世界を変えるアーティストを! NEW SENSATION始動!
インディーズに力を入れるレコード店disk unionと配信情報サイトOTOTOYがガッチリタッグを組んで、1ヶ月にわたって、たった一つのアーティストを押し続ける企画、「NEW SENSATION」が始まります! この企画でもっとも大事にするのは、バイヤー目線。広告予算がなくても、メジャー・レコード会社が決まっていなくても、「こいつら、絶対すげぇ! 」そんなバンドが現場にはいっぱいいるんです。「NEW SENSATION」は、disk unionとOTOTOYがバイヤーの威信をかけ、本当に押したいもののみを展開する気合い2070%のコーナー。「本企画から必ず世界を変えるアーティストを出します!」そう誓い合い、高円寺の居酒屋で杯は交わされたのでした。(OTOTOY編集長 飯田仁一郎)
記念すべき第1弾のアーティストは笹口騒音ハーモニカ!
第1回のプッシュ・アーティストは太平洋不知火楽団、うみのてというバンドでも活動する1984年2月29日生まれのシンガー・ソング・ライター、笹口騒音ハーモニカ。「MOOSIC LAB 2012」という映画と音楽のコラボイベントに出展された『新しい戦争を始めよう』(竹内道宏監督)では主役/サウンドトラックも手掛け、ミュージック・シーン以外からも今話題となっている要注目アーティストです!
>>「おんがくのじかん」フリー・ダウンロードはこちら(期間 : 4/25〜5/25)
自主制作盤のプレス&リマスタリング作、7thアルバム&ベスト盤の計4枚を一挙配信開始
左から)
1st『不可思議』& 2nd『うみのて』(2012年2月29日発売)
3rd『ねりまにて』& 4th『NEW MUSIC,NEW LIFE』(2012年3月30日発売)
5th『Normal Songs』& 6th『H』(2012年4月25日発売)
7th『うるう年に生まれて』& BEST ALBUM『おんがくのじかん』(2011年9月5日発売)
個人のパーソナルな部分と世間のポップネスが限りなくリンクしながら、単純なポップスを良しとせずなんとかそこから脱却しようとして発生する「ねじれ」。それこそが笹口騒音ハーモニカのオモチロサだと思うのだ。そして、その色々な「ねじれ感」こそがまさに「New Sensation」!!グッときて、思わず推したくなってきてしまうのです。記念すべき第一弾アーティスト「笹口騒音ハーモニカ」。皆さん是非聴いて、見てください。(DISK UNION / 矢野)
とにかくヤバそうな見た目と、個性溢れる歌と演奏。それなのに、アンダーグラウンドという言葉がはまらないのなぜだろう。それは、針の穴ほどの大きさから見える大衆性に、笹口騒音ハーモニカの本質が隠されているからに他ならない。バイヤーとしての魅力と喜びは、そこの穴をリスナーに教え、一緒に広げていく後押しを出来ること。この企画の第一弾として彼を押すことが出来て心から嬉しく思っています。一緒に小さな穴を覗きませんか? (OTOTOY / 西澤)
笹口騒音ハーモニカ INTERVIEW
1984年2月29日生まれのシンガー・ソング・ライター、笹口騒音ハーモニカ。ぼさぼさの頭に、メガネをかけた風貌、手書きのアルバム・ジャケットの絵を見るかぎり、アンダーグラウンドで活動するアーティストという印象が強いが、不思議なくらい大衆性を持ったアーティストである。昨年2011年9月には、7作目となるアルバム『うるう年に生まれて』とベスト盤『おんがくのじかん』を2枚組で初全国流通リリース。そして2012年、うるう年に生まれた笹口の7才の誕生日を記念して、今までCD-Rで売られていた6枚のアルバムすべてをプレス&リマスタリングして、2枚組にまとめて(1stと2nd、3rdと4th、5thと6th)2月から3ヶ月連続でリリースする。太平洋不知火楽団、うみのてというバンドでも活動する笹口に、これまでの活動について話を伺った。分断された音楽シーンを繋ぐのは、彼のようなアーティストかもしれない。
インタビュー&文 : 西澤裕郎
とにかく人の反応が知りたかったんです
――笹口さんは2月29日生まれということですが、これまでの人生で得することが多かったですか、損することが多かったですか?
笹口 : 子どもの頃は損ばかりでしたね。3歳とか4歳とか言われて、いじめられていました。大人になってからは全然ないですね。まあ、からかわれないですよね(笑)。
――もう大人ですからね(笑)。2012年は閏年で、『生誕祭』的なイベントも大々的にやっていましたよね。4年に1度しか来ない誕生日ということに対して、どこかしら人と違うという想いを抱いているのかなと思ったんですけど。
笹口 : それは、そこまでないかな。「うるう年に生まれて」は、日付ってそんなに重要じゃないと思って作った曲なんですよ。トピックな日付ってあるじゃないですか。8月15日とか9月11日とか、3月11日もそうだと思うんですけど。僕も2月29日生まれで、いじられることは多かったんですけど、日付はそんなに重要じゃないなと思って。
――その「うるう年に生まれて」のPVには、岩渕弘樹監督が録った東日本大震災後の被災地が映されていますよね。あの映像と重ねたのはなぜなんでしょう。
笹口 : あれは本当に岩渕さんの地元なんです。震災1週間後くらいに、慣れ親しんだ場所が本当に変わっているのを自転車で走りながら録って、それに僕の曲を載せてくれたんです。最初は僕に見せるだけでいいと思って作ったらしいんですけど、2人で話しあって公開しました。とにかく人の反応が知りたかったんです。
――曲を公開することで人の反応を知りたかったのは、なぜなんでしょう。
笹口 : 不謹慎な話なんですけど、なんか合っているように思えたんです。途中で犬が出てくるんですけど、そこからすごくドラマチックに思えちゃって。あれを公開したことは未だによかったのかどうか分からないし、ダメだろうっていう人もいるんですけど、とにかく反応が知りたかったんです。
――そもそも、笹口さんの出身はどこなんですか。
笹口 : 熊本です。
――てっきり東北出身なのかと思っていました。
笹口 : 被災地に親しい人もほぼいなかったし、自分がどう感じているのか、当時よくわからなかったんですね。去年9月に出した7枚目のアルバム『おんがくのじかん』には、震災後に作った曲がいっぱい入っています。アルバムを作りながら、自分がどう思っていたのかがわかったんです。
――曲を作ることによって、どういうことが分かったんですか。
笹口 : 震災後、歌うことが不謹慎っていう雰囲気になったじゃないですか。それを受けて、何で歌うのか自問自答している歌詞が多いんですよね。自分はこうだよっていうのが、このアルバムに収められた曲ですね。去年は1週間連続でライヴをやったりするのが普通になっていたり、自分はほぼ音楽しかやっていないので、これが自分の普通なんだなってことを再確認しました。
――笹口さんは、どちらかというと内気な人というイメージがあったんですけど、もともとどういう性格だったんですか。
笹口 : 自分で言うのもなんですけど、中学まではすごく明るかったんですよ(笑)。でも、高校から一人も友だちがいなくなりまして…。今では聴いていた音楽のせいにしているんですけど。レディオヘッドがすごく好きだったんです。
――あははは。大学は日大芸術学部映画学科に進学していますよね。なぜ音楽ではなく、映画だったんですか。
笹口 : 「バンドやろうぜ!」って学科はないじゃないですか。映画をやりたい気持ちもあったので選びました。…とにかく熊本を出たかったんです。バンドをやりたかったって気持ちもすごくありましたね。
――じゃあ、東京に来て音楽を中心にした生活をしたい気持ちはあったんですか。
笹口 : こんなこというのも何ですけど、僕は苦労したことがなくて、ずっとぼんやり生きていたんですね。だから大学時代もぼんやりしていて。最近、バンドでもソロでもCDを出して、自分で作ったものを売ることが楽しいってことを実感しています。僕、一回本屋でバイトをしていたことがあったんですけど、人の作ったものを売るのが本当にイヤで全然やる気が出なくて。でも、自分で売るのって、すべて自分のせいじゃないですか。逆に、売れたら自分のやった成果だし。そっちのほうが全然おもしろいなと思って。
僕は本当にからっぽなんですよ
――これまでに笹口騒音ハーモニカとして7枚ほど作品を出していますが、沢山曲ができるんですね。
笹口 : ほぼそれしかやっていないので、出来ざるを得ないと言うか。本当にそのときの気分で作っちゃっているんですよ。『うみのて』と『不可思議』は、“海”とか“夏”としか言っていないんですよ。本当にぼんやり作っていたんだなって思いますね。
――ははは。そういうぼんやりした作風は何枚目くらいまで続くんですか。
笹口 : 『ねりまにて』まではそんな感じですね。景色とか風景とかを見て「キレイだなー」「儚いなー」とか言っていて(笑)。『NEW MUSIC, NEW LIFE』の辺から、バンドでも色んな人たちとの対バンが増えて、刺激を受けることが増えてきました。あと、僕はテレビが大好きなんですよ。だから、テレビの影響はすごく大きくて、「テレビくん」って曲もあります。
――テレビのネタがが曲になることもあるんですね。
笹口 : ニュースが曲になることもあります。「もはや平和ではない」っていう曲は、秋葉原の通り魔事件のニュースを受けて作った曲です。
――笹口さんは太平洋不知火楽団(以下、太平洋)、笹口騒音ハーモニカ、うみのて、といくつもの形態で活動をされていますよね。それぞれの形態と、どのように向い合っているのでしょう。
笹口 : 太平洋はでっかいんですよね。バンドだし3人組なので、そんなに細かいことは歌詞に出来ないというか、でっかいことが多いんですよね。ソロは細かい部分を説明するというか。
――笹口騒音ハーモニカは、よりパーソナルな表現の場だということですか。
笹口 : そうですね。太平洋をやっている間に考えていることは、バンドだけじゃ言い切れなくて。
――そのパーソナルな曲をバンドでやっているのが、うみのてなんですね。
笹口 : もともとは、ソロの曲をバンド編成でやってみようという企画があって、そのとき偶然スタジオに来たメンバーで始めたんです。やってみたらうまくいったというか。昔は、太平洋でもほぼ全部の曲をやっていたんですよ。でも最近は、この曲はどっちでやったら合うか、わかるようになってきて。
――太平洋でしか出来ない曲、うみのてでしか出来ない曲というのがあるんですね。太平洋はでっかいと言っていましたが、うみのてのイメージはどういうものですか。
笹口 : うみのての場合は言葉が重視なのかなと思います。言葉が多いので、ラップをやりたくて。あまりうぎゃーってやりたくないんです。あと、うみのては5人いるので、弾かなくても出来る曲もある。そこは大きな違いがありますね。
――先ほどもおっしゃっていましたけど、うみのこと、テレビから受けたこと、震災のことなど、リアルタイムで体験したことに対するリアクションが、曲のきっかけになるんですね。
笹口 : でも、最近あまりテレビを見なくなっちゃったんです。前はライヴのときでも、日にちごとに録画する番組が決まっていたんですよ。異様なほどテレビに執着していたんですけど、最近はそれがなくなりましたね。
――なぜTVから離れていったんでしょう。
笹口 : 話し相手が他に出来たからかもしれないですね。あと、最近になってネットが繋がりました(笑)。
――(笑)。それ以上に、ライヴが増えたり、外に出ることが増えて、インプットが増えてきたのかもしれないですね。
笹口 : そうかもしれないですね。僕は本当にからっぽなんですよ。これまでは、入ってきたものをそのまま出すって感じだったんですけど、変わってきたのなら嬉しいな。
未だに音楽を始めたときの感じを引きずっている
――笹口さんと話してみて、思い描いていた笹口像と違う部分が多いなと思いました。もっと胸の奥底に言いたいことがあって、曲がどんどん出来ていくものだとばかり思っていました。あくまでも、外から入ってきたものが、曲作りに繋がるんですね。
笹口 : まったくその通りですね。自分には何もないから、外から受けたものを曲として作ってきた感じですね。でも、『おんがくのじかん』というアルバムで、自分がどうしたいのかを歌えたんじゃないかと思います。自分がこう思っていたっていうのが分かったんです。
――こういうタッチの絵で、宅録でローファイな感じだと、スカムとかアンダーグラウンドな音楽になりがちなんですけど、笹口さんは違うんですよね。分かる人にだけ分かればいいみたいなところを通り越して、ポピュラリティを感じるポイントがある。それが他の人と違うところだと思っていて。話を聞いていたら、これまでのインプットがTVだったりポップなところにあったからなのかなと。
笹口 : それはあると思いますね。音楽もほぼメジャー好きで、テレビからの情報ですからね。僕、本をあまり読まないんですよ。
――えー、意外ですね!?
笹口 : 読むのは、ほぼ水木しげるくらいですね。僕、目が弱くて、小説とか読めないんですよ。だからテレビとかで流し見するくらいが丁度よくて。あと、水木しげるの漫画って絵がすっきりしているじゃないですか。だから全然疲れない。映画もメジャーなものが好きで、そんなにコアなのは見ていないんですよね。
――水木しげるのどこが好きなんですか。
水木しげるは、戦争で片腕をなくしたけど生きて帰ってきて、これからは自分のやりたいことだけをして生きていこうと決めた人なんです。死ぬような体験をしてきたから、何としてでも好きなことだけやるっていう気持ちを持っていて。そこに触発というか共感して。
――『ガロ』にて商業誌デビューしながら、一般層にも受ける大衆性を持っていた点などを考えると、笹口さんは水木しげると近いところがあるのかもしれないですね。
笹口 : あれがまさに憧れですね。漫画を読んでみると、後ろ向きだったり、すごく暗かったりするけど、絵がすごくとっつきやすい。まさにそんな感じにやりたいですね。
――今回、今までの作品をアーカイブしようと思ったきっかけは何だったんですか。
笹口 : 誕生日ですね。これを逃して4年後まで待っていたら、藻屑になってしまうと思ったので(笑)。僕は人の目に止まりたくないっていうのがありまして、一回ぽっと出て、あとは隠居したいんですよ。僕は出てこないけど、歌だけ配信されるっていう。そういうのが目標というか。…ひどい目標ですよね(笑)。
――あははは。でも『スター・ウォーズ』みたいですね。7枚目が出て、これから過去作が出ていくってのは。
笹口 : ベストだけじゃなく、オリジナルで聞いてほしかったんですよね。ベスト盤を出すにあたって再録したんですけど、僕は最初に録ったものが一番いいと思っていて。録った当時の気分も入っているので、こういう形で出したかったんです。ベストはベストで去年の気分が入っているし、このアーカイブには当時の気分が収められています。
――ベストも単なる過去の寄せ集めじゃなくて、今の気分が収められた統一感のあるベストなんですね。
笹口 : 5、6枚目くらいから、自分は燃えカス状態でやっている感じがするんですよ。作っているときは全部出し尽くすので、毎回燃えカスから始まるんです。ただ、どんどんそれが溜まっていくので、その都度出すという感じですね。燃えカス感が出ている人って、他にあまりいなくないですか? 燃えカス感では、誰にも負けない気がする。未だに音楽を始めたときの感じを引きずっている感じがするんですよ。それをどんどん更新していきたいって気持ちはありますね。
笹口騒音ハーモニカ PROFILE
シンガーソングライター。1984年2月29日、生まれてこのかた活動中。¥anagawarecords社長。太平洋不知火楽団、笹口騒音ハーモニカ、うみのて等々でライヴ・ハウスから路上まではばひろーく活動中。三鷹おんがくのじかんでは隔月でワンマンも開催。こうみえて活動歴27年の大御所で、現在までに15〜20曲入りのアルバムを6枚発表。
笹口騒音ハーモニカ 公式サイト
笹口騒音ハーモニカ myspace
笹口騒音ハーモニカ twitter
disk unionでの展開
下記の店舗で試聴機展開&4/25発行のFOLLOWUPにてインタビュー掲載中!
お茶の水駅前店 / 新宿本館BF 日本のロック・インディーズ館 / 下北沢店 / 吉祥寺店 / 町田店 / 横浜関内店 / 横浜西口店 / 淵野辺店 / 津田沼店 / 千葉店 / 柏店 / 北浦和店 / 池袋店 / 渋谷中古センター / 中野店 / 立川店 / オンラインショップ
★4/26(木)@disk union下北沢店 インストア・ライヴ
入場フリー
21:00スタート(予定)
出演 : 笹口騒音ハーモニカ、大森靖子
NEW SENSATION 今後の展開スケジュール
第1回(4月下旬公開) : 笹口騒音ハーモニカ
第2回(5月下旬公開予定) : TBA
第3回(6月下旬公開予定) : TBA
第4回(7月下旬公開予定) : TBA
第5回(8月下旬公開予定) : TBA
第6回(9月下旬公開予定) : TBA