OORUTAICHIが、ニュー・アルバム『COSMIC COCO, SINGING FOR A BILLION IMU'S HEARTY PI』を最高音質のDSDとHQD(24bit 48kのWAV音源)で発売。OORUTAICHIとエンジニアの葛西敏彦が高音質用に新たにマスタリングした本作を、心行くまでお楽しみください。2011年、最狂のアルバムの誕生です。そして、水嶋美和によるロング・インタビュー付き。
DSD+16bit 44.1kのWAV Ver.
最高音質のDSDとCDクオリティの16bit 44.1kのWAV音源のセット。容量が大きいので、part 1とpart 2にわけてお届けします。
>>DSDの聴き方はこちら
part 1(約1.08GB)
『Cosmic Coco,Singing for a Blllion lmu’s Hearty Pi, part 1』
販売形態 : DSD+16bit 44.1kのWAV
値段 : 1000円(単曲販売はなし)
収録曲 :
1. Tiger Melt
2. Futurelina-album version-
3. Shiny Foot Square Dance
4. Coco feat. OLAibi
5. Vofaguela
6. Sononi
part 2(約1.37GB)
『Cosmic Coco, Singing for a Blllion lmu's Hearty Pi, part 2』
販売形態 : DSD+16bit 44.1kのWAV
値段 : 1000円(単曲販売はなし)
収録曲 :
1. Merry Ether Party
2. Venus
3. Linking Pi
4. Permanent Candy
5. Futurelina EYE Remix
6. Futurelina Daedelus Remix
HQD(24bit 48kのWAV) Ver.(約1.01GB)
CD以上の音質、HQDヴァージョン。
『Cosmic Coco, Singing for a Blllion lmu's Hearty Pi』
販売形態 : HQD(24bit 48kの高音質WAV)
値段 : 2000円(単曲販売はなし)
収録曲 :
1. Tiger Melt
2. Futurelina-album version-
3. Shiny Foot Square Dance
4. Coco feat. OLAibi
5. Vofaguela
6. Sononi
7. Merry Ether Party
8. Venus
9. Linking Pi
10. Permanent Candy
11. Futurelina EYE Remix
12. Futurelina Daedelus Remix
本作は、OORUTAICHIとエンジニアの葛西敏彦が高音質用に新たにマスタリングした特別音源です。
interview
去年の12月2日、青山月見ル君想フにて。OORUTAICHIのライヴで踊りながら、ふと腕時計に目をやるとまだ夜の19時で「あれ?」と動きを止めた。オールナイトのイベントじゃないし、開場も18時なのでごくごく普通の当たり前の事。けれど何となく、深夜2時の体感だったのだ。
深夜の2時は、「丑三つ時」と日本でも古くから呼ばれているように、神域との境が曖昧になる一日の中で最も現実感のない時間帯。彼の音楽に没頭すると、いつもその時間帯に迷い込んでしまう。だからだろうか、オールナイトのイベントでOORUTAICHIが見れるとなると、多少の無理をしてでも見に行きたくなる。そしてライヴが始まる前にある程度は酔っぱらっていたい。理性の薄い状態で聴いて踊りたい。そして朝が来てイベントが終わって、防音のために締め切られていた扉が開き、外の新鮮な空気を一気に吸うと冷たくて鼻が痛い。朝日も目に痛い。急に現実に引き戻され、始発に乗って各々自宅に帰る。布団の中に髪や服に染み付いた煙草の匂いが広がり、昨晩のライヴを反芻しながら気が付いたら眠りに落ちている。 彼のライヴが終わった瞬間と、オールナイトのイベントが終わった瞬間の、急に現実に引き戻される感覚はものすごく似ている。だから相性がいいのだろう。
OORUTAICHIのライヴを初めて観たのは2005年の8月、大阪のライヴ・ハウス「Shangri-la」が出来て間もない頃だった。その時の彼の音楽は今のそれとはまた全く違う、例えるなら、地層の下を這うような捻くれたビートで、彼の声は地底人のはしゃぎ声のように聴こえた。原始的でありながら、非現実的。その本質を変えないままに、今作ではそのまま宇宙にジャンプしてしまったのだから、一瞬戸惑った。けれどその次の瞬間には感動がこみ上げてきた。
このアルバムの、Remixを除けば最後の曲となる「Permanent Candy」を聴く度に涙が出そうになる。SF映画のラストシーンのようにドラマチックで、切ない。彼の音楽は未知なる世界への期待と、由来不明だが確かな郷愁、その二つを同時に与えてくれる。「宇宙からやって来たルーツ・ミュージック」と評されるOORUTAICHIの音楽、それを生む思考回路、大事にしている世界観など、彼自身のルーツについて少しばかり探りたいと思う。
インタビュー&文 : 水嶋美和
円周率のようにずっと終わらない
——OORUTAICHIって、本名ではないですよね?
タイチだけ本名です。意味は特にないんですけど、高校の時に楽器の出来ない友達を集めて一晩だけライヴをしたことがあって、その時のバンド名なんですよ。全てって意味のALLで、タイチ。それをひきずって今も使っているだけです。
——音楽を始めたのはいつ頃ですか?
ギターを弾き始めたのは結構早くて、小6ぐらい。長渕剛とかなんですけどね。そのまま中学校でエレキ・ギターに持ち替えてコピー・バンドを始めました。中学生前半は日本のバンドで、中3から洋楽のロックとかメタルを、高校でグランジとかオルタナティヴ。時代の流れとだいたい同じですね。で、高3ぐらいになると即興みたいなことばっかり。
——多重録音をやり始めたのはいつ頃ですか?
それも高校生の時ですね。ちっちゃい安い、4つしか音を重ねられない様なMTRで。ワッツーシゾンビって知ってます?
——知ってます知ってます。
余談なんですけど、ワッツーシの谷本じゅげむ君と安里アンリさんは同じ高校みたいで、谷本くんはその時から「じゅげむ」っていうスカムなバンド組んでたらしいのですが、当時知り合いだった訳じゃないけど、周りにもそういう変わった音楽をやってる人は居ましたね。
——濃い地域ですね(笑)。OORUTAICHIはどういう所から曲を作りますか?
基本、コンピューターですね。最初は遊びながら、シンセサイザーをいじったり、いいループが出来るまで足したり引いたりして作り始めます。
——あの、どこの国の言葉ともつかない言語はどうやって生まれたんですか?
即興でセッションをする時に、楽器を鳴らす感覚で声を出すようになって、それがそのまま続いて勝手に主流になっちゃった感じですね。前はもっと歌の意識が強かったんですけど、今作ではそれが少し減ったかな? メロディよりも声の音そのものに意識がいってると思います。
——前作まではエキゾチックな印象が濃かったんですけど、今作は音がすごいキャッチーですよね。この変化は何かの影響があって?
バンド活動かな。アルバムの中で最初に作ったのが「Futurelina」で、それを作った3年弱ぐらい前はウリチパン郡でも活動していたので、バンドはアンサンブルが重要視するのでそれに伴ってジャストなリズムに気持ちが行くようになりました。前まではビートをこねくり回してたところがあるんですけど、もっとストレートで分かりやすいリズムの上でも表現できる可能性はあるなと思って。
——他に変わったことはありますか?
やっぱり音にこだわるようになりましたね。前まではもっと成り行き任せというか、勢いで作る感じもあったんだけど、今作は音色とか、シンセの音とかスネアの音とか1つずつ色々考えたし、その中で何を選ぶかによってすごいキャッチーになるし。そういう差はあるかもしれないです。
——ソロ名義では久しぶりの音源となりますが、他の活動と意識はどう違いますか?
やっぱり、ダンス・ミュージックを作るということが念頭にありますね。ビートが効いてて乗りやすい側面があるように。
——DJ SHABUSHABUさんとのユニットおばけじゃーや、ウリチパン郡ではどうですか?
それぞれ全く違いますね。おばけじゃーは遊びの極致なんですよ。2人っていうのが一番面白くて、1人だとマイ・ワールドじゃないですか。2人だと2人分のマイ・ワールドって感じで、独りよがりじゃない感じ。外から見てもわからないけど、2人の間には確かな何かがあるんです。ウリチパン郡はもっと作曲思考で、最初に歌とメロディありき。バンド内で世界観を作る人とか骨組みを作る人とか、曲ごとで変わるんですけど、うっすらと役割分担が出来てきてましたね。
——今作の中でも色んなゲスト・ミュージシャンが参加していますが、他の人を招き入れて演奏するのはどうですか?
まあ、一緒にやって面白いものが出来たらいいなって気持ちが一番にあるんですけど、例えばOLAibiさんだったら、彼女のやってる音楽と自分の音楽を考えた時に面白い接点が見えたんですよね。すごい独特な世界を持っていて、でも宇宙とかじゃなくて、どっかのマニアックな部族じゃないけど(笑)、どこでもないどこかっていうニュアンスを持った音楽をやってる人なので、そういう部分でクロスするところがあるかなってお願いしました。
——今作『Cosmic Coco, Singing for a Billion Imu’s Hearty Pi』って、タイトルの中に‘Cosmic’って単語がある通り、すごい惑星っぽい音が飛び交ってますよね。独特の非言語も、ずっと聴いてると宇宙人と会話している気分になりました。
そういうニュアンスも無きにしもあらずですよ。大宇宙みたいな壮大なイメージではないんですけど、隣の銀河の中にある地球によく似た星って感じですね。ストーリーまでは特に考えてませんが、実は最後の「Permanent Candy」の曲の最後に一曲目のイントロがくっついてるんです。だから延々と回り続ける。タイトルの最後にPi(π)ってあるんですけど、円周率のようにずっと終わらないイメージです。そういう回るイメージは常に持ってて。
——回るイメージ?
音楽の話に限らず、死んだら生まれ変わる、輪廻というか。そういうことはすごい曲に反映されてると思いますね。
——例えば、どういう風に?
これはウリチパン郡の方が強いのかな。仏教の中では輪廻せずに次の世界に行くっていう感覚もあるじゃないですか。輪廻の輪から抜け出す「解脱」ですね。ウリチパン郡では歌詞でもそういうニュアンスを含めています。「テルマ」は、人が死んで輪廻するまでのことを書いたチベットの「死者の書」って本を題材にした曲ですし。いつもどうしてもこういう観念的な方向の話に行ってしまうんですけど、本当に面白いですよ!「死者の書」。
——こういう世界観が好きなんですか?
大学の時に、俗に言う精神世界の本をすごい読んでて、あるきっかけで「死者の書」を読んで、すごいしっくり来たんですよね。これはリアルな世界やなって。死んでからね、すごい光に襲われるらしいんですよ。でもそれは実は自分の姿で、全然恐れなくていいものなんですけど、それを恐れて逃げるとまた輪廻に一歩近づいていく。そういうものすごい光のイメージは、ソロ名義の音にも反映されてるかもしれませんね。感覚をちょっと怯えさすような。
——OORUTAICHIのライヴを見てて、踊りながら最高に楽しいしんだけど、ふとした時に妙に少し怖くなる、不安になるっていう感覚は確かに感じます。
怖さを伴う時って次元が変わる瞬間とか、違う世界に行く瞬間とかやったりすると思うんですね。だからそういうのを伴わす音って魅力的やと思うんです。
——この物語の一場面みたいなタイトルはどういう風に考えましたか?不思議な言葉が所々にありますが、これは造語?
感覚的に出てきた言葉で、アルバムの曲が半分も出来てないうちからタイトルだけは決まってました。「ココ」と「イム」はアイヌ語で、「ココ」は婿を指す意味らしく、「イム」は陽性のヒステリー持ちを指すらしいです。
——コズミックココがイム達の為に歌を歌ってる?
そう。人ってそれぞれに色々な性を持ってるじゃないですか。そしてそれってすごい根深いものなんやけど、時々儚いなって思ったりもするんですよ。並大抵のことでは変えられない、捨てきれないものなんだけど、一回生きた間で何かが少しだけ変わって、また生まれ変わってまた少し変わってを繰り返して、輪廻の中で少しずつ変化していく。そういうすごい長い目で見て大きいものな気がするんですね、個人が持ってる性って。そしてそれが面白い音楽とか芸術を作ってるんだと思うんです。そのために歌を捧げてるっていうイメージですね。
——じゃあ、イムに性を重ねてる?
そういうものを持っている人、ですね。想像次第で色々と意味付けは出来るから自由に考えてもらっていいんですけど。自分が音楽で表現するということは、何かを作る事で自分の捨てきれない性を消化しているって事なのかなとも思いますしね。そういう普段思ってたことがぽろっとこの言葉になって出てきたんだと思います。
——OORUTAICHIの音楽って形容しがたいというか、マネも出来ないし、全く同じ筋に居る人が出てこないイメージなんですが、本人としてはどうですか?曲を作る時に何かを意識していますか?
形容するのは自分でも難しいんですけど、最大限自分の手元から遠い所に物を放り投げたくて、でもどっか自分の中で納得いってるというか... 何て言うんでしょうか(笑)。自分の知らないものを作りたいんですけど、全く訳がわからないものにはしたくないんです。ちゃんと形には収めたい。
——でも自分の中から出てくるものだから、全く自分の知らないものは作れないですよね?
そうですね... 全く別の2つのものをものすごく遠くに置いて、その2つの関係性の一番キャッチーな点を探るんです。それもすごい感覚の世界だし、運も必要なんですけど。曲の種類もいっぱい出来るんですけど、その中でなるべくキャッチーなものを。最大公約数を探す作業ですね。聴いたことの無い音楽を作りたい時、僕はそういうやり方をしています。その質問はよく受けるんですけど、今日やっとうまく説明出来た気がしますね(笑)。
ライヴ音源をDSD&HQDで!
12月17日(金)に秋葉原GOODMANで行われたライヴを、最高音質のDSDとHQD(24bit 48kのWAV)で販売! 昨今の彼のライブは、あのデジタル・クンビアの奇才Dick El Demasiadoも驚かせるほど驚異的に素晴らしく、見ているもの達を宇宙へと誘う。是非そのライヴの一端を、広がりを体感できる高音質で堪能してみてください。
OORUTAICHI『2010.12.17 Live at GOODMAN』
TRACK
1. Hamihadarigeri / 2. Beshaby / 3. Minor / 4. Cali! / 5. Futurelina
販売形態
1. DSD+mp3 Ver.(約776MB)
2. HQD(24bit/48kHzのWAV) Ver.(約356MB)
共にアルバム販売のみ 800円
DSDの聴き方は、こちら→https://ototoy.jp/feature/20101220
【ダウンロードに関して】
windowsをご利用のお客さまは、標準の解凍設定、もしくは解凍ソフトによっては正常にファイルを解凍できない可能性がございます。その場合、お手数ですが別の解凍ツールを使用し、再度解凍をお試しくださるようお願い致します。7-Zip(フリー・ソフト)での解凍を推奨しています。
※7-zip http://sevenzip.sourceforge.jp/
また、ダウンロードしたファイルに不備や不明点がありましたら、info(at)ototoy.jpまでお問い合わせください。
OORUTACHI PROFILE
1999年よりOORUTAICHIとして活動を開始。当時無名にかかわらず自主制作CD-Rが横山剣(クレイジー・ケン・バンド)、EYE(ボアダムズ)などの多数のミュージシャンに取り上げられ、異例のセールスを記録。その突出したスタイルの音楽が広く知られることとなった。その後国内外のレーベルより多数のアルバム、シングルをリリース。今年9月にはUKツアーを敢行。FUNKSTORUNG (ファンクストロング)のミヒャエル・ファケシュのソロ・プロジェクトのオープニング・アクトを勤めるなど各会場で喝采を持って迎え入れられた。またソロ名義のメイン・ワークの他、おばけじゃーなどの別ユニットや舞台音楽など、エレクトロニック・ミュージックから即興音楽まで数多くのジャンル、フィールドで活躍中である。
OORUTACHI WORKS