INTERVIEW : サウンド・プロデューサーRyan.B & プー・ルイ
BiSやBiSHの松隈ケンタ、水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミなど、この仕事をしていると、この人は別格ってサウンド・プロデューサーに出会うことが多々ある。PIGGSのサウンド・プロデューサーであるRyan.Bもまちがいなくそのひとり。ぶっちゃけ『JUICYY』を聴いてぶったまげました。あとそういう才能のある人に曲を解説してもらうと、めちゃくちゃおもしろい。ってことで、このインタヴュー最高です。
インタビュー : 飯田仁一郎
文 : 西田健
KINCHANは白米みたいな子
──セカンド・アルバム『JUICYY』は、Ryan.Bさんにとって、どういうアルバムになりましたか?
Ryan.B : 今回はこれまでよりも、もっと赤裸々に内面をクローズアップした方がいいんじゃないかなと思って作ったアルバムですね。そういう歌詞を歌っている時のプーちゃんがいちばん輝いていると思いますし。いままでの歴史も背負って歌えるのは彼女だけだし、メンバーもそれに引っ張られてどんどん成長している感じがします。
──“NOT PIG”がまさにそういう曲だと思うんですけど、どこが起点でその方向性になっていったんですか?
プー・ルイ : ちょうど同じタイミングに思ったんだよね。今年の前半、楽曲や歌詞も自分たちがやりたいものというより、流行りのかっこいいものにしようとしていた時期があって。ふと「私がやりたいのってこれだっけ?」と名古屋のイベントのタイミングで思ったんですよ。イベントが終わって携帯開いたら、Ryan.Bから長文で「これ言っていいかわからなかったんだけど、内面をさらけ出すほうがPIGGSに合うと思う」ってLINEがちょうど来ていて。私もその時METTYに「なんて表現していいのかわからないんだけど、こっちじゃない気がする」みたいな気持ちをぽろっとLINEで送ってたんですよ。
Ryan.B : プーちゃんは、泥臭くいろんなことをやってきたことで人を感動させてきたし、そこがいちばんの魅力なのに、なんでそこを出してないんだろうと思って。もっといいプーちゃんを引き出せるんじゃないかと考えたときに、そもそもの音楽性だったりスタイルが引き出せてない要因なんじゃないかという僕なりの反省もあったんですよね。そういう想いで提案しました。
プー・ルイ : METTYも含めて3人で、「じゃあ、方向性これじゃねえ?」ってなったよね。そこから作ったのが『JUICYY』なんですよね。
──それはいつごろ?
Ryan.B : 5月ぐらいかな。
──既発曲以外は、そこから全部できたんですか?
Ryan.B : “夢を見させて”はもともとあったんですけど、そこまでしっくりもきてなかったんですよ。アルバムのなかで肝になっている曲だと思うんですけど、その立ち位置も変わった感じですね。新曲は、4月くらいに最初に“I CAN’T BE”ができたかな。自分の想いをプーちゃんに伝える前に、僕のなかで薄々こういう曲も合うんじゃないかなと思いはじめたときに作った曲です。
──“I CAN’T BE”は、アルバムのラストを飾るし、最後の「あなたと出会い私になれた 生き抜けPIGGS for you」という言葉は、ファンにもすごく嬉しい言葉。
プー・ルイ : “I CAN’T BE”が4月に送られてきたとき、ぶっちゃけ私はあまりしっくりきてなくて。最初はもうちょっと、攻撃的な印象があったんですよ。そのときは、KINCHANもいなかったし。いまだからこそ、しっくりくる曲だなって思います。
Ryan.B : そのときに見えていたPIGGSの現状も加味して書いた部分もあるんです。だから歌詞もそのときとは変わってますね。
──“I CAN’T BE”でアッカンベーって読ませるところもおもしろいなと思いました。
Ryan.B : アッカンベーっていう歌詞があって、そういうもじりみたいなものをやろうかなと思ったんですよね。音的には、パンクな部分を見せたいなという部分でアッカンベーをしている感じです。プーちゃんは、どうしても斜に構えて強がっちゃうんだけど、本当は裏では泣いていたりしている印象が僕にはあって。そんな斜に構えている自分を破るきっかけになる曲になればいいなと思って書きました。
──“NAKED BORN NAKED DIE”。これはどういう想いで作った曲ですか?
Ryan.B : これはKINCHANの加入が決まったぐらいに書いたかな。マスタリング前にライヴ映像がYouTubeに出たので、本当に録って出しみたいな感じだったんですよね。KINCHANが入ったことによって、他の4人の見え方が僕のなかで変わったんですよ。他の4人が主張の強いおかずだとしたら、KINCHANは白米みたいな子だと思うんですよね。ステーキとか魚料理があっても、やっぱり米がないといけない。その唯一の存在が入ってきたことによって、全員も引き立つんですよね。あと、KINCHANなしでこういう曲を歌っちゃうと、攻めすぎちゃう感じもあって。
プー・ルイ : なんか怒られてる気分になりそうじゃないですか。
Ryan.B : なので、こういう曲を歌っても大丈夫な5人が揃ったんじゃないかなと思って作ってみました。