童話から飛び出した、現代のブレーメン音楽隊
やっぱり、ポップというジャンルは浮かれてなんぼだと思う。
怒る気にも泣く気にもならない。そんな事より楽しくさせて、スキップさせてよ! 私はこのジャンルに関してだけはいつもそれを期待しながらイヤホンを耳に突っ込む。
エレキベースを初めて知ったのは4年前。京都の野外音楽イベント「ボロフェスタ」の夕暮れ時、ちんどん屋のように楽器を抱えて客席をねり歩きやって来た。衣装の朗らかな ブレーメンの音楽隊のような彼らは、甘く軽いボーカル、爽やかなギター、跳ねるリズム隊、躍る鍵盤と抜けるホーン隊で客席に横ゆれを誘う。その演奏に合わせて初めて会うお客さん同士、飛んで跳ねてぐるぐる回った。あの空間はまるでファンタジーのようだった。
こんなイメージをライヴで抱いてしまったバンドは、音源を聴くのに勇気がいる。部屋のスピーカーの前ではあの時と同じ気持ちになれず、生演奏だからこそのマジックが解けてしまう、そんな気がして怖いもの。しかし、そんな引け腰で聴いた『Paint it black』の印象は、「ライヴそのまま」と「ライヴとは違う」の両方を持ってた! 興奮の中では気づかなかった緻密さと音数の多さ、けれどパーティの賑やかさはそのままに、彼らを初めて見た時の高揚感が、部屋の中であっという間に再現された。
『Paint it black』は、日が明るいうちに見るディズニーのパレードの真っ最中に、動物園の動物が脱走してしまってそれに驚いたピエロ達が一斉に持っていた風船500個を手放してしまったような、賑やかさを越えた騒々しさと、それを目の当たりにして笑うしか無いお客さんの痛快さを併せ持ってる。
このアルバムはナレーションで始まる。これから始まるミュージカルの前説。喜劇のバック・バンドのような演奏は最初から最後まで笑顔を絶やさないし、大切にしているのは、伝えたい言葉ではなく、共有する空気感。ライヴでしか味わえなかった“あの感じ”が、これからは部屋でも楽しめる。好きであろうがなかろうが色んな人に聴かせよう。音楽 は音を楽しんだもの勝ちなのだから。ただし携帯音楽プレーヤーで聴く時は、公共の場で躍り出さないように注意。(text by 水嶋 美和)
Paint it white
3枚目のフル・アルバム。『Paint it black』がオルタナ精神溢れる”陰”の部分なら、この作品は”陽”。カラフルでハッピーな、全曲日本語のかわいいポップス大本命! ジャケットはof monterealのイラストでおなじみのDavid Barnes。
オススメ! ポップ・ミュージック
LIVE SCHEDULE
『+cafe Flug 1周年記念ライブ(仮)』
6月20日(土)@神保町 +cafe Flug
open / start 17:00 / 18:00
fee / 2,000yen(1drink)
featuring / Ricarope、サカモトヨウイチ、yuki kawana
dj / 炉-LO、MILKY
『見放題09』
7月4日(土)@大阪 RAIN DOGS / ムジカジャポニカ / HARD RAIN / HEAVEN'S DOOR
open / start 未定
fee / 3,000yen(ADR)3,500yen(DOOR)
w / Ajara、アマネ、アンコールアワーズ、井上ヤスオバーガー、ELEKIBASS、エレクトリックギュインズ、空中ループ、ザ・アウトロウズ、 SIBERIAN NEWSPAPER、ジャカランタン、ズクナシ、寺前未来、一二三、蜜、Ra’con、リクオ and more
official site http://www.mihoudai.jp
6月27日(土)@福岡 Tremolo cafe
6月28日(日)@福岡 cafe ands andz
7月3日(金)@名古屋 CLUB ROCK'N'ROLL
7月4日(土)@京都 CLUB METRO
7月10日(金)@心斎橋 クラブジャングル
7月11日(土)@心斎橋 クラブジャングル
7月16日(木)@高円寺 クラブライナー
LINK
- エレキベース website : http://www.waikikirecord.com/elekipage/
- エレキベース myspace : http://www.myspace.com/elekibass2
- エレキベース特設サイト : http://www.waikikirecord.com/camp/
- WAIKIKI RECORD website : http://www.waikikirecord.com/
PROFILE
エレキベース
坂本 陽一(ボーカル、ギター 10月1日生まれ)、亀田 JP(ギター、コーラス 12月24日生まれ)、サポートにドラム、ベース、ホーン隊、鍵盤を迎えてライブを行う。
サウンドはハッピー。ライブはパーティなバブルガム・バンド・エレキベース。ゆるいサウンドとは裏腹にライブ活動は骨太でと数回のアメリカ・ツアーや2007年のアセンズのポップ・フェスではとの競演やツアーで一緒になったBlackKidsやCasper&theCookiesとの交流特にエレキベースがフェイバリットにあげるThe Apples in stereoのロバート・シュナイダーがケンタッキーでのライブを見て、感激しほれ込むなどアメリカのインディ・ロック・シーンでの活躍は目覚しい。国内ツアーはもちろん、台湾最大フェスへの参加や、数回にわたるアメリカ・ツアーで培われてきたエンターテイメントなライブは必見。