壊れない程度に、ギリギリのラインをずっと攻め続けたい
──来年1月22日には、〈渋谷WWW X〉でのライヴが発表されているじゃないですか。「“Sunrise Love”は再現できない」と配信ライヴではおっしゃっていましたけど、それは逆にいうと発表されている〈渋谷WWW X〉でのライヴは、“Sunrise Love”を再現する?
藤井 : もちろんです。ギリギリまで粘ったんですけどね。配信ライヴの前日のリハの残り1時間前ぐらいまでやってみたんですけどダメでしたね。演奏中に途中でベース弾くのを辞めて、「ごめんギリギリまでやったけどダメだ。これできない、やめよう」って言って(笑)。
──その選択肢のひとつ取っても、いまのEmeraldを象徴していますね。〈渋谷WWW X〉では、他の楽曲もアップブレードしていきますか?
藤井 : できるものはそういう風にできたらいいなと思います。今回は新曲がそれなりにありますし、自分たちもチャレンジしている段階なので、まずはしっかりと固めて、それにプラスαで曲間を考えていくとか。そういうことはワンマンなのでしっかりやっていきたいなと思っています。
──はじめてのワンマンですよね。
藤井 : ワンマンをやるってバンドにとってはすごい大事なことだと思っています。ワンマンショーなのでそれ相応のものをしっかり見せれないとお客さんに失礼だなと思ってて。その気持ちが強かったので、2マンなどをやってステップを作っていきながら、ワンマンはまだもうちょっと先かなみたいな状態がずっと続いていました。でも10周年の節目で、次のステージに行くっていうところを明確にしたくて、〈渋谷WWW X〉と会場の規模もひとつあげて、ワンマンをすることにしました。
──最後に、Emeraldの10年を振り返ってどんな10年だったかと、そして今後どんなものを目指して行くのかを教えてください。
磯野 : これまでの10年は、少しずつステップアップしていて、毎年成長する実感があった活動だったと思っています。そのなかで最初の5年ぐらいは、自分の好きなようにやるっていうところから、後半5年は聴いてくれているファンがいて、そのファンの生活の一部になっているっていう自覚が芽生えました。そこからバンドって自分たちがやりたいからやるっていうことだけじゃなくて、自分たちの音楽を聴いてくれている人たちをより喜ばせたいなと思うようになりました。年々バンドの規模感も上がってきて、勝負したいと思った2020年に、ある意味コロナ禍で活動が止まってしまって。そこではじめて、2020年という年が「去年の方が良かった年」になっちゃったので、2021年以降はその分も取り返してより成長していきたいと思っています。いままで応援してくれているファンの人に応援しててよかったって思ってもらいたいし、サポートしてくれているメンバーや関わってくれているエンジニアさんもみんな本当に長いことEmeraldっていうプロジェクトに携わってくれているので、これからの10年は自分がどうこうっていうよりも、応援してくれた人たちをより喜ばせていきたい10年にしたいと思っています。
藤井 : いま磯野が言ってくれたことは前提として、僕はこれまでの10年とこれからの10年はある意味変わらずにいたいというか。同じことを地固めでしっかり継続して、昨日できたことは今日できて、今日はなにをしないといけない、それによって明日こういうことができるようになっているよねって考えていたい。そうやってどんどん広がっていって10年後にはもっと広いところまで伝わっているバンドでありたいです。THA BLUE HERBの“ILL-BEATNIK”で「1日1cmずつ進む,5日で5、1年で365 キャリアは5年で18m25もの」っていう歌詞があるんですけど、Emeraldってまさにそういうバンドなんですよ。壊れない程度に、ギリギリのラインをずっと攻め続けたいと思います。できることは絶対10年前よりもいまの方が絶対に増えている。そうありたいし、そういたいです。
中野 : これまでの10年ずっと考えていたのは言葉なんです。バンドのなかで唯一自分が言葉っていう楽器を持っていることについて、ずっと考えていたと思います。僕は先へ急ぎたい気持ちもあるんですけど、その時々にしっかり言葉を残せるかどうかという勝負をこれからもしていくんじゃないかなと。言葉って先のことを考えることも大事ですけど、まずは目の前のこととずっと向き合って行かなきゃいけない。どんな人が聴いても、音楽として言葉が入ってくるっていうものを見つけるのは年々難しくなっているのをいまの時代性に感じているので、ずっとそこを見つめ続けていくのは、自分のやるべきことだと思います。常に目の前のことを必死でやるっていう。瞬発的な速度がなかなか出しづらいバンドではあるんですけど、これだけすごいバンドなんだよっていうことを僕は言い続けて行かなきゃいけないので、そのためのストーリーを頭の中でいつも考えていく10年になるのかなと思っていますね。
編集 : 梶野有希
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LIVE INFORMATION
Emerald Pre. 10th Anniversary ONEMAN Party『TEN』
2022/01/22(土)@渋谷WWW X
open 17:00 / start 17:30
Ticket adv.¥4,000 / door.¥4,500 / アナログ付前売 ¥6,000
詳細はこちら
https://emerald-info.tokyo/
PROFILE
2011年結成。ジャズ、ネオソウル、AORといったジャンルを軸にした楽曲群にジャパニーズポップスの 文脈が加わったサウンドで、新時代のシティポップミュージックを提示する。2ndアルバム『Pavlov City』が配信サービスでプレイリストにピックアップされたのをきっかけに脚光を 浴び、1stミニアルバム『On Your Mind』ではリードトラック「ムーンライト」がラジオ各局でパワープ レイに選出。2019年11月26日に配信限定シングル"UP TO YOU/MIRAGE”をリリース。
Pop music 発 BlackMusic 経由 Billboard/Blue Note 行
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