかく、すごい作品ができたと思っているんで、僕らに興味がある人はもちろん、新しい音楽を探している人にも聴いてもらえるように頑張ろうと思います。はっきり言えないですけど、PVもすごいの作ってるんで、それも楽しみにしていただきつつ。
——group_inouとタメを張るようミュージシャンが出て来て欲しいって気持ちはありますか?
imai : いや、面白い人達はいると思います。最近ずっと2マンで対バンしてたんですけど、cero、チャットモンチー、モーモールルギャバン、みんなライヴすごかったですよ。なぜか、うちらの曲をカバーしてくれるっていう流れがあって、今回のアルバムだと「JUDGE」っていう曲をチャットモンチーがカバーしてくれたり、あと9mm Parabellum Bulletが「THERAPY」って曲をちょっとだけやってくれたりとか。でも、やっぱり世間的な認知度で言ったら、うちらはまだまだなので、そこのギャップを埋めたいなっていうのが、こういう取材受けたりだとかの原動力になってますね。
——それがもし、昇華されたらどうしますか?
imai : そしたら、取材とか一切やんないですね(笑)。
——取材させてくださいよ(笑)。でも、それが理想ですよね。
imai : 理想ですよ。それが健康的ですよね。いちいち口で説明しなくてもわかってもらえるものを作ろうと思ってるんで。聴いてわかってもらえなかったら、そこまでですよね。そういう気持ちで努力はしてます。
——そういう意味での根本にある自信は前回から変わってなくて、安心しました。これからも新しい作品を期待してます。
imai : はい、頑張ります。
——ありがとうございました。
LIVE INFORMATION
DAY release tour
2012年10月19日(金)@岡山CRAZYMAMA 2nd Room
2012年10月20日(土)@広島CaveBe
2012年10月21日(日)@福岡graf
2012年10月27日(土)札幌Sound Lab mole
2012年11月2日(金)@新潟CLUB RIVERST
2012年11月4日(日)@仙台enn 2nd
2012年11月9日(金)@名古屋CLUB QUATTRO
2012年11月11日(日)@梅田CLUB QUATTRO
2012年11月16日(金)@渋谷O-EAST
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あきれるほどにシティ、はじけるほどにポップ!! Illicit Tsuboi、堀込高樹(KIRINJI)、そしてEPOが参加! 豪華ゲスト陣!
PROFILE
group_inou
imai(TRACK)とcp(MC)からなるユニット。自らのレーベル「GAL(ギャル)」を立ち上げ、唯一無二の音楽性とライヴ・パフォーマンスで破竹の快進撃を展開中。国内外を問わず、あらゆるミュージシャンと共演し、世界規模のコンテスト「Diesel-U-Music Awards 2006」でJAPAN WINNERを獲得。「METAMORPHOSE」、「FUJI ROCK FESTIVAL」、「RUSH BALL」、「朝霧JAM」、「TAICOCLUB」、「ARABAKI ROCK FEST」、「RISING SUN ROCK FESTIVAL」、「COUNTDOWN JAPAN」等の大型フェスに出演。これまでに2枚のフル・アルバムを発表。いずれもロング・セールスを続けている。2012年4月、約2年ぶりとなる新曲を含む両A面シングル「MONKEY / JUDGE」をリリース。