流れのあるアルバムが好きだ。web上では、1曲単位の試聴や購入が可能だけれど、アルバムにしか存在し得ない流れがあり、そこには制作者のアルバムに懸けた想いがにじみ出ている。聴き終えたあとには、単曲では決して味わうことのできない充足感が湧き出る。
perfect piano lessonのセカンド・フル・アルバム『Wanderlust』は、「旅」に視点を置いた、アルバム購入を強くお薦めする作品。オープニングの「(leaving this planet on the) Sunday Night」から重低音が響き渡り、そのままの勢いで突き進むのかと思いきや、その後繊細なメロディが物悲しい「Submarine」、フォーキーで穏やかな「〜a day from Wanderlust〜」へと変化していき、「Endroll」を経て、盟友texas pandaaをゲストに迎えた、ポップなダンス・ナンバー「heart & heart (Bonus Track) feat. texas pandaa」で幕を閉じる。一曲一曲のテイストは異なるものの、一体感があり、短編集を読んでいる、またはロード・ムービーを観ているかのような気分になる。バラエティに富んだ楽曲群からは、勢いだけに留まらない、彼らの新しい一面を見つけることができる。 リリース後に全国ツアーを行い、ツアー・ファイナルには初のワンマン・ライブを控えた彼らが、放浪の果てに見いだすものは何なのだろうか?

インタビュー&文 : 井上沙織

新鮮さを感じない曲は作らない

—結成の経緯を教えてください。

大屋(以下O) : 結成は21世紀に入ってすぐ、2001年1月です。3人とも大学のバンド・サークルに入ってて、そこはコピー・バンド中心のサークルだったんですが、オリジナルの楽曲をやりたいと考えていた3人が集まって始めました。このメンバーなら、面白いことが出来るんじゃないかと感じていました。

—曲を作る上で意識していることはありますか?

O : perfect piano lessonの特徴は、アンサンブルの面白さと中性的なボーカル、フックのあるメロディーだと思っています。ただ、だからと言ってこれらを特に意識して曲を作っている訳ではなく、3人のアンテナにひっかかるアンサンブルやメロディーを大事にして曲を作っていくと、結果的にそのような曲になっている、という感じです。なので、特に意識していることはありません。あえて言うなら、新鮮さを感じない曲は作らないようにしている、ということでしょうか。

Wanderlust』は「放浪癖」や「旅に恋焦がれる心」を表現しているそうですね。このタイトルをつけた理由を教えてください。

勝谷(以下K) : 個々の曲の内容がそれぞれ一つの物語となっています。それらの物語を、放浪する旅人が一つ一つ見聞していく、という意味でWanderlustと名づけました。Wanderlustは旅人を表していますね。色々な物語を読む、もしくは観るように、聴いてほしいという気持ちをこめたタイトルです。

—「〜a day from Wanderlust〜」はサンプリングからはじまり、ギター一本での弾き語りと、どこかロード・ムービーを連想させるような、フォーキーな楽曲です。この曲が中盤にあることによって、アルバム全体に統一感が出るように思えるのですが、もともとアルバムを制作する際にコンセプトはあったのでしょうか?

白根(以下S) : 手持ちの楽曲を並べてみて、ちょっと濃いかなって思って。途中に中休み的な曲があったらなあということで後から付けたしました。意図的に作った唯一の曲ですね。自由気ままに放浪する、このアルバムの主人公である写真家への羨ましさ、憧れを歌った曲です。

—ボーナス・トラックの「heart & heart (Bonus Track) feat. texas pandaa」は、ポップで踊れるダンス・ナンバーで、他の楽曲とは質感が異なります。texas pandaaの夏堀さんと出川さんがゲストで参加していますが、この曲が完成に至るまでの経緯やエピソードを教えてください。

S : 最初は僕が家でヘボい4トラック・レコーダーで作った曲だったんです。他の2人はものすごく微妙な反応だったんですが(笑)、とってみたら、あ、意外といいなということになりボーナス・トラックとして収録しました。テキパン2人のファイン・プレーあっての曲です。ボーナス・トラックなのに一番時間が掛った曲かもしれないです(笑)。

—上記のtexas pandaaのゲスト参加や3ndとのスプリット、それから残響祭への出演など、レーベルやレーベル・メイトとの繋がりが深いように思えます。皆さんにとって残響レコード、及び残響レコードからリリースしている他のバンドはどのような存在なのでしょうか?

K : 良い意味でライバルでありますし、良き友人だと思います。texas pandaaとは飲み友達ですし、3ndのメンバーとは大学時代からの付き合いですし。3ndの速水家にはたまに泊まりに行ったりもします。ただ沢山いますので、全員全てを把握できてたりお付き合いできたりは正直できていないんですが、可能な限りでライブに行ったり、音源を聴かせてもらったりしてます。

—結成してから8年、色々と環境の変化がある中で、皆さんが音楽を作る上でモチベーションとなっているのはどのようなことなのでしょうか? また、これからどのような姿勢でありたいと考えていますか?

S : 一番大きな環境の変化としては、やっぱり学生から社会人になったというところでしょうか。限られた時間の中での活動ですが、有難いことにちゃんと作品をリリースできるような環境になったんで、自分らがかっこいいなって思える曲を少しでも多く残したい、1人でも多くの人に聴いてもらいたいなってのがモチベーションになってるんじゃないかと思います。

O : 曲ができている過程で感じるワクワク感や、ライブの時に感じる高揚感などがモチベーションになっています。あとはライブの打上げとか(笑)。今後は、もっとカッコイイ楽曲を作って、CDやライブを通してみなさんに聴いてもらいたいですね。

K : 月並みですが、聴いてくれる人の感想や反響はやはりストレートにやる気につながりますね。また他の人の音楽で良いものを聴くと、オレもこういうかっこいい音楽やりたいな、という気持ちになりますね。今のでも昔のものでも。これからは曲作りはもちろん、もっとライブの質を向上させたいと思っています。


ppl DISCOGRAPHY


black and orange
新たにベーシストとして平泉(ex.杏露虫)が加入し、さらなる活動に火がついている3ndとのスプリットep。この音源には各アルバムから各1曲とアルバム未収録のそれぞれ1曲を収録。どちらのタイトルもガチンコの強力作品となっています。


modernize.
空間を切り裂くエッジの効いたギター、地を這う様なうねりあるベース、ダイナミックでいてキレのあるドラム。 全てを緻密に調和・融合させた楽曲に、どこまでも透明な歌声でメロディアスに歌いこなす。全国各地へのツアーを経て、さらに世界観を広げた彼らのファースト・フル・アルバム。


terra incognita
硬質で切れ味の鋭いギターやフェミニンなボーカル、独特のメロディ・センスを継承しながらも、穏やかで繊細な美しいメロディーが印象的なM-2、M-4などの、彼らの新たな境地を拡げた充実のミニ・アルバム。


two hundred and forty one mondays
うねり、這う、感情豊かなベース、鋭く切り込むギター、荒々しく響くドラム、そして楽器の音を制し、乗りこなす、メロディーに満ちた透明感あふれるボーカル。それらが見事に交じり合って作り出された、激しくも爽やかな独自の音世界を堪能出来るデビュー・シングル。

LIVE SCHEDULE

  • 10/24(土)@横浜 club Lizard
  • 10/31(土)@ 仙台 PARK SQUARE
  • 11/14(土)@札幌 mole
  • 11/21(土)@金沢 VANVAN V4
  • 12/05(土)@京都 MOJO
  • 12/06(土)@神戸 STARCLUB
  • 12/19(土)【『Wanderlust release tour final』one man show】@渋谷 O-nest

PROFILE

perfect piano lesson
001年1月結成。うねり、這う、感情豊かなベース、鋭く切り込むギター、荒々しく響くドラム、そして楽器の音を御し、乗りこなす、メロディーに満ちた透明感あふれるボーカル。それらが見事に交じり合い、激しくも爽やかな独自の音世界を作り出す。穏やかで繊細な美しいメロディが印象的な楽曲を取り入れるなど、新たな境地を拡げており、シーンをリードする新世代アーティストとして急成長を遂げている。

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インタヴュー

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[FEATURE]・2017年11月11日・音楽と農業のあるライフスタイル──谷澤智文の農園、自宅兼スタジオに潜入! 最新作の独占ハイレゾ配信も! かつてはメジャー・レーベルに所属し、アニメの主題歌なども手がけていた音楽家・谷澤智文。東日本大震災を経たことで彼の価値観は大きく変わり、2012年に彼は今までの活動をなげうって世界放浪の旅に出た。帰国後は生活のサイクルを変え、現在は東京を離れて埼玉県加須市にて新たな生活をしながら音楽活動を続けている。昨年2016年にはアコースティック宇宙奏楽長編3部作「”ぼくらはみんな”シリーズ」と銘打った第1作目『ぼくらはみんなスペーシー(We Are All Spacy)』をリリース。そしてこの度、制作期間1年半の時を経て第2部となる『ぼくらはみんなエイリアン(We Are All Alien)』が遂に完成した。 自身の演奏に加え、これまでの活動や旅で出会った仲間たちのサポートによって産まれた今作は、壮大な世界観と細部までこだわり抜かれた彼の美学が込められた渾身の1作。アートワークは前作に引き続き、気鋭の漫画家・panpanyaが担当、アルバム特設サイトには詩人・谷川俊太郎からのコメントも寄せられているので、
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筆者について
井上 沙織 (さ)

ototoy編集部で日々山盛りの仕事に囲まれながら、素敵な音楽や人との出会いを探しています。

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