クラシカルで美しいメロディーで、独自の世界を描く男女二人組、kanina。彼らが、今野裕一郎が主宰するユニット、バストリオの最新映画「生きている」のサウンドトラックの制作を担当。劇中に流れる穏やかなサウンドは、日常の風景を彩ります。本作は、OTOTOYだけの限定販売。高音質のHQD(24bit/48kHz)でお届けします! さらに、アルバムを購入頂いた方には、映像やイラスト等のアートワークを自ら手掛ける彼らの、オリジナル・イラスト画像と、「til lifandi」と「stiga」の映像をプレゼント!
kanina / 生きている サウンドトラック
1. days / 2. girl from desert / 3. where is / 4. til lifandi / 5. theme of natsuko / 6. theme of satomi / 7. stiga
ヴィジュアルと音の融合
「生きている」という映画を観た。旅芸人が世間話をしているうちに商売道具の楽器を無くしてしまうシーンから始まり、大きな荷物をひきずって歩くボロボロのスーツを着た女性と、河原でおまじないのような妙な行動をとるショートカットの女性が順番に映る。全くの他人だった彼女らの人生は「探し物」を通して徐々に交差し、それぞれの日常を少し切り取り、混ぜ合わせることで小さな冒険を生む。「探し物」というキーワードを通して「生きる」ということについて考えさせられる、仰々しくなく深い映画だった。冒険は日常の中から生まれ、人生の問いには日常の中から答えを出す。劇中で流れるどこか北欧を思わせる音楽を聴きながら、そんなことを考え、一人頷いていた。
この背景音楽を手掛けたのはkanina。2007年に結成された男女2人のユニットで、時折ハープやバイオリンなどのゲスト・プレイヤーを迎えながら活動している。ボーカルのyukinoは自身でも絵本で物語を紡ぎ、それをPVで音楽と混ぜ合わせ、独特の世界観を作品に詰めて発信し続けている。2009年にリリースされたアルバム『a short story』のPVは、しんとした夜の森の底から大きな月を見上げるような音楽と映像が童話的で、物語を紡ぐという点で映像と音楽に何も差異はないのだと気付かされる。
今作で初のサウンドトラックに挑戦した彼らだが、その音楽は映像の風景に溶けながら、物語の展開を誘うように穏やかに流れ、登場人物の感情の起伏を観る側に伝えている。主人公の聡子が小さな冒険と新しい人達との出会いを経て、日常をほんの少し変えようとする最後のシーンでは、静かな音にどんどんとノイズが足されて緊迫感ある音楽に変わり、聡子の決意が段々固まっていくのがよくわかった。主張しすぎず、映像と共に印象に残るこの音楽はサウンドトラックとして秀逸だろう。
「kanina」とはアイスランド語で「うさぎ」を意味しているのを知り、幻想的で儚く、けれどしっかりと存在している彼女たちの作る音楽と、雪の中に凛と立つうさぎの絵が重なる。ライヴでは映像をバックに演奏し、PVに絵本のアニメーションを取り込み、自身で作ったアニメ作品に音楽を付けている。彼らにとって音楽と映像、どちらかが主役ということはないのだろう。今作では映画のサウンドトラックという形で新しい扉を開いた訳だが、今後もサウンドとヴィジュアルを融合させるスタイルを貫き、可能性の果てまで挑戦していってほしい。(text by 水嶋美和)
kanina 初のワンマン・ライヴが決定!
2010年12月20日(月)@大阪・北堀江club vijon
LIVE : kanina(オープニング・アクト : legoist)
EXHIBITION : amari /Lapin et fleur / akani / ロココミオシ / つまこ
open 18:00 / start 19:00
ADV ¥2000 / DOOR ¥2500(別途Drink代¥500)
問い合わせ club vijon 06-6539-7411
kanina PROFILE
yukino : story telling voice、piano、programing、drawing、movie creation
kentaro amano : guitar、noise、synthesizer
クラシカルで美しい世界観から生み出されたひとつの「物語」を音と歌で奏でる、他に類を見ない新しい手法を提示。バイオリンやピアノを取り入れ、従来のバンド・サウンドにとらわれない自由な表現方法で独自の音楽を模索し、具現化している。[a short story]と名付けられたひとつのちいさな物語。少年の旅が、今はじまる。
バストリオ PROFILE
映画「生きている」を制作した、今野裕一郎が主宰するユニット。2006年に結成。集団としてメンバーも形態も変動を繰り返してきたが、やりたい事をやる為に表現を試みる場所となった。一人の力では何も出来ないという理念のもと、一緒にいる人と全てを出し切るために作品をつくるたび仲間を集めていく。
『生きている』 DV / 61分
——川沿いの町には一軒の珈琲屋がある。そこにはおばあから店を受け継いで一人で日常を過ごしている聡美がいる。探し物が得意な彼女は今日も本業よりも何かを探す事に明け暮れる。
その町に砂漠からやってきた夏子が現れる。彼女も何かを探している。砂漠での長い旅で力を使い果たした夏子は、聡美によって助けられ生命力を回復していく。偶然の出会いが何でもない日常をあたらしくする。それは一人では得られないものだった。
監督・撮影・編集 : 今野裕一郎
出演 : 太田順子 / 橋本和加子 / 佐藤拓道 / 山崎玲奈 / 新姫華 / サブリナ・ヘルマイスター / ホベルト・マックスウェル / アルトゥール・ヴィタル / ヴィオ・レイ / 柴田洋子 / 深堀絵梨 / 齊 藤庸介 / 南波典子
音楽 : kanina
公開日 : 2011年初旬予定