この人のことを信じたいなっていう自分を信じることが大事なんだ
──『リゼロ』って結構ワードチョイスが独特ですもんね。そして、今回リリースされた“Believe in you”は2nd seasonの後半クールのエンディング・テーマです。
nonoc:いままでもエミリアの心情に寄り添って歌わせて頂いた曲はありますが、今回の曲はエミリアの心が変わっていくタイミングに合わせて作られた曲だと思うんです。初オンエアのタイミングで、この曲を通してエミリアがどう変わっていくのか、明るい兆しが見えたのかなと。彼女にとってどれだけ約束が大きいものだったかというか、心の変化に寄り添えたという点では、オンエアされた時にはすごく印象的でした。
──2nd seasonも後半になるにつれてどんどんヒロインのエミリアの過去を辿っていくストーリーになっていますよね。
nonoc:2nd season の前半クールからとにかく「自分の過去とどう向き合うか」ということがテーマになっていたんですよね。“Believe in you”は自分の信じたい誰かを信じた結果、進めた先がある曲だと思っていて。「明るい未来にするぞ」っていう強い想いも歌詞に込められているので。なんとなく曲を聴いた視聴者のみなさんにも彼女の覚悟が感じられたんじゃないかなと思っています。でもそれは自分の過去の記憶を受け入れるっていう覚悟だったり、一歩踏み出さなきゃいけないと思ったので。それをエミリアはずっとできなかったっていうのが今までのお話だったから、そこを一歩踏み出せた明るい曲になったと思います。
──nonocさんにとって信じるってどういうことだと思いますか?
nonoc:「信じるよ」とか「信用してる」とか、信じることにまつわる言葉って言うのは簡単だけど、「まず自分のことを信じていないと相手のことを信じよう」って思えないと思うんですよ。根拠が無くてもあなたを信じたくて信じたんだっていうその気持ちが大事なんだなっていう風に『リゼロ』とこの曲の歌詞を通して自分の中で感じていて。気持ちが落ち込んでたりしているときも、この人のことを信じたいなっていう自分を信じることが大事なんだなって思わされました。
プロデューサー:nonoc自身が言っていたように「あなたを信じる」ってタイトルにありますけど、実際には「あなたを信じる私を信じる」なんですよね。今回の“Believe in you”という曲は、エミリアはずっと迷ってきたところを「人を信じてみようかな」と人を信じるということに踏み出すのと、そうなった自分を信じるという、自分自身も受け入れるという感じのところだったので、「リゼロ」の中でも大事な曲ですね。
──なるほど。
プロデューサー:『リゼロ』が始まった時にはここまでエミリアの曲を何曲も作るとは思わなかったんですよね。やっぱり『氷結の絆』辺りから、天涯孤独だったエミリアがパックという保護者に出会ってという部分の曲をnonocが歌うことになったときに、エミリアをテーマにした楽曲の一連の流れが見えたのが“Believe in you”だった。作り手側としても「着地したな」と思っています。
nonoc:まっすぐな歌詞のなかに全ての気持ちが込められているし、エミリアが一歩踏み出したなっていうのが詰まってますね。
──nonocさんはリゼロの楽曲に携わっていくなかで、楽曲に対する思い入れのようなものは変わっていきましたか?
nonoc:最初は、今思うと声が若い部分があると思います(笑)。私がこれからどんな曲をどういう風に歌ってどうしていくのかっていうのがまだ決まっていなかったので、今の自分を正直にその時は録っていたんです。『Memory Snow』だったら、そのテーマに沿って平穏を歌いますという風に自分のなかではトライしたものが、映画館で流れると「エミリアの声にもレムの声にも聴こえるね」っていう聴き方をしてくださる方がいたり、自分の主観で見てた歌と他人から見える歌の違いを作品を重ねるごとに感じます。『リゼロ』という作品にずっと携わらせていただくなかで、いろんな場面を切り取って、いろんな音楽に挑戦させていただきました。一作のアニメのなかにいろんな自分を発見することができて、経験としてありがたく思っています。
──『リゼロ』と共に成長していった?
nonoc:そうですね。今回の“Believe in you”のような、まっすぐに前向きな未来を描いている曲がはじめてだったので、これから先の自分の人生だったり音楽であったりを“Believe in you”が背中を押して勇気づけてくれてるなって思います。
──“Believe in you”のカップリング「ヒトリイロ」では、自ら作詞も行われているんですよね。
nonoc:はじめてnonoc単体で全ての歌詞の作詞と楽曲のプロデュースに携わらせていただきました。自分のなかでの挑戦になっています。
──制作はどのようにして進んでいったんでしょう。
nonoc:頂いた曲を聴いて自分が今どういう風に思っているかを書こうってなったんですけど、自分のなかに落とし込めてるものってどうなんだろうって思って、まずは自分でわがままなままに書いてみようと思ったんです。その時にしか書けない歌詞ってあると思うんですけど、今回の曲はテンポが良くて聴き心地がいい曲だったので、そんなに難しいことは言いたくないなと思って自分の気持ちにストレートに書きました。
──タイトルの「ヒトリイロ」はどういうところから決まったんでしょう?
nonoc:この曲は色がテーマの曲になっています。自分は色で感情を引っ張られることがよくあって、爪一つ、リップ一つでその日の気分が変わります。例えば最近の服の流行りで、あえて目立たない服が目に留まるのはなんでなのかなと考えてたんですけど、それって服の色だけに関わらず、自分の個性を出しちゃいけない風潮がどこかであるんじゃないかなって思っていたんです。私はもともと派手な服が好きなんですけど、大人になっていくにつれて地味な感じになってきて、でもそういえば自分は色に心を動かされやすかったなと思って。自分はそうはなりたくないのが本音だけど、なんとなく流れに任せてそうなってしまっている、そんな歌詞が書きたいと思って書きました。
──占いもお好きですか?
nonoc:占い大好きですね。私、自分を常に占って欲しいんですよ。だから自分が空っぽなんじゃないかって思う時もあるんですけど、プラスの方でも占いを信じていて、今日は良かったなって思えたらいいやって。占いのせいに出来る部分もあるじゃないですか。自分が本当にだめでも、占いがダメだったからか、とか(笑)。
──ありがとうございます。最後にこの記事を読んでくださった方にメッセージをお願いします。
nonoc:今回「Believe in you」には本当にたくさんの方たちに携わっていただいて、今のご時世にこうやって作品を生み出させて貰えるというのはありがたいことですし、2021年で考えたら初めの一枚になるので、暗く塞ぎこみがちになる毎日も私もあるしみんなもあると思うんですけど、この1枚の時間は明るい未来を歌っているので、私がこの曲に元気を貰っているように、また元気を与えていけたらいいなと思います。このご時世になったからこそ、音楽しかりアートの立ち位置ってすごく個人によるものがあって、私はそのアートに救われた一人でもあるので、『リゼロ』を好きな方はもちろん、いろんな方に聴いていただきたいなと思います。
編集 : 梶野有希
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PROFILE:nonoc
北海道出身・在住のシンガー。「nonoc(ノノック)」。
高校在学中に楽曲投稿アプリで歌声を披露し始め、2018年、映画『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』イメージソングと主題歌のボーカルとして、2曲同時に抜擢される。2019年には、1stシングル「KODO」(TVアニメ『魔法少女特殊戦あすか』OPテーマ)、2ndシングル「star*frost」(TVアニメ『彼方のアストラ』OPテーマ)をリリース。同年公開の映画『Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆』では主題歌「雪の果てに君の名を」を担当した。2020年、3rdシングル「Memento」(TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」2ndシーズン前期EDテーマ)をリリース。2021年放送のTVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」2ndシーズン後期EDテーマに起用された4thシングル「Believe in you」を3月3日にリリース。
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