カラオケが楽しいみたいに、知ってる曲を歌うのって楽しくて
──DISC Bはこれまでの楽曲を再レコーディングしたものになりますが、選曲理由を教えてください。
岸田 : 移籍してからベストを出すことになったので、NBCユニバーサル時代の楽曲を多くしようっていう。残りは、当時やりたかったけどやりきれなかった曲を中心にしてます。
──やりきれなかった曲というのは、どの辺がやりきれなかった部分でしょうか。
岸田 : コンセプトに対してやりきれなかった曲ですね。僕は「こういう意図を持ってアルバムを作ります」って、先にコンセプトを作るタイプなんですよね。で、今回収録されているのは、そのなかでも重要なコンセプトを担っていたにもかかわらず、それが達成されなかった曲ですね。例えば“Hack&Slash”はもうちょっと攻撃的になっても良かったんですけど、自分が思ってたよりもポップに出来過ぎた。アルバムで言えば、『POPSENSE』はプリミティヴな衝動が強い作品にしたかったんですよね。単純な曲をシンプルにやってカッコよくするにはどうするか? っていうところを突き詰めたアルバムにしたかったんです。でも、技術的に追いついてなくてできなかった。それをいま改めてやることで提示できたんじゃないかなと。
ichigo : 私も“希望の歌”はバラード寄りの気持ちで歌っちゃって。リズムをもっとタイトに取らないといけなかったのに、壮大なイメージだけ掴んで、大きく歌っちゃったんですよね。今回はもう少しヒップホップ的な捉え方というか、早いリズムで歌ったので難しかったです。
──再録してみてどうでしたか?
ichigo : 再録って楽しいんですよ。カラオケが楽しいみたいに、知ってる曲を歌うのって楽しくて。ライヴでずっと歌っているうちに歌い方が変わってたりするから、当時のレーディング時は、声が甘めだったり柔らかかったりして、私的には当時の歌い方はうまくできていない判定なんだけど、これがこのときの良さだと思って再現してみるかとか、そういうチャレンジはありましたね。
──実際、レコーディングにはどういう心持ちで挑んだのですか?
ichigo : “HIGHSCHOOL OF THE DEAD [2021]”は妊娠中に歌ったものなんですけど、他の曲も産後3ヶ月くらいから取り掛かりはじめたもので、体と戦いつつだったんですよ。
──出産後ということは、結構久々に歌ったのでしょうか?
ichigo : 出産の1ヶ月半前まではレコーディングしてたから、5ヶ月ぶりくらいかな。“another”を最初に録ったんですけど、そのときは体の使い方を忘れてて、なんか声を出しづらいなみたいな感じでしたね。
岸田 : 出産直後で身体的にダメージを受けてることは間違いないんで、心配はしてたんですよ。でも、録り始めた段階であんまり変わってなかったから、数ヶ月やらなかったとしてもすぐ元に戻る修練しかしてなかったんだなって。身体的には才能があるとも言えますけど、そういう存在なんだなって今回ので理解しました(笑)。
ichigo : そんなことねーよ。ガチガチに積み上げてたからこそよ! (笑)
