宅録女子の“テクノ弾き語り”!?――AZUMA HITOMI、アルバム先行配信シングル「食わずぎらい」をリリース
小学校高学年より曲作りを始め、中学生でデスクトップ・ミュージック制作を開始、大学進学を機に本格的なライヴ活動をスタートさせたAZUMA HITOMI。ライヴではまるで要塞のような機材を操り、圧巻のパフォーマンスを魅せる。作り込まれたテクノ×ロック・サウンドに伸びやかな歌声が乗り、キュートな女の子がひとりで生み出しているとは思えないほどパワフルで、それでいて繊細。今回配信限定でリリースされるのは1stアルバム『フォトン』以来の新作となる、ニュー・アルバム先行シングル「食わずぎらい」。才能あふれるそのサウンドに耳を澄ませていただきたい。
AZUMA HITOMI / 食わずぎらい(24bit/48kHz)
【価格】
alac、flac、wav ともに 単曲 211円
【Track List】
1. 食わずぎらい
確実に大きなステップを踏むべきタームに突入しようとしている
AZUMA HITOMIの先行シングルが、ハイレゾで配信リリースされた。しかも、6月に予定されているニュー・ミニ・アルバムに向けてのシングルだという。ここ最近、矢野顕子のニュー・アルバム『飛ばしていくよ』に楽曲提供をしたり、これまで顔出ししていなかった素顔を公開したり、確実に大きなステップを踏むべきタームに突入しようとしている。そして「食わずぎらい」は、その気概を感じることのできる楽曲といえる。と同時に、これまで通り「歌」を伝えるという点に力を置かれた作品でもある。
そもそも、AZUMA HITOMIの作る音楽は、彼女特有のスタイルによって構成されている。打ち込みのリズム・トラックに、シンセサイザーと足弾きベースで肉体性を持たせ、しっかりと歌い上げる。そんな彼女を語るにあたって「宅録シンガー・ソング・ライター」という言葉が使われる。宅録というとロー・ファイでざらざらした音質を示すことが多いけれど、彼女が鳴らしているのはかなり作り込まれたハイ・ファイなエレクトロ・サウンドである。かといって、バリバリのダンス・ミュージックではなくて、リズムよりもシンセサイザーなどウワモノのほうが耳につくようにミックスされている。これもすべて「歌」を中心に考えて設計されているからと考えれば、なにも変ではない。
そんな彼女がうたう「歌」は、近年のインディペンデントで活動してきたシンガーとしては珍しいくらい飾り気がなく力強い。ボーイッシュな声質を飾ることなくストレートに歌い上げる。本作「食わずぎらい」においての聴きどころは、ラップのように言葉を詰め込みながら語る後半部分。畳み掛けるかのように言葉を紡いでいくAZUMAの声とトラックのバランスが見事なバランスで解け合っていく。その歌い方と歌詞の内容だけ切り取ってみれば少し重く感じてしまいそうだが、「歌」と彼女のサウンドが有機的に結びつくことが如実に伝わってくる。本作では「食わずぎらい」というテーマを中心に、その一線を超えてみないか? とドラマチックにささやきかける。その先にあるものの甘美さと怪しさが、そのサウンドとあいまって見事に世界観をつくりだし、聴き手をその世界へ没頭させてくれる。
今回のシングルをきっかけにリリースされる6月のミニ・アルバム、かなり期待できそうだ。彼女の「歌」がどこまで届いていくのか。どのような世界をつむぎだしてくれるのか、いまからとても楽しみである。
(text by 西澤裕郎)
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PROFILE
AZUMAHITOMI
1988年東京生まれ ソング・ライター / サウンド・クリエイター / シンガー
小学校高学年より楽曲作りを開始。中学生でシーケンス・ソフト「Logic」と出会い、アレンジからミックスまでひとりで行う、デスクトップ・レコーディングに目覚める。
大学(文学部文芸思想専修)進学後、ライヴを中心とした本格的な音楽活動をスタート。都内各ライヴハウスにて毎月数本のパフォーマンスを行い、ベッドルーム・ミュージシャンの枠に収まらない動きを見せてきた。
2010年12月、コアなファンを持つ先鋭的なネット配信レーベル「Maltine Records」よりオリジナル音源「無人島」と、芳川よしのによるリミックスを配信リリース。「新世代のポップ・ミュージック」として高い評価を得た。
2011年3月、TVアニメ「フラクタル」のオープニング・テーマ「ハリネズミ」をEPICレコードジャパンよりリリース、メジャー・デビュー。
2011年8月、2ndシングル「きらきら」をリリース。
2011年8月より2012年4月まで、USTREAMスタジオ 2.5D にて毎回ゲストを招いての自主企画イベント・ライヴ & USTREAM生放送「ひとりじっけんしつ」を定期的に開催。ゲストは歌人の枡野浩一、ダンサーのKENTARO!!、ミュージシャンの奥野真哉(SOUL FLOWER UNION)、藤井一彦(THE GROOVERS)、VJのonnacodomo。
2013年4月、1stアルバム『フォトン』をリリース。アルバム初回生産限定盤には、オリジナル・アルバムに収録された全13曲をそれぞれ異なるアーティストたちがリミックス、またはカヴァー、再構築した特典盤を同梱するというかつてない試みが行われた。()
また、一人で行うライヴ・パフォーマンスは、自らコントロールするLED照明システムに加え、Mac、アナログ・シンセ、ペダル鍵盤、全自動キック・マシーンなどの機材に囲まれ「要塞のよう」と評されるセッティングと共に、アコースティック色の強いものから強烈なダンス・ビート・ナンバーまで、振り幅の大きいステージングが話題を呼んでいる。
USTREAM 生放送番組(を放送中。(毎週木曜日23:00~)