強くありたいと思っていたんですよ
──活動休止中はどんな生活をしていたんですか?
トギー : 脚のために、まずは頑張って休むモードに入ることを意識しました。とりあえずたくさん寝て、安静にしていました。ティ部とは電話したり、泊まりにきてずっと話したりしていたので、自分がBiSじゃなくなったみたいな感覚はなかったですね。
──活動休止について発表されたとき、トギーさんはどう思ってたんですか?
トギー : 思ったより涙が出ました。休むって発表してから、ちゃんと気持ちの整理をしたんです。あのまま活動を続けていたら、心まで本当にどこかで壊れちゃってたかもしれないって思うんです。だから、休んでよかったのかなと思ってますね。
──もともとトギーさんは、BiSに対してストイックじゃないですか。それは休んだことによって良い方向になにか変わりましたか?
トギー : 強くありたいと思っていたんですよ。だから、辛いってことすらメンバーにも全然言ってなかったんです。ティ部に「気づかなくてごめんね」って言われたんですけど、でも、私が隠していただけだから、それは気づかなくて当然なんですよ。今回休んだことで、弱いところを見せる強さもあるんだということに気づかされました。改めて、考えてちゃんと言っていかなきゃいけないと思いましたね。
──トギーさんと同じようなことで悩んでる人たちに伝えられることはありますか?
トギー : 自分が思っているより、周りは優しいということですね。メンバーも、本当に親身になって考えてくれました。自分だけで抱えて全部嫌になっちゃうんだったら、勇気を出して話した方がいいと思います。いろんな人の力を借りて乗り越えていけたら、それがいちばんいいなって思いますね。
──最終的にメンバーを頼れたっていうことですね。
トギー : そうですね。頼もしかったです。
──新メンバーのナノ3さんは、トギーさんにはどんなふうに見えていたんですか?
トギー : ナノ3にとっては、BiSに入ったばかりなのに考える暇もなくいろんなことが変わっていったんだろうなと思うんです。彼女が入ってすぐに私は活動休止してしまったので、そこに対して申し訳ないなっていう気持ちと、本当に頼もしいメンバーになった感覚がありますね。
──トギーが活動休止中、4人で活動しているBiSのことはどう見えてましたか?
トギー : みんなすごく頑張ってくれましたし、本当に頼もしかったです。でも、私がいなくても成立するものってどうなんだろうっていうのは考えていました。
──それは、4人で成立していくことへの恐怖心だったんですか?
トギー : うーん……。怖かったというよりは、ちゃんと5人じゃないといけないものっていうのが作れてなかったなっていう反省ですね。誰がいてもいなくても、成立はすると思うんです。でも、「この人がいないとここがヤバい」みたいなのがなくて、なんとなく成立しちゃう感じがしたんです。このメンバーだからこそ作れるものっていうのがないなって思って。それは、これから活動していくなかで必ず作りたいなって思います。
──それは、少し離れた視点で見たからこそ感じることかもしれないですね。
トギー : むしろ私抜きの4人でめちゃくちゃ良いBiSを作ってくれたほうがいいと思っていました。フェスとかでBiSを知らない人にもライヴを見てもらえる機会もあったと思うんです。そんななかで当たり前に私がいないBiSしか知らない人もいるわけじゃないですか。そんな人に刺さるためには隙間を残しちゃいられないと思っていたんです。「これがBiSだ」っていうものを、私以外の4人に作ってもらわないといけなかった。
──トギーさんとしては、「私がいなくてもいいからすごいものを見せてくれ」と思っていたんだ。
トギー : そうなんですよ。「トギーの分まで頑張る」っていうのは嬉しいんですけど、気にしなくていいというか。私のことなんか気にしなくていいから、その代わり私も最高の状態で戻るからっていう気持ちですね。