
会場一帯を包み込んだライヴ音源を限定配信開始
5月にEP『失う用意はある?それともほうっておく勇気はあるのかい』をリリースし、6、7、8月には3カ月連続イベントTOWN MEETINGを開催。9月頭にはフル・アルバム『荒野/On the Wild Side』を発表し、この度配信限定シングル『確率の夜、可能性の朝』をリリース。10月10日にはキャリア初となる日比谷野外音楽堂ワンマン・ライヴを控えている。と、春からニュースが絶えないアナログフィッシュ。今回リリースされる作品は7月のTOWN MEETINGで行われた合唱を録音したもので、その場にいた全員の共作となっている。そしてそこにはその日ゲスト出演していたシンガー・ソングライターの前野健太も参加しているとのことだ。
今回はリリースを記念して下岡晃(アナログフィッシュ/Vo&Gt)と前野健太に対談をしてもらった。ぱっと見意外な組み合わせの2人だが、実は付き合いは古く、深い。彼らの共通点は同い年であること、上京時期が近く下北沢で活動していたということ、そして何よりミュージシャンであると同時に印象的な言葉を残す書き手でもあるということだろう。彼らに出会った当時のことを回顧してもらいつつ、楽曲の作り方や音楽をやる理由について話を伺った。
インタビュー&文 : 水嶋美和
アナログフィッシュ / 確率の夜、可能性の朝
【配信形式】
MP3
2011年7月9日、原宿VACANTにて行われたアナログフィッシュ企画イベント「TOWN MEETING」。この日ゲストとして出演していた前野健太を交え、来場していた観客150人(公開レコーディング直後、観客より名称を募集して『魚群』と名付けられた)、アナログフィッシュのメンバー、その場にいた全員で新曲「確率の夜、可能性の朝」の合唱が行われた。その模様を録音した音源をOTOTOY限定で配信開始!
野望や覚悟がオーラに出てた(前野)
——お2人は7月の共演以前からの付き合いなんですか?
前野健太(以下、前野) : 2002年ぐらいだったから、もう9年前ですね。下北沢にあるブルースを流しているお店で知り合って、僕はそこでライヴをし始めた頃で、アナログフィッシュは上京してからどれぐらい経ってた?
下岡晃(以下、下岡) : まだ1年経ってなかったんじゃないかな。
前野 : でもそこからアナログフィッシュは階段を駆け上がるようにどんどん有名になっていっちゃって… あれは何だったの? すごい勢いだったよね。
下岡 : 言うほどすごくないよ(笑)。
前野 : 俺も東京に出て来たての頃だったんだけど、実家が埼玉だから「上京」という感じとは少し違ったんですよ。でもアナログフィッシュは長野から出てきてて、「東京で売れてやる」って野望や覚悟がオーラになってにじみ出てた。そう思ってたら下北沢界隈のシーンでも頭角を現し始めて本当に有名になって、僕は大して注目されることもないまま高円寺の無力無善寺でライヴを続けていたんです。すごい悔しかった。アナログフィッシュを絶対に倒さなきゃいけないって思ってたんだよ。今も思ってるけど。
下岡 : そうなの(笑)!?
前野 : 同い年っていうのもあるでしょうね。他にあまり居ないから。
——では逆に、下岡さんから見た当時の前野さんの印象は?
下岡 : 出会った頃からすごく心に残る歌を歌っていて、佇まいも当時から少し変わっていたから長いこと会っていない間も思い出すことが多かったんですよね。
——当時の下北沢のシーンってどんな感じでした?
前野 : サニーデイ・サービスが解散した後、うたものロックの穴を埋めるように若い人がいっぱい出て来た時期だったよね。
下岡 : ちゃんと歌をやっている人があまり居なかった気がする。
前野 : そう思ってたんだ! 俺もすげえ思ってたよ。だから「文芸ミュージシャンのなんちゃら」みたいなイベントで俺が呼ばれないことにすっごいむかついてた。「文芸」とか言ってるのに歌詞も全然面白くないし、でもそういうイベントには可愛い子がいっぱい居て、「何だこの野郎」ってずっと思ってたよ。
下岡 : あの時、みんな歌ってものにそれほどこだわってなかったよね。
前野 : うん、歌じゃなくてうたもの? だったね。
下岡 : 俺はすごい田舎者だったから、上京して間もない頃はバンドを聴くにしても歌の部分を聴いてたんです。子供の頃に歌謡曲を聴いてたみたいに、言葉を意識して。でも案外こっちでそれをちゃんとやってくれている人って少なかった。その中でマエケンに出会って、ちゃんと歌をやってる人がいるのを知ってすごい嬉しかった。
前野 : でもそこから空白の時代が来るんですね。アナログフィッシュが忙しくなっちゃって。
下岡 : そういえばその頃、マエケンはバンドやってたよね?
前野 : え、知ってたの?
下岡 : 知ってますよ。
前野 : 知ってたんだ… 。「さむつらす」というバンドで2004~6年まで活動してたんだけど、解散してまた1人になって、流動的なメンバーで「前野健太バンド」を結成して、その頃におとぎ話に出会って前野健太withおとぎ話をやり始めたんです。そこからバンド系のイベントにも出るようになりましたね。
——それまでシンガー・ソングライターが1人でバンドのイベントに出ることは無かった?
下岡 : 一人でライヴ・ハウスに出る人は今より少なかったよね。
前野 : シンガーが増えて来たのかな。で、去年HMV渋谷店が閉店する時に前野健太withおとぎ話でライヴをして、そこに晃くんが来てたんですよ。
下岡 : ライヴには間に合わなかったんだけど、その時にマエケンに声をかけて電話番号を交換して、「しめた! 」と思ってそこから電話でちょこちょこアプローチし始めたんです。

——そこで「しめた! 」と思ったのは、その時から前野さんと何かをしたいと思っていたということですか?
下岡 : 単純に、話したかったんです。マエケンがその時出した作品がすごい良かったので、興味があった。
前野 : 電話で話をするようなミュージシャンの友達ってほぼいないから、嬉しかったです。で、ある日いつもと違う時間帯にかかってきて、しかも出てみると声がちょっと仕事モードだったんです。これは来た! すぐにVACANTの誘いだとわかりました。
下岡 : TOWM MEETINGの事も知ってたんだ?
前野 : 知ってたよ! 出たいと思ってたんですよ。お客さんを絡めたイベントをやるっていうのも、「TOWN MEETING」って名前も面白いな思ってたから、誘われた時はすごい嬉しかった。
——「確率の夜、可能性の朝」は元々合唱用の曲として作ったんですか?
下岡 : そのつもりで作った曲ではないんですけど、お客さんを巻き込んで一緒に何かをするっていうのは、これから来るんじゃないかなと思ったんです。
——なぜそう思ったんでしょう?
下岡 : お客さんから表現欲求を感じ始めていたんです。普段のライヴではお客さんなんだけど、ネットの中で表現者になる人っているじゃん。まあ人によって「表現とは」も違うだろうから「あんなの表現じゃない」って言う人もいるかもしれないけど。
前野 : 例えばブログとかTwitterでちょっといい事言ってみたり、うまい言い回しをしてみたり、そういうことだよね。で、そこからお客さんに歌わせたって言うのは意外っちゃ意外というか、もっとクールな印象だった。
下岡 : 確かに、今までだったらやらなかったかもね。
前野 : どこでそれが変わったの?
下岡 : TOWN MEETINGは最初からみんなで共有するためのイベントとして始めたからね。今回出たアルバムの流れもあったし、俺自身そういうことをするのもやぶさかでは無かった。でもマエケンに電話で言ったけどさ、ちゃんと出来るか不安だったんだよね。
——メンバーが?
下岡 : いや、俺も。でもマエケンは「絶対大丈夫」って言ってくれた。まだ何も説明する前から「大丈夫大丈夫! 絶対大丈夫! 」って(笑)。
前野 : アナログフィッシュのお客さんにはいい人が多い。お客さんに敵がいないから、晃くんが「みんなで歌おう」って言って「嫌だ」って言う人はいないと思ったんだよ。
——前野さんのファンはどうですか?
前野 : 僕のファンは絶対無理ですよ。僕のライヴには「どういうライヴ見せてくれんだよ」って感じの、闘いたくて来てる人が多い気がするんです。しかしこの合唱の音源聴いたけど、素晴らしいね!
——あれは一発録りですか?
下岡 : 2回目です。1回目は俺が歌詞ミスっちゃって(笑)。でも当日、すごいマエケンに助けられた。呼んで良かったよ。
——どういう風に助けられたんですか?
下岡 : マエケンの人を惹きつける力が遺憾なく発揮されていました。俺がまとめあげられない瞬間にきゅっとひっぱってくれるんです。
前野 : ストイックなステージでいこうと思ってたんだけど、楽しくなっちゃったんだよね。さっき話したように僕はアナログフィッシュに対してすごい妬みがあるから、共演なんてのは一刺しするにはいい機会な訳ですよ。
下岡 : そんなに思いつめてたの(笑)?
前野 : そういう訳でもないけど、いい意味で切りつけてやらないといけないじゃない。でも楽しさが上回っちゃった。この音源聴いて思ったけど、お客さんの声めっちゃいいね。
下岡 : うちらのお客さんっていい人が多いのは確かなんだけど、どうにも少しシャイなんだよ。そこを超えられたのはすごい嬉しかったし、本当にいい声だよね。
前野 : そのシャイさもちゃんと声に出てて、色気があるのがすごいいいよ。ただね、唯一タイミングがずれて入るうるさい音が気になるんですよ。俺のタンバリンです。
——(笑)。それぞれのパートの予習動画をオフィシャル・サイトにあげていて、すごい丁寧でしたね。
前野 : でもあの丁寧さが大事だと思ったよ。だって絶対面倒臭いじゃん。それをちゃんとやる姿勢が僕は好きですね。適当じゃなくて下地があったから成功したんだと思うし。自分が作った歌を人が歌うのってどんな気分だった?
下岡 : そこはあまり深く考えてないかも。それよりも歌い手じゃない人が歌って表現するっていう事の方が重要だったんだよね。
前野 : 晃くん、プロデュースは興味ないの?
下岡 : 俺はあまりないです。
前野 : そっか。歌を作るのは好き?
下岡 : 好き好き。
前野 : え? 好きなの?
——前野さんは好きではないんですか?
前野 : … 好き?
下岡 : 演奏するのと作るの、どっちが好き?
前野 : どっちも好きじゃない… 。
下岡 : じゃあ何でやってるの?
前野 : それ以外やることがない… 。今日晃くんに聴きたいこと考えて来たんだよ。(ノートを取り出しめくり始める)詞と曲、どっちが先ですか?
下岡 : 何かマエケン陽水の偽物みたいになってるけど大丈夫(笑)? 俺は両方同時進行ですよ、常に。
前野 : それは喫茶店とかで書くの?
下岡 : あ、俺書かないの。頭の中で詩とメロが9割ぐらい出来てから、初めて書く。
前野 : それは部屋で? スタジオで?
下岡 : 弾きもしない。
前野 : どこで?
下岡 : 頭の中で!
前野 : 違う、場所場所!
下岡 : 電車の中でもいいし、どこでもいいよ。

——忘れてしまわないんですか?
下岡 : 忘れることもあるけど、大事な曲は絶対忘れない。初めは歌詞を書くテクニックを身につけようと思って毎日書く癖を付けてたけど、テクニックもある程度手に入れたなと思ったところから書くことをやめたの。俺は書いたらそこで留まって動かせなくなるタイプだから、書き直したり書き重ねたり出来ないんだよね。
——一曲ずつ作ってるんですよね?
下岡 : いや、色んな曲を同時進行で作るよ。
前野 : へー! 頭すごいことになってるんじゃない?
幸せになりたいと思った(下岡)
——前野さんはどういう風に作ってるんですか?
前野 : 僕はこれです!(ノートをばんばん叩く)
下岡 : 詞と曲はどっちが先?
前野 : 僕は絶対歌詞ですよ。
下岡 : 紙に歌詞を書いてから曲を作るの?
前野 : うん、書いてる。ギターは普段から触ってるから、それを組み合わせることがあったりなかったり。無理矢理スタジオ行って付けてみたりもする。これが意外と良くて、無理矢理やると言葉がばらけていくんです。書き言葉からちゃんと歌言葉になっていく、その瞬間がいいよね。
——書き言葉と歌言葉の具体的な違いを教えてもらえますか?
前野 : 例えばここに「恋の歌はもう飽きた」って書いてるじゃないですか。これをギター弾きながら歌うと「何だこれ恥ずかしいな」と思う。そこからどんどん変わっていくんです。例えば「は」を抜いて「恋の歌 もう飽きた」にしたり、自分が力を入れられる言葉に変化させるんです。それが僕が今やってる歌なんですよ。そうね、歌作るのは好きね!
一同笑
下岡 : ね、好きでしょ!
前野 : 好きというか、やんないと溜まっていっちゃうんですよ。ノートにだけじゃなくて、気持ちにも。

——消化するために曲を作るという感じ?
前野 : というより、出していかないと具合が悪くなってくるんです。だから病気だよね。そういう意味ではもしかしたら一生できるかもしれない。
下岡 : それはちょっとわかるな。確かに出さないと気持ち悪いです。
前野 : 歌をやらないと、生きているのが辛くなっていくんです。
——楽しいからというよりも、辛くならないためにやるんですね。
下岡 : バンドでやる中で喜びは出てくるけど、365日ほとんどずっと作ってると変な罰ゲームみたいだよね。
前野 : 次の質問いい? 「戦争」ってワードがすごい多いけど、それは何で?
下岡 : 『荒野/On the Wild Side』の曲は全部震災以前に作ってて、今だったら原発になると思うんだけど、それまで俺にとって世の中でとっても悲しくて不可解なことの象徴は戦争だったの。最初に疑問を持ったのは小学生で、大人になるにつれて宗教や国同士の対立やお金の流れとか、起こる理屈はわかってきたんだけどやっぱり何でやらなきゃいけないのかは未だにわからなくて、大切な人を失くしたら困るじゃん、誰か死んだら嫌じゃん、そこから離れられないんだよね。
前野 : 世を憂いている雰囲気がすごい詰まってる作品だなって思ったの。アナログフィッシュって長野から東京に出てきて有名になっても満足せずずっともやもやしている感じがあって、もしかして晃くんはこのもやもやを気に入っていて、それを自分の歌だと思っているのかなって思ったんだけど、どう?
下岡 : どうだろう。でも今の日本で暮らしてて、戦争とか変な問題が気になる俺、それ自体が俺なんだって思うようになったんだよね。
——それを歌にするのも、また自分。
下岡 : そう。気に入っているというよりそれ自体が自分なんだって最近思ってる。
前野 : でも音はパキッとしててもやもやしてないんだよね。音楽にする時はどういうことを考えてるの? 何かを壊したい? それとも誰かに投げかけたい?
下岡 : このアルバムに関してはすごい聴いてもらいたいし、共有したい。それで自分が救われることもあるだろうし、その人の何かを変えることもあると思う。全部肯定的なメッセージなんだよね。
前野 : やっぱりその先に聴いてくれる人はいるんだ。
下岡 : 俺、多分いつまでも評価されたいと思う。マエケンは歌を作る時、他人っていない?
前野 : ほぼいないね。いい曲作って「いい」って言われたいのは大前提だけど、基本的には自分が一番のお客さんだから。
下岡 : 「ファックミー」は、自分の中の何かを消化しようと思って歌ってるの?
前野 : 消化したいっていうか、燃やしたい。燃やしたいんだよね。
——燃やしたいっていうのはどういう感じですか?
前野 : この曲に関しては、歌い燃やしたかったんです。情熱的なラブソングを作りたかった。今は全然ないです。すっごいおしゃれな曲を作りたい。
——(笑)。燃やし尽くしました?
前野 : いやもう、そういうのはしばらくいいです。
下岡 : 灰になったんだ(笑)。
前野 : 歌を作る人はこれからどういう歌を作るのか、すごい試されている感じはあるじゃないですか。

——震災以降ということですか?
前野 : そう。俺は震災の後は日本語の歌が聴けなくなっちゃったんだよね。意味のある言葉を聴きたくなくなったんです。でも自分はやっぱり日本語しか出来ないから、それで曲を作るしかない。
——これから出来る曲は今までのものとは変わると思います?
前野 : 僕の聴きたい音楽が変わっちゃってるんで。街の状況や雰囲気をちゃんと見て書いて歌うって作業は変わらないけど、それをどう自分の聴きたい言葉にするかで変わってくるかもしれませんね。晃くんは歌に怒りの感情はある?
下岡 : 俺はすごいある。でもアウト・プットするまでにそれがもたなくて、怒りに任せて一曲完成させたことはない。
前野 : 上品なんだよ。晃くんは優しいんだよ。
下岡 : 俺も震災後は全然音楽聴けなくなったんだけど、その後は彼とは逆で、意味のある言葉ばかり言いたくなったんです。それを聴いてくれた人と共振して、よりよくしたい、幸せになりたいと思った。
——それがTOWN MEETINGの企画意図にも表れているんですね。
下岡 : そっか。言われてみるとそうですね。
前野 : 『失う用意はある? それともほうっておく勇気はあるのかい』の「あるのかい? 」ってすごい晃くんっぽいね。『日曜日の夜みたいだ』も晃くん?
下岡 : うん、俺。
前野 : 『日曜日の夜みたいだ』の「だ」もすごい晃くんっぽいよね。
下岡 : すごい好きだった真心ブラザーズの歌詞からひっぱってきたの。マエケンって最近何聴いてるの?
前野 : 「ライブテープ」でNYの映画祭に行った時に知り合った青年に勧められたんだけど、Mano Soloってフランスのシンガーがすごく良いよ。あと日本のバンドはラブクライ。
下岡 : 俺もラブクライすごい好き。何なんだろうね、あの良さは。
前野 : 余白がちゃんとあるんだよね。歌い方も変だし。
下岡 : マエケンって歌い方に癖を付けようとは思ったことはある?
前野 : 思いました。名前もカタカナが流行ってたから「マエノケンタ」にして、その後は「前野健太A」にしたんです。
——A?
前野 : 藤子不二夫Aみたいな。
一同笑
前野 : 何か印象付けなきゃいけないと思ったんですけど、面倒くさくなって本名に戻しました。有名なシンガーってみんな癖のある歌い方をしてるよね?
下岡 : 長渕とか最近すごい変だよね。でも自分の発音に酔ってきて、そこが助長されていく感じはあるよね。
前野 : あ、でも晃くんも変だわ! 言葉の入れ方が独特だと思うよ。あともう一つ質問いい? 「荒野」ってどこ?
下岡 : うーん… 可能性みたいなもんですかね。
前野 : そうなんだ。東京のことなのかなと思ってた。
下岡 : 東京イコール可能性だった時期もあるよ。
——今は?
下岡 : 見るものも見ちゃったし、昔ほどは思ってないかな。相変わらずすごい好きですけどね。
前野 : さっきの、締め的な発言ではあったよね。曲名とも繋がったし… これ、締めなの?
——締める前に10月10日の野音の話だけ聞いてもいいですか(笑)?
前野 : 野音ね! 行くよ。
下岡 : 来てよ。
——「確率の夜、可能性の朝」はやりますか?
下岡 : やらないよ。時間すごいかかるしさ。
前野 : やらないんだ。野音の人数でやったらすごいいいと思うよ。
下岡 : じゃあ考えとくよ。
前野 : いや、やっぱいい。

——どっちですか(笑)。
前野 : ストイックなセットも見たいしね。
下岡 : あと、その前に無料ライヴを30分やるんですよ。
——「テイスティングライヴ」ですよね。すごい新しい発想だと思いました。
前野 : それって超近くで味わえるの? ステージに登ってまじまじと見ていいってことだよね?
下岡 : それも込みで考えとくから(笑)。
前野 : じゃ、野音への意気込みを聞かせてよ。
下岡 : はりきってやろうと思ってます。さっきも言いましたが、これを投げかけてみんなで共有して、俺も幸せになりたいしみんなで幸せになりたいので、アルバム聴いて見に来てもらえればすごい幸いです。
前野 : 共有とか幸せって言葉をちゃんと言えるのが、すごい素晴らしいと思うよ。俺は無いからなあ。「食らえ! 」ってぶつけたくなっちゃう。
下岡 : それは全然ありじゃない? マエケンのライヴはあの緊張感がいいんだよ。おれもぶつけたい欲はあるけどね。でも幸せになりたい欲もある。
前野 : 幸せって何ですか?
下岡 : 俺は好きな人がいて、好きな事ができて、そういうものを信じて暮らしていくことだとだね。
前野 : かっこいいなあ。
——前野さんの幸せは?
前野 : 僕の中に幸せって概念がないんですよ。雰囲気はわかるし、ものすごくいい瞬間とかはあるんだけど。すげえうまいもの食ってる時とか、いい音楽を聴いた時、好きな女性と一緒にいる時とか… 僕の場合、幸せって言葉にしちゃうと崩れていくんですよ。
下岡 : それはわかるけどね。でも、俺が幸せってものを考えるとどうしても他人が必要になってくるんだよね。
前野 : 晃くんやっぱりいい人なんだよ。
下岡 : マエケンいい人じゃないの? いい人だよ。
前野 : 俺、全然いい人じゃないよ。すごいよ。
下岡 : 何この対談(笑)。マエケンの今後の野望も聞かせてよ。
前野 : だからオシャレなアルバムを作るってことですよ。あと『ライブテープ』の第二弾で『トーキョードリフター』という映画を撮ったので見に来てください。僕もこの韓国で買ったサバンナ風のシャツを着て野音に行くので、みなさん、現地で会いましょう!
アナログフィッシュ works
前野健太 works
INFORMATION
アナログフィッシュ
Analogfish "TOKYO SAVANNA"
LAST LIVE 荒野音(The Wild Side)
2011年10月10日(月・祝)@日比谷野外大音楽堂
OPEN : 17:00 / START : 18:00
テイスティングライヴ
OPEN : 15:45 / START : 16:00
入場無料 / 全席自由
2011年10月13日(木)@渋谷 O-nest(佐々木健太郎弾き語り)
2011年11月18日(金)@下北沢 BAR CCO
前野健太
2011年10月01日(土)@青山 梅窓院 祖師堂
2011年10月01日(土)@茨城 笠間芸術の森公園
2011年10月02日(日)@山梨 甲府 桜座
2011年10月13日(木)@広島 クラブクアトロ
2011年10月27日(木)@東京 武蔵野公会堂
2011年11月05日(土)@難波 Mele
2011年11月12日(土)@高円寺 坐 高円寺
2011年11月26日(土)@渋谷 WWW
PROFILE
アナログフィッシュ
佐々木健太郎(Vo.B.詞/曲)、下岡晃(Vo.G.詞/曲)、斉藤州一郎(Dr.)からなるツイン・ボーカル/3ピース・バンド。1999年長野県喬木村にて佐々木、下岡の2人で結成。上京後、斉藤と出会い3ピース・バンドに。2人のボーカル/コンポーザーによる楽曲の圧倒的なヴァリエーション、ゆるいキャラクターとは対照的な緊張感と爆発力満載のライヴ・パフォーマンスはほかのバンドのそれとは一線を画す。2008年3月ドラムが病気療養のため脱退。しかしサポート・ドラム、キーボードを迎えて精力的にライヴ活動を行い、2009年10月にはバンド結成10周年記念イベントを新木場スタジオ・コーストにて開催し大成功を収める。そして同ステージにてオリジナル・ドラムの斉藤がバンドに復帰、盤石の再スタートを切った。
前野健太
1979年、埼玉県生まれ。ミュージシャン。2000年頃より作詞・作曲を始め、東京都内を中心にライヴ活動、自宅での録音を精力的に行う。2007年9月、アルバム『ロマンスカー』にてデビュー。同作収録の曲「天気予報」が映画『デトロイト・メタル・シティ』のメイキング映像の挿入歌として使用される。2009年1月、セカンド・アルバム『さみしいだけ』発表。日常の機微を丁寧にすくいあげる歌詞とポップなメロディー、さらにはライヴでのアグレッシヴな演奏で注目を集める、新時代のシンガー・ソングライターである。2009年元旦に東京・吉祥寺の街中で撮影された前野健太主演のゲリラ・ライヴ・ドキュメント映画『ライブテープ』(松江哲明監督)が第22回東京国際映画祭「日本映画・ある視点部門」で作品賞を受賞。