キツネの嫁入りが彩る、春の京都

京都の4人組、キツネの嫁入りの2ndアルバム『俯瞰せよ、月曜日』が完成! 5月の発売に先駆け、収録曲「雨の歌」のミュージック・ビデオを公開。彼らの描く寓話のような世界を見事に表現した映像で、一足先にアルバムの断片を感じとってみてください。さらに、4月には彼らの企画イベント「スキマアワー」の開催も決定。「学校で聞く学校で教わらなかった音楽」をコンセプトに掲げ、京都・木屋町の廃校とライヴ・ハウスを使って行われるこのイベント。2011年9月に行われた第1回では、二階堂和美、キセル、タテタカコ、向井秀徳等、確かな「歌」を届けるアーティストを全国から集め、台風の中(!)、そこでしか生まれ得ない音楽が奏でられました。第2回となる今回は、一体どんな「歌」が届けられるのか、注目のイベントです!

キツネの嫁入り

雨の中に潜む想像力(text by 水嶋美和)

「狐の嫁入り」と言われて大概の人が思い浮かべるのは、天気雨のことだろう。京都の音楽好きに問えば、このバンド「キツネの嫁入り」を掲げる人も少なくないはず。2006年より京都で活動を開始し、自主企画イベント「スキマ産業」を過去31回開催。昨年2011年9月4日、京都木屋町にある元立誠小学校(現廃校)にて、その拡大版である「スキマアワー」を京都の老舗イベントP-hourと共同開催。ここで彼らのライヴを見たのだが、そういえばこの日は天気雨どころか台風だった。雨が土に、コンクリートに、天井にぶつかる音に、懐かしくも人を俯瞰し、突き放したようなキツネの嫁入りの音楽が重なり、体育館中に響きわたる。その演奏の中で最も記憶に残っていたのが、今回完成されたミュージック・ビデオ(以下、MV)の曲「雨の歌」。曲中の「しとしと」という幼い女性の声と、外から聴こえる「しとしと」とした雨の響き。私はその2層の「しとしと」の間に立ちながら、体育館の床にごろんと横になって音楽を聴く人、きちんとした体育座りでステージを真剣に見つめる人、曲中の合間に小声でおしゃべりを楽しむ人を見て、ここにいる全員が音楽好きであろう事実にとても心が落ち着いた。音と声を聴き比べる面白さ、様々な形で同じ音楽を楽しむ人たち、のっしりと進む「雨の歌」、全部ひっくるめて印象深い空間だった。

 

このMVを制作したのはキツネの嫁入りと同じく京都在住の映像作家、永田ナヲミ。これまでにキセルのMVやSPACE SHOWER TVのオープニング映像などを手掛け、アメリカのコミック作家、ジム・ウードリングの作品を日本の映像作家が様々な技法を用いアニメーションに落とし込んだオムニバスDVD『VISION OF FRANK』にも参加している。前々からキツネの嫁入りの音楽に懐かしくもゾッとする日本の寓話っぽさを感じていたので、アニメーションの親和性が高そうだと思ってはいたけれど、この映像作品は私の想像を悠に飛び越えていた。映像=視覚と聴覚からの情報であるにも関わらず、匂いと温度が感じられる。それはきっと、この映像の中には記号が散りばめられている代わりに物語が虫食いになっていて、そこを想像力で埋める作業をする過程で余った想像力が嗅覚や触覚になってはみ出るからかもしれない。

雨の中、体育館の壁と天井に守られながらこの曲を聴いた時は、「何だか淋しい曲だな」と思った。このMVを見た時、「優しい曲なのかもしれない」と思った。次の雨季にリリースされるセカンド・アルバムで他楽曲と合わせて一つの作品として収まった時、また違った印象を得るのだろう。そして4月21、22日には同会場で二回目の「スキマアワー」が開催されるとのこと。雨であることを願われるイベントなんてそうそうないだろうけど、キツネの嫁入りの時だけはまた降って欲しい。今度は淋しい雨ではなく、優しい雨に感じられるだろう。そして、この映像があなたの目に触れる時にも雨を願っているが、それはさすがに無茶な話か。

5月25日、2ndアルバム発売決定!

キツネの嫁入り『俯瞰せよ、月曜日』
2012年5月25日発売
レーベル : ギューンカセット

【収録曲】
俯瞰せよ、月曜日。 / 東西南北 / エール / 雨の歌 / せん / 結局、そう / ヤキナオシクリカエシ / ブルー、始まりと終わりと。 / 家探し

>>『俯瞰せよ、月曜日』特設ページ

キツネの嫁入り presents スキマアワー

2012年4月21日(土・昼) @元・立誠小学校
出演 : 石橋英子 with もう死んだ人たち(ジム・オルーク、須原俊明、山本達久、波多野敦子) / コトリンゴ / 柳原陽一郎 / Predawn / うつくしきひかり / jaaja / dry river string / ゆーきゃん
開場 : 13:00 / 終演 : 19:30 ※予定

2012年4月21日(土・夜) @木屋町UrBANGUILD
出演 : 吉村秀樹(bloodthirsty butchers) / moools / bed / スーパーノア
開場 : 20:00 / 終演 : 23:00 ※予定

2012年4月22日(日・昼) @元・立誠小学校
出演 : Jim O' Rourke band / トクマルシューゴ / Gofish / ラキタ / とうめいロボ / ボギー / Accovio / キツネの嫁入り
開場 : 13:00 / 終演 : 19:30 ※予定

【チケット】
A券(1公演のみ) : 元・立誠小学校公演のみ 3000円 / 木屋町UrBANGUILD公演のみ 2500円
B券(2公演) : 元・立誠小学校(4/21)+木屋町UrBANGUILD(4/21) 5000円
C券(3公演) : 元・立誠小学校(4/21〜22)+木屋町UrBANGUILD(4/21) 7000円

【お問い合わせ先】
スキマアワー official web

キツネの嫁入り PROFILE

・マドナシ : Vo / Guitar
・ひさよ : Cho / Piano / Accordion / 木琴
・藤井都督 : Cho / Contrabass
・カギ : Drums / percussion

2006年頃から京都を中心に活動中。京都・大阪のライヴ・ハウスを使用した「スキマ産業」。京都木屋町の廃校を使ったフェス「スキマアワー」を主催。なんとなくの癒しの言葉や、あやふやな応援、ありきたりの恋愛歌等の要素を一切排除した歌詞。辛辣かもしれない、誰しもが身に覚えのある「誰かのせいにしたくなる、絶望的とまではいかないにしても、嘆きたくなる日常」を目の前に突きつけられる言葉達は、変拍子を織り交ぜ、アコギとアコーディオン・ピアノ・木琴・コントラバス・ドラムにより繰り出される破壊力のある楽曲により、それでいてポップ・ミュージックというフィルタを通過した、唯一無二の「キツネの嫁入り」でしかない音世界として昇華される。

既存の何かに対しての「警鐘と終焉、そして始まり」を「夕焼けと朝焼け=オレンジ」になぞらえ、この街に、人々の心に、流れる川に突き刺し、それに掴まるもよし、行き先を変えるもよしの「一つの杭」をコンセプトに、キツネの嫁入りは、時代・国・場所を越えて、人々の心に残るだろう歌と音を確実に突き刺し、残す。今そうじゃなかったとしても、いつか、その心に響く事を信じて。2012年5月大阪の老舗レーベル、ギューンカセットより、待望の2nd Album『俯瞰せよ、月曜日』をリリース予定。

>>キツネの嫁入り official web

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レヴュー

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筆者について
水嶋 美和 (bobbiiiiie)

酒と音楽と漫画と映画とお笑いに囲まれながら、何かしらとにかく書き続ければと思います。

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