高田漣の初ライヴ音源をHQDで
高田漣『Official Bootleg Series ”Folk Roots / New Routes” Vol. 001 with 中島ノブユキ』
【販売形式】
1) HQD(24bit/48kHz wav) : 1500円(まとめ購入のみ)
2) MP3(320kbps) : 1000円(まとめ購入のみ)
【Track List】
1. Blues Dream / 2. Sheebeg And Sheemore / 3. Sweet Sue / 4. In A Mist / 5. 鮪に鰯 / 6. 鉱夫の祈り / 7. 東京の屋根の下 / 8. シグナルは青に変わり汽車は出て行く / 9. Little Hawaii / 10. It's been a long time / 11. たかをくくろうか / 12. くつが一足あったなら
>>>高田漣と中島ノブユキへのインタビューはこちらから
2011/07/01 高田漣 with 中島ノブユキ @青山・CAY
仕事を終え、いそいそと会社を出るももう19時過ぎ。表参道の駅に着く頃にはもう19時50分頃になっていた。青山CAYに続く階段をどんどん降りるも、なかなか音楽が聴こえない。会場を間違えたのではと不安気に扉を開けると、静かなピアノの音が聴こえてきた。フロアにはテーブルと椅子が並び、落ち着いた暖色系のライトがほの暗く空間を照らしている。席につき、息が整うにつれて耳に入る音が大きくなっていく。落ち着かない気持ちの中では聴こえない音なのだろう。
二人のアンサンブルに耳を埋め、会場まで走って来た体がようやく冷めてきたところで高田漣のソロ・タイムが始まる。「帰り道」を聴きながら、手足の熱が落ち着いてゆくのに反比例し、胸がじわじわと暖まっていくのを感じた。誰もが郷愁を覚えるであろう「帰り道」という言葉。ギターの音からは夕焼けの色がにじみ、高田漣の声は優しく帰りを促す親のようにも、ずっと夕焼けを眺めている少年のようにも聴こえる。MCで「僕の演奏はテンションが上がれば上がるほど静かになっていく」と話し、再び静かな演奏が始まる。心地よい音と共に眠気が襲ってくる。けれど起きて聴いていたい。贅沢な葛藤の中で曲が続く。リズム・ボックスを使った「Pop Music」で再び目覚め、その曲が終わるとまたステージに中島ノブユキが上がり、演奏が始まる。
ステージ上の中島ノブユキで印象的だったのが、高田漣が演奏を始める横で腕を組みながらピアノに向かって座っている後ろ姿。その表情は隠れていて確認できないが、ふとしたときにポロンと弾き、また腕を組み、また弾く。以前、彼らにインタビューさせてもらった時に、渋谷毅と高田渡のライヴについて話を聞いていた。演奏する高田渡の横で、酔っぱらってピアノの前で寝てしまった渋谷毅が、ふと起きて和音を3つぐらい弾いて、また寝る。ところがその音が銀座の街に街灯が灯る情景を思い浮かばせたとのこと。彼らのライヴを見たことは無かったけれど、そこから何年も経った今、その情景を高田漣と中島ノブユキの演奏の中で確かに見ることができた。そして「揺らぎのある音楽をやりたかった」という高田漣が中島ノブユキを相手に誘ったのに深く納得がいった。郷愁や懐古といった感情を呼び起こさせる風景は、人によって様々だが、共通して持ち得るものもある。それは先ほど話した帰り道に見る夕暮れだったり、幼い頃にテレビのロードショーで見た古い洋画だったり。それを久しく見た時に起こる優しい胸騒ぎを再び蘇らせてくれるのが、彼ら二人のライヴなのだ。
谷川俊太郎作詞、坂本龍一作曲、当時はビートたけしが歌っていたという「たかをくくろうか」のカヴァーを最後に、ステージから去る二人。その後アンコールはあったのだが、アンコールといえば拍手の波が手拍子に変わって行くというのが通例だろう。この日、ステージ終了後に起こった拍手は手拍子に変わることなく、各々が自分のリズムを守り手を叩き続けていた。不思議な光景だなと思っていると、2人は再びステージに上がり、高田渡の名曲「くつが一足あったなら」をカヴァーし、その日のステージを終了させた。それぞれキャリアも実力も完成されたミュージシャンが、2人で鳴らす揺らぎのある音楽。それは会話のように息が速くなることもあれば、ゆっくりに、時に話さなくなることもある。まだまだ披露していない曲も多くあるとのことなので、これからも彼らの空間に足を運び、会話を覗き見していきたいと思う。(Text by 水嶋美和)
高田漣 with 中島ノブユキ「Folk Roots / New Routes」
開催日 : 2011年07年01日(金) 会場 : 青山・CAY LIVE : 高田漣(G、 Vo)、中島ノブユキ(Pf)
INFORMATION
高田漣 LIVE
- 2011年07月13日(水) @吉祥寺 ハバナムーン「唄は元気だ」Vol.5
- 2011年07月31日(日) @Fuji Rock Festival '11
- 2011年08月21日(日) @横浜 黄金町・試聴室その2
- 2011年08月27日(土) @京都 coffee house 拾得
RECOMMEND
映画『人間失格』の音楽を担当したことで、更にその動向に注目が集まるピアニスト / 作編曲、中島ノブユキの待望の3rdアルバム。本作のDSD音源をブックレット付きでOTOTOY独占配信中。オリジナル楽曲に加え、クラシック、ボサノヴァ、アイリッシュ・トラッド、オールド・スタイルなジャズなど、多彩な名曲の数々を独自の視点で取り上げ、彼の音楽に共鳴する豪華なゲスト陣(畠山美由紀、伊藤ゴロー、高田漣、北村聡など) と共に、エレガントなアレンジメントとアンサンブルにより、情感溢れる美しい世界を描き出した。
レコーディング・スタジオでの一発録りをライヴとして公開し、そこでDSD収録した音源を配信するイベント“Premium Studio Live”。その第1弾として、東京・一口坂スタジオ Studio 1に、即興演奏家として名高い大友良英と、マルチ弦楽器奏者である高田漣の2人を招いて行われた際の記録。EBOW E-Bow Plusを使って生成されたアンビエントなサステイン・サウンドや、アコースティック・ギターやスティール・ギター、さらにはパーカッションやターンテーブルを使ってのノイズ、そして電子音など、さまざまな音源によって繊細かつ濃厚なサウンド・スケープが描かれていく。DSDとHQDで配信中。
高田漣のソロ作品も配信中
PROFILE
高田漣
1973年、日本を代表するフォーク・シンガー高田 渡の長男として生まれる。スティール・ギターをはじめとするマルチ弦楽器奏者として、細野晴臣、高橋幸宏、などのレコーディングやライヴで活躍中。2007年春〜プリングルズグルメ、エビス「ザ・ホップ」のTVCMに出演。同年夏、高橋幸宏の新バンド構想の呼びかけにより、原田知世、高野寛他の計6人で「pupa」結成。
高田漣 official web
中島ノブユキ
編曲家として菊地成孔、UA、ゴンチチ、高木正勝らの作品に携わる。ピアニストとして畠山美由紀、ジェーン・バーキン、高田漣らと共演。タップ・ダンサー熊谷和徳と東京フィルハーモニー交響楽団が共演する「REVOLUCION」に参加(音楽監修/作曲、オーケストレーション)。映画「人間失格」の音楽を担当。ソロ・アルバム『エテパルマ』、『パッサカイユ』、『メランコリア』を発表。近年は完全即興と作曲との稜線を行くピアノ・ソロによる演奏活動も行っている。
中島ノブユキofficial web