代弁者みたいになった方がいいかなと思って
──KINCHANが入ったことで歌入れをする過程では、どんなところに気をつけましたか?
Ryan.B : KINCHANは、声があどけなくて、まっすぐで4人にはいなかったタイプなんですよね。荒々しさと、良い意味の幼さみたいなものが強い言葉に乗ったときに、かわいくもあるしエネルギッシュにもなる。KINCHANには遊んでもらおうかなと思って、「きゃ、きゅ、きょ」を強めに歌ってもらったり、ちょっと歌い崩しているようなニュアンスをやってもらいました。真面目じゃなくて、遊んでいる感じのPIGGSを見せてみたいなって思って。ほかのメンバーにもこれまでの作品より遊んでもらっている部分は多いかもしれないですね。
──プー・ルイさんが落ちサビやラスサビを歌って、そのあとCHIYO-Pがハイトーンで入る感じが確立されてきたなと思っていたら、SHELLMEもBAN-BANもどんどん上手くなっていったじゃないですか。さらにKINCHANが入ると、そのイメージも変わってくるのかなと、このアルバムを聴いて思ったんですよね。
Ryan.B : KINCHANの声が入ったことによって、BAN-BANのまっすぐさや熱いところとか、SHELLMEの声の艶っぽさも際立ってきて、いろんなメンバーにサビを任せられるようになってきましたね。
──2曲目の“危険ぐらいがちょうどいい”はどういう曲なんでしょうか。
Ryan.B : “I CAN’T BE”と同じぐらいのときに作った曲ですね。曲調的には、このアルバムの新曲のなかで唯一ソリッドな感じで攻めた、マイナーコードのヘビーなリフ物なんですよ。“T.A.K.O”のカップリングの“Beat Crazy”という曲を、さらにいまのPIGGSに合わせて進化させたバージョンという感じですね。
プー・ルイ : これがもう1曲“夢を見させて”みたいな曲だったら、のっぺりしたアルバムになっちゃったと思うんです。でもこの曲が入ることによって、PIGGSのデコボコ感とかおもしろさが際立ってるなと思いますね。
──そして“NOT PIG”は、このアルバムでは、リード曲の扱いのように感じますが、Ryan.Bさん的にもそのイメージですか?
Ryan.B : そういう意識で作りましたね。このタイミングで、プーちゃんがこれまでやってきたBiS、第2期BiS、BILLIE IDLE®という流れを曲のなかに入れた方がライヴでも想いが乗るだろうと思って。自分史を踏まえた上で、さらにPIGGSで先に行くぞという決意表明をした方が絶対にいいなと思ったので、そこをいちばん意識しましたね。
──歌詞はRyan.Bさんが書かれていますけど、これはRyan.Bさんの目線からプーちゃんを見て、それを書き綴った感じなんですか?
Ryan.B : この曲は僕の意思も入ってはいるんですけど、プーちゃんはこういう歌詞を乗っけたいんだろうなという気持ちを汲みとって書いてますね。
プー・ルイ : 「BiSのとき、どういう気持ちだったの?」とか、日常のなかで喋ったりするので、それを歌詞にしてくれているイメージです。
Ryan.B : プーちゃんはほとんど同い年だし、同じように活動してきてアップダウンの感じも結構シンクロしているんですよね。辛い時期や落ちぶれちゃったときの気持ちもすごいわかる。それも踏まえて一緒のチームでやって、プーちゃんがメンバーも率いて社長としてどんなことを歌いたいだろうというのを考えて作った曲ですね。作曲だけだったらそんなに知らなくてもいいかなと思うんですけど、作詞もしてるので、代弁者みたいになった方がいいかなと思って。ただ知りすぎちゃうと、ファンの方の気持ちもわからなくなっちゃうかもしれないので、深入りはしないようにはしているんですけど。
プー・ルイ : 歌って空白が必要というか。読んで自分で解釈をするのが楽しいから、全部教えちゃうとね。
Ryan.B : 「いまのメンバーはこんな感じなんだな」くらいに留めておくようにしています。