日常の景色をうたう、ポップ・ミュージック
ウミネコサンライズ名義で活動してきた古里おさむが、新たにソロ・ユニット、ウミネコサウンズとして始動した。「夕焼け」「寄り道した公園」「緑から赤へと変わった木の葉」。日常を連想させる誰もが共感できる歌詞と、暖かくて力強い歌声。ネガティブな要素が見当たらないポップ・ミュージックだ。
表題曲の「夕焼け」、是非聴いてほしい。あなたも夕焼けを見てセンチメンタルな気分になったことがあるのではないだろうか? 夕焼けを見る場所やタイミングは人によって様々。古里はライブでこの曲を「渋谷で観た夕焼けが綺麗で作った曲なんだ」と言っていた。渋谷はお世辞にも綺麗な街とは言えないし、青森出身の彼は、もっと美しい風景を知っているだろう。けれども故郷で見たものではなく、今生活をしている東京のそれを歌うからこそ、そのうたはリアリティに溢れていて、私たちはすんなりと共感してしまう。
「綺麗なあなたに / 見とれているうち / 1000年位 / すぐに過ぎていく」(夕焼け)
なんて歯の浮くような台詞も、彼が歌うと自然としっくりとくる。それは格好をつけているわけではなく、本当にそう感じたのだろうと思えるから。正直で優しさに溢れた人間性がにじみ出ている。人の心を揺さぶるうたはいつだって真っ直ぐなんだ。
これまでにウミネコサウンズの現編成でのライブが2回あり、両方とも観た。一回目は初ライブなだけあってぎこちなさが残ったのだが、2回目はとてもまとまっていて、バンド・サウンドになっていた! 楽しそうなメンバーの表情からは順調な様子が伺えたし、「古里おさむのソロ」としてだけでなく、バンドとしてもウミネコサウンズは着実に進化している。次はさらに良いライブをみせてくれると確信しているから、また足を運ぼうと思う。(text by 井上沙織)
ウミネコサウンズ
くるりが主催するNOISE McCARTNEY RECORDSより04年3月にソロ・アルバムをリリースしている古里おさむが新たに始動したソロ・ユニット。06〜08年はウミネコサンライズ名義で活動を行い、公式リリース前にも関わらずロック・フェス『ロックの学園』に出演(校長に忌野清志郎、共演にGOING UNDER GROUND、斉藤和義など)。心ゆさぶるメロディーと歌声、サイケやUSインディーを通過したロック・サウンドは高く評価されている。
LIVE SCHEDULE
- 6月6日(土)
START 14:00
FREE LIVE
LINK
ウミネコサウンズ web http://uminecosounds.com/
ウミネコサウンズ MySpace http://www.myspace.com/uminecosounds
ウミネコダイアリー http://uminecosounds.com/diary/
『夕焼け』特設ページ http://uminecosounds.com/01_yuyake.html
うたものバンド・サウンドが聴きたいあなたにレコメンド!
泪と笑いのズッコケROCK4人組(全員長男)登場! ココロにするりと入り込むポップ・ミュージック。くるり/はっぴいえんど/サニーデイ・サービス/ユニコーンなど、邦楽史に名を刻むポップ・ミュージックを背景にした秀逸なメロディー・センスと、トーキング・ヘッズやXTC、近年ならばクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーをも匂わすひねくれたサウンドとのコンビネーションは、聴く者の記憶にストーカーのようにまとわりついて離れない。たよりないのに愛しい、クセもの過ぎるヤング・ジェネレーション。
2003年より活動する4人組。エレクトロニカ、ポスト・ロック、オルタナ、USインディー、フォークなどを消化した、高次元の音楽性と人懐っこさが同居したサウンド、電飾を施したステージで繰り広げる激しさと繊細さが交錯するライヴ・パフォーマンス、そしてなにより文学性や叙情性を感じさせるメロディー、日本人の心の琴線に触れる声を武器に、アラブ・ストラップの前座を務める傍ら、ドン・マツオのバック・バンドを務めるなど、邦楽洋楽の垣根を軽々と飛び越える稀有なバンドとして、存在感を示し続ける彼らの、待望の初公式音源にして、日本語ロックの新たなる金字塔。
園部信教と山崎“paul”貴博による、高知出身の二人組。何といっても彼らの持ち味は、日中のあたたかさと夜中の静寂さをあわせ持つ世界観と、日常を切り取る歌と透き通った声。日々の暮らしに寄り添う、待望のファースト・アルバム。
ゲスト・ギタリストに石田真人(Venus Peter、Ocean)を迎えて開催された第14回モールスまつりの模様を収めた、配信限定ライヴ・アルバム。これが本当にライヴ音源? と思ってしまう完成された音作り…かと思えば、次の瞬間にはエモーショナルの塊のような生々しいバンド・サウンドへと変化! 10分を超える演奏の「インドラの網」からは、張り詰めた空気を感じとることができます。ライヴならではの高揚感がコンパイルされた一枚。