ラッパーもバンドもDJもぐちゃぐちゃになればいい!!ーー33週連続リリース企画「Biff Sound」も4ヶ月目に突入、ジャンルの異なる3者が語る本音とは?

溶けてしまいそうな暑さが迫るなか、浦安にある秘密基地的スタジオ「Ice Cream Studio」でも、様々なアーティストが溶けるくらいぐっちゃぐちゃに混じり合っていく、セッション・レコーディングが行なわれていた。33週連続で音源をリリースする企画「Biff Sound」は、今月で4ヶ月目。はじめてこの地を訪れたときが極寒の雪の中だったことを考えると、月日の流れを感じざるをえない。そしてその間、一週も休むことなく、彼らはセッション・レコーディングを行い、週間少年漫画誌のようにすべてをリリース、月ごとに単行本的なコンピレーションも無料配信してきた。筆者である僕も毎月、このスタジオに足を運び、その移り変わりを感じてきた。
今回話を聞くことができたのは、ロック、ヒップホップ、DJという、ジャンルが異なる以下の3名。実験的インストゥルメンタル・ロック・バンド、sundelayのサイケデリック・ギタリスト、長塚大地。クリエイター集団兼音楽とデザインのレーベルchaplin productionを主宰するラッパー、mal da kid。そして、ぶっ飛んだセンスと、イルなスキルをあわせ持つDJ CLAMP5 a.k.a. wa5hei。ジャンルが違う3人に共通する意見は、もっともっとぐちゃぐちゃになればいいという、壁をぶち壊そうとする強い意志だった。そして、それを自然にできて、レコーディングできる場所が、「Ice Cream Studio」であり、「Biff Sound」であることも話のなかから浮かび上がってきた。そんな3人による忌憚のない話をお伝えする。(text by スカムライター西澤くん)
33週連続リリースの企画名は『Biff Sound』!! 第17弾をリリース!!
33RECORD / Biff Sound #017
※まとめ購入のみ
HQD / mp3 : 240円
【収録曲】
1. fortune song (Mike Hannah)
2. xylo (maeica)
3. 500 (チヒロ)
4. Join the TV dinner (Caramel Band)
5. Central (Constructions)
Biff Sound Clips「Save the day / The Goood Things」Biff Sound Clips「Save the day / The Goood Things」
33週連続リリースの企画名は『Biff Sound』!! 第16弾をリリース!!
33RECORD / Biff Sound #016
※まとめ購入のみ
HQD / mp3 : 240円
【収録曲】
1. midnight surfin’ (harmonious)
2. Piano feat.北野愛子 (Huehuecoyotl)
3. sp (Joern asleep)
4. heart breaker feat.Yukino (Huehuecoyotl)
5. fil (Constructions)
6. Piano (Huehuecoyotl)
Biff Sound Clips「Piano feat.北野愛子 / Huehuecoyotl」Biff Sound Clips「Piano feat.北野愛子 / Huehuecoyotl」
33RECORDのセレクション作品第3弾「Biff Sound Selection 03」全10曲を無料配信中!
33RECORD / Biff Sound Selection 03
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / mp3 : 0円
【収録曲】
1. wav five (DJ CLAMP5 a.k.a. wa5hei)
2. say hallelujah (池田祐介)
3. bowling tune feat.Alex Martin (BUZZ SQUAD)
4. unit (ULU a.k.a. Tateyama & Torikey)
5. hi (KINU)
6. checkmate (harmonious)
7. tidal (Constructions)
8. funny electricity (soap)
9. apocalypse now meets BUZZ SQUAD (JINYA)
10. faster (田中光)
Artwork by Emi Karasuyama
Mastering by sleepy it / Tetsushi Mase
Mix by Yawn of sleepy
倉庫を改造した音楽秘密基地「Ice Cream Studio」でセッション&レコーディングした音源を33週間ノンストップでリリースする、33RECORDによる企画『Biff Sound』。同企画から、第3弾となるセレクション作品が登場。第1弾・第2弾に続き、今回も強気のフリー・ダウンロードでお届け。毎週の配信を「週刊少年ジャンプ」に例えるならば、本作品は単行本の第3巻となるだろうか。間もなく折り返しを迎えるBiff Sound第15弾までのパッケージの中から、選りすぐりの10曲を収録。Ice Cream Studioに辿り着いた個性豊かなミュージシャン達の「その瞬間」の記録、記憶。こうして届けられた招待状は聞き手をBiff Sound体験へと誘う事だろう。アートワークはラインアーティストEmi Karasuyamaによる作品。なお、今回の配信に併せて富永和哉氏よりコメントが寄せられている。そちらも併せて読んでいただきたい。
富永和哉によるライナーノート
33RECORDに因んだ33週連続リリースも中盤に差し掛かっているが、早くも3作目のセレクション盤が登場した。
浦安にあるIce cream studioに昼夜を問わず集うアーティストがアイデアと技術を駆使して作り上げた作品だ。何となくBob DylanとThe Bandが『地下室のテープ』を産み出したBig Pinkを彷彿とさせる倉庫スタジオだが、紡ぎ出された音楽も『地下室のテープ』に近い感触がある。 或いは、The Rolling Stonesの『メインストリートのならず者』とでも言ったら良いだろうか。アーティストも曲調も個性派揃いなのに、出来上がった『音』は正に同じ空間で作られた匂いがするのだ。私は1960年代〜70年代の音楽ばかり聴いているが、レコードを買う時に必ず裏をひっくり返して何処のスタジオで録音されて、セッション・ミュージシャンは誰かを確認する癖がついている。それ位録音された場所の温度と湿度は大事だし、それがスタジオの個性と品格に繋がって行くと信じている。
私の好きなスタジオにアメリカはアラバマ州にある『Muscle Shoals Sound Studio』がある。Aretha Franklin、LuLu、Bob Dylan、Rod Stewart、Tony Joe White、Traffic等英米問わず数々の名盤を産み出した職人気質のスタジオである。私自身、一時期はマッスル録音であれば無条件でレコードを買っていた時期もある。中には期待外れもあったが、全てにマッスルでしか鳴らない音が鳴っていた。どれも未だに愛聴盤だ。アーティスト名は知らないが、マッスル録音という理由で買って、後からそのアーティストを知った事も数え切れず。正にマッスルは私のレコード人生の指針となった。
で、何が言いたいかと言うと、我らがIce cream studioもマッスルの様なワンアンドオンリーなスタジオになって欲しいという事なのである。そして、このセレクションを聴いて貰えば直ぐに分かると思うけれど、33RECORDの魅力はスタジオ空間だけではなく、プロデュース能力と編集能力の高さにあると思う。思えば、マッスルもアトランティックレコードが良く録音に使っていたけど、プロデューサーはトムダウド、アリフマーディン、ジェリーウェクスラーの泣く子も黙る3人衆が務めていて、数々の名盤を産み出していたよ。Ice Cream Studioにも優秀なプロデューサーが沢山いるから、これから名盤が沢山産まれるであろう事を考えるとワクワクするよ。
富永和哉
DJ、イベンター、ベースプレイヤー。60's / 70'sを中心に音楽をこよなく愛し、国内外隔たりなく数多の曲がインプットされたジュークボックスの様な一児の父。 自身もFlower Mountain Ground、Earth Boundと言ったバンドでベースを務める。愛機はギブソン・サンダーバード。
33週連続リリースの企画名は『Biff Sound』!! 第15弾をリリース!!
33RECORD / Biff Sound #015
※まとめ購入のみ
HQD / mp3 : 240円
【収録曲】
1. ammonite (田中光)
2. unit (ULU a.k.a. Tateyama & Torikey)
3. def (scum writer nishizawa kun)
4. 逢引 (soap)
5. sect (田中光)
Biff Sound Clips「Bona / soap」Biff Sound Clips「Bona / soap」
33週連続リリースの企画名は『Biff Sound』!! 第14弾をリリース!!
33RECORD / Biff Sound #014
※まとめ購入のみ
HQD / mp3 : 240円
【収録曲】
1. checkmate (harmonious)
2. wav five (DJ CLAMP5 a.k.a. wa5hei)
3. say hallelujah (池田祐介)
4. process (Ryo Takezawa)
5. tapes on the ground (mal da kid)
Biff Sound Clips「checkmate / harmonious」Biff Sound Clips「checkmate / harmonious」
33RECORDのセレクション作品第2弾「Biff Sound Selection 02」全11曲を無料配信中!
33RECORD / Biff Sound Selection 02
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / mp3 : 0円
【収録曲】
1. eight (harmonious)
2. 1×100 feat.sheeps (soap)
3. fox (根岸たくみ)
4. 90's mind on the loops (DJ CLAMP5 a.k.a. wa5hei)
5. CM (Sone)
6. Little April (Last Ten Enemies)
7. fisherman's delight (Yukino)
8. slowly blow wind 33ver.(in pillow-) (mal da kid)
9. Picture One (Troy Kimura)
10. tear (Hiroko Arakaki)
11. ordinary (Constructions)
Artwork by Hikaru Tanaka
Mastering by sleepy it
Mix by Yawn of sleepy
INTERVIEW : 長塚大地、mal da kid、DJ CLAMP5 a.k.a. wa5hei

ーーまずお名前と普段の活動について、ここにいつ来たのかを教えてもらえますか?
wa5hei : DJをやっているwa5hei(DJ CLAMP5)といいます。ここに初めて来たのは4月の末くらいですね。来てすぐに衝撃を受けて、ここは入り浸るしかないなと思って、それからお邪魔させてもらってますね。
ーーはじめは誰から誘われて来たんですか?
wa5hei : 俺は(田中)ヒカルくんですね。 おもしろい場所があるんで遊びに行こうって誘われて来てみたら、いきなりレコーディングになって(笑)。
ーーやっぱり、みんなそうなるんですね(笑)。
wa5hei : それがまた、すごくおもしろくって。
ーー僕も初めて来たとき、「せっかくだから」ってレコーディングしたんですよ(笑)。
wa5hei : 俺もそんな感じでした。いきなり、セッティング後10分ではじまって…。
ーーあはははは。
長塚 : 長塚(大地)です。普段はsundelayってバンドでギターを弾いてます。ここに初めて来たのは2年くらい前ですかね。一番最初は忘年会で来たんですけど、その後、hydrant house purport rife on sleepyのアルバムでレコーディングに参加して、それからの付き合いですね。
ーーつまり、33RECORDが始まる前から来てるってことですよね?
長塚 : そうですね。まあ、古株っちゃあ、古株です。
ーー(笑)。
mal da kid : ラッパーのmal da kidです。去年の一番寒い時期に、ヒカルくんから急に電話がかかってきて、「倉庫で、おもしろい人たちとおもしろいことやってるんで遊びましょう」みたいな。なにか危ないことがあるんじゃないかと思いつつ、来てしまいました…。
ーー(笑)。
mal da kid : 「スタジオでセッションしつつ、レコーディングっていうか、そういう感じじゃなくて、ちょっとアレです」みたいな。
ーーかなり曖昧ですね(笑)。
mal da kid : で、最初は見てるだけだと思ってたら、レコーディングが始まって…。新感覚フレイバー的な。
ーーあはははは。来たその日に、いきなりレコーディングしたんですか?
mal da kid : そうですね。今日は3回目くらいかな。寒くないのは初めてです(※編注 : 倉庫なので、冬場は外よりも寒いという噂がある)。
確実に自分の思っているとおりにはならない、100%ならないですからね
ーーよくわからないまま始まったとしても、またこの場にいるってことは、みなさん何かしらおもしろいと思ったから来てるんですよね?
mal da kid : ラッパーのレコーディングでも、トラックを同時に作るってことってあまりないんで、そこのおもしろさはありますよね。
ーーDJの視点からすると、この場は特殊に感じますか。
wa5hei : 相当特殊ですよね。だって、「はじめまして、じゃあRECスタート」って始まって、その音源が本当に出ちゃう。それがすごくおもしろくて新鮮でした。その瞬間にしかできないものだから、それだけでもおもしろいじゃないですか。
ーーDJとかラッパーって普段から即興みたいなことって多いんじゃないですか。
wa5hei : すっごくありますよ。
mal da kid : 合コンでもフリースタイルをやってくれってなりますし。

ーー(笑)。ちなみに、合コンでは、どんなラップをするんですか。
mal da kid : まあ… 目の前にあるものから拾っていく感じですかね。
長塚 : やっちゃうんだ(笑)。でも、いいですよね。楽器とかを介さないから。俺はギターがないとなんもできないからさ。
wa5hei : : 俺なんて、電気がないとなにもできないし。
ーーあはははは。この場の肝としては、即興をすることもそうですけど、それ以上に、レコーディングしちゃうってところがかなり特殊なわけですね。
mal da kid : だって、目の前にいる人がなにをする人なのかも知らないですからね(笑)。あ、立った。ギター持った… みたいな感じで。ようやく、この人ギターだってわかる。
一同 : (笑)。
ーー合コンのときは目の前のものっていっていましたけど、ここでのリリックはどうやって作っていくんですか。
mal da kid : 自分の曲から取ってくるときもありますし、フリースタイルのときは音に任せちゃっている感じで、あんまりなにも考えてないです。
ーーそれでも言葉が出てくるんですね。
mal da kid : まあ、身を任せる的な。こういうふうにしようっていうよりは、ハンモックじゃないですけど、揺られる感じです。
ーーwa5heiさんはどのようなプレイをされているんですか。
wa5hei : 俺がレコーディングしたときは、スクラッチがメインでしたかね。いろんな音楽を聴いて育ってきたので、なんでもかんでもいいものは取り入れたいじゃないですか。だから積極的にバンドをやったり、楽器をやっている人とはジャムったりしていて。ただ、RECはしてこなかったから。俺の考えだと、自分が録った音をその場でスクラッチできる、いくらでも音源を持って来れるっておもしろいなと思って。いろんな音楽と一緒になれるし、地球上の音楽を全部知りたいって思っているから、かなり楽しいです。
長塚 : いいね!!
wa5hei : ゆえに収集がつかなくなっちゃうんですけどね(笑)。ここは、そういうのができる場所です。すごく貴重ですね。しかもいい音が出ているとすぐ「いいね」ってなるじゃないですか。
長塚 : そうそう、反応がある。
wa5hei : レスポンスとかフィードバックがすごく早くて、パンパンパンって。それがすごく新鮮で。普通だったら、「はじめまして、なになにと申します。職場は、年齢は…」って。それが一切ないですからね。
mal da kid : ほんと想像力がかき立てられるんですよ。最初に来たとき、sundelayの方々のイメージは、コーヒーを買ってきてくれた人たちでした。
長塚 : (笑)。なんか原始的だね。
mal da kid : サウンドにも暖かさがあるんじゃないかって。
ーーさすがに、それは無理やりじゃないですか(笑)。
長塚 : いきなり来てやってみると、自分が出したことのない音を出してみたい気持ちになることはあると思うんですよ。
wa5hei : あるね。
mal da kid : 確実に自分の思っているとおりにはならない。100%ならないですからね。
長塚 : そうそう。前持って用意しているわけではないから、そのときの反射神経だけでやると新たな発見はあるんですよ。
あのラッパーもバンドもポストロックも、ぐっちゃぐちゃになればいい
ーーレコーディングをとおして、そのときの音が記録に残るわけじゃないですか。それこそ、いい作品にしなきゃみたいな気負いはないんですか。
長塚 : ああ、そういう気負いみたいなものが意味なくなっちゃうというか。いろんな要素が入ってくるから、思ったようにはならないんですよ。だけど、安心感っていうか、いいのになるんだろうなっていうのはあるんですね。
ーーそれはライヴとも違う感覚ですか。
長塚 : 全然違うと思いますね。ただ、プレイしていること自体はライヴとそんなに違うわけではないですね。
wa5hei : うん。すごく似ている。
mal da kid : みんなで楽しく遊んでいたら、すごくスキルのあるカメラマンに写真を撮られていて、あとから作品を見せられるみたいな感じかな。
長塚 : 確かにやっている間はどんなになるかわかんないもんね。
wa5hei : それで、やったあとに形にしてくれる安心感みたいなのはある。

ーーそれじゃあ、Ice Cream Studioで一番ワクワクすることってどういう部分ですか。
mal da kid : 単純に、どういう曲があるか、自分がどんなラップをしたらいいか、一切わからない状況じゃないですか。さらに、録った時点で、その場で聴いたような曲になるかもわからないじゃないですか。ミックスされたものが送られるまでわからないんですよ。それが全然普通だとないじゃないですか。そのワクワク感かな。
長塚 : 自分のコントロール下にないってことだよね。通常だと自分がコントロールしているところがわかるからね。
mal da kid : そう。自分の知らない人が新たに参加しているかもしれないし、もしかしたら、ほとんどカットされているかもしれない。そっちのおみくじ的なところはあるのかな。
ーーおみくじ的(笑)。
mal da kid : そこのワクワク感は普通のレコーディングにはないですし。
ーー他の2人もうなづいていましたが、そういう不確定さは感じますか。
wa5hei : まさしく感じますね。自分のコントロールの及ばないところでのワクワク感。それをあとで聴いたら、すげえカッコいいじゃんって思うことがあるからおもしろい。
ーーあとで聴いて、録ったときと変わっているってこともあるんですか。
wa5hei : あるある。そこで、いろんな人の解釈が入るからおもしろい。絶対自分の思い通りにならないおもしろさってあるんだよね。
長塚 : いろんな人が来るから、そのときそのときで、どう絡むかっていうところはあって。そんな機会ってなかなかないからね。
mal da kid : ジャンルもバラバラな人たちが、これだけ倉庫に集まってっていう奇跡的な感じがね。その上で、自分の曲がぐっちゃぐちゃになればいいと思っているんですよ。あのラッパーもバンドもポストロックも、ぐっちゃぐちゃになればいいと思っている。
長塚 : そうですね。
ーーなんでぐっちゃぐっちゃになってほしいって思うんですか。
mal da kid : やっぱり、どうしてもそこ(ジャンル)の線引きって、できてしまって。必要なものではあると思うんですけど、自分はワクワクしたい派なんで、この人がこの人と一緒にやっちゃうみたいなワクワクがほしくて。それって夢があるじゃないですか。
ーー確かにそうですね。特にこの場所って、有名無名も関係ないじゃないですか。
長塚 : それって、音楽の本質だと思うんですよね。ユートピアじゃないけど、音楽が本来持っている楽しみだけを抽出しているっていうか。BPMが早くないと売れないからそうやるとかじゃなくて、心から楽しいから音を出すみたいな。そういう人たちが集まって、いろいろ生まれてくるのがおもしろいんじゃないかな。それをいろんな人に知ってもらいたいですね。そして、いまの時代みんなどこかで欲していると思うんですよ。
ここって本当の「スタジオ」だと思うんですよ
ーーそのなかで、新しい音楽ができている感覚はありますか?
長塚 : ありますね。こういう音楽って、ないんじゃないかな? そういう意味でも、これからこういう形って増えてくるんじゃないかって思うんですよ。音楽業界って閉塞感があるように見えるけど、そういうのとは全然関係なく、音楽は絶対になくならないと思うんです。そこで、楽しんでやっている俺たちみたいなのがいるっていうのを観てもらえたらいいんじゃないかって。
mal da kid : でかい話ですね。
長塚 : もっといろんなのあるんだよっていうのを知ってほしいですね。いまや昔と違って、ネットを見ればいろいろ選べられるじゃないですか。本当にうらやましくて。それをチョイスしていくのは自分だから。
ーー急にじじい感が出てきましたよ!!
長塚 : ほんとそうなんだって。昔みたいに聴きたい音源がすぐ聴けなかったときと比べれば、いまは天国なんだよ。逆にありすぎてわからないのかもしれないけど。
wa5hei : 確かにね。あと、音楽を売るって時点で、それって基本的に商業じゃないですか。そこでの辛さはもちろん、全員わかっていると思うんですけど、そこから離れて、ここって本当の「スタジオ」だと思うんですよ。語源を調べたんですよ。なんだかわかります?

ーー「スタジオ」の語源ですか? う~ん…。
wa5hei : 「study」なんですよね、芸術家が集まってきて、医学とか天文学とかを追求する場所だったらしくて。
mal da kid : へえ、すげえいいですね。
wa5hei : 音楽もそうなんですよね。
mal da kid : だから、レコーディングじゃないんですよね。ここって、普段の活動におけるレコーディングいくときの感じと違いますよね。
wa5hei : そう。このあとになにがあるんだろうっていうワクワク感がある。
長塚 : 夢があるよね。
wa5hei : 点と線が混じる交差点みたいな感じだよね。
長塚 : 今日すごくいいこと言いますね。
一同 : (笑)。
ーー最後に、malさん合コンのくだりをもう一回聞きたいなって思うんですが…。
mal da kid : それは、もう好みの子に狙いを定めて…。
wa5hei : いや、これは西澤さんからのフリですよ。
長塚 : いまやってみてよ。
mal da kid : …… 懐かしいこの感じ
ーーあはははは。今日の話は、いきなりラップをやらされて、しかもレコーディングされる、それがおもしろい音源になるって話でしたからね。
mal da kid : … これが33RECORDです!!
一同 : 爆笑。
『Biff Sound』第1弾〜第13弾ラインナップ
>>Ryo Takezawa、Alex Martin、Mike Hannahへのインタビューはこちら
>>『Biff Sound』スタート時のインタビューはこちら
PROFILE
33RECORD
ice cream studioに集う作品をお届けする不確定的コミュニティ・レーベル。3月3日より33週連続配信企画スタート! 初回の所属アーティストとして発表されたアーティストは、Lee "Scratch" Perry、Adrian Sherwoodとも共演した経歴を持ち、ドイツの老舗DUBレーベル<ECHO BEACH>などからも称賛を集める“E.D.O. ECHO SOUNDSYSTEM”のJINYA、 90年代インディー・ミュージック・シーンを牽引したUK PROJECTの雄、<SECRET GOLD FISH>の長塚大地擁する“sundelay”、フリー・スタイル・ラップ・バトル<UMB 2012>CHIBA CHAMPION “田中光”、昨年待望の復活を果たした<downy>のギタリスト青木裕や<カヒミ・カリィ>との共作の発表でも話題を集める“hydrant house purport rife on sleepy”など、既にとても多種多様。
長塚 大地
実験的インストゥルメンタル・ロック・バンド、sundelayのサイケデリック・ギタリスト。
mal da kid
rapper。MC。フィクションとノンフィクションを行ったり来たりしながら、post rock、electronica、abstract、dub、hiphopなど様々な色を吸収したトラックの上で、独創的な世界感を創り出す。それは程良くドープネスがブレンドされたポップネスなポスト・ラップ・ミュージック。クリエイター集団兼音楽とデザインのレーベルchaplin production主宰。大型野外アート・フェスSense of wonder 2011に出演するなど野外からクラブ、ライヴハウス、カフェまで縦横無尽に活動中。 1st album『guayabera』now on sale。2013年10月16日、2nd album『panjang』リリース。
DJ CLAMP5 a.k.a. wa5hei
Hello, world! '80年代ガキの頃に衝撃を受けた人間が生み出すモノ、フィフス・エレメントは「戦争、科学、技術、芸術、音楽」それら全てに完全に心を奪われる。思春期の頃に苦悩した結果、アーティスト / クリエイターを志すことに決める。'97年 / HIPHOPカルチャーにK.O.されDJ活動を開始。'02年 / 「房州達磨」にDJ / プロデューサーとして参加。'04年 / 多摩美術大学絵画学科卒。'06年 / 「房州達磨」として、パラリンピック正式種目である「シッティングバレーボール」のテーマ・ソング「~凛~」を手掛け'08年9月に開催された「北京パラリンピック」では、シッティングバレーボール日本代表応援歌「扉を開けろ!!」を制作、発表。現地の北京に応援団の一員としても参加する。'11年 / 共に歩んだ「房州達磨」のヴォーカルからソロ活動へ本格始動した千葉の歌姫、「亜矢」のLIVE DJ / トラックメイカーを務める。目下音源作成中、LIVEは随時進行中。'14年レジスタンスとしてサイバー空間にダイビングをかます。
ぶっ飛んだセンスと、イルなスキルをあわせ持ち DJ、クリエイト、イベントオーガナイズ等の活動を行う。 大小様々なパーティ、クラブ、ディスコ、ライヴハウス、バー、レイブ、ビーチ、ウェディング・パーティ、夏祭り、Radio中継、等、どこにでも現われる。そしてターンテーブルを回す。そしてミキサーで混ぜる。主に首都圏を中心に活動中。