HACHIが『Revealia』で選んだ自己開示という答え──寄り添うために打ち明けた、心の奥

「寄り添う存在」であり続けるために、バーチャルシンガー、HACHIは長いあいだ自分の弱さを隠してきた。期待に応えようとするほどに見失っていった、本当の自分。その葛藤の末に辿り着いた答えが、自己開示をテーマにした4枚目のアルバム『Revealia』だ。心の奥底に沈めてきた感情を音楽として解き放ち、差し出された楽曲たち。本インタビューでは、リスナーの存在に背中を押されて「ベールを脱ぐ」に至るまで、語ってもらった。これはHACHIにとっての転機であり、聴き手自身の心にも静かに触れてくる、覚悟の物語だ。
自己開示をコンセプトにつくられた、HACHIの4th ALBUM
INTERVIEW : HACHI
2024年にメジャーデビューをしたヴァーチャルシンガー・HACHIの4th ALBUM『Revealia』は、彼女がこれまで敢えて見せていなかった感情や、臆病になっていた部分など、長きにわたり心のうちに秘めていたものがさらけ出されている。ゆえに以前にも増して彼女の人間性や音楽の趣味嗜好がダイレクトに表れたものとなった。
作家陣には活動初期よりタッグを組んでいる海野水玉、過去作にも参加したtee tea、ササノマリイに加え、初タッグとしてピコン、keeno、澤田空海理、buzzG、nikiといったHACHIが長きにわたり楽曲を聴き続けているクリエイターも参加し、彼女の抱えていた葛藤や喜び、感謝をそのクリエイターならではの視点で引き出している。彼女の人生を追体験するような非常にドラマチックな今作は、いかにして生まれたのだろうか。
インタビュー&文 : 沖さやこ
完成するたびに、自分のことを許せるような感覚に
──今作『Revealia』は、「自己開示」をテーマにしているそうですね。
HACHI:「あなたの心に寄り添う」を信条として活動を始めて5、6年ぐらい経つんですが、トーク配信やSNSでネガティブな感情や悩みを一切表に出してこなかったんです。自分は楽しい時間を提供するのが仕事だし、リスナーは癒しや楽しみを求めて配信を観に来てくれるから、わたしが元気でないといけないなという使命感もあって、無理をして隠していて。そうしていくうちに「周りが求めるHACHIらしさ」を探りすぎて、自分を見失ってしまったんです。
──それはいつ頃の話ですか?
HACHI:メジャーデビューアルバムの「for ASTRA」(※2024年11月リリース)の制作中あたりからほんのり感じてきていて、それが今までの人生で最大のスランプでした。その頃は配信でリスナーから「最近元気ないね」と言われることも多くて、隠しきれていないことに反省してどんどん隠して隠して……。そのなかで自分を見つめ直して、リスナーに対して信頼の気持ちをちゃんと見せるためにも、自己開示をしなければと思ったんです。でもこれまで人の顔色をうかがって過ごしてきたわたしにとって、それはとても難しいことで。
──そうですよね。自分の意見や気持ちを話して、人が離れてしまうのではないか、嫌われてしまうのではないかという恐怖はあるだろうなと思います。
HACHI:まさにそれが自己開示できなかった理由なんです。だからこれまでの楽曲も、人の抱えているつらい気持ちを代弁して寄り添うものがほとんどだったんですよね。でも今回のアルバムでは、すべてわたしのことを歌うことにしたんです。自分の抱えていた葛藤や悩み、心の内を全部さらけ出す。それで「ベールを脱ぐ」という語源を持つ「Reveal(=打ち明ける)」と「~ia」を合わせた造語「Revealia(=心の内を明かす場所)」を掲げて、「こんな人間なんですが、良ければまた仲良くしてくれますか?」というアルバムを作るに至りました。
──自己開示に恐怖があったHACHIさんに、その勇気が生まれたのはなぜですか?
HACHI:好きという気持ちを伝えてくれるリスナーの言葉や、ライブでいただく直筆のお手紙ですね。手紙は直に書いた人の気持ちが届くものだと思っていて、昔からすごく大好きなんです。いただいた手紙を読み返していると、皆さんがわたしに寄せてくれる信頼や愛情を感じて、「この人たちにはもうちょっと自分のことを話してもいいんだろうな。話せる気がするな」と安心できるようになってきました。いただいてばかりだから、自分の心の内を伝えたほうがこちらが信頼していることが伝わるかも……と思えたんですよね。それで去年の頭あたりから『Revealia』の制作がゆったりと始まっていきました。
──『Revealia』はとてもドラマ性の高いアルバムでした。冒頭は不安を描いた楽曲が続き、夢の中のような幻想的な楽曲から雨を描いた楽曲につないで、最後は光に満ちている。もともとこういうプロットを立てたうえで作家陣の方々にオーダーなさったのでしょうか?
HACHI:いや、実は違うんです。今回オファーした方々には共通して、アルバムのコンセプトと打ち合わせをもとに楽曲制作をしていただいて。だからこんなふうに分散したのは偶然で、並べるときに「こんなにドラマチックに並ぶ?」と驚いたくらいです。
──その作家さんそれぞれがフィーチャーしたいと思ったHACHIさんの感情や人間性が集まったことで、HACHIさんを多角的かつドラマチックに体現するアルバムができたということですね。
HACHI:オファーさせていただいたクリエイターさんの楽曲は、ずっと昔から聴き続けていたくらい大好きなので、ご自身の色を大事にしていただきたくて細かいオーダーはしていないんです。打ち合わせでいろんな方々に何度も何度も自分の話をしていくうちに、音楽として消化して自分を受け入れて認めていくような感覚があって。楽曲が届いて、自分の歌声で表現して、1曲として完成するたびに、自分のことを許せるような感覚になっていきましたね。














































































































































































































































































































































































